絶対SIMPLE主義

Switch/PS4のダウンロード専用ソフトを中心に全方位でゲーム紹介するブログ。SIMPLEシリーズも応援中。

弾幕シューティング×脱出ゲームが合体!意欲作だが事故ってる!『冤罪執行遊戯ユルキル』レビュー!【PS4/PS5/Switch】

 

 

冤罪執行遊戯ユルキル公式サイト

 

『冤罪執行遊戯ユルキル』のレビュー行くぜ!

俺が遊んだのはPS5版ね。

 


パブリッシャー:イザナギゲームズ

機種:PS4/PS5/Switch

ジャンル:冤罪脱出ADV&弾幕STG

発売日:2022/5/26

価格(税込):7678円


 

脱出ADVと弾幕STGを合体させた新感覚の1本だ。

原作は『賭ケグルイ』の河本ほむら。

キャラデザは『特殊報道部』『蒼き革命のヴァルキュリア』の清原紘。

STGパートは『ボーダーダウン』や『アンダーディフィート』のグレフが担当だ。

更に声優も豪華メンバー!

発売前から舞台を上演したり小説が発売されたりと、

新規タイトルとしてかなり気合の入った展開がされている。

 

脱出ADVと弾幕STGの合体は聞くだけで相当無茶ではと思うが……。

こういう無茶なゲームへの期待を惜しまないのが、我々絶対SIMPLE主義だ!

新作シューティングで

ここまで意欲的なパッケージタイトルというのも珍しいので応援したい!

とはいえ、実際遊んだら発売前の「大丈夫かな?」という不安が

そのまま形になったゲームだったわ!

 

 

モードは本編の他にスコアアタックモードも存在する。

本編でプレイしたシューティングパートだけを遊べるモードで、

通しプレイやスコアアタックなどが可能だ。オンラインランキングもあり。

 

 

舞台となるのはユルキルランドという謎のテーマパーク。

「囚人」と「執行人」がチームを組んでユルキルゲームに挑戦する場所だ。

囚人は犯罪を犯して投獄されていた本物の囚人。

執行人は囚人が起こした事件の被害者で、

ゲーム関係なくいつでも囚人を殺せるボタンも渡されている。

 

5チームで競いあって優勝すれば囚人は無罪放免となるし、

執行人も好きな望みを叶えてもらえる。

果たして優勝するのはどのチームか?というストーリー構成だ。

犯罪の加害者と被害者がチームを組んでゲームに挑むわけだが、

囚人側はみんな冤罪を主張しているし濃ゆい連中ばかり。

 

 

チームには罪状に関連した名前が付けられている。

大量殺人チームの囚人は春秋千石(右)。

マンションに火を付けて21人を殺害した罪で投獄されている。

懲役はなんと999年だ。サクラ大戦3のロベリアかよ!

 

千石くんは本作の主人公ポジションで割とお調子者。

ただ、長年囚人として過ごしていただけあり、

色々と覚悟が決まっていて男気も見せる。

執行人である莇リナ(左)は心を閉ざしていて辛辣な態度を取るが、

協力していくうちに少しずつ打ち解けていく。

この交流の良さが見どころのチームだ。

 

ゲームの参加メンバーには

千石くんに冤罪をおっかぶせた真犯人が混じっており、

それが誰かを調べるのもシナリオの軸になっている。

 

 

双子殺人チームの囚人は山田風太・雷太(左)。

強盗殺人事件の犯人として投獄されている。

一見荒っぽいヤンキーに見えるが実は優しい兄(CV 木村昴)!

エリートだが胸の内に色々な物を抱えている弟(CV 内田雄馬)!

犯人扱いで人生破滅した2人がコンプレックスをぶつけ合いながら、

命の危険があるユルキルゲームに挑む!

それを執行人のギャルである嗅土かぐらが引っ掻き回す!

この関係性が非常にグッと来るチームになっております。

 

 

ストーカー殺人チームの囚人は、

ファンを殺害した疑いで投獄されてる地下アイドルの一凛花華(左)。

執行人である岡恵一(右)も彼女のファンだ。

典型的なアイドルキャラと、典型的なオタクキャラのコンビ。

しかし岡くんはこのビジュアルに加えてCVが安元洋貴!

喋ってるだけで謎の威圧感があり、味わい深いキャラになってる。

 

 

本当に撃退してそうじゃねーか!

 

ハイテンションかつ他のチームと一味違う関係を見せるのが特色で、

なんだかんだ一番印象に残ったのはこいつらかもしれない。

 

 

謀略殺人チームの囚人は御室玄徳(左)で、執行人は明烏イザネ(右)。

この2人はユルキルゲームを主催している株式会社ユルキルの社員だ。

とある約束のためにゲームに参加している。

他のチームとは一線を画した立ち位置と言えるが……?

 

 

このゲーム、男性キャラが基本あざといんだけど玄徳が一番あざとい。

紳士気取りの外面の良さを保てなくてすぐ舌打ちしちゃうのに、

ポップコーンが好きとか、チュロスを初めて食べて感動して、

帰ったら家の者に作らせようとか考えてるとか、マジあざといなお前!

追い込まれた時の取り乱しっぷりも100点だ!

 

 

覗き魔チームは迷惑防止条例違反で懲役2カ月という、

明らかに何かがおかしい罪状でゲームに参加してる2人組。

囚人は名探偵を自称する明智アランポ(右)。

執行人は小林クリスチーナ(左)だ。

 

それぞれ本名が薔薇葉原紅太郎と薔薇葉原紅子という実の兄妹。

分かりやすく完全なギャグコンビである。

名探偵・明智アランポって名前でCVが杉田智和の奴が

「ディテクティブ正拳突き!」って叫びながら仕掛けをぶん殴るとか

マジで分かりやすいポジションだな!

 

 

参加チームは以上。

彼らを案内するのがキツネの面を被ったびん子という女性だ。

常にテンションが高いが謎だらけのキャラ。

一言喋る度に演技をコロコロ変えるCV小林ゆうの怪演っぷりが見事。

囚人服のようにも見える着物が印象的だ。

 

 

プレイヤーの視点はエピソード毎に変化する。

最初に各チームがゲームに挑む様子を個別に描き、

そこから複数チーム入り乱れての準決勝、決勝戦へと進んでいく。

 

各エピソードは脱出ゲームパート→弾幕シューティングパートという構成。

脱出ゲームパートは部屋を調べて扉を開くためのアイテムを集めていく。

散りばめられた謎を解き、3つの扉を開けばクリアだ。

 

 

脱出ゲームとしてはオーソドックスで難易度もかなり低い。

調べられる場所は少ないし、謎解きはちょっとした数字パズルが中心。

前提となる情報が確認し辛い場面もあったりで、洗練されていない印象だ。

一応ヒント機能はある。

 

 

途中で執行人がキレる「ユルキルジャッジメント」というイベントもあり、

正しい選択肢を選んでなだめないとゲームオーバー。

まあ、これも簡単だしすぐやり直せる作りだ。

 

 

脱出ゲームパートの舞台になっている部屋は、

囚人が犯した犯罪に関連した作りになっている。

警察しか知らないような情報も盛り込まれていて怪しさ満点。

探索することで、事件と登場人物が掘り下げられ、

事件の不審な部分も浮かび上がってくるのだ。

 

 

そして脱出ゲームパートをクリアするとSTGパートへ!

VR空間という設定になっており、

いきなり戦闘機に乗って変形メカや巨大ロボ、大型戦艦と戦わされるぞ!

どういうことなんだよ!

さっきまで脱出ゲームで火災事件の謎に迫っていたのに……!

 

プレイヤーは戦闘機に乗った囚人を操作し、

ボスキャラとして登場する執行人を説得しながら戦う。

執行人はその様子を見て「赦ス」か「殺ス(Kill)」かを決めるのだ。

はい!ユルキルでタイトル回収!

 

 

事件を振り返るクイズに正解すると残機が増えるシステムなどもあるが、

基本はザコ戦とボス戦で組まれたゴリゴリの弾幕シューティング。

 

システムは「アウトバーストゲージ」を使った攻防が軸だ。

ゲージは敵を撃つか、倒した時に出現する破片を吸収することで上昇。

20%以上あれば少し消費して弾消し性能がある

「アウトバーストショット」を発動可能。

これで敵や弾を消すとボーナススコアが入る仕様だ。

 

20%以上ある時にゲージをすべて消費して放つのが「アウトバーストボム」。

敵を吹き飛ばして少しだけ無敵になる。

ゲージ100%でボムを撃てばボスも一撃で倒せる!

難易度ノーマルまでならオートボム機能もあり、

ボムを撃てる状態で被弾すると自動で使ってくれる。

 

 

システムはそれだけでかなり単純だが、

ゲージ管理しつつバリバリ敵を撃ちまくるのが楽しい作りだ。

ゲージは簡単に増えていくし、

頑張ればボスを1撃で倒せるというのが爽快で良し。

ステージ構成も機体性能に合わせてちゃんと作ってある。

例えば全方向に攻撃出来るキャラのステージは、

四方から敵が攻めてくる構成になってるとかね。

 

難易度ノーマルでも残機は20機で始まるので難易度は低め。

と言いたいが、中盤からは地形もボスも手強くて普通に歯応えあるかな……。

オートボムがあるとはいえ、

シューティング苦手な人だと難易度イージーでも手こずるかも。

 

 

そういう盛り沢山なゲームになっているが欠点は多い。

まずウリである弾幕シューティングとADVの融合が上手くいっていない!

申し訳ないがゲームのウリから否定させてもらう!

 

 

脱出パートで集めた手掛かりを駆使して

執行人を説得する構図になっているんだが……。

ボス第一形態を撃破!

相手の発言に証拠を突き付けるパート開始!

ボス第二形態スタート!撃破!

相手の発言に証拠を突き付けるパート開始!

 

みたいな感じで、これ融合してる?あんまりしてない!

1ステージにボス戦が何回も挟まれるので余計にテンポ悪く感じる。

 

 

シューティング部分もよく分からんメカの敵相手に

宇宙ステーションや基地で戦う作りになっているので、

全然違うゲームを強引に差し込んだ感が拭えない。

 

一応、ステージ1のエリア3は事件に引っ掛けて燃えてる街とか、

ステージ2のボスのエフェクトは凶器の包丁とか、

ステージ3はアイドルの話なのでペンライト振るロボット軍団が登場とか、

多少は事件に絡めた構図になってるけど物足りない。

 

インパクト重視でこうしたのかもしれないが、

『式神の城』や『KOFスカイステージ』みたいに

普通に人間が飛んで戦う形式で良かったのでは。

グラフィック自体は割と凝ってはいるんだが。

 

 

クリア後はスコアアタックモードで、

イベントをカットしたシューティングパートだけを通しプレイ出来る。

アーケードのシューティング感覚で遊べるわけだ。

これならシューティングの新作と聞いただけで、

脳死で買ってしまう残念なお友達も満足!

誰が残念なお友達だコラァ!

 

が、このゲーム、1ステージが3つのエリアに分かれていて、

各エリアの最後で毎回ボスと戦う構成。

それで全7ステージなのでかなりの長丁場。

通しプレイすると普通に2時間近く掛かるぞ!

この1周の長さにはコンパイルもびっくり。

 

1ステージずつのスコアアタックもあるので、

そっちで楽しむのが前提の作りかなぁ。

それなら単純なシステムで楽しく遊べる作りではある。

 

 

シナリオは人生が破滅した囚人と執行人が、

お互いの感情をぶつけ合う序盤は引き込まれるし

チーム同士の謎解きバトルになっていく中盤もワクワクするんだが、

後半は安直かつ強引な展開の連発で尻すぼみになっていく。

あのオチもなぁ……。

 

盛り上がるお約束展開をぶっ込みまくった、

「良くも悪くもエンタメに全振りした」作りと言えなくもないので、

作品の空気に乗れた人だったら楽しいと思う。

が、俺は遊んでてかなり興ざめしてしまった。

スタッフは違うが、同じイザナギゲームズの

『ワールズエンドクラブ』に近いところがあるかもしれない。

 

 

クリアするだけなら10時間掛からないくらい。

キャラの魅力でそこそこ楽しめたし、

意欲作として評価はしたいんだが……。

作り手の思い切りの悪さやシリーズ展開したい色気が、

モロにシナリオとシステムに出ている印象だった。

 

一番残念だったのは

「シューティング苦手な人でも楽しめるシューティングにするぞ!」

という気持ちがあんまり感じられない点だね。

とりあえずオートボムと難易度イージーがあれば良いでしょって作り。

「シューティング苦手だけどADV好きだから買おう」

という層がかなり多そうなゲームなだけに、

そこはもっと試行錯誤してもらいたかった!