『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』のレビュー行くぜ!俺がプレイしたのはSwitch版ね。
パブリッシャー:スクウェア・エニックス
機種:Switch/PC/iOS/Android
ジャンル:青春群像伝奇ミステリー
発売日:2026/2/19
価格(税込):2480円
2023年にスクウェア・エニックスから発売された完全新作ADV『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』の次回作だ。
ディレクター・シナリオ:石山貴也、キャラクターデザイン:小林元、サウンドコンポーザー:岩﨑英則、開発:株式会社ジーンと、今回も同じ布陣ありがとう。
前作は実在する怪談「本所七不思議」を題材に、様々な呪いの力を得た9人の男女が呪殺バトルを展開する群像劇ミステリー。
・俺のレビュー
□怖くてワクワクしてやめられない!面白さ全部盛りの群像劇ADV『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』レビュー!【Switch/PC/iOS/Android】 - 絶対SIMPLE主義
完全新作ADVとして珠玉の面白さだったが、今回は同じ世界観で舞台も登場人物も一新!伊勢の離島で不老不死の人魚伝説を軸に展開する、青春×伝奇ミステリーだ。まさかの前作越えの傑作となっており、気になる人はレビュー読まずに即買いして欲しいぜ!

前作から数か月後の時系列だが登場人物は一新されており、シナリオも独立している。関連性はゲーム内の資料や一部のセリフで出て来るのみ。ゲーム起動時に前作を「知らない」と答えればネタバレになりそうな資料も伏せてくれる。
前作やってない人も即買いして欲しい!面白かったら前作もやろう!
- 舞台は昭和後期!海と青空が眩しい伊勢の離島で人魚伝説を追え!
- 今回も王道のポイント&クリックADV。群像劇の醍醐味が詰まっている!
- 「青春群像伝奇ミステリー」を体現した個性豊かな4組の登場人物たち
- 更に進化した立ち絵演出の工夫。意外とハマるぞ素潜りミニゲーム!
- 難易度も前作以上!自力で頑張れるか……!?
- まとめ:「推理ゲーム」にシステムとシナリオの両方から向き合った傑作!
舞台は昭和後期!海と青空が眩しい伊勢の離島で人魚伝説を追え!

今回の舞台は昭和後期の伊勢志摩。
主人公は離島で暮らす水口勇佐という少年で、引退した祖母の跡を継いで海女をはじめるシーンから始まる。とある事情で島民から疎まれている彼だが「人魚」に会いたいという目的で情報収集をしている。他にも数カ月前に島に流れ着いた謎の少女、怪しい外国人、怪しい主婦などが登場し、人魚と不老不死を巡るドラマが展開される。
離島にワケありの濃ゆい連中が次々に押し寄せて来るぜ!

制作側がホラーからの脱却を押し出しており、前作と異なる青空と海が眩しくて爽やか。彩度も高め。ジャンプスケアも極一部に抑えられている。

前作は夜のシーン多かったし、なんか昼間も薄暗かったからな。
まあ今回も呪いが出て人は死ぬんだが……。
今回も王道のポイント&クリックADV。群像劇の醍醐味が詰まっている!

基本システムは前作同様、画面をあちこち調べて物語を進める昔ながらのポイント&クリックADVだ。
複数の主人公たちの視点を切り替えて進むザッピング形式で、主人公たちの行動を上手く誘導することで物語が進み、ゲームオーバーを回避できる。
タイムチャートで明るくなっているところには調べ残しがある仕様なので、詰まったらとりあえずそこを潰していけばゲームは進行するぞ。

伝説であるはずの人魚伝説だが、人魚の死体らしきものが発見されたり、不審な事件が発生したり、恐ろしい呪いの存在が明らかになったり。伝説ではなく今そこにある脅威!
プレイヤーは4組の登場人物たちの視点でこの物語を多面的に追う事になる。それぞれ立場や持っている情報が異なるので、すれ違いで衝突があったり、思わぬところで出会いや行動の影響があったり。群像劇の醍醐味が詰まってる。

前作よりもノリがコミカルで、どの視点でも漫才っぽい会話が多め。
この妙に印象に残るすっとぼけたセリフ回しが、最初から最後までずっと途切れないのが凄まじい。本当に凄まじいゲームだと思う!
下ネタやパロネタに頼らず、素っ頓狂な連中が自然にすっとぼけた会話の応酬をする。
掛け合いがハイセンス過ぎて昭和後期じゃないだろ!と思う時もあるが、それはさておき、ボケ会話にもその登場人物たちの生き様がしっかり反映されているので、遊んでいるとどんどん好きになってくるね。
「青春群像伝奇ミステリー」を体現した個性豊かな4組の登場人物たち

4組の登場キャラたちもそれぞれ個性際立っていて魅力的だ。
今作の主人公である勇佐は開始直後、海女として素潜りをする際に「素茂栗 漁太郎(すもぐり りょうたろう)」とかふざけた名乗りをする軽いヤツだが、辛い境遇にもめげず優しさと熱さは失わない。
言動が面白いキャラなら他にもいるんだけど、キャラとしては一番好き。

相棒であるスクエニのあざみーこと親友のアザミも、ど真ん中ストレートの親友キャラって性格付けでグッと来るところ。

里&つかさちゃんコンビのやり取りも可愛くて良い
昭和らしく聖子ちゃんカットのつかさちゃんが表情豊かで良いんだよなぁ。

里は記憶喪失な謎の少女なんだけど、ずっとボケ倒しててミステリアスさが全然ねぇ!
この学生4人組の賑やかなところが、本作が青春ミステリーである所以である。

こちらは肩書は主婦だけどどう考えても普通の主婦じゃない結命子さんと、霊能力のプロである双奴くんのコンビ。
結命子さんのことを「おかみさん」って呼びながら振り回される双奴くんが微笑ましく、荒事の時に見せるプロっぷりはマジでカッコいい。
たまにある「プロは超強い。プロなので」「アマチュアとは次元が違う。プロなので」って表現の作品である。

頼もしいのに、困るとすぐにラーメン大好き小池さんみたいな顔になるのも好き。

ロマンを追い求めて人魚を探すアヴィと、歴史好きでガイドを依頼されたキルケちゃんの外国人コンビ。動機からしてゆるいし、アヴィが無駄にハイテンションで登場キャラの中でも特にボケとツッコミのやり取りが激しい。
昭和の伊勢志摩の離島にこんな奇声を発しながら謎ポーズを連発する外国人が来たら、そりゃ浮くわな!という扱いを受ける。

ガイド担当のキルケちゃんかわいいし、ハイテンションなアヴィに対して一歩引いたドライな対応するのじわじわと面白い。いいコンビである。

本作はゲーム内資料で過去の伝承を読むパートが長く、しっかり読み込まないと推理が解けないので結構骨太。そこをアビィ&キルケちゃん組の観光案内に組み込むことで、プレイヤーが飲み込みやすくしてるね。

その他のサブキャラもしっかり人間臭くキャラが立っていて、俺は菊子さんがかなり好きなんだよなぁ。
更に進化した立ち絵演出の工夫。意外とハマるぞ素潜りミニゲーム!

本作は一枚絵が少なく、立ち絵を立体的に配置し、カメラワークで角度を付けたり、顔のアップや引きの画を織り交ぜたりして奥行きを出している。
前作も上手くやっていたが更に進化しており、伊勢志摩の雄大な景色をしっかり活用している。画がいちいちバシッと決まってるし、いきなりの変なポーズや顔のアップでも笑わせられる。職人芸と言う他ない巧みさだ。見ていて本当に飽きないし引き込まれる。
「全天球背景デザイン」で表現した背景を、360度グルッと動かせることを活かした仕掛けも前作以上に上手い!脅かしやがってよぉ……!

新要素として海女として素潜り漁をするミニゲームがある。3Dで表現された海中を泳ぎながら獲物を狙う内容だ。
発売前だとやや不安もあった要素。ADVで進行に必須なミニゲームというのはストレス溜まりがち。シナリオは面白いのに、テンポの悪い変なミニゲームをやらされて評価が下がるADVは結構あるからな。
苗木君、ここまで言えばわかるわよね?

しかしこれが面白い!
潜る!息が続く範囲で貝などを取る!スコアに応じて海女ランクが上昇してステータスが伸びる!より長く水中にいられるようになり、獲物を取るスピードも上昇していく!
1プレイが短く、レアな獲物を探す要素や、小物でも沢山集めるとスコアに倍率つく要素がまた上手い。
ゲームを進めるだけならそこまでガッツリやる必要はなんだが、海女ランクによって一部のセリフが変化するくすぐりも上手く、ついやり込んでしまうね。

最初は何が素潜りだバカバカしい!と強がっていたプレイヤーも、気が付けば「素茂栗 漁太郎(すもぐり りょうたろう)」になっているのである……!
難易度も前作以上!自力で頑張れるか……!?

そんな本作、トゥルーエンドの難易度はかなり高い!
前作も攻略が分かり辛いところあったけど比じゃないぞ!ストーリーチャートで明るくなっている箇所に調べ残しがあるのは分かるんだが、調べ残しが分かるんだから良いよね?とばかりに色々仕込んでくる。
とはいえ、ヒントや答えに至るまでの流れは提示してあり、ムズ過ぎるけど自力で解けた時はかなり感動できる作り。この仕様を通したスクウェア・エニックスはさすが尖っているなと前向きに解釈したいぜ。
まとめ:「推理ゲーム」にシステムとシナリオの両方から向き合った傑作!

難所の詰まり方によるがクリアまでは10~15時間。
舞台は昭和。題名になってる人魚物語は古典中の古典。でもキャラの描き方や物語の結論は今の時代らしいキレ味がある。前作に続いて登場人物たちの血が通ったセリフ回しが素晴らしく、何故この人物はここでこういう態度を取ったのか、何故こういう性格なのか。真意が分かる度に感情が揺さぶられる。
難易度は高いが「推理ゲーム」という媒体にシステム面とシナリオ面の両方で向き合った結果なので「分かるかよ!」と思いつつ納得感もある。プレイヤーがしっかり推理する必要があるゲームとして痺れる構成。
前作の終わり方も好きだったけど、比べるなら断然本作。なんだこれ?と思った公式キャッチコピーがクリア後に見ると最高に輝いて見える。
発売まで時間が掛かったのも納得の1本でした。イチオシ!