Dark Auction / ダークオークション公式サイト - Dark Auction Official Web Site
『ダークオークション』のレビュー行くぜ!俺がプレイしたのはPS5版ね。
今回のレビュー、直接的なネタバレはしないものの「どういうタイプの終わり方をするか」については言及せざるを得ないのでご注意を!
パブリッシャー:イザナギゲームズ/グッドスマイルカンパニー
機種:PS5/Switch/PC
ジャンル:本格ミステリーアドベンチャーゲーム
発売日:2026/1/29
価格:5940円(パッケージ)4950円(ダウンロード)
『アナザーコード』『ウィッシュルーム』を手掛けた鈴木理香の最新作!
1981年の欧州某国が舞台となる、完全新作の本格ミステリーアドベンチャーゲームだ。
本格ミステリーアドベンチャーゲーム!?(ストアのジャンル名を確認して目を見開いている)
開発・販売を担当するのは『冤罪執行遊戯ユルキル』『ワールズエンドクラブ』『デスカムトゥルー』などでお馴染みのイザナギゲームズとなっている。
もう雲行きが怪しくなってきた……。
2023年に発表されたタイトルで、豪華声優陣に加えてキャラデザはコースケ (GANGSTA.)、BGMが小見山優子&増子津可燦という面子。クラウドファンディングで900万円以上集めるなど注目されていたが、蓋を開けてみたらトンデモ展開とグダグダなシナリオのカクテルで頭抱えたぞ!
- 行方不明の父親を追い、古城でのオークションに挑む物語
- これオークションじゃないよね!?いきなりのSF設定に面食らう
- 探索パートで交流を深め、参加者たちのオークションをサポートする構成
- 古城をウロウロしてるだけで重要情報が集まりまくるゲーム展開
- 仲間と協力してオークションの謎を探る展開などは悪くない
- 辿り着いた終盤のストーリーで頭を抱える
- シナリオがヤバ過ぎるしオークションじゃないしオススメ出来ない!
行方不明の父親を追い、古城でのオークションに挑む物語

主人公のノアは父親と二人暮らしをしている18歳の青年。
父親は売れない小説家なのに「独裁者X」に関する品物を集めるのに夢中で、ある日届いた招待状に誘われ、怪しいオークションへと出かけていく。予定の時間になっても戻らず連絡の無い父親を迎えに行くノアだったが、会場である古城で見たのは怪しげな機械に繋がれて死ぬ父親の姿だった。
ノアは父親の死の真相と、何故「独裁者X」に纏わる品物を集めていたのかを探るために、オークショニアの誘いに乗ってオークションに潜入することになる。
というストーリーだ。

オークショニアはオウムのマスクを被ってCV速水 奨という怪しさ爆裂なゲームマスター。マスクがかなり表情豊かに動くので見てて面白い。

当初は『ダークオークション – ヒトラーの遺産 – 』というタイトルだったんだが、現在の形に改題となり、劇中では「独裁者X」というかなり不自然な名称で統一されている。
色々な事情はあるんだろうが、「怪しげな古城に集まった面々が、ヒトラーに纏わる品物をオークションで競り落とす」という魅力的な基本設定がぼやけたのは惜しいところ。
まあ、ゲーム全体のデキを考えたら些細なことか……。
これオークションじゃないよね!?いきなりのSF設定に面食らう

「オークション」と言い張っているものの、やることはオークションでもなんでもない。主催者が用意した「EPO」という記憶再現装置を一人ずつ使ったチャレンジだ。
組織が用意した参加者の親族の記憶と、参加者本人の記憶を照らし合わせ、記憶データを完璧にする。完成したデータを元に、ヒトラーに纏わる「歴史の新事実」を明らかにするのが主催者の目的だ。

謎ヘッドギアによる記憶スキャンという、1981年という舞台設定を初手でかなぐり捨てた展開に驚き。
オークションじゃなくて、成功するとヒトラー関連アイテムが貰える記憶データ修復チャレンジである。失敗すると死!

いざオークションへ……!
みたいな演出が毎回挟まるが、挑戦するのは1人ずつだし、主人公はそのサポート役だし、競り合う要素が存在しないため、他の連中はイスに座って見てるだけ!

シメで「ハンマープライス!!」とか急にオークション感を出してきても遅い!
探索パートで交流を深め、参加者たちのオークションをサポートする構成

ゲームとしては一本道のアドベンチャーゲームで、各エピソードのメインになるキャラと交流を深めて一人ずつ攻略していく作りだ。主人公がやるのは記憶修復チャレンジを成功させるためのサポート役。オークショニアに協力してることを悟られないように、参加者と交流を深めていく。半分スパイのような立ち位置なので、怪しまれないように、でも切り込む質問はしないといけない。

探索パートで古城の中を歩き回り、参加者と会話をし、部屋にある物を調べ、身辺や隠している嘘に関する情報を集める。

集めた情報を元に、オークションパートでは参加者の記憶に浮かぶ矛盾の指摘や、情報の穴埋め、データを時系列通りに並び替える作業などを行う。
見せ方はSF的だが、探索パートと推理パートを交互に繰り返す構成なので、推理ADVとしてはオーソドックスだ。
古城をウロウロしてるだけで重要情報が集まりまくるゲーム展開

しかし参加者は妙に距離感が近くてすぐ主人公と仲良くなる。
会話して部屋の中を調べて、不審な証言に関する資料を図書室で探し、それを元に手に入れた「参加者の嘘」をパスワードとして入力すると、重要証拠が手に入る「開かずの間」という謎のご都合主義ルームも存在する。
なんか部屋と図書室をウロウロしてるだけで絆が深まって重要情報が集まっていく……という感覚。舞台になってる古城内だけでこんなに情報集まるなら俺必要か?という気持ちにもなる。

古城に閉じ込められた参加者たちが、生か死かのオークションに挑む。
という点を見るとデスゲーム作品に近いけど、一人ずつオークションに挑んでそれぞれが欲しいアイテムを手に入れるだけなので、参加者同士の駆け引きとか、出品物を取り合う要素は一切無しだ。たまに喧嘩するけど深い衝突には至らない。
やっぱりオークションじゃないってこれ!

オークション前にサポーター役を挙手で決めるくだりがあるが、主人公がやることにまったく異論が挟まらない。何のためにやるんだ!?

参加者それぞれが記憶修復チャレンジを通して自らの親の過去と向き合い、和解し、自らも前に進んでいく展開だが、見せ方が平坦でワンパターン。これはオークションパートの演出も悪いと思う。似たような話と似たような感動演出の繰り返しなので……。

会話の繋ぎ方のテンションが微妙におかしかったり、登場キャラがシステムメッセージ的なセリフを何度も繰り返したり、フォーマットに無理矢理セリフを押し込めたような箇所が目立つのもやや気になった。

古城内に存在するコインを集めることで、ヒトラーに関する秘密が明らかになる要素があるんだが、コインはゲーム進行で絶対に手に入る。
これ当初はプレイヤーが探し回る仕様だったのを変えたな……?
仲間と協力してオークションの謎を探る展開などは悪くない

良かった点も挙げておくと、オークション完了済みのキャラが、以降のシナリオで協力してくれるのは本作ならではの面白さ。
がさつで乱暴だが行動力あるオットーと、プライドが高い医者であるエドガーの凸凹コンビが特にいい味出してる。

オークションで家族の記憶や自分の嘘と向き合わされ、それを他の参加者に見られて「服を脱がされた気分だ」と言うエドガーに対して、ノアが「脱がされたのは、着心地が悪かった服だろ?今度は自分に似合う服を着ればいい」と言うところは良かった。
こういう節々のセリフには光るものがあるね。

どう考えてもCVが石田彰なことを前提にキャラを造詣してるヘルも印象強い。
いかにも石田彰キャラが言いそうな、意味深で怪しいセリフばかり言いやがるぜ!
令和最新の石田彰による「それは秘密です」 #ダークオークション pic.twitter.com/frcOU5WO2y
— ゲームブロガー双葉ラー油 (@daikai6) April 19, 2026
「それは秘密です」はもう狙ってるだろ!
辿り着いた終盤のストーリーで頭を抱える

そして辿り着く終盤のシナリオが……悪い意味で凄い!「それマジで言ってます?」って展開の連発に、強引な展開とご都合主義の展開が乗りまくる。
消えた父親を追う話で家族の話が軸で、終盤で大仕掛けを繰り広げるところは『アナザーコード』に近い構成ではあるんだが、本作はペラペラのキャラに行き当たりばったりな展開、超展開から頭を抱える真相に繋がるので全然違うぞ!推理も何もあったもんじゃない!
しかもエンディングで全部解決して前に進む雰囲気を出しているが、どう考えても主人公たちだけではどうにもならない状況で、広げた風呂敷や諸々の伏線やキャラの行方やら正体やらすべて投げっぱなしでゲーム終了!
俺が完全新作タイトルで予告なくやられたら一番キレるやつをやってきたぞ!
ブチ切れた血管からあふれ出した血の海で溺れそうになってる!
怒りの船を悲しみのオールで漕いで血の海を渡り、辿り着いた業火の中でこのレビューを書いている!
シナリオがヤバ過ぎるしオークションじゃないしオススメ出来ない!

クリアまでは15時間ほど。
平坦な展開がダラダラと続き、終盤はPS1やSS時代のB~C級アドベンチャーゲームかと思うような展開に突入して投げっぱなしエンド。令和にこれが5000円のゲームとして鳴り物入りで発売されたことが衝撃!
キャラデザや声優陣、一枚絵などのクオリティは高いんだが、肝心のシステムとシナリオに問題が多すぎる。「怪しげな古城に集まった面々が、ヒトラーに纏わる品物をオークションで競り落とす。品物にはリンクする部分があり、時代背景を元に現在と過去と未来が繋がっていく」という設定は面白そうで、雰囲気も良いのに活かせていない。
公式サイトに「長い時間をかけて、この世界で何を描くべきか、何を描かないべきかを考え続けてきました。」というコメントが載っているので、伏線やギミックどうこうではなく、過去から未来へと広がる物語の中で息づく、登場キャラたちそれぞれの意志や行動を見て欲しいのかもしれない。
しかしワンパターンで強引な展開の繰り返しなのでキャラが魅力的じゃないし、投げっぱなしが度を超えてるのでとても許容できない!
完全新作タイトルの深い闇が出てしまったな……。
オススメできませんッ!!