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誉れが対馬で大爆発!珠玉のシナリオで送る武士道&邪道アクションの傑作『Ghost of Tsushima』レビュー!【PS4】

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Ghost of Tsushima Game | PS4 - PlayStation

 

トロコンしたので『ゴースト オブ ツシマ』のレビュー行くぜ!

 


メーカー:株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント

機種:PS4

ジャンル:オープンワールド時代劇アクションアドベンチャー

発売日:2020/07/17

価格(税抜):6900円


 

鎌倉時代に起こったモンゴル帝国の日本侵攻、

「蒙古襲来」を題材にした和風オープンワールドアクションゲームだ。

 

美しく雄大な対馬を馬で駆け巡り、

快適さと爽快さに振りまくったチャンバラアクションと、

武士道と邪道の狭間で揺れる主人公を描いたシナリオを楽しむ……。

遊ぶほどに止まらなくなるゲームで、傑作と言う他なかったぜ!

 

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コトゥン・ハーン率いる元軍の圧倒的な攻撃により、

初戦で壊滅状態となる対馬の武士たち。

地獄の戦いをなんとか生き抜いた主人公の境井仁は、

侍の道を外れた手段を使ってでも対馬の民を救う決意を固める。

そしてその常人離れした戦いから武士ではなく、

冥府から黄泉返った「冥人(くろうど)」と呼ばれるようになっていく……。

 

コトゥン・ハーンの一騎打ちを無視して焼き殺すスタイルや

蒙古の船から降りそそぐ火矢と砲撃により、

対馬の武士たちが次々に倒れていくオープニングが壮絶。

もういきなり引き込まれたぜ……。

本編だと普通に一騎打ちを受ける蒙古めっちゃ多いのにおのれコトゥン・ハーン!

 

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境井仁を操作し、荒れ果てた対馬を救うために大冒険!

メインストーリーを進めても良し。サブクエストを進めても良し。

対馬のあちこちで収集物を集めても良し。強化イベントをこなして鍛えても良し。

オープンワールドのアクションゲームとしてはオーソドックスな構成だね。

 

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流れる風に揺れる木々と草花、ゆっくりと変化していく空模様。

色彩豊かに描かれた大自然が本当に美しく、

舞い散る葉をかき分けながら馬で走り回っているだけでも、

胸に込み上げてくるものがある表現力。

 

「映え」を優先するためにゲーム的な表示を極力排した画面構成になっていて、

よくあるミニマップやマーカーなどは一切無し。

目的地を設定するとその方向に風が吹く、

近くにイベントがあると黄色い鳥がやってきて導いてくれるなど、

粋な表現でプレイヤーをガイドする作りになっているのが凄いセンス。

 

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稲荷の祠にお参りをするとアイテムが貰える要素があり、

近づくとキツネがやってきて案内してくれる。かわいい。

お参りした後にキツネを撫でることも出来る。かわいい。

 

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温泉に入って最大体力アップ、絶景を見て和歌を詠んでアイテムゲットなど。

各地のイベントも和の空気満載だ。
 

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対馬ではクマやイノシシ、シカといった野生動物と出会うこともある。

神聖な生き物であるシカ以外は退治して素材に出来るぞ。

あちこち移動してると、

たまに通りすがりの蒙古とクマが死闘を繰り広げてて笑顔になる。

 

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クマ、最初はビビるけど実は敵キャラではかなり弱い部類なので、

すぐに癒し系のゆるキャラとして触れ合えるようになるぞ。

クマは脳天に矢を打ち込むと一撃で死ぬのでゆるキャラ。

 

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ファストトラベル地点も豊富にあるし、

最近のオープンワールドゲームとは思えないロード時間の速さにも驚く。

めっちゃ遠くの場所までファストトラベルするとさすがに少しかかるんだけど、

基本的にはリトライも含めて非常に快適な作りだ。

 

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おまけ的な要素も充実していて、

画面を黒澤明の映画のような白黒に出来る「黒沢フィルター」なんて機能がある。

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写真撮影用のフォトモードは拡大縮小だけじゃなく、

エフェクトやフィルター、時間帯、天候、雲の動きまで弄れる凝りっぷり。

スライダーを動かすだけで、対馬の雄大な景色が表情を変えていく!

各種機能を活用して、対馬を堪能するのだ!

 

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アクション部分はロックオンが無く、カメラワークもちょっとクセがあるものの、

慣れてくると極めて爽快な作り。

敵が微妙に距離を取って一人ずつ襲ってくるため、

自然と時代劇っぽい立ち回りが出来る仕様だ。

 

ストレートに刀で戦う場合は、

敵の弱点に合わせた「型」を切り替えることで圧倒的に有利になるシステム。

ゲームを進めていくと増える型は最大で4種類。

刀を持った敵には石の型、

盾を持った敵には水の型といった感じでシームレスに切り替え可能だ。

 

また、敵の攻撃に合わせてタイミングよくガードすることで受け流しが発動。

判定がかなり緩く、失敗してもとりあえずガードにはなるし、

 

敵を倒した時などに溜まる気力を消費してサッと体力回復も可能。

全体的に優しい作りになっているぜ。

 

四方からジリジリと迫る敵の攻撃を華麗に受け流してバッサリと斬り捨てる!

静と動を見事に落とし込んでいるチャンバラアクションだ!

 

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冥人としての戦術は気づかれていない敵を後ろから一撃で殺すステルスキルや、

数々の飛び道具と暗具などがある。

扱いやすい弓矢に、相手を火だるまにしたり、草に火をつけて火あぶりに出来る火矢。

「クナイがこんなに強いゲーム珍しいな」ってくらい強力なクナイ、

蒙古の手投げ爆弾である「てつはう」に、

それを敵の体にくっ付けられる「とりもち玉」などなど攻撃手段は多彩だ。

 

ステルスキルは屋根の上から奇襲する忍者めいた動きが出来るし、

爆弾系の武器は上手く使うと、蒙古の集団を一発で全滅させられるから強烈。

CPUも適度に頭を悪くしてあるので、不意打ちがしやすいバランスだ。

 

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イベントをクリアすると溜まるポイントで、

新しいスキルの習得やサブウェポンの強化も可能。

どれも強力で、覚えた分だけ分かりやすくグンと強くなるバランスが素晴らしい。

 

型を強化すれば敵へのダメージが跳ね上がるし、

受け流しを強化すれば、これまで受け流し不可能だった攻撃へも対応できる。

暗殺系のスキルを強化すれば、複数の敵を連続でワンキル可能。

サブウェポンを強化すれば、持てる数と威力、攻撃範囲が上昇する。

 

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サブウェポンの「煙玉」は煙に触れた敵が一時的に行動不能になり、

ワンキル出来るようになるので乱戦でめっぽう強いんだが、

強化していくと煙で自分の体力が回復するとか、

意味不明な追加効果まで付く。煙の成分どうなってるんですか?!

 

とにかく覚えられるスキルにハズレが無い。

「これ強そうだな」→「強ッ?!」→「これもメッチャ強そうだな」→「メッチャ強ッ!」

の繰り返しなので、育成が非常に気持ち良いバランス。

主人公である境井仁が冥人というかサイヤ人並に強くなっていくぜ。

 

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型が揃ってない序盤はやや苦戦するが、育てていくと鬼が完成。

正面からの斬り合いでも無双出来るようになるし、

絡め手を使った戦術も手数が倍増するので一瞬で死体の山が完成。

 

北斗の拳に出てきそうな大男ザコだろうが、

盾でしっかりガードしてる相手だろうが、滅多打ちの滅多斬り!

どんどん伸びる気力ゲージを使って回復&必殺技発動!

闇討ちをすれば複数の蒙古が一瞬で消え、爆弾を使えば辺り一面が火の海!

弓を構えてる間スローモーションになるスキルもあるため、ヘッドショットも楽々!

ハチャメチャが押し寄せてくる!

 

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そりゃ「お侍様の戦い方じゃない…」なんて言われるわけだ!

スーパーツシマ人は恐ろしいぜ。

 

時代劇らしい戦い方を模索しても良し、

ひたすら暗殺しても良し、ひたすら爆破しても良し。

自分なりのカッコいい戦い方を追求できるのが実に素晴らしいアクションパート。

ボタンを押して「納刀」が出来るので、

敵を斬った後にタイミング良く納刀してキメてみたり。こういうのが楽しい。

 

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一対一で戦うボス戦も随所に登場。

向かい合って刀を抜くシーンから始まり、

言葉を交わしながらの討ちあいと鍔迫り合いがたまらん!

「時代劇風のアクションならこれはやりたいよね」って要素をしっかり入れてくるぜ。

 

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登場人物それぞれの描写が丁寧でシナリオも読ませる。

息も絶え絶えだった境井仁を助けたのは野盗である「ゆな」。

基本的に自分の利益と弟のために動いていて善人ではないんだが、

それでも感情的になり過ぎず、仁や仲間を見捨てられない心を持ち、

共に戦い抜く姿は戦友という表現が相応しい。

 

 

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蒙古討伐のために手を貸してもらう、弓の名手である石川先生も味わい深い。

序盤は仁をあえて窮地に追い込んで「お前を試したのだ」を連発するし、

割と「それマジで言ってます?」って言いたくなる言動もするので、

「なんだ!この千葉繁の落ち着いた演技が新鮮でカッコいいクソジジイは!」

とイラッとさせられるんだが、

最終的に嫌いになれないところに落ち着くからシナリオが上手いぜ。

 

石川先生、性格に問題はあるんだけど、

割と登場人物からもボロクソ言われてるから、

凄惨なシナリオの清涼剤みたいなってくるんだよなぁ。

 

他にも敗走した僧兵の一人で、ある意味で境井仁の写し鏡でもある典夫や、

ゆなの弟で仁に憧れる鍛冶屋のたか、

仁の親友でコンプレックスを抱えている牢人の竜三、お調子者枠の堅二など。

一癖も二癖もあるキャラクター揃いだ。

 

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インパクトではやはり安達政子が頭一つ抜けてる。

自分の息子や孫を含めた一族を何者かに皆殺しにされ、復讐に燃える女傑。

戦闘になると仁さんの静止を振り切って突撃して敵を皆殺しにするし、

敵を捕らえて尋問してる時にキレて切り殺しちゃったり、血の気の多さにシビれる。

 

境遇を考えるとこのくらい荒れてもおかしくないくらい、本当に悲しい人なんだけど、

それと同じくらいバーサーカーっぷりが強烈かつ魅力的。

仲間キャラでは一番好きだなぁ。石川先生を冷やかしてるシーンが大好きだ。

 

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蒙古を率いてる宿敵コトゥン・ハーンもただの蛮族ではなく、

狡猾な手段で対馬を掌握に掛かっている手腕が描かれている。

名前のある蒙古側のキャラで、

しっかりと物語に絡むのはコトゥンだけなので存在感があり、

物語を進めて蒙古の非道っぷりを味わう度に、

「コトゥン許すまじ!」という気持ちにさせてくれるぜ。いい悪役だ。

 

 

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そして主人公である境井仁!

義理人情に厚く、苦しんでる民の為に全力を尽くすまさに主人公だ。

 

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困っている民を見かけたらノータイムで力になるブレなさがカッコいいし、

それでいて無礼な奴や頑固な相手には

割と正面から皮肉を言うところもあってニヤニヤしちゃう。

 

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温泉に入ってる時に気が緩んでほっこりする独り言を呟いたりも。

 

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全編通して心情が語られるし、キツネを撫でる姿とか、

一緒に行動する馬とのんびりしてる姿とか、性格が伝わる仕草も多いため、

遊んでいるとどんどん仁さんに愛着が湧いてくるね。

このゲームのヒロインは馬だと思う。

 

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あと、温泉入る度に仁さんのやたらプリプリしたケツを見ることになるので、

「お侍様の尻じゃない……」って言いたくなる。

 

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対馬を治める地頭であり、境井仁の伯父である志村との関係がシナリオの軸。

蒙古を倒すために武士の道を外れようとする境井仁と、

誉れある武士であることを忘れるなと説く志村。

 

蒙古の圧倒的な侵攻を考えると手段を選んでいられないのは確か。

しかし、侍の道を外れるような振る舞いでは、兵や民を本当に纏めることは出来ない。

 

一概にどちらが正しいと言える話ではなく、

それはプレイヤーが境井仁を通して見て来た

メインストーリーと数々のサブクエストの壮絶さで証明されている。

ここが本当に遊んでいて辛いところだし上手いところなんだよねぇ……。

 

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オープニングからエンディングまで「境井仁」の物語として見事に描き切っていて、

プレイヤーは境井仁と共に感情をめちゃくちゃに揺さぶられ続けて、

最後に自分なりの結論を出すことになる構成が凄く良かった。

ここぞというシーンでの演出とBGMも鳥肌モノ。

 

仁さん含めて、登場人物それぞれに人間味があるのが本当に丁寧と感じるところで、

言動だけを切り取って見れば「悪人だ!」「クズだ!」と言いたくなっても、

そこに至るまでの人間関係や時代背景、

蒙古襲来以前からの根の深さを感じる環境などを考慮すると、

納得せざるを得ないように描かれている。

 

だから、酷い奴だ!とか哀れな奴だ!と思うキャラはいても、

嫌いなキャラというのはほとんどいなかったなぁ。

 

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そんな感じで堪能したのだが、

気になった点としては隠れながら進むステルスアクションがくどいところ。

メインストーリーでもサブクエストでも数が多く、

見つかったらやり直しなので大分じれったかったね。

 

サブクエストも割と似たようなものが多く、

「逃げた奴の足跡を探せ!」ってのを何度もやることになったのは面倒だった。

 

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カギ爪を使ってのワイヤーアクションや、

岩肌の僅かな出っ張りに指を掛けてのロッククライミング、

貼られたロープの上を歩く曲芸じみた移動パートなどが度々挟まり、

つまんなくは無いんだけどちょっと流れからは浮いてたかなぁ。

「なんでこんなアクションさせられてるの!?」って気持ちになったぜ。

 

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クリアするだけなら20~30時間。トロコンは50~60時間ってところかなぁ。

対馬観光にハマるとプレイ時間は無限大。

 

1個1個の要素を見ていくと、

オープンワールドのゲームとしてそこまで目新しい物では無いんだけど、

和風テイストの落とし込み方とバランス調整が見事で、

唯一無二の「オープンワールド時代劇アクションアドベンチャー」になっている。

探索、育成、戦闘の流れが上手くて止め時が見つからない。

 

吹き替えや翻訳の精度も文句無しで、

海外のゲームってことを全然感じさせない傑作だったね。

ありがとう……そしてさらば対馬!