OMEGA 6 THE TRIANGLE STARS 公式サイト - 株式会社シティコネクション
『OMEGA 6 THE TRIANGLE STARS』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:シティコネクション
機種:Switch
ジャンル:コマンド選択式SFアドベンチャー
発売日:2024/7/25
価格:2970円(ダウンロード版)3850円(パッケージ版)
元任天堂で『F-ZERO』『スターフォックス』のキャラ・世界観を手掛けた、今村孝矢 氏による16bit風のアドベンチャーゲームだ。本人が原作と全グラフィックを担当するという気合溢れる1本。
『ミステリー案内』シリーズでお馴染みのハッピーミールとプリオシーヌが開発を担当している。
ストーリーは第二の地球を求めて宇宙を旅する人造人間のサンダーとカイラが、お宝目当てに3つの惑星を冒険するというものだ。フランスで発表したコミック『OMEGA 6』を原作としているが、シナリオはゲームオリジナル。そのフルカラー200ページ以上ある原作コミックをゲーム内で読める豪華すぎるオマケもあるぞ!
100体以上の宇宙人と出会える一大娯楽作品。ただただ壮大でヘンテコな冒険活劇がここにある!というノリで、最初から最後まで楽しかったぜ。
- 二人の人造人間は老人と宇宙移民だらけの地球を離れ、新天地を探す旅へ
- 昔ながらの作りだが親切なコマンド式アドベンチャー
- ヘンテコ宇宙人続々!どこか藤子Fテイスト溢れる珍道中が待っている
- 戦闘はカードを使ったジャンケン形式。勝利の鍵は盆栽とフルーツ!
- 戦闘の多さでややテンポが悪く、周回プレイも面倒さが。
- おまけにしては豪華すぎ!フルカラー200ページ以上の原作コミックを収録
- このレトロフューチャー感に惹かれたら買いッ!
二人の人造人間は老人と宇宙移民だらけの地球を離れ、新天地を探す旅へ
物語のはじまりは未来の地球。
科学技術の発達で平均年齢400歳を超えた地球人は悠々自適の生活を送っていたが、ワームホールでやってきた宇宙移民を受け入れたことで、主要都市はエイリアンに占拠されてしまう。
宇宙移民と老人ばかりの地球はもうダメだ!第二の地球を探して人類を再び繁栄させるぞ!
と、決意したヴィクター・フランクリン博士によって生まれたのが人造人間のサンダーとカイラ。人造人間なので機械で若返りが出来るこの二人が、宇宙船「オメガ6」に乗って果てしない旅に出る!
名前の元ネタが『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』じゃねーか!ゴジラでお馴染みのメーサー戦車が最初に出てきた特撮映画!というのはさておき、ちょっとシニカルなあらすじだ。
世界観自体は結構ゆるいノリで、地球の代わりになる「分譲惑星」がすぐ見つかったものの、そのせいで莫大なローンを抱えてしまっている。とりあえず冒険を続けながら稼いで、他で良い星が見つかったらキャンセルしちゃおう。なんて話で、壮大なのか庶民的なのか。藤子・F・不二雄テイストを感じる。
サンダーとカイラが旅立ってから数百年経っているので、既に「地球人」の姿は昔とかなり変わっている……という描写もあるのが面白い。
今回の舞台になるのは3つの惑星。
稼ぎ話を求めて宇宙を彷徨うサンダーとカイラとその仲間たちが、トレジャーハンターを募集する怪しげな宇宙チラシを発見。お宝が眠る遺跡のカギを探すことになるが、3つの惑星で手掛かりを探す必要がある。色んな宇宙人が待っている珍道中のはじまりだ。
トレジャーハンター募集のために、さらっと宇宙チラシを65535億枚ほどバラまいたとか言ってる住民がヤバい。カンスト気分で宇宙を汚してんじゃねーぞ!
昔ながらの作りだが親切なコマンド式アドベンチャー
ゲーム自体は昔ながらのコマンド式アドベンチャーで、あちこち移動して画面内を調べて聞き込みをして手掛かりを探していく。探索の難易度は低く、調べられる場所にカーソルを合わせると形状が変化したり、レトロアドベンチャーらしい迷路マップもあるが簡素な作りだったり。迷う場所は少ない。
ハッピーミールが開発してるので、UI周りは『ミステリー案内』シリーズに近い仕様。フォントは16bit感あるドットか、読みやすい通常テキストかを選べる。テキストを効果音に合わせた自動送りで固定するか、ボタンでスキップ出来るようにするかも選べるぞ。
ヘンテコ宇宙人続々!どこか藤子Fテイスト溢れる珍道中が待っている
思慮深いが熱いところもあるサンダーと、強気で突っ走りがちなカイラ。この二人が、一癖も二癖もある宇宙人たちと、テンポ良い掛け合いをしていくのが楽しいゲームだ。
人間同士の殺し合いが見たいので、ロボット同士のコロシアムが盛り上がってる現状に不満を爆発させてる芸術家や……。
礼儀が厳しすぎて何にでも「お」を付けて喋る貴族などと交流し、振り回されながら情報を集めていく。この辺やっぱり『21エモン』や『モジャ公』的なノリを感じるな。
ちょっとブラックなイベントや、文化の違いでドタバタになるイベントなど様々。
仲間として同行するヘッドレスも愉快なヤツだ。名前通りに首が無い宇宙人だが、状況に応じて顔を浮かび上がらせる。
オッサンみたいな顔やハートマークなど、浮かぶ顔によって性格がコロコロ変わり、時には煽り役、時にはストッパーとして、旅の会話をより奥深くしているのだ。首が無いくせに面の皮は厚いようだな?ってツッコミたくなる名脇役。
ライバルでディガン&ラムダというトレジャーハンターコンビも登場。お宝へのヒントを奪い合うことになる。ディガンは典型的腕っぷしだけのバカキャラで
ラムダの方は嫌味っぽい女の子キャラ。かわいい。ディガンはラムダのことを妹だと思い込んでるけど血の繋がりは一切無い、って設定怖いよ!
賞金首を倒すサブイベントもあり、悪そうだが愛嬌のある宇宙人がズラリ!1キロ先からでも悪いヤツなのが分かる!この雰囲気最高だぜ。
出会った宇宙人は図鑑に記録されていき、その数は100体以上!色違いキャラの多さを考慮しても、よくこれだけ愉快な宇宙人をデザイン出来たなぁと感心する。
普通にクリアするだけだと7割くらいしか埋まらなかったので、細かいイベントで出会うキャラも多そうだ。
戦闘はカードを使ったジャンケン形式。勝利の鍵は盆栽とフルーツ!
道中ではジャンケンカードを使った戦闘シーンも挟まる。相手のカードの絵柄を見ながらの読み合い。勝てば相手にダメージを与えられ、負けたらこちらがダメージだ。ザコは手札が偏っていて弱いが、強敵は体力が高くて手札もバランスが良く、手札が一部伏せられている。
手札や相手のカードをいじれるフルーツを1ターンに1回使用可能で、基本的にこれをバンバン使うのが前提のバランス。変にケチると一気に面倒になるぞ。
フルーツは拠点にある盆栽で栽培可能で、移動してるとどんどん育っていく。ショップで買ったアイテムを使うことで、実るフルーツの種類は調整可能だ。盆栽らしく枝や鉢植えなどをゴージャスにデコる要素もあったり。
アイテムで特殊なのが限られた数しか入手できない「マジックフルーツ」。
使うと狂暴化して連続攻撃!ボスも簡単に瞬殺できるチートアイテムだが「使うと急激に年を取る」というペナルティがある。使い過ぎるとグラフィックがジジィやババァになったままゲームが進行していくぞ。斬新なペナルティだな!
戦闘の多さでややテンポが悪く、周回プレイも面倒さが。
と、そういうゲームでシナリオや雰囲気、デザインなど好きな人にはたまらない作りだが、戦闘の回数が多いのでややテンポが悪い。ランダムイベントでザコとの戦闘がちょこちょこ挟まるし、ボスは体力がやたら高いため、フルーツのゴリ押しをしても時間が掛かるのだ。
ゲーム進行もフラグ立ては易しいものの、マップを開いて行きたい場所を選ぶ……のではなく、コマンド選択で移動する場所を決めるので、位置関係がやや分かり辛い時がある。
宇宙人図鑑の他に様々な条件で埋まっていく実績があり、これは全セーブデータで共通になっているが、チャプターセレクトやスキップ機能が一切ない。コンプを目指すとかなり手間。こういうところは良くも悪くも一昔前のゲームっぽい手触りになってるね。
意外なところでサブイベントがあったり、ランダムエンカウントで知らない宇宙人と出会ったりするのは面白いんだけども。
おまけにしては豪華すぎ!フルカラー200ページ以上の原作コミックを収録
原作コミックに関しては、序盤に特定の場所で発生するランダムイベントをこなすと入手できる。ゲームとまったく違う冒険を描いているので、どのタイミングで呼んでも問題なしだ。ゲームよりも展開がハードでアクションシーン満載。ボロボロになりながら戦うサンダーがカッコ良かったし、コミックでしか見れないデコ出しカイラめっちゃ可愛いじゃん!フルカラー200ページ以上だけあって読み応えあるし、SF作品らしい余韻のあるオチも良かった。
OMEGA 6 THE TRIANGLE STARS 公式サイト - 株式会社シティコネクション
OMEGA 6 THE TRIANGLE STARS (Nintendo Switchソフト)
公式サイトでは冒頭部分を試し読み可能。ゲームの特装版にはコミックがそのまま付属するぞ。通常版が3850円で、特装版は8470円でコミック、専用ボックス、サントラCD&デジタルコード、ミニサイズポスター、インストラクションマニュアルついてくるから、特装版買えば良かったな……って思ってる。
このレトロフューチャー感に惹かれたら買いッ!
クリアするだけなら8時間掛からないくらい。ある程度イベントの進行は前後するが、基本は一本道のゲームだ。
カラフルでコッテリした色使いで描くレトロフューチャー感たっぷりの雰囲気に、間が抜けてるけどロマンに溢れたシナリオ。元任天堂の天宅しのぶ氏による洒落たBGMと、本作ならではの魅力がいっぱい。テンポの悪さを感じる箇所もあったが、最初から最後まで飽きずに冒険を満喫できたぞ。昔ながらのコマンド式アドベンチャーが好きなら間違いなく楽しめるはずだ。
コミックもゲームも壮大な旅の一端を描いており、彼らの旅はまだまだ続く。
サンダー!カイラ!またどこかの星で会おう!