随分と待たされたぜ……。
名探偵ピカチュウのレビュー行くぞ!
メーカー:ポケモン
機種:3DS専用ソフト
ジャンル:シネマティックアドベンチャー
発売日:2018年3月23日
価格:税込5378円
2016年に1500円のダウンロード専用ソフトとして配信された
『名探偵ピカチュウ ~新コンビ誕生~』の続編だ。前作のエピソードもすべて収録。
前作プレイ済みならセーブデータを読み込んでそのまま続きから始められるし、
4/22までだがダウンロード版なら1500円引きで購入できるキャンペーンもあるぞ。
失踪した父親を捜す主人公のティム・グッドマンが、
おっさんのようなノリで人間の言葉を喋る不思議なピカチュウ(CV:大川透)と共に、
ポケモンが関連した事件を次々に解決していく推理ADVだ。
前作はポケモンと人間が共存している世界の描き方と、
そこで展開される王道推理展開が素晴らしかったのだが、
追っている事件が解決しないまま続いて終了。
まあサブタイと価格から予想できたし、
すぐに続編出るでしょうと思ってから2年……ッ!
長かったぜ!
今回のレビューは出来るだけネタバレはしないが、
どういう方向性の終わり方をするかは書くので注意ね。
ゲームの流れは3Dのフィールドを歩きまわって聞き込みをし、
現場を調べて証言や証拠を集め、
それを元に推理をして話を進めていくという昔ながらのシステム。
難易度は低めでヒント機能もあるのでお子様でも安心だ。
本作最大の特徴は相棒のピカチュウ。
おっさんのような喋り方でコーヒー好き。
美女に目が無く、わざも使えない、二本足で歩く。
しかしバツグンの推理力でティムをサポートするし、
他のポケモンと会話が出来るのも大きい。
推理パートでは決め台詞である「ピカッとひらめいた!」が炸裂だ。
軽快なトークに加えて圧倒的な表情の豊かさも魅力で、いちいち笑わされてしまう。
ゲーム中にボタンを押すことで
「ピカチュウサイン」という短いムービーを見ることが出来るんだが、
これが状況に応じて見れるものと、ランダムで見れるもの含めて100種類以上!
カッコ良く探偵の心得を教えてくれるものだったり、
他のポケモンとのコントじみたやり取りだったりと
実にバラエティ豊かで何度も見たくなるぜ。まったくあざといおっさんだわ!
一度見た「ピカチュウサイン」を自由に見れるモードが付いたのが嬉しい。
前作はこれ無かったからな。
本作はアニメやゲームではお馴染みのモンスターボールが登場しない世界観で、
街中でもみんなポケモンと一緒に歩いているし、
公園に野良ポケモンが沢山いるし、カフェに行けばペロリームが飲み物を運んでいたり、
TV局ではヤンヤンマが
カメラを担当しているのが話題になっていたり(現実で言うドローンカメラ!)と、
「ポケモンと人間が当たり前に共存している」
のをビジュアル面でしっかり見せてくるし、
だからこそ、ティムとピカチュウが追っている
「ポケモンが突然暴れだす」という事件の恐ろしさや悲しさが伝わってくるのだ。
挑むことになる謎解きはちょっとしたパズルだったり、
質問に対して正しい証言を選択するものだったりと分かりやすいものだが、
ここもポケモンのわざやとくせい、
ゲームにも登場するアイテムを絡めてあって「ポケモンの推理ADV」にしてあるぜ。
ちゃんと劇中で説明があるので、
ポケモンは初期の頃しか詳しくないという俺のような人間でも問題なく楽しめた。
もちろん、ポケモン全然知らない人でも大丈夫だと思う。
ポケモンもかなり沢山出てきてみんなそれぞれ個性的。
ちょっとしか会話しないポケモンや事件に絡まないポケモンも印象的なのが多いぜ。
ピカチュウに対抗意識を燃やして
テレビ出演を狙うミミッキュが特にいい味出してたね。
出てくるだけですべてを持っていくミュウツー(CV:古谷徹)も存在感がすごい。
ピカチュウの言葉が分かる人間はティムだけ。
他のポケモンの言葉が分かるのはピカチュウだけ。
という距離感も絶妙で、喋るのがピカチュウだけだからこそ、
それぞれのポケモンの魅力が引き立っているし、
会話の中で人間とポケモンの考え方の差やすれ違いなども伝わってくる。
当然ながらポケモンは人間ではなくポケモンの視点で物を見ているので、
「言葉は分かるけど、言っている意味はよく分からない」という場面も度々あって、
そこから情報を探っていくのがまた面白いぜ。
世界観の見せ方が丁寧だし、
ベタベタな王道展開を正面からやってくれる気持ちよさもあるから
大人が遊んでもしっかり楽しめる。
主人公のティムが容疑者を全員集めて
「みなさん、お集りのようですね」のセリフから
事件の真相を明らかにする下りとか、実にコテコテでイイ。
死体を調べるシーンは無いけど、
潰れた赤い木の実の横で気絶してるポケモンを調べるシーンはあったり、
昔ながらの推理ADVのエッセンスを、
今の子供に分かる形で伝えようとしてるねこのゲーム。
前作はプロローグ的な作りで最後のシナリオに入るまではちょっと地味だったが、
今回は大がかりな事件や、明確な犯人が存在するシナリオが多いし、
軽いQTEが挟まるアクションシーンも大増量。緊張感が違う!
エピソード毎に舞台がガラッと変わるからワクワクする。
「みなさん、お集りのようですね」も何回もやってくれるぞ。
要所要所で流れるメインテーマがまた盛り上がる!
全体的にスケールアップしていて満足感が高いがどうしても気になったのは……。
前作から追いかけていた事件に関しては
きっちりとケリをつけて犯人を捕まえて終わるものの、
作中最大の謎は次回作に持ち越して終わるところかな!
2年越しの続編で完結するのかと思ったらまだ続くのかよ?!
名探偵コナンばりにいくらでも続編を作れるモードに突入だ!
機種はやっぱりNintendo Switchとかになるのかなあ。
クリアまでは10~12時間ってところ。
昔ながらの推理モノと、
お馴染みのポケモンを組み合わせた新しいADVとしてやはり素晴らしい1本だ。
これが初めての推理ゲームになる子供から、
ゲーム慣れした大人まで遊べるようになっている。
俺は続編を匂わせて続編が出ないモヤモヤしたゲームを沢山見てきて
心に傷を負っているので、終わり方がどうしても気になってしまうが、
この世界観をもっと味わいたいのは確かなので、続きを楽しみに待つことにするぜ。
……ただ、シリーズ化していくつもりならもうちょっと早く次を出してくれよな!