宵祓い探偵ミアズマブレイカー | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
『宵祓い探偵ミアズマブレイカー』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:メビウス
機種:Switch
ジャンル:全方位除霊アクションシューティング
発売日:2025/1/16
価格:4378円
備考:体験版配信中
メビウスが送る完全新作の全方位シューティングだ。2022年から待っていたのでやっと遊べるぜ!
ジャンルとしては所謂『Vampire Survivors』系に分類されるが、昔のアクションゲーム的な手触りを感じる構成に、2.5Dのビジュアル表現、不気味だが愛嬌のある妖怪変化の魑魅魍魎たちと、しっかり独自性と魅力がある仕上がりだ。
物足りないところもあったが、完全新作としてしっかり面白かったぞ!
人の世に潜む悪霊「ミアズマ」を駆除するため、密かに活動する世界除霊機関!主人公の如月忍はそこに所属する新米エージェントであり、相棒の守護霊と共に人類の自由と平和のために戦い続けるのである!
とかそんなストーリーで、雑居ビルに構えた事務所を拠点に近所で除霊活動を行っていくうちに、段々とミアズマの規模が大きくなっていく展開が待っている。
短いミッションを次々にクリアしていくゲーム構成で、拠点から選んで出撃する。
右スティックで発射するショットと守護霊アタックで、全方位から迫る大量の悪霊をどんどん倒し、経験値を貯めてレベルアップ。レベルアップ時にランダムで選ばれるパワーアップを選択し、どんどん火力を高めて爽快に敵を倒すゲームだ。
プレイヤーによるパワーアップの選択と、大量の敵相手の立ち回りが重要となるサバイバー系。
特徴的なのは敵を倒した後に出現した魂を、ボタン長押しで除霊をすることでやっと経験値が入る……という一手間が必要なところ。除霊中にも敵はボコボコ殴ってくるので、タイミングを見極めないといけない。なんて面倒なんだ!
しかし、魂を一気に除霊できると一定時間だけ「除霊スキル」が発動する。
魂を4、6、8、10、12個毎に除霊すると発動で、貫通攻撃や広範囲攻撃、バリアなど様々な種類があり、好きな物を事前に拠点でセット可能だ。効率良く除霊を上手く行えれば一気に有利になるシステム。
また、敵を攻撃してゲージを溜めて覚醒すると、画面内の魂をすべて除霊した上で一定時間パワーアップ。その状態で敵を倒し続けると強力な奥義もぶっ放せるのだ!
敵がかなり手強いゲームだが、慣れてくるとギリギリの攻防から魂の大量除霊→除霊スキル発動→火力大幅アップで大量の敵を駆除→魂の大量除霊で除霊スキル発動!を繰り返しで敵を押し返し、更に覚醒して敵を焼きまくれる!
このリスクとリターンによる爽快さが格別!誰だよ除霊の一手間が面倒とか言ったの!ピンチをチャンスに変えて悪霊を火力で殴るゲームである。
その他、ステップ回避で攻撃を避ける要素があったり、強力な守護霊アタックは一度打ったら数秒経たないと再使用が出来ないが、近づいたり除霊で回収すればすぐ使えるなど。プレイヤーの操作テクニックを重視したシステムになっている。
そして敵の種類が豊富で、「このステージにこの敵」というのがハッキリ決まってる。難易度は高めだが、システムを理解して敵の行動パターンを覚えるとガンガン攻められるようになる。狭いフィールドで敵を全滅させて次のエリアに進むステージ構成はベルトスクロールアクション的。
サバイバー系だが、この構成で昔のアーケードゲームっぽい手応えが強く、着実に攻略していくのが楽しい作り。1ステージが短めなのもあって、苦戦しつつも繰り返し遊んじゃうゲームになってるぞ。かなり日本的なゲームデザインと言えるかも。
ステージクリア時の報酬で基礎能力や3種類いる守護霊を強化する要素も有るので、繰り返し遊ぶとどんどん強くなるし、スキル選択の幅も広がっていく。出撃前に食事を選択することで、レベルアップ時のパワーアップに効果を上乗せする要素もあるぞ。
食事はサンドイッチとかおにぎりとかチャーハンとかサラダとか実に庶民的で、事務所の片隅で食べるのは生活感あるなぁ……。
強化で食事のレベルを上げていくと、最終的にカニとかキャビアとかステーキになるのかな?と思ったらそんなことは無かった。でも最初はおにぎりだけだったのが、徐々にドリンクやデザートが付いて豪華になっていくステップアップはあるぞ!
ゲーム内だとちょっと分かりにくいが、特定条件で貰える特別報酬の金額と頻度がデカく、序盤~中盤はこれを軸に進めていくと大分楽になる。
そういうゲームになっているが、難点としてはシナリオが消化不良過ぎる点。
敵側に喋るボスみたいなのがほぼいないため、悪霊の駆除作業の繰り返しでかなり淡々と進むし、思わせぶりな展開やセリフは沢山あるけど投げっぱなしで終わる。今は雑居ビルのショボい支部で働いてるオジサン上司の荒泉さんと、元・相棒だけどこっちはめっちゃ偉くなってる草薙さんの関係とか、もうちょっと掘り下げが見たかったなぁ。それ絶対面白いやつじゃん!
「昼間は普通の探偵事務所」という設定があるので、昼間に探偵仕事で悪霊の情報収集やキャラとの交流を行うパートがあっても良かったね。
戦闘中に敵の種類についての会話があるんだが、ボイスが無いゲームなので大量の敵相手にしてると会話テキストを読んでられないし、一部の特殊な倒し方が必要なボスのヒントを見落とすこともあったり。
細かいところだと雪女のアイスニードルの攻撃判定ちょっとおかしくね?ってのも気になった。遊んだ人は大体雪女にキレる気がする。
クリアまで10時間くらい。
ストーリーが消化不良過ぎるのと、クリア後はクリア済みステージを高難易度でやり直すくらいしかやることが無いので物足りなさはある。
とはいえゲーム部分の手触りは良好で、コンセプトの明確さがそのまま魅力に繋がってる。守護霊の選択で主人公の性能が変化するので、試行錯誤の余地があるし、ドットを軸にした画作りや、生活感溢れる事務所などの雰囲気も良かった。トータルでは十分面白いゲームだったぜ。
余計な要素入れてボリューム水増しされる方が嫌だし……な!そんなしつこい悪霊みたいなゲームと俺は何度も戦ってきたのだ!
スタッフロールを見たらディレクター・シナリオ・脚本・ゲームデザイン・背景マップ・キャラグラ・アニメーション・エフェクト・UIデザイン・スクリプトに同じ人がクレジットされていてビビったぜ。あまりにも迫力ある。これが商業インディーゲームか。
低価格ゲームが溢れてる昨今だと定価4378円はどうしても高く感じるが、完全新作として十分評価できる1本。似たようなサバイバー系に飽きた人にもオススメだ。アップデートで追加コンテンツも予定されてるので期待しとくぜ!