『ムベンベラジオ』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:Gattorocco
機種:PC
ジャンル:ホラーアドベンチャー
発売日:2024/5/15
価格:470円
ローポリで表現された短編のホラーアドベンチャーゲームだ。主人公は小学生で、毎日放送される「ムベンベラジオ」から出されるお題に挑戦していく。お題は何気ないものばかりだが、追いかけるうちに少しずつ恐ろしいことが起こっていく。ビックリ演出ではなく、ジワジワとした恐怖演出を軸にした作品だ。雰囲気全振りだが、短編ホラーとしてはまずまず。
小学生である主人公の視点で進む主観視点の構成。ローポリ……というか明らかに『ぼくのなつやすみ』風のタッチだ!8月32日を感じる。
タイトルになっている「ムベンベラジオ」は「ムー太郎」と「ベンベン」の二人が送るお悩み相談ラジオ。ここだけでフルボイスで展開される。二人のゆるい声が良い味出してるし、かわいいBGMもあるのが凝ってる。ムーもあるんですね。
ここで出されるのが帰り道が楽しくなる3日間のムベンベチャレンジ。
ラジオを聴き、翌日に学校から自宅への帰り道でお題をこなす。自宅に着いたらまたラジオを聴く。
これを3回繰り返すのがゲームの流れ。お題をクリアした回数によってエンディングが分岐するぞ。
お題は基本的に物探しで、探してる内に恐ろしい場所に迷い込んでしまったり、無視したら無視したでゾワッとするようなことが起きたり。ムベンベラジオに逃げ場なし!
学校と自宅の帰り道とその付近を行き来するだけのコンパクトな作りだが、だからこそ日常とそこに潜む恐怖が際立っているし、昭和テイストな雰囲気も良し。
このどこか不気味な雰囲気はPS1~PS2辺りのローポリがモチーフだからこそだなぁ。駄菓子屋や横の公園、錆の浮いたガードレールにくすんだ空模様と、寂しさのある画作りが上手い。
ただ、お題に沿って迷い込むことになる別マップはタイミングよくカラスの視界を避けて進んだり、触れられたら即死の敵から逃げる迷路だったりで、難易度はそこまで高くないものの、怖さより面倒さが段々上回ってくる。
単に進むだけだったお化け屋敷が一番好き。一本道だけど多彩な演出による違和感とジワジワ感で怖がらせて来る、まさにお化け屋敷だった。
スムーズにいけば1時間掛からずクリア出来るボリューム。
シナリオは割と投げっぱなしなのでモヤっとするし、ゲームとしては迷路での追いかけっこの比重が大きく、良くも悪くも雰囲気ホラーだ。
ゲーム内実績やリストが無いため、エンディング分岐がやや分かり辛いのと、周回プレイするとラジオが飛ばせないのもやや引っかかる。まあ、分岐は「これ試したらどうなるんだ?」と自然に思えるものなので、許容範囲かな。
奇妙なラジオ番組がきっかけでおかしくなる昭和の日常風景は良かっただけに、もう一押し「これだっ!」って言える何かが欲しかったね。同じ作者さんの次回作が出たら是非やりたい。
本作はサクッと遊べる短編ホラーとしてどうぞ!