難易度ハードでクリアしたので『スサノオ~日本神話RPG~』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:メビウス
機種:Switch
ジャンル:日本神話RPG
発売日:2021/7/29
価格(税込):5478円(通常版)8778円(特装版)
日本神話を題材にした完全新作のRPGだ。
開発は「はちみつくまさん」の別ブランドであるハチクマソフト。
『東方冥異伝』『東方サッカー』『ロマンシングカノン』などなど、
数々の人気作品を手掛けてきた老舗の同人サークルだ。
キャラデザは『淫獄団地』がブレイク中の丈山雄為となっているぞ。
俺ははちくま作品はこれが初プレイ。
完全新作のRPGということで買ってみたんだが、
歯応え満点の戦闘バランスでしっかりと遊べてくれる調整が見事。
見た目こそ「これでフルプライス?」って感じだが手応えは値段以上だった。
堪能したぜ!
難易度が「イージー」「ノーマル」「ハード」の三段階なのに
デフォルトが「ハード」になってて驚いたが、
出来ればこれで遊ぶべきゲームだと思ったね。
ストーリーは100年の眠りから覚めたスサノオが妻のクシナダと共に
国造りに関する調査と、その裏で蠢く異変に挑んでいくというものだ。
基本的には日本神話のエピソードをなぞる形で進んでいくのだが、
中盤くらいから色んな意味で「日本神話RPGとは一体……」という、
ワクワク展開になってくるのが必見。
パーティメンバーはスサノオ様以外はすべて美少女!
左から背中に背負った兄オモイカネの毒舌を代弁するダウナー系のタクハタ!
剣と雷の神で、言動も戦闘民族なところがあるミカヅチ!
とにかくセクシーダンスでみんなを笑顔にするウズメ!
スサノオ様の姉でおみ足が眩しい!のじゃロリのツクヨミ!
そしてスサノオ様の嫁で一途過ぎてたまに怖いこと言い出すクシナダだ。
俺はタクハタ推しです。ボイスが好きすぎる。
デザイン的にはミカヅチが好みではあるがな……!
ひたすらダンジョンを攻略していく2DのRPGで、
初めてやってきた場所はこのように先がまったく見えない。
闇の中に足を踏み出すことで、少しずつマップが埋まっていくのだ。
全体マップと踏破率も確認できるので分かりやすい。
ワープゾーンや滑る床、落とし穴に道を塞ぐ岩、スイッチなどなど。
ダンジョン毎に異なる仕掛けが用意されている。
マップの黒い部分を1マスずつ埋めながら進み、
ダンジョン毎の仕掛けに頭を悩ませながら道を探していく……という作りで、
3DのダンジョンRPGに近い感覚だね。
落とし穴とワープゾーンのダンジョンはちょっと面倒だったが、
強力なアイテムの入った宝箱もしっかり用意されているから探索が楽しい。
マップ上を歩き回ってる「シンボルモンスター」もいて、
接触するとボス並に強い敵との戦闘になる。
行動パターンが決まっているので簡単に避けられるんだが、
ダンジョンによってはこいつを利用しないと進めない場所もあったり。手強い。
戦闘は昔ながらのコマンド式ターン制バトル。
ターン毎に速度の速いキャラから行動するタイプで、
通常攻撃、スキルである神力、防御を駆使して戦い抜くのだ。
レベルアップした時に入るポイントで新しいスキルや、ステータス強化を取得。
また、素材を集めてダンジョン内で手に入れた武器や防具を強化していく要素もある。
そういうゲームだが、戦闘がとにかく熱い!
ザコ戦でも気を抜くと全滅する作りだが本番はボス戦だ。
ボスは全体攻撃、状態異常、仲間のザコ(割と強い)との連携で攻めてくるので、
無策で挑むと一瞬で全滅させられる。
行動パターンを見極め、弱点を掴むために試行錯誤するのが熱い。
重要なのは状態異常とバフ、デバフ。
相手を盲目にすれば物理攻撃は発動しなくなるし、
沈黙にすれば魔法攻撃は発動しなくなる。
「攻撃力低下」「術攻撃力低下」のスキルが通れば、
敵の全体攻撃が一気に弱体化。
特に強力なのが毒で、「毎ターン大ダメージ」に加えて、
「毒状態だと回復が不可能になる」という効果まである。
回復魔法を使ってくる不快ボスにはこいつをぶっ刺しておくのだ!
状態異常もデバフも効くものと効かないものがある。
敵に状態異常が通じなかった場合「RESIST」と表示されるんだが、
赤文字なら絶対に効かない、青文字なら効く時もあるってことなので、
これを踏まえて効果的な戦略を探っていく。
パーティメンバーの役割はハッキリしていて、
堅くて殴りも強く、1ターン限定の属性バリアも張れるスサノオ様、
回復担当で光属性での殴りもそこそこのクシナダ、
とにかく高火力の術に全振りのタクハタ、
バフとデバフ担当で回復も出来るウズメ、状態異常とフバーハ使いツクヨミ、
連続攻撃と状態異常のミカヅチと分かりやすい。
仲間の個性付けがハッキリしていて、
ボス戦の難易度が高く、「回復アイテム」の概念が無い。
この仕様がかなり絶妙で、
脳をフル回転させないとパーティが総崩れになる緊張感がすごい。
回復役が倒れたら立て直しは厳しいぞ!
装備アイテムでステータスや耐性の底上げをするのも重要。
睡眠攻撃を防ぐ装備を全員に付けたいけど、
人数分ないから回復役だけに付けておこうとか、
ボスに毒が有効なんだけどよくミスするから、
毒の命中率を上げる装備を付けておこう、とかね。
何度も何度もボスに挑み、行動パターンを分析して
少しずつ切り崩していく緊張感がたまらない
試行錯誤して「おっ!このスキルが通じるならこういう立ち回りで行けば……」
と、パーティのスキルや装備を総ざらいして、
何度もリトライして光明が見えた時の高揚感がたまらなかった。
そして最後に待ち受けるラスボスの強いこと強いこと!
詰め将棋で綱渡りをするようなバトルで、
ラスボスというより隠しボスの調整だよこれ!
かなりキツめの初見殺しにも引っかかってしまって、
攻略するのに10時間近く掛かってしまった。
RPGのボス戦でここまで死闘になったのはいつ振りだろうか。
クリアした時は燃え尽きたね。
戦闘の難易度は高いんだが、RPGとしてはストレスフリーな作りなのが好印象。
戦闘中の味方と敵の状態が一目で分かる。
戦闘が終わるとHPが全回復する(MPはそのまま)。
全滅しても拠点に戻るだけでペナルティ無し。
ダンジョンからはいつでも脱出可能。
経験値稼ぎは壁に向かって移動し続けていれば敵が出る。
スキルポイントは振り直しが自由自在。
ボス戦の前にはショートカットがある。
マメにオートセーブされる。
などなど、丁寧な作りだぜ。
ゲーム進行に合わせて能力画面の「呟き」がマメに更新されてて、
攻略ヒントがいっぱい書いてあったりもするぞ。実は親切!
良いゲームなんだが拠点からひたすらダンジョンを攻略する構成で、
成長システムもシンプルなので、戦闘にハマれないと淡白に感じてしまうね。
登場キャラはボイス量が多く、
ボス戦毎に固有のセリフもあるのも楽しくて良かったんだが、
表情差分が「無し」なのは残念過ぎる!キャラ自体は結構魅力的なのになぁ。
まあ、真顔のまま集中線で圧を掛けてくるクシナダは結構好きだったが……。
会話に日本神話ネタと同じくらいパロネタが多く、
しかも「本当に令和のゲームか」と絶望するほどノリが古い!
ダメだろ……っ!
Switchの最新ゲームで『MUSASHI -GUN道-』のネタは……っ!
会話イベント自体はテンポ良いから、
俺はしょうもないパロネタを軽く楽しみながら進められたけど、
きつい人はきついだろうなこれ!
パロは古典アニメネタ中心だが、スクウェア系のネタも多く、
特にラスボスは色んな意味で盛り沢山。
ラスボスの断末魔は「坂口博信先生ごめんなさ~い!」
とかにするべきだったんじゃねぇかな!
根の国にヒッポリト星人が出てきた時はさすがに全力で突っ込んだ。
長時間プレイすると挙動が重くなったりと、バグも結構多い。
ラスボス戦でいきなり画面が暗転し、
運が悪いとそのままエラー落ちするバグには苦しめられたよ!
ラスボスの画像を張ってもネタバレにならないぜ!
挙動の重さに関してはアプデで改善済み。
ラスボス戦でのバグも次のアプデで改善が予定されている。
パーティメンバーは6人なんだけど戦闘に参加出来るのは5人。
戦闘に参加してないメンバーは半分だけ経験値が入るのは中途半端に感じた。
もっとプレイアブルキャラが多いゲームならともかく、
これだと使わない奴を1人ハブるだけになっちゃう。
能力が変化する陣形もムーフェンス……じゃなかった、
全員にダメージ軽減効果がつく「夜の帳」が強くてそれ以外使わなかったね。
難易度ハードでクリアまで50時間ほど。
良い意味で血管ブチ切れそうになりながら全力で挑めたRPGだった。
難易度は高いけどシステムは昔ながらのコマンド式で、
とにかく状態異常とバフ&デバフが重要と、
「難しいけどシステムやルールはシンプル」な作りが取っつきやすい。
難易度イージーに下げればかなり楽にはなるんだが、
俺としてはRPG好きな人に難易度ハードで遊んでもらいたいね。
古式ゆかしいガチバランスのRPG、興味がある方は是非!