星をみるひと ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
Switch版『星をみるひと』のレビュー行くぜ!
メーカー:シティコネクション
機種:Switch
ジャンル:RPG
発売日:2020/7/30
価格(税込):990円
1987年にホット・ビィからファミコンで発売されたRPGをSwitchに移植したものだ。
発売当時にヒットしたタイトルというわけではないが、
その色々な意味で凄まじい内容で後年、インターネットでカルト的人気を獲得した。
「クソゲー」として話題になることが非常に多いものの、
独特の雰囲気や世界観を評価するファンもいる1作。
今回のSwitch版は大量の追加要素や便利機能を搭載しての移植だ。
移動速度2倍、巻き戻し、クイックセーブ/ロードに、
任意のレベルやゴールドを持って始められるニューゲーム+。
一度見たエンディングを見返す機能があり、すべてのエンディングを見ると、
幻の未使用エンディングも見れちゃう。
ファミコン版のパッケージや説明書のスキャンに、
移植に合わせてユーザーから募集したイラストや壁紙も数十枚収録。
収録しきれなかったイラストも公式サイトの一覧から閲覧可能となっているぞ。
本作には「ファミ通のロマサガ3のやり込み対象に、
星をみるひとのクリア動画を送って特別賞を貰ったユーザーがいた」
という伝説があるんだが、
なんとそのご本人の投稿も公式サイトのギャラリー74番に掲載されているぜ。
発売から数十年経っても愛されてるゲームであることと、
今回移植したシティコネクションが力を入れてるのが分かるね。
宣伝でゲームの理不尽ポイントをネタにはしても、
「あの伝説のクソゲーが復活!」的な表現を使っていないのに好感が持てる。
で、俺は昔遊んで序盤で挫折したことがあったので、今度こそクリアするぞ!と決意。
今回公式は「必ずみんなで星をみる」をスローガンにPVやグッズを作成している。
公式がそう言っているわけだしと、
Switch版の便利機能をありがたく使わせてもらい、最後まで実況プレイをしたぞ。
しかし、便利機能がカバーしていない所で詰みポイントが死ぬほどあり、
「本当に星をみせる気があるのか!?」とキレながら遊ぶことになったぜ!
ファミコン時代のゲームと考えてもおかしい仕様が襲い掛かってくる!
実況でアドバイス貰いながらプレイしなかったらクリア出来なかったと思う。
2020年に遊んでも衝撃的過ぎる内容だったぜ……。
舞台は巨大コンピューター「クルーIII」が人間を管理している世界だ。
都市居住者は心の中にまで干渉され、
有害だと判断されれば容赦なくマインドコントロールを行う。
それが効かない超能力を持つ人々は「サイキック」として襲われる。
そんなディストピアで主人公である4人の少年少女たちが、
世界の謎に迫っていく内容になっている。
かなりワクワクするSFストーリーになっているぜ。
まあ、1人は仲間にしなくてもクリア出来るが……。
ゲームを開始するといきなりフィールド画面からスタート。
似たようなシチュエーションのゲームは割とあるが、
本作だとすぐ入れるような街が見当たらない。
彷徨っているうちにザコ敵に遭遇してボコられて死亡。天の声にめっちゃ怒られる!
ここは本作で一番有名な理不尽ポイントで、PVもここをメインに紹介されている。
どうすればいいのか?
正解は「目には見えないが、最初の場所から左に一歩進むと街がある」でした!
分かりにくい……!
入ったら入ったで気の狂ったようなBGMがお出迎えだ!
実はこれサイキック狩りを逃れるために街を見えなくしているという設定があり、
説明書にもちゃんと書いてあるのだ。
敵に追われた主人公がようやく安全な隠れ里に辿り着いた、というシーンなんだね。
まあ、設定がそうだからって、
わけのわからん仕様を実装をしていい理由にはならんと思うがなッ!
ドラクエだったら1マス違う色のグラフィックにしてそう。
遊んでまず面食らうのが凄まじい戦闘バランス。
オーソドックスなターン制のRPGで、
サイキックらしく魔法の代わりに「ESP」を使うシステムだが、
「逃げる」に相当するコマンドが無いのに序盤から強力なザコが出現。
運が悪いと即詰むという過酷さだ。
序盤に「ふっかつしゃ」と遭遇したら諦めるしかない!
強力な攻撃魔法をバンバン使ってくるし、通常攻撃も普通に痛い!
さらまんどというザコ敵は病気状態にする「かりう」を使ってくる。
これは喰らったら行動不能になるもので、
一度なったら貴重な回復アイテムか、仲間のESPを使わないと回復できない。
一人旅をしてる時に「かりう」を喰らったらその時点で終わりである。
「クルーIII」のサイキック狩り、ニンジャスレイヤー並みに本気過ぎる。
また、戦闘の計算式が独特で、
武器を装備していると、こっちの攻撃力から
相手の防御力を引いた数字だけダメージが与えられる。
武器を装備していない場合はランダムで0~3ダメージ。
このせいで中途半端な強さの武器を装備すると、
逆に通常攻撃でダメージを与えられなくなってしまう罠。
序盤はあまりに厳しいし、終盤に入っても通常攻撃は弱いままなので、
攻撃ESPで敵を掃除するか、素手攻撃の持久戦となるぞ。
「一番高い武器より少し安い武器の方が強い」という別の罠まである。
戦闘中のHPは十の桁以上しか表示されない作りでなのも分かりにくい。
中盤くらいからHPが数百、数千になっていくのでそれを想定した表示っぽい。
また、街やダンジョンから出るとこのスタート時点に戻されるという謎仕様。
頑張って遠出してもすぐここに戻される。
中盤からは戻されない施設も色々出てくるんだが、一体どういうことなんだ……。
頭サイキッカーかよこの仕様!
これらの仕様、移動速度の遅さにエンカウント率の高さに加えて、
パスワードコンティニューなんだから実機でやるの地獄過ぎる!
クリアしたら本当に超能力に目覚めそうな過酷な作り。
しかもパスワードを打ち込んでもデータが全部引き継がれず、
経験値やゴールドが少し減ったりする。
回復アイテムの調合に必要な薬の素や、
登録した場所にワープ出来るスキルの登録先が消えるのも超面倒。
いつでもどこでもパスワード見れるのは当時としては珍しいんだが……。
しかし、今回のSwitch版は3つまでクイックセーブ出来るし、
動作スピードを2倍に出来るし、巻き戻しもある。
敵に遭遇したら即巻き戻しでエンカウントをキャンセル出来るぜ。
良い時代になったもんだ!これなら誰でも星をみれるんじゃないか?
いや、星をみるのはそんなに甘くない!
重要アイテムがノーヒントで変なところに落ちている。
ダメージ床が視認できない上にエフェクトが出ないから、
知らずに進んで突然死ぬことがある。
街のあちこちにある扉を開くIDカードが店売りで高い上に一度使ったら消滅する。
扉を開いたところで大した情報が無い場所が山ほどある。
などなど……。
移動や戦闘がダルいのにやたら稼ぎプレイを要求され、
詰みポイントや即死ポイントがそこら中で待ち構える。
Switch版はレベルやお金が高い状態で始まる「ニューゲーム+」もあるんだけど、
マジで気休めにしかなってねーぞ!
ゲーム展開も「〇〇に会え」の繰り返しな上に具体的な場所が全然分からないため、
「お前の友達のことはしらねーよ!場所を教えろ場所を!」とキレたくなる。
ESPでお前の脳を爆破してやろうか?!
長い旅の果てに辿り着いた3つのエンディングも言葉を失う凄まじさ。
こんだけ地獄みたいな工程を辿ってきてこれで終わり?!
まずエンディングに至るまでの流れが唐突すぎるし、
内容も人類に対してやたら辛辣で説教臭いぜ!
まあ、いかにも古いSF作品っぽい感じはする。
未使用エンディングを見るに、
想定ではちゃんとしたラスボス戦があったんだろうか……?
歴史に残る迷BGM #星をみるひと #NintendoSwitch pic.twitter.com/GcKut6vXkk
— ラー油/Vゲームブロガーらあゆちゃん (@daikai6) December 16, 2020
一番聞くことになる街のBGMの不協和音っぷりもすごく。
やたら激しくなる転調も含めて極めて印象に残る。
サントラでこの曲名が『ブレインコントロール』なのはギャグとして非常に高度。
ただ、タイトル画面のBGMはめちゃくちゃカッコいいし、
パスワード画面や後半戦闘のBGMも結構好きだな。全体的に味がある。
長所も色々あって、キャラを成長させて「じゃんぷ」レベルが上がると、
最大で5ブロックまで地形を無視できるシステムが面白い。
街の建物の壁やダンジョンの壁や、フィールドの川もガン無視で通過できる。
これが分かると世界が一気に広がる。
地形を超えるのに、船やら飛空艇やらが必要な軟弱なRPGとは違うんだよ!
これがサイキックの力だ!
まあ、なんかバグ技で地形無視してるようにも見えるんだが……。
「てれぱし」が使える仲間が加入すると、それを使って情報収集出来るようになる。
心を読むことで意外な情報やクソどうでもいい情報が手に入るぞ。
病院にぶち込まれた頭のおかしい人間をてれぱしで読み取ると、
秘密を知り過ぎて喋れなくされただけだったりと、ホラー的な一幕も。
こういう作りめっちゃ好きなので「てれぱし」の情報収集は凄く楽しかった。
これは……同じホット・ビィが出してニンテンドー3DSまでシリーズが続いた
『スーパーブラックバス』ネタか!
テキストとネーミングセンスに独特過ぎるセンスが光っていて、
最初から最後まで「何言ってんの?!」って揺さぶられっぱなし。
街の人との会話は飽きなかったなぁ。
こういうどうでもいいセリフが妙に印象に残る。
レベルを上げて行くと、
最初は子供だったキャラのドットが成長していく演出もいいし、
終盤のダンジョンでザコとして登場する「どな」も妙に可愛い。
スタート地点に戻される仕様も最初はバグかと思ったけど、
ゲームを進めると登録した場所にワープ出来るロングジャンプが使えるようになるし、
ジャンプでの地形ゴリ押しや、街の施設にあるワープゾーンなど。
ショートカット手段が多く用意されている。実は意図的なバランスだったのか?
断片的に集まる情報が後半に繋がるゲーム構成や、
舞台がガラッと変わるワクワク感など。
システムも含めて、1987年のRPGとしては結構先進的。
割と普通に好きなところも多いぜ。
まあそれ以上にゲームバランスがキツ過ぎて全部吹っ飛ぶんだがな!
最初から最高レベルの「ニューゲーム+」は封印したものの、
それ以外の便利機能はフルに使い、少しずつ攻略アドバイスを貰いながらのクリア。
それでも「すごいゲームだった」という謎の達成感と脱力感が味わえたぜ……。
ファミコンのRPGって名作と呼ばれているものでも、
今見ると理不尽な要素があったりするものなんだけど、
これは最初から最後まで理不尽が雨のように降って来て、脳を焼かれるゲームだ!
時代を考えても問題作だよ!何が「必ずみんなで星をみる」だバカバカしい!
便利機能は付けても、
ヒント機能は無しで移植したのはあえてのこだわりだったんだろうか。
ジャレコの版権を持つシティコネクションに訊く、これまでとこれから。次に狙うのはIPを使ったゲーム開発 - 電撃オンライン
――ところで『星をみるひと』で何か展開あったりしないんですか? リメイクとか……。
いやー、きついですよ、『星をみるひと』リメイクは。
普通に遊べるようになってしまったら、それだけでクレームが来ますよ(笑)。
街から出たら、ちゃんとその街のそばに出るとか。
2016年のインタビューでこんな解答していたので
「あえてヒント機能を付けなかった」はありうる……。
既にシティコネクションの連中はマインドコントロール済みだったというわけだ!
独自の理不尽さと独自の魅力がそれぞれあるので、
時代を超えて愛される問題作なのも納得。今回クリア出来たのは良かったわ。
「聞いたことはあるけどやったことはない」って人は、
便利機能フル使用&攻略サイト見ながらでもいいので一度触れてみて欲しい!
次に星をみるのは……お前の番だ!