Wonder Boy - Asha in Monster World
『ワンダーボーイ アーシャ・イン・モンスターワールド』のレビュー行くぜ!
このためにオリジナルの『モンスターワールドIV』もクリアしたので、
色々比較しながらお送りする。
メーカー:スタジオアートディンク
機種:Switch/PS4
ジャンル:横スクロールアクション
発売日:2021/4/28
価格(税込):3828円
備考:パッケージ版はSwitchのみ
元気いっぱいの女の子アーシャが、不思議な生物ペペログゥと協力して
王国を救う大冒険に出るアクションゲームだ。
1994年にメガドライブで発売され、
今も高い人気を誇る『モンスターワールドIV』のリメイク。
システムはそのままでグラフィックを3Dに一新し、
今のユーザーでも遊びやすい調整がされているぞ。
『モンスターワールドIV』は今回初めて遊んだんだが、
メガドライブ後期の作品だけあって、今遊んでもクオリティが凄かった。
『シャンティ』シリーズはここから影響を受けたんだなぁと実感できたね。
何度も移植されているが、今だったらメガドライブミニか、
Xbox360で配信されてる『モンスターワールドコレクション』を後方互換で遊ぶのが良い。
どちらもセーブ&ロード機能があるから快適だ。俺は360版でプレイした。
タイトル名がややこしいことで有名なシリーズでもあって……。
ワンダーボーイ(1986)
ワンダーボーイ モンスターランド(1987)
ワンダーボーイIII モンスターレア(1988)
ワンダーボーイV モンスターワールドIII(1991)
モンスターワールドII ドラゴンの罠(1992)
モンスターワールドIV(1994)←今回はこれのリメイク
日本での発売順に並べただけでもかなり変なことになっている!
ここから更にキャラを変えたアレンジ移植の『ビックリマンワールド』とか、
『超英雄伝説ダイナスティックヒーロー』とかもあるからな……。
そして今回のリメイクでも『モンスターワールドIV』を
『ワンダーボーイ アーシャ・イン・モンスターワールド』にしたから更にややこしい。
今回のリメイク版では最初にイージーモードも選択可能だ。
ノーマルには「原作に近い難易度です」と書いてあるものの、
実際遊ぶとノーマルでも格段に簡単になってるね。
グラフィックは3Dになっているが、ゲーム自体は昔と同じ2Dアクション。
剣攻撃に盾でのガード、ジャンプでどんどん先へ進んでいく。
拠点である街から出発して、各ダンジョンを順番に攻略していくのが基本の流れ。
そして序盤のイベントで仲間になる
ペペログゥとのタッグアクションが本作最大の特徴となっている。
ペペログゥを掴んで滑空したり、空中で二段ジャンプしたり、
投げてスイッチを押してもらったりと、とっても便利なペペログゥ!
二段ジャンプとかを直接するんじゃなくて、
「ペペログゥを呼んで掴む」って操作が挟まるのが良いね。
一緒に冒険してる感じがあるし、動きもスムーズだから
しっかりこのゲームの個性になってる。
ペペログゥは熱に強いので、吹き出すマグマの上に乗せて足場にしたり、
降ってくるマグマを避ける傘としても使われるぞ。
ペペログゥを酷使することで道が切り開ける構成。体張り過ぎだよペペログゥ!
アーシャ自身のアクションも、
上突きと下突きを織り交ぜた攻撃が遊んでいて気持ち良い。
敵の頭上から下突きをすると、頭の上で跳ねて連続攻撃になる。
決まるとすぐに倒せるのが爽快だ。
盾を持った敵と一進一退の攻防をする場面もあって、
ザコ敵の個性付けもしっかりしてる。
個性豊かなボスキャラも多数登場。
ガチンコ勝負が要求されるものから、地形をよく観察しないと勝てないものまで様々だ。
割とゴリ押しでなんとかなるバランスではあるが楽しいし、
ボス戦開始前の登場演出もカッコいい。
ダンジョンの構造やボス戦の作りはオリジナルとほぼ同じになっているが、
どちらかというと戦闘よりギミックで苦戦することが多い構成だ。
ペペログゥを使った謎解きは程良いバランスではあるんだが、
1つ1つのダンジョンが結構長いし、
終盤は不安定な足場を連続で乗り継ぐ場所が増えてくるので手強い……。
難易度イージーにしても、こういうところでのゴリ押しは効かないから大変だ。
救済措置はあって、
オリジナル版では1つしか持てなかった回復アイテムが複数持てる。
また、数が少ないセーブポイントでしかセーブ出来なかったが、
今回はいつでもセーブ&ロードが出来るぞ。
しかもセーブファイルは12個。難所の前では保険としてセーブしておくと良いね。
というか、終盤はセーブしまくらないと普通にキツいぜ!
オリジナル版を遊んだ時に、
落下やトゲへの接触でダメージ喰らって戻されまくる!
セーブポイントも回復手段も少ない!
ゲームオーバーになったらセーブしたところからやり直し!で、
「なんだかんだでメガドラのアクションだな……」ってなったねこの難易度。
拠点である街では剣と腕輪など購入可能。
このゲームはレベルアップの概念が無いので、
敵を倒して得たお金で新しい装備を買うことで強くなっていく。
クセの強い住人が沢山いるので会話も楽しい。
遊んでいて忘れられないのは、やっぱり金ののべ棒を買い取ってくれる金持ち!
宮殿にいる、気合入れてトレーニングしてるけど
全然バーベルが持ち上がらない人も好きだったな。
オリジナル版だと街での会話で「鎧を買おう(鎧を買っても進まない)」とか
進行ヒントが分かりにくい部分もあったが、今回のリメイクでは改善されてる。
とにかくアーシャとペペログゥの仕草の一つ一つが可愛いゲームで、
遊んでいて画面に華があるね。
アーシャが宝箱を開ける時に、お尻を振ってから開けたりするモーションがいい。
グラフィックは一新してるけど、
細かいポーズとか演出とか全部オリジナルままなのがこだわりを感じる。
街で話を聞くことになるプラプリル王妃のビジュアルも良い。
今回のリメイクでは完全な新デザインの姿を披露するシーンもあって必見だ。
めっちゃ気合入ってる。
オリジナルはこんな感じでした。
侍女さんたちもセクシー!
ボスの数々も忠実かつ豪華に3D化されている。
こちらは当時では最新技術だった多関節のボスだが……。
そのまんま3D化!
パッケージ版に付属した資料によると、新規デザインにするか試行錯誤したが、
結局元のままで行くという判断になったそうだ。
個人的に一番センスあるなと感じたのが「沈黙の塔」。
アーシャがアイテムを使うと、何もない地面から塔がせり上がってきて、
そのまま中に突撃して探索開始!という豪快なシーンだ。
オリジナルでも画面をいっぱい使った演出で迫力満点だったんだが……。
『ワンダーボーイ アーシャ・イン・モンスターワールド』、最初の塔を出現させる時の演出が好き pic.twitter.com/q28MktfPwi
— ラー油/Vゲームブロガーらあゆちゃん (@daikai6) May 5, 2021
リメイクでは3Dであることを活かしてカメラワークで「高さ」を表現してる。
これは見事なアレンジだ!アーシャの慌てっぷりがまた良いね。
評価の高かったオリジナルを丁寧にリメイクしているんだが、
ダンジョンの長さなどもそのままなのが少しつらいところ。
まあ、ここは前述したようにセーブ&ロードがあるから印象はかなり変わるが、
氷のピラミッドはそれでも面倒だ。謎解きが少し易しくなったが、
扉を開けるのに毎回呪文を入力しないといけないのはそのままだったり。
意地悪な仕掛けも多い。
これもオリジナル版からなんだけど、
せっかくペペログゥとのアクションが面白いのに、
それを制限する展開になってるのが残念だったなぁ。
アーシャの声などは「ファイルーズあい」が担当していて
元気いっぱいの演技がゲームに合ってるんだけど、
一部、同じセリフを続けて再生して間を持たせてるシーンがあって、
そこはちょっと不自然だったな。
ダンジョン内に隠された「命のしずく」を集めることで最大体力アップする要素があり、
オリジナルは一度クリアしたダンジョンに戻れなかったが、
今回のリメイクでは戻れるので、取り逃しの回収が可能だ。
良い救済措置……なんだが、完全に終盤まで進んじゃうと、
とある理由でダンジョンに戻っても途中で先へ進めなくなるのが惜しい。
クリア済みダンジョンに戻る時だけ、アーシャを同じ状態にするとかにして欲しかったね。
グラフィックは本当に丁寧にリメイクされていて、
エンディングなども凄く良かったんだが、個人的にはオープニングだけちょっと不満。
オリジナルは気合の入った専用デモでアーシャの美少女っぷりを見せ、
「おおっ!」とこちらの心を掴んでからのゲームスタート。
リメイクでは通常のモデルを横から映してるだけ。
ゲーム中とのグラフィックとの一貫性はあるが、インパクトは無くなってしまっているな。
ここは残念。
クリアまでは6時間ほど。
良くも悪くもオリジナルに忠実な内容で追加ダンジョンなども存在しない。
謎解き要素のあるアクションRPGとして一定以上の面白さはあるし、
丁寧なリメイクではあるものの、新規ユーザーはちょっと物足りなく感じるかなぁ。
定価も3000円以上するからね。
とはいえ、素朴だけど胸を打つシナリオ展開や、
愛嬌のあるキャラクター達、BGM、ペペログゥとのアクションなどなど。
オリジナル版を知らなくても魅力的に映る要素は多いので、
興味があったら手に取ってもらいたい1本だぜ。