Nintendo Switch|ダウンロード購入|Back in 1995
Back in 199564 | New ニンテンドー3DS | 任天堂
Back in 1995 を購入 - Microsoft Store ja-JP
『Back in 1995』のレビュー行くぜ!俺は遊んだのはSwitch版ね。
メーカー:メディアスケープ(Switch/New3DS)Ratalaika Games S.L.(XboxOne)デジカ(Steam)
機種:Switch/New3DS/XboxOne/Steam
ジャンル:アドベンチャーゲーム
発売日:2019/05/23(Switch)
価格(税込):980円(Switch/New3DS/Steam)990円(XboxOne)
初代PS時代の荒々しいポリゴンを再現した新作ADVだ。
2016年に発売されてから多数の機種に移植された作品で、
PS4版も予定されているぞ。
3DS版のみタイトルが『Back in 199564』となっており、
ポリゴンのタッチを変えてニンテンドウ64風にし、
カセットメディアを思わせるおまけ要素が盛り込まれている。
「あの時代」を思わせるこだわりが満載の1本となっているが、
ゲームとしては面白いものではなく、
当時を知っている人間が懐かしみながら楽しむ作品だったかな。
主人公のケントを操作し、
怪物が蠢く廃墟を探索しながら彼方に見えるタワーを目指すゲーム。
ケントは何者なのか、何故ここにいるのか、ここで何が起こっているのか。
何も分からず、とにかく謎だらけの状態からスタートだ。
謎は探索の過程で明らかになったり、明らかにならなかったりする。
画面比率は4:3で、ブラウン管を思わせるエフェクトが画面に掛かっている仕様。
エフェクトはオプションでOFFにも出来るが、ONにした方が圧倒的に雰囲気出るな。
OFFにするとこう。同じシーンでも印象が全然違う。
基本的にこういうエフェクトは切る俺でもこれはONにして遊んだ
荒々しいポリゴン、コロコロ変わって見辛いカメラワーク、扱い辛いラジコン操作と、
PS1やSS時代の3DADVを見事に再現した手触りになっている。
敵を攻撃した時の血のエフェクトや、
歩いていると床のテクスチャがグニグニ動いて
なんか気持ち悪いところなんか見事なそれっぽさ!
見ていて不安になる部屋の広さとか、背景美術の空気感がよく出来ていて、
観葉植物やちょっと豪華な家具が置いてあるエリアは特に素晴らしかった。
芽が出て捨てられたジャガイモの成れの果てみたいな怪物が襲い掛かってくるので、
レンチやピストルで撃退するか、逃げるかして対応だ。
銃での攻撃は弾数に制限があるが、
弾は無駄に沢山手に入るのでほとんど困らない。
終盤ちょっと面倒な個所はあるものの、
基本的にはアクションじゃ詰まらないバランスだ。
断片的な情報が書かれたメモを集める事で少しずつ物語が分かっていく作りで、
主人公の独白など、陰鬱とした雰囲気も含めて90年代の空気がある。
あの時代のADVって画面も内容も暗いゲーム多かったもんな!
ただ、ゲームとしてはまったく面白くなく、
謎解きはヒントを探して開く3桁のナンバーロックと
取ってつけたようなパズルっぽいミニゲームくらい。
まあ、こういうのは確かに昔からあったけども。
クリーチャーのデザインも「よく分からないだけ」でまったく魅力が無いし、
種類が少ない上に適当に殴るか撃つか逃げるかで全部処理できる。
見た目や手触りは確かにPS1時代のADVっぽいんだが、
理不尽な部分やダメな部分しか再現出来ていない……って印象になってしまうな。
当時の名作ではなく、
乱造されていたようなダメなゲームを再現したという解釈も出来るんだが
「ゲーム部分」で、本作独自の魅力や個性と言えるものが何もないので、
あの時代のゲームに多かった、無駄にエネルギッシュな熱量が感じられない。
また、こういうゲームでこういう演出を入れてくるとマジで萎えるな!
という演出を、最後の最後にド直球でやってくるのは一周回って凄いと思ったぜ……。
インディーらしいというか、同人らしいというか。
まあ、あからさまに突っ込み待ちの描写も混ぜ込んであったので、
そのまま皮肉として受け取るものではないのだろうなあ。
個性が無いとは書いたが、こここそが本作の純然たる個性と言えるかもね。
ナンバーロックのヒントやゲーム進行のフラグを立てるために
やたらあちこち歩き回る時間を含めても2時間程度で終わるボリュームだ。
物語や謎解きやアクションを楽しむのではなく、
90年代ゲーム風の世界を歩き回るのが主題のゲームと言うべきか。
本作がモチーフにしている時代は
PS、SS、3DOといった「次世代ゲーム機」が幅を利かせていた時代で、
高性能、大容量によって複雑化したゲームや、
映画的な表現を試みたゲームが一気に増えた時期でもある。
もちろん、今遊んでも素晴らしいゲームだって沢山あるけど、
単純ゆえに時代を越えた良さや微笑ましさがある
8bitや16bit時代のゲームソフトに比べると、
この時期の「洗練されていない複雑さ」に満ちたゲームには、
今見るとどこか痛々しくて苦いものが多い。
そんな陰の混沌を切り取ったような作品が本作。
『Back in 1995』はゲームとしてはただの一発ネタなんだけど、
こういうローポリゴンの不気味さ、良さを再現したゲームはまだまだ少ないし、
ゲームの外側の空気も含めて、当時をパッケージングしようとしてるところは印象的。
色々と首を傾げつつも、嫌いになれない1本だった。