絶対SIMPLE主義

ダウンロードタイトルを中心に全方位でゲーム紹介するブログ。SIMPLEシリーズ最新作『THEヤンキーブラザー』は11月27日発売!!

【レビュー】ゆるさとやさしさで脳が揺れる、傑作おバカミステリー!『カエル探偵の事件簿』【PS5/PS4/Switch/XBOX/PC】

 

KAERUTANTEI.COM

 

カエル探偵の事件簿 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)

 

カエル探偵の事件簿 PS4 & PS5

 

カエル探偵の事件簿 を購入 | Xbox

 

Frog Detective 1 + 2 + 3 on Steam

 

『カエル探偵の事件簿』のレビュー行くぜ!俺がプレイしたのはPS5版ね。

 

パブリッシャー:Worm Club

機種:PS5/PS4/Switch/XBOX/PC

ジャンル:アドベンチャー

発売日:2023/10/26(PS5/PS4/XBOX)2025/5/1(Switch)

価格:1566~2350円

 

カエル探偵と共に様々な事件に挑むおバカなミステリーADV。

三部作でSteam版では一本ずつ配信されていたが、CS版は最初からまとまって配信されているぞ。

日本語版制作マネージメントを『Undertale』『HADES』のローカライズで知られるハチノヨンが担当し、翻訳は福市恵子さんが手掛けている。本作の魅力の大半を翻訳の見事さが占めており、素晴らしいお仕事だ!

 

 

「事務所で2番目に優秀な調査員」として知られるカエル探偵の元に、今日も依頼を伝える電話が鳴り響く。相棒の虫眼鏡を片手に事件調査に出発だ!

カエル探偵、自分のブログを更新してるのが親近感湧くぜ。

 

 

この冒頭1分45秒の会話がツボだったら即買って問題無し。これが1時間×3本続くゲームです!間の取り方と言い回しの小さなおかしさで、ジワジワと引き込む会話センスが絶妙。聞き返しと相槌によるテンポのズラしがうまい。

 

 

ゲームとしてはそこまで広くないエリアを探索し、聞き込みで証拠を集める一本道の作り。登場キャラたちの「○○を持ってきて」という依頼を片っ端からこなせば真相にたどり着ける。

しかしおバカなキャラたちが織りなす、首尾一貫したゆるすぎる雰囲気が最高。

 

 

時に切れ味鋭いセリフや哲学的な問いかけ、正義に対する向き合い方、偽証、妄想、偏向報道、ゆすり、ID偽造、銀行襲撃などが飛び出すが、そのすべてを脱力ノリが飲みこみ、カエル探偵がツルッと解決するシナリオ。圧倒される。

 

 

BGMがめっちゃカッコいいノワールジャズで、ここだけはクラシックな探偵モノの雰囲気あるのもお気に入り。物語は喜劇に次ぐ喜劇だが、カエル探偵本人はいたって真面目に事件に挑んでるのだ。我々も見習わなければならない。

 

 

物語は「のろわれた島」「見えないまほう使い」「カウボーイタウンの陰謀」の3つから好きに選べるが、続きになっているので1から順番に遊ぶべし。

 

このひらがな混じりだけどミステリアスなタイトルいいよなぁ。小学校の図書館を思い出すワクワク感だ。各話ごとに用意されたカッコいいオープニングも見所。

 

カエル探偵が挑む事件を紹介していこう!

第一の事件『のろわれた島』

 

最初の事件はオバケによる騒音に悩まされるとある島。

オバケ科学者チームもお手上げの事件にカエル探偵が挑む!やはり一発目はクローズド・サークルの島モノか!六軒島とかシロナガス島とか!いや、調査チームが普通に来てるからクローズド・サークルではないな……。

 

 

カエル探偵のブログの熱心なファンであるミステリーモンキーとの出会いもあり、和気あいあいとした雰囲気で調査はスタートだ。どことなくリゾート気分な奴らが多い。

 

 

砂浜でくつろいでるフレッシュXに聞き込みをすると……。

 

 

カエル探偵もくつろいだスタイルになるの最高に好き。

 

 

落ちてるヒトデに顔が付いてたりする世界観。相棒の虫眼鏡でチェックだ!

 

 

なるほど!

ちなみに虫眼鏡が必要になるシーンは一度も無い。

 

 

メモや張り紙などの文字までゆるい手書きになっており、ローカライズの凝り方に驚かされる。単独行動にはフラグが立つとか大事なことが書いてあるな。

 

 

緊張感の欠片も無い幽霊騒動は、それにふさわしい予想もつかない真相へと収束していくのだった。

 

第二の事件『見えないまほうつかい』

 

第二の事件はウォーロックウォズという小さな町が舞台。

引っ越してきた新入りをパレードで歓迎しようとする住人たちだったが、何者かによって準備をメチャクチャにされてしまう。その新入りこそが「見えないまほうつかい」であり、どこを探しても姿が見えない。

街をメチャクチャにした犯人とは……!?明確な「犯人」を捜すシナリオになっているぞ。

 

2作目なので色々と進化しており、聞き込みが出来るキャラが増え、容疑者を描き込めるノートシステムも追加された。ノートは表紙をシールでデコれる作り。

 

 

うーむ、こんな感じかな!

「ノート」のところにワンポイントでカエル探偵の顔を貼るのがオシャレポイント。

 

 

聞き込みした容疑者の証言、動機になりそうな要素、必要としているアイテムなどがメモされる。分かりやすいし、カエル探偵の私見が強いから読んでて楽しい。

 

 

ボタンを押せば「あやしい!」認定も出来るぞ!あやしい!

 

 

我らがカエル探偵も例外ではない!あやしい!

「あやしい!」認定は特にゲーム進行に関係ないので、容疑者は全部怪しんでいこう!

 

 

カエル探偵が怪しむまでもなくヤバい住人ばかり出てくるので、会話のドライブ感が加速していく。

 

何もかもがヘンテコだがこれは探偵ゲームである。推理要素もしっかりあるぞ。

パレードに使う看板やステージがメチャクチャにされているが、現場は小さな町である。なぜ住人は誰も物音を聞いていないのか?

 

 

答えは「午前3時に大声で歌う住人がおり、そいつのせいで町の家がすべて防音になってたから」でした!

もうやだこのゲーム。

 

オバケに続いて魔法使い。奇天烈な住人だらけの町で起こった騒動は、この町だからこその結末へとなだれ込んでいく。

ゆるさ全開なノリはそのままにシナリオの完成度は高まっている。とあるシーンでカエル探偵に付きつけられる選択は、探偵作品としての芯を感じさせるところだった。

第三の事件『カウボーイタウンの陰謀』

 

三部作を締めくくる舞台は荒野のカウボーイタウン!

BGMもそれに合わせてカントリー調になり、マップが広がって移動用のキックボードも登場。「事務所でもっとも優秀な調査員」であるロブスター警部もついに本格参戦し、完結編に相応しいスケールになっているぞ。

 

 

保安官のいない町で起こった、帽子盗難事件に挑むカエル探偵とロブスター警部。

事務所のナンバーワン&ナンバーツーのコンビが挑むにはささやかな事件だ。しかし調査を続けるうちに物語は憎むべき犯罪、恐るべき陰謀へと繋がっていく……!

 

 

西部の町ということもあってか、住人は後ろ暗い所のありそうな荒くれ者揃いだ。

井の中の蛙に引っかけてカエル探偵を煽るロンダ・ダイナマイト!

 

 

それに対して自然体でガチ住所を答えるカエル探偵つよい。

この何も考えてそうな立ち姿と表情がたまんないな!

 

 

そりゃロンダ・ダイナマイトもマジレスする。

 

 

朝踏んだ呪いのバナー広告のせいでスランプになった!と悩む絵描きのピストル氏。

問題を解決した時にカエル探偵が言う「才能は、いつだってピストルさんの中にありましたよ」ってセリフ好きだなあ。素朴で優しい態度を崩さないカエル探偵は遊んでると好きになれる。まあ、たまにそこそこヤベー事も言うが……!

 

これまでの事件に無かった反則技にアッと驚くどんでん返し、意外なキャラクターの再登場、文句無しのグランドフィナーレと、完結編を締めくくるにふさわしい構成になっているぞ。

 

 

最初にも書いたがクリアまでは3時間ほどのボリューム。おまけでちょっとしたミニゲームはある。

センス溢れる会話と愛すべきキャラクターたちで描く、おバカで心温まるストーリーは唯一無二。探索範囲は狭くグラフィックも簡素に見えるが、部屋に飾ってある小物など作り込まれている。細かい箇所を見るのが楽しいし、そういう点で登場キャラたちの背景を表現出来てるね。「この写真ってあの話か!」みたいな。

 

短編ながら満足度高く、今はこのゲームを終えてしまったのが寂しく感じる。

「丁寧に作り込まれたゆるさ」、是非体験してくれ!