6×1≠UNLIMITED?(ロクイチアンリミテッド)のレビュー行くぜ!
ロクイチアンリミテッドは2015年1月7日にエープラスから500円で配信された3DS DLソフトだ!
2015年のニンテンドーeショップは完全新作のシューティングゲームから幕が開いた!
公称ジャンルは「文芸シューティング」という謎めいたものである。
エープラスはこれまでアークシステムワークスなどの下請けをやっていたメーカーだったが、
本作は自社からの配信となっている。これが自社配信作品第一弾ってわけね。
開発もエープラスかと思いきやバーンハウスエフェクトも関わっているようで、
起動するとロゴが出るしスタッフロールには両方のスタッフが並んでいたぞ。
バーンハウスエフェクトと言えば昔はチョロQシリーズも作っていたが、
最近はノックアウトピープルズや戦車3Dや野球SP!などロクでもないゲームに関わり続けている。
俺はこの時点で不穏なものを感じた。
内容は自衛隊が日本国のコンピューターネットワーク内を哨戒するようになってから数十年経った世界が舞台!
主人公は電域侵攻防衛課の新人オペレーターである獅子心王(レオンハート)で……。
とか公式サイトには用語説明とか長々と書いてあるが、
簡単に言うと新人の主人公が電脳空間で女の子の姿をした6人の人工知能と一緒にウィルス退治!
なんやかんやあってロクでもないことになる!
獅子心王(レオンハート)って名前は未来だと別に珍しくないです!という感じのストーリーだ。
ゲームを起動すると主人公の獅子心王(レオンハート)が
誰に喋ってるのか分からないどうでもいい自己紹介を始める。
こういうノリ、嫌いじゃないぜ。
難易度設定、モード選択、キーコンフィグ、ギャラリーモード、オプションなどはすべて存在しない。
タイトル画面で出来るのはゲームを始めることだけだ!
ゲームとしては360度自由な方向に移動出来る全方位シューティング。
自分の周りにウィルスがどんどん出現してくるので、
6種類の武器を使い分けてひたすら破壊していくのだ。
そのうちボスが出てくるので倒せばクリア。
操作方法は移動と攻撃と武器切り替えの3つだけ。
アイテムは特定の敵を倒すと出るパワーアップのみ。
この手の全方位シューティングだと「攻撃の向きを固定する」って操作が付きものだが、
本作には無し。
6種類の武器にそれぞれ女の子の姿をした人工知能が搭載されている。
進行方向に弾を発射するオーソドックスな「弾」は玉姫。
ゆっくり動いて一定時間経過すると爆発を起こす「爆」はブリジット。
射程の短い火炎を放射する「炎」はブラーニャ。
敵弾を吸い取りながらダメージを与える地雷を射出する「地」は雷智。
敵を追尾する誘導弾を発射する「誘」はΔ04(デルタゼロフォー)。
極太レーザー…と説明されているが剣に近い性能を持った「光」が光舞。
この6人のヒロインたちと一緒にウィルスと戦っていくのだ!
武器を切り替えると対応したヒロインがボイス付きで喋ったりする。
全7ステージで1つのステージは複数のチャプターに分かれていて、
ステージクリア時とステージ開始時にヒロインとの会話デモが挟まれるのだ。
最初はファミコンのドット絵のような姿だが、
パワーアップアイテムを取って武器レベルを上げると姿がアップデートされていく要素も。
ドット絵の次は昔のPCゲーのようなグラフィックになり、最高のレベル3でイラストに。
これはなかなか面白い表現だ。まあ俺としてはドットのままでも一向に構わんが!
デルタゼロフォーはドットとイラストで胸元の表現を比べるのも一興。
そんなゲームだがハッキリ言ってどうしようもないデキ。
ゲームを面白くするような特別なシステムも無く
出てくる敵がボス含めて似たり寄ったりの形状で個性が無く、
行動パターンも「自機を取り囲むように出現して体当たり」「自機を取り囲むように出現して弾をバラまく」
ばかりなので遊んでて本当に退屈。
背景は最初からラスボスまで一切変化しないのもこの退屈さに拍車をかける。
フィールドが球状っぽい表現になっているが、
3Dに対応してるわけでもこれを生かした演出があるわけでも無い。
敵弾が細かい上にフィールドのせいで微妙に角度が付くので見づらい。
6種類ある武器もザコ散らし用の光ブレードと、ボスや硬い敵用の爆弾の2種類あれば十分。
地雷と誘導弾はまだ使う場所が無くもないんだが、
通常弾と火炎放射は完全に死に武器でまともに役立つ箇所が無い。
最初に遊んだ時に「あれ?向き固定が無い?武器の個性を出すためにあえてやってるのかな?」
と思ったもんだが、まったくそんなことはなくてむしろ死に武器を増やすだけの結果になっている。
このせいで普通にプレイすると、逃げながら振り向いてちょっと撃ってまた逃げて……。
っていうストレス溜まるプレイになりがち。
ひたすらプレイヤーを取り囲んで体当たりをしてくるばかりの敵配置に加えて
フィールドは端でループするボス戦以外は360度無限に進める上に、
画面端に到達したザコ敵は消滅する仕様なので、
敵を散らしながら一方向に突き進んでザコ敵を振り切るというプレイでどんどん先に進める。
ラスボスのビットは自機との間隔的にレベル3の光ブレードを使うと綺麗に破壊しやすいとか、
普通に戦うと固いけど吸着地雷使うと引っ付いて簡単に倒せるザコなんかもいくつかいるので、
色んな武器を使わせようという意図が多少は感じられるが焼け石に水。
最終的に、ブレードで適当にザコ敵を散らしながら1直線に突き進み、
うんざりするくらい固いボスには爆弾を当てまくるという戦法で全ステージクリア可能だ。
爆弾は強力な代わりに1発撃つと次の弾を撃つまでにやや時間が掛かるんだが、
「爆弾→別の武器切り替え→爆弾」という操作を素早く行うと連発が可能。
これ使うとボスをあっという間に倒せるんだけど、
ハッキリ言ってこれ前提じゃないのかと思うほどにボスが固くてテンポ悪い。
ラスボスも含めてどのボスも攻撃パターンがほとんど1種類で弾をひたすらばら撒いて動き回るだけだから
まともに戦っても遊んでて疲れるだけ。
ステージ5のボスとかブレード出してこっちを追いかけてくるだけで他に何もしねーじゃねか!
あと、光ブレードを中型のザコやボスに使うと
すり抜けてダメージを与えられないことがよくあったんだがこれは一体……。
とにかく敵パターンに工夫が無く単調でダラダラしているので、
ちゃんと敵と戦って楽しもうと思っても面白くならない。
コンティニューは3回まで可能だが、
途中セーブやステージセレクトといった生ぬるい要素は存在せず、
1度はじめたらエンディング見るかゲームオーバーになるまで突き進むだけ。
つまらないのに1周が30分以上かかる。
そしてこんな雑な内容なのに、
ノーコンティニュークリアすればいい加減にプレイしていてもスコアがカンストするという驚愕の仕様である。
何を楽しめと?!
エンディングが10個存在しており、キャラの好感度で分岐するマルチエンディング方式だが、
「キャラの好感度=パワーアップアイテムで上がる武器レベル」だ。
武器レベルは最大3。
死ぬと使っていた武器のレベルが1に下げられるので、
エンディングを全部見ようと思ったらラスボス戦で自殺して好感度を調節する必要があるという歪な仕様。
特に各ヒロインの個別エンドは「そのヒロインがレベル3。他はレベル1」にしないと見れないので……。
めんどくせぇ!
公式サイトに載ってる隠しコマンドで武器レベルを最大に出来たり、
コマンドをちょっといじると使ってる武器以外のレベルを1に下げられたり出来るが、
これが救済措置のつもりなのかな……。
ステージ開始時とボス激破時にヒロインとの会話デモが挟まるが、
ボスにトドメを刺した時の武器に対応したキャラとの会話デモが読める仕様なので、
射程距離がぶっちぎりで短い火炎放射のブラーニャなんかは会話デモ見るだけでも面倒。
シューティング部分と会話パートが致命的なまでにかみ合ってない。
ゲーム部分の単調さと1周30分以上という長さ、
途中セーブ無しなのでエンディング見る度に最初からやり直さないといけない仕様を乗り越えて
やっと見れる10のエンディングだがこれも酷い。
6人いるヒロインのうち、個別エンドがバッドエンドしか存在しないヒロインが5人!
バッドエンドはどれもこれも救いゼロの結末。
ヒロインが主人公を好きになりすぎた結果の悲しい展開で
これはこれでシナリオとして評価出来るバッドエンド……とかではなく、
主人公にほとんど愛情が向けられていない悲惨なだけのバッドエンドが多いので
ヒロインをまったく好きになれないし本当に救いが無い。
むしろ遊べば遊ぶほど登場するヒロイン達が嫌いになっていくストーリーだ!
どのエンディングも主人公がゴミのように扱われる内容ばかり!
最初は顔文字を交えながら「相棒!」って呼びかけてくる光舞が好きだったが、
エンディングを見た後だと「相棒って言うな!」と叫びたくなる。
武装を切り替えると「爆発寸前なんだからね!」とか言ってくるブリジットも
俺はこのゲームを遊んで爆発寸前だし、
お前の心に響かないツンデレキャラにも飽き飽きだこのペラペラツンデレが!と言いたくなる。
唯一、まともな個別エンドがあるのがメインヒロインっぽい玉姫。
しかしコイツも他のエンディングでの立ち位置を考えるとなあ……。
全キャラレベル3クリアで全ヒロインとハッピーになるハーレムエンドも存在するんだが、
他のエンドでヒロイン連中のクソっぷりを散々見せ付けられるので
「そんな女共は捨てて別の新天地を探そうぜ主人公!」って言いたくなる。
全キャラレベル1クリアだと主人公が仕事をクビになるエンディングなんだが、
これが一番のハッピーエンドなのでは……?
バッドエンドだから悪いと言いたいんじゃなくて、
設定ばかり先走っててゲーム内のテキスト量が少ないからキャラの掘り下げが全然出来てなくて、
セリフを喋る敵キャラも存在しないから
「ヒロイン6人とウィルス駆除の仕事をしてた主人公が、なんか体調崩しはじめたけど頑張ってそのまま戦った」
程度の話でしかなく、その上で安直に酷いだけのバッドエンド連発なのが単純にうんざりだ。
不具合の多さも酷い。
先ほど「普通にノーコンティニュークリアするだけで得点がカンストする」と書いたが、
得点をカンストさせた状態でクリアすると高確率でフリーズするという不具合がある。
二段構えでプレイヤーを殺しに来るトラップ……!
終盤に自殺してコンティニューして得点を0に戻しておく予防策が必須となってくる。
得点がカンストした状態で更に得点が入ると狂ったように1UPしていくからそれが原因かな……。
自殺しないと敵が強くなって苦戦するシューティングはちょいちょいあるが、
自殺しないとフリーズするシューティングはあんまり聞いたこと無いな。
別にカンストしなくても普通にエンディングでフリーズしたり、
爆風で処理落ちしたままフリーズすることもよくあるので安心して胃を痛めて欲しい。
1度エンディング見た後に続けて周回プレイしてると処理落ちが多くなる気がした。
エンディングでフリーズするとクリアフラグがセーブされないのでやり直しになります。
そして本作最悪のバグが
「すべてのエンディングを見るとセーブデータが破損する」というもの。
報告が多数あり、俺も確認のためにすべてのエンディングを見た!
この表示されてる数字が全部明るくなっているのがエンドコンプの証です!
この状態で一度ゲームを終了させてもう一度起動する!
ご覧の有様だよ!
マジで消えやがった……。
全エンド見たけどデータ破損しなかったという人を見たことが無いので再現性はほぼ100パーセントだろうか。
表示されてる「初期化」は実際には上手く機能しておらず、
一度こうなったらゲームを起動する度にこの画面が出てセーブデータが毎回初期化されるようになる。
ソフトを消去して再ダウンロードする以外に手段なし!
公式にこう書いてあるが……なるほど!すべての真実を知った人間は消されるというわけだな!
さすがにこれらのバグに関しては公式で修正アップデートの告知がされているが、
バグ修正したところで肝心のゲーム内容がこれでは……。
なんかもう俺と一緒に単調なゲーム展開とバッドエンド地獄と
フリーズ地獄を一緒に潜り抜けてきた主人公に愛着が湧いてくるわ。
戦闘の影響で少しずつ壊れていく主人公の獅子心王(レオンハート)。
しっかりしろ獅子心王(レオンハート)!
今のお前は正常じゃないし、お前が出演しているゲームも正常じゃない!
そして俺もこのゲームを遊んで平静を失い、正常じゃなくなりつつある!
もうこんな仕事はやめるんだ!
俺と一緒に喧嘩番長6を遊ぼう!来月はロストヒーローズ2も出るぞ!
一緒にロクイチアンリミテッドも仮面ライダーサモンライドも無い世界に行こう!
シューティングゲームとして評価出来る部分がほぼ存在しない。
単調極まりない内容で、遊べば遊ぶほどに敵配置やシステムのいい加減さが露呈していく。
かみ合ってない好感度の要素とか、性能が死んでる武器とか、簡単にカンストするとか、
バグ抜きにしても未完成品としか言えないレベルの低さ。
バグに関しては通しプレイを1度もやってないとしか思えないレベルのバグばかりで擁護不可能。
評価出来る部分はキャラのイラストとボイス。
絵だけは可愛いし、エンディングには一枚絵もある。パーソナルカラーで塗り分けるセンスも好きだ。
曲数は少ないが音楽。ラスボス戦のBGMは良かった。
タイトルロゴもなんか面白そうな雰囲気がしていいね。雰囲気だけなんだけど。
あと、主人公のキャラは嫌いじゃなかったかな。
ここはクソゲーの主役をやらされた上にロクでもないエンディングばかりっていう同情もあるが……。
ヒロインがマジでどうしようもない連中ばかりなので、
全エンドコンプ後のデータ破損バグも
プログラム上の女の子なんてクソだよ!破壊して消去せよ!
というメッセージが込められているのかもしれない。このゲームの方がクソだがな!
ゲーム部分をすべてカットして、
ボイスとCGだけを収録した500円のソフトとして売った方がまだ喜ぶ人多かったと思うね。
エンディングの一枚絵はあるけどギャラリーモードは存在しないし。
このゲーム内容でなんでギャラリーモード無いんですか…?
配信したエープラスは「SWORDS & DARKNESS」「りき伝説」「ダマスカスギヤ-東京始戦-」と、
粗はありつつも個人的に「遊んでいてて肌に合うなー」と感じるゲームを多く開発してきたメーカーだったので、
自社パブリッシング第一弾かつ完全新作のシューティングである本作には非常に期待していた。
文芸シューティングなる謎のジャンル名にもワクワクした。
しかし実際に出てきたのは材料と設計図を道にばら撒いて500円徴収するようなゲームだったので
もうただひたすらに悲しい。悲しい気持ちだけ。
本当に…残念と言うしかない1本だった。
このゲームが2015年の3DS DLソフト最悪の1本で、
これより酷いゲームが1本たりとも発売されないことを心から願う。
※追記
http://sinplelove.blog34.fc2.com/blog-entry-5135.html
2月25日にバグ修正を含んだアップデートがようやく配信された。
別に面白くなってはいない。