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【レビュー】500円で驚きの作り込み!ガッツリSFなミステリーノベル『神無迷路』【Switch/PC】

 

神無迷路 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)

 

Steam:神無迷路

 

『神無迷路』のレビュー行くぜ!俺がプレイしたのはNintendo Switch版ね。

 


パブリッシャー:致意

機種:Switch/PC

ジャンル:SFミステリーノベルゲーム

発売日:2024/5/15(PC)2024/8/8(Switch)

価格:500円


 

『僕たちが死ぬまであと七日』などを手掛けたインディー開発者、致意 氏の最新作だ。500円で日本語含めたフルボイスを搭載し、3D背景などもあるサウンドノベル。

 

青いシルエットで表現された登場人物など、一目で分かる『かまいたちの夜』オマージュ作品だが、ガッツリしたSF作品なので方向性は大分違う。序盤や設定面でのとっつき悪さはあるが力作だったぜ。

 

 

主人公は3年の浪人生活を続ける苦学生。いよいよお金が無くなってきたところに舞い込んできたのが怪しい科学実験への参加。3日で60万円という破格の報酬につられてやってきたのが、山奥の地下に広がる巨大研究所だ。

 

そこで出会う9年前に死んだはずの幼馴染、巻き起こる連続殺人事件、そして逆行する時間。謎に満ちた迷路のような状況の中で、主人公は真実にたどり着くことができるのか?というストーリーになっている。

 

 

文章を読んで進め、選択肢によって物語が分岐するオーソドックスなノベルゲーム。特定のエンディングやルートを通らないと解禁されない選択肢やルートがあるので、フローチャートを駆使しながら物語を飛び回る。

 

 

フローチャートは分かりやすいし、振られた番号順に進むと綺麗に最後のエンディングまでたどり着ける構造だ。

この手のゲームを遊んでいると「分岐を一通り見てから真相ルート進みたいけど、もしかしてもう真相ルート入ってる?」とか不安になる俺としてはありがたい仕様。

 

 

フォント設定やテキストスピードの設定など。オプション周りも充実してる。低価格ソフトながら抜かりなし。

 

 

政府絡みの怪しい地下施設で巻き起こる連続殺人と、そこから連鎖する疑心暗鬼。謎が謎を呼ぶ展開を、フローチャートを駆使して解きほぐす構成が丁寧だ。

 

 

背景を3Dで作り込んであり、カメラワークやシルエットの差分も細かいから、画作りが単調になってない。ゲーム内で詳細な見取り図も見れるから、舞台が頭に入ってきやすいね。

 


主人公と民間伝承に詳しい謎の少女の交流、何事も無かったかのように話しかけてくる死んだはずの幼馴染、ちょっと乱暴な大学生たち、帽子とヒゲが胡散臭すぎるプロの馬券師、常にポテチを食い続ける男、施設の解説をする天才女性研究者などなど……。

 

登場キャラたちがしっかり立っていて会話のテンポも良く、そこそこ脱力するやり取りも挟みながら緊張感が高まっていく構成が巧み。

 

本家『かまいたちの夜』みたいに、本編と前提条件がまったく異なるサブシナリオは存在せず、すべてがメインシナリオの分岐。だからこその構成が織りなす怒涛のクライマックスは引き込まれたぜ。

 

 

そんな本作で好みがハッキリ分かれるのがSF要素の濃さ。序盤で量子力学の解説をみっちり行うパートが挟まるのでやや取っつきが悪く、根幹部分にもガッツリ関わってくるので、『かまいたちの夜』そのままのノリを期待するとちょっと「違うな……」ってなるのが注意だ。

 

 

クリアまでは6時間くらい。

動画も使用した背景やUI周りも含めて「最新のサウンドノベル」として完成度が高く、500円なのが信じられない作り込み。日本語の声優さんもゲームの雰囲気にマッチしていた。SF要素の濃いノベルゲームが好きならオススメだ!