Steam:近畿霊務局 - Kinki Spiritual Affairs Bureau
『近畿霊務局』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:Noto Muteki
機種:PC
ジャンル:ホラーゲーム
発売日:2024/10/4
価格:1200円
「幽霊に思いっきりやり返せるホラーゲーム」というキャッチコピーで、礼儀知らずの違法幽霊共にライフルで鉛玉をぶち込んで強制成仏させるTPS!
開発は個人ゲーム開発者かつVTuberである霧笛ノト氏が手掛けているぞ。
発売当初は評価が低かったが、要望を踏まえたアップデート乱れ撃ちで現在は持ち直している。このレビューは一通りのアップデートが終わってからの内容だ。
独特の世界観でセーラー服着た主人公が銃で幽霊を撃ちまくり、武装した巫女さん部隊が暴れまくり、ふざけた幽霊が登場しまくり。ノリノリのセリフ回しで彩ったカットシーンが盛り沢山。「思ってたゲームと違う!」という点はありつつも、個人製作だからこそのパワーに溢れた1本で面白かった!
舞台は彷徨える幽霊が社会問題となり、行政によって除霊が行われる並行世界の日本。「霊務省 近畿霊務局」に所属する主人公の白石が、悪霊に占拠された奈良県賽河村で戦うが、その裏には大きな陰謀が渦巻いていた……というストーリー。
ちなみに白石はセーラー服を着ているが27歳です。
冒頭だけは普通のホラーっぽく脅かしてくるが、幽霊が大量に出てきてファイティングポーズ取る辺りから空気が一変。パーティの始まりだ!
違法スケバン幽霊の群れとか、ショットガンで武装した花子さんとか、色々と盛り過ぎな幽霊が次々に襲ってくる!
いきなり巨大モニターが出現して巨大幽霊であるメガサタコが出現するボス戦とか、絶対『貞子3D』見て思いついたろこれ!
課長と後輩から無線で指示を受けながら戦っていくが、白石が好き放題やるので『えりかとさとるの夢冒険』の隠しメッセージみたいなセリフで詰められるぜ!
TPSとしてはオーソドックスなステージクリア型の作りで、マップも広くはない一本道。クリア条件は敵の殲滅や目標地点まで到達など。その中で強力な銃座を使って敵の群れを迎え撃ったり、四方から押し寄せる敵を仲間と共に食い止めたり、乗り物を動かしたり、敵に見つからないように行動したり、特殊な武器を使ったりと、様々なシチュエーションで幅を出している。
特殊な武器(そこら辺の墓石で幽霊を殴る)
後半は自爆突撃する幽霊が鬱陶しかったし、CPUの動きも大分大雑把だが、味方も敵もノリノリのセリフ回しでテンポ良く進んでいくので、シンプルなTPSとして飽きさせなかった。終盤は結構手強い箇所もあるが、難易度を4段階で選べるし遊びやすい方だと思う。フラッシュバンと近接攻撃が強いぜ!
ストーリーは意外とシリアスで、行政である近畿霊務局と神務庁の関係、存在を抹消された奈良県賽河村という自治体、何故か集まっている違法幽霊の群れ、暗躍する武装した巫女さんたちなど。様々な要素が絡み合って進行する。シリアスに死人も出るゲームで、遊んでいくとどんどん印象が変わってくる。
武装した巫女さんがヤクザ映画みたいなセリフで襲ってくるのコワイ!
戦争映画とヤクザ映画を足して心霊で割ったようなノリで進行し、時にネットの掲示板の罵り合いみたいなディスカッションも発生。心霊のゲームだけどセリフから常に生の感情が溢れてる。
ボイスは無いがカットシーンは豊富。カメラワークや表情、モーションでしっかりキャラの演技付けがされている。派手なアクションシーンから、無常感が溢れる静かなシーンまで。とにかく映画的な演出を全力でやりたい!という製作者の気合が溢れてて見ごたえあるぜ。
それはそれとして後半でもギャグシーンはあるし、ギャグで終わらずしんみりさせてくるのも上手い。幽霊と巫女さんのグラフィックが大体使いまわしなことに、ゲーム内で説明を付けてるのも細かくて好きな点だ。
クリアまではTPS慣れていれば4~5時間くらい。
バカゲーかと思いきやくそったれな世界に中指を立て、それでも叫びながら銃を撃ち続けるロックンロールなゲームだった。
シナリオは人間同士の話が軸だし、幽霊も普通に人間みたいな武装と動きをするので「幽霊に思いっきりやり返せるホラーゲーム」という看板にはやや偽りあり。ゲームの半分以上はカットシーンで凝ってはいるが、ずっとキャラ同士の会話を見ることになるので「さすがに長いよ!」となる箇所もしばしば。
洗練されてはいないのだが、並行世界の日本を舞台にした作品として尖りまくっていて、個人製作ならではのゲームとして非常に面白かった。好み別れそうなところも多いが、設定がツボならオススメしたいぜ!
ちなみにゲーム容量が15GBあるので注意な!