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「オンライン16人団結」の瞬間に全振りしたカジュアル一揆サバイバー『いっき団結』レビュー!【PC】

 

 

いっき団結 | SUNSOFT

 

Steam:いっき団結

 

『いっき団結』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:SUNSOFT

機種:PC

ジャンル:アクション

発売日:2023/2/15

価格(税込):1480円


 

ファミコン版が70万本以上を売り上げた『いっき』の新作だ。

「SUNSOFT is back!」をスローガンに掲げて過去IPの活用を始めたサンソフトが、

第一弾として送り出したリブート作。

 

『いっき』はタイトル通り「農民一揆」を題材にしたアクションゲーム。

ファミコン版は「一揆は1人や2人でやるものではない」とネタにされ、

散々クソゲー扱いされた作品だ。

それを踏まえて今回の『いっき団結』も公式サイトやゲーム内の実績で、

自虐的にクソゲーという単語を使用している。

 

 

基本的にメーカーがクソゲーとか自分で言い出すのはどうかと思うが……。

クソゲーとして30年以上親しまれてきたおかげで今の『いっき』がある

というのは事実なので、まあしょうがねぇかなという気はする。

 

マジレスすると『スーパーマリオブラザーズ』だって『グラディウス』だって、

たった一人で大軍団に立ち向かっているわけで、

当時のゲームとしてはそこまでおかしくない。

ユーザーにネタにされてここまで長く語り継がれたのは、

「一揆」という題材の勝利と言えるね。

 

 

『いっき』自体はヒット作品だけあってファミコン版が何度も移植されているし、

実はファミコン版とかなり違う初代アーケード版も、

現在はバーチャルコンソールで遊ぶことが出来る。

2010年にはPS3で『いっき おんらいん』という、

オンライン対応のリメイクも発売されたが今回のとは別物だ。

 

今回の『いっき団結』は最大16人でのオンラインプレイがメインの作り。

『Vampire Survivors』を思わせる協力型のアクションシューティングだ。

その割に公式が『Vampire Survivors』風であることに軽いノリで、

老舗なんだからもうちょっと元ネタのゲームをリスペクトしろよ!

とは思うがそれはさておき。

 

 

モードはシングルプレイとマルチプレイの2つ。

ステージはどちらも共通していて1種類。

これ以外のモード選択や難易度選択は一切存在しない割り切った作り。

シングルプレイもほぼマルチプレイの練習に近い扱いだね。

 

 

プレイアブルキャラはなんと16種類!

性能がすべて違う上に、オンだとランダムで選ばれるからまた一苦労。

これまでの『いっき』の歴史に存在しなかった連中が大量にいるし、

しれっと「秀頼」とか大名が混じってたりする。

 

 

キャラを操作して押し寄せる大量の敵を倒していくアクションで攻撃はオート。

プレイヤーは移動だけを担当する。

 

 

道中のつづらを開けたり敵を倒したりしてお金を集める。

するとレベルアップしてステータス強化や新しい攻撃方法が

ランダムで表示されるので、最適だと思うものを選んでキャラを強化していく。

 

と、この辺は『Vampire Survivors』ライクな作りだが、

制限時間以内にラスボスの代官を倒せればクリアで、時間切れでゲームオーバー。

道中のボスを倒す度に時間が回復するというルールが異なるし、

マルチで「団結」を目指す過程での四苦八苦が本作の独自性だ。

 

 

16人オンラインと書いたがスタートは4人チーム。

4×4人がバラバラのエリアに配置され、

ボスを倒しながら進むことで最終的に合流できる構成。

チームは強化型や回復役など役割分担できる編成になっているので、

それぞれがしっかりと自分の役割をこなす必要がある。

こいつだったらこう動く、こいつだったらこの武器を強化する。

立ち回りをしっかり覚えないとチームに貢献できない。

 

 

元の『いっき』ではお邪魔キャラで避ける対象だった腰元が、

今回の『いっき団結』では「周りの味方を回復する」という回復役になってるので、

むしろ積極的に近づく必要のあるキャラだったりするのが面白いね。

 

 

パワーアップアイテムが「唐揚げ」だの「あさり汁」だの「サラダ」だの、

挙句の果てには「ステーキ」まで出てくるのが笑える。

もう唐揚げやステーキで飢えを凌ぎ、

あさり汁で喉の渇きを潤す苦しい生活はまっぴら御免だ!

「いっき」を起こすしかねぇ!俺たちの怒りを見せてやる!

 

 

ノリはバカゲーらしくて楽しいがゲームバランスはかなりシビアで、

団結するまでの道のりは遠い。

立ち回りを理解していないプレイヤーや、

協力する気が無いプレイヤーが多いと序盤で即壊滅だ。

2体目のボスであるイノシシと3体目のクマが最初の壁で、

ここを突破できないことも多い。

クマはシャケをマシンガンのように発射して弾幕を張ってくるので、

シャケ慣れしてないとあっさりやられてしまうぞ!

 

野生動物に壊滅させられるいっきとは一体……。

百姓らしいといえば百姓らしいが。

 

 

16人のプレイアブルキャラには固有の団結スキルがあるんだが格差が激しい。

激しいだけならまだしも秀頼が持っている「参勤交代」は明確に罠。

一時的に他のチームからランダムで人を呼ぶというもので、

人を引っこ抜かれたチームがピンチになるだけのほぼマイナススキルだ。

参勤交代をバンバン使うプレイヤーがいると、

一揆を通り越して倒幕への気持ちが高まっていく。参勤交代は悪い文明!

今後のアプデで改善するらしいがどういう仕様にするんだろうか。

 

また、マップにいる仙人に触れると

縛りプレイを達成することでパワーアップ出来る「仙人クエスト」が発動する。

基本的にかなり有用ではあるものの、

何も考えずにボス戦中などに発動させるプレイヤーがいるとただの集団自殺になるぞ!

気軽に人の心を試してくる仙人を許すな。

 

 

エモートは「ナイス!」「集合!」の2種類しかないので意思疎通が難しいし、

序盤で「今回のメンバーだと無理だな」と思っても、

7分くらいはプレイしないといけないのが地味にしんどい。

 

いっきは1人や2人や16人でするものではなく、

ゲームを買った全プレイヤーにどれだけ団結する奴がいるかの割合で決まる!

そんなバランスだ。「いっき」じゃなくて「一揆」に近い精神が求められるぞ!

非協力的なプレイヤーに何度も当たると、

「村八分システム」とか実装してくれ!って気持ちになる。

 

 

その代わりメンバーの立ち回りがハマって「団結」出来た時の爽快さはすごい!

8人団結した段階でめちゃくちゃ強くなるし、16人揃った後は無双状態。

敵の勢いが凄まじくなってもまったく動じない。

道中で強化された16人分の攻撃エフェクトが画面内を乱舞し、

どんどん激しくなる熱いBGMも合わさって、脳内でいっきドーパミン大放出!

たまんねぇ~!この瞬間のために「いっき」起こしたもんだって言えるぜ!

 

最低限のやりとりしか出来ないからこそ、序盤の難易度が高いからこそ、

連携が決まって最後まで行けた時の感動が大きい。

「ナイス!」と「集合!」以外の言葉はいらない。

俺達は「いっき」で繋がっているんだ……!

 

 

ストーリーも最初やイナゴや野生動物相手に死闘を繰り広げてるが、

3章でついにブチ切れてオリジナルを思わせる人間相手の「いっき」が始まる……。

って流れは好き。デモ画面のドットもかわいい。

 

 

ハマった時のマルチは本当に楽しいんだけど、

1人でプレイすることになるシングルプレイは寂しい。

キャラに補正は掛かるものの、

本当にバランス調整してるのか?って言いたくなるハードさ。

クリアはマルチ以上に困難だ。

「マルチに興味ない」って人にはオススメ出来ないゲームだね。

やはり一揆は1人でやるものではないのか……。

 

 

公式にも

「現在のシングルプレイは、キャラテストの意味合いしかありません」

と書かれてる始末。

じゃあシングルプレイクリアの実績なんか用意してんじゃねーぞコラァ!

と言いたくなるがとりあえず今後のアプデで緩和は入るようである。

 

 

よくも悪くも16人団結した瞬間の気持ち良さに全振りしたゲームで、

これを体験してるかしてないかで評価は激変する。

カジュアルだけど覚えることが多いので参加メンバーの練度で展開がブレやすい。

でもカジュアルなのは確かなので、理不尽に感じつつも繰り返し遊んでしまうし、

16人団結に辿り着けた時は「これがやりたいゲームだったのか!」と腑に落ちる。

ゲーム開始時の慣れない時期から、

少しずつ立ち回りが掴めてきた時の手応えもたまらない。

 

一度クリアまで遊ぶと『いっき』の現代風リブートとしても、

定価1480円(発売記念セールで880円)の

カジュアルなマルチゲーとしても面白い作りだと思えた。満足だ!

でも、まだ買ってない人は次の大型アプデ&セールを待ってもいいかも。