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ポストアポカリプス世界を死に続ける少女と旅する『一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう』レビュー!【PS4/PS5/Switch】

 

一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう

 

一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう-PSstore

 

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『一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:ケムコ

機種:PS4/PS5/Switch

ジャンル:死に続ける少女と滅亡世界を旅する絶望ノベルゲーム

発売日:2022/10/14

価格(税込):1430円


 

2015年にスマホなどで配信されたノベルゲームのリメイク。

『最悪なる災厄人間に捧ぐ』『アーキタイプ・アーカディア』を手掛けた

ウォーターフェニックスの過去作だ。

リメイク費用を募るクラウドファンディングで目標の845%を集める大成功を収め、

グラフィックを一新し、UIを家庭用ゲーム機に最適化しての登場となった。

 

『「絶望的な状況の中で抗うキャラクター達の物語」を貴方に提供します。』

がスローガンのウォーターフェニックスだけあり、

そりゃもう酷いことになっている!

公式ジャンル名も「死に続ける少女と滅亡世界を旅する絶望ノベルゲーム」とか、

鬱病になったテイルズオブシリーズみたいなネーミングだ……。

(テイルズオブシリーズ自体が鬱展開多いという話はさておき)

 

ただ、内容はそこまで露悪的なノリでもなく、

短編ながら綺麗にまとまっていて良い作品だった。

 

 

作りは一本道で選択肢の無いノベルゲーム。

主人公である鏡夜という人物が薄暗い部屋で目覚めるところから始まり、

彼の前に何度も死んでは復活する謎の少女が現れる。

 

 

少女によると既に人類は戦争によって滅びており、

残った人類は少女と鏡夜の2人だけ。

そして少女は神によって人類の罪を償う使命を与えられており、

世界中を巡りながらあらゆる哺乳類の「最期の瞬間」を身を持って体感し、死にまくることで罪を償っている。

その話が信じられない鏡夜は少女と共に、生き残ってる生物を探す旅を始める……というストーリーだ。

 

 

設定的には人間の罪が軸になっているポストアポカリプス作品ではあるんだが、

主題となっているのは主人公とヒロインの交流であり、

そこ以外の大部分はプレイヤーの想像に任せたシナリオになっている。

 

 

死んで蘇り続ける少女も凄まじいが、鏡夜自身も100日以上飲まず食わずで生きていられたりと色々おかしい。

果たして一体何が起こっているのか。それは旅の中で明らかになる。

 

 

喜びも無く無感情に死に続ける少女の姿があまりに悲痛で、

何とかしたいと思う鏡夜の気持ちにシンクロする一方で、

果たしてそれは本当に少女の為になるのか……と考えてしまう。

でも鏡夜の行動で少しずつ人間らしくなる姿がとても魅力的に描かれていて、

もっと幸せを知ってくれ!という気持ちにさせられる。

 

 

そしてそれらと並行して、死に覚えのアクションゲームでもこんなに死なんだろ!

ってくらい死に続ける少女の姿に鏡夜もプレイヤーも慣れていく。

慣れていってしまう。

終わりが見えないまま続く旅は途方もないスケールの展開を見せ、

「この物語はどこに辿り着くんだ……」とこちらを引き込んでくるぞ。

 

最初から最後まで少女を演じた松代真由さんによる演技が素晴らしく、

無感情な声に感情が滲染みだす瞬間が見事で心揺さぶられたぜ。

光の表現が美しい一枚絵も豊富で、物語に彩りを添えていたね。

 

 

クリアまで4時間くらいのボリュームだが、

『一緒に行きましょう逝きましょう生きましょう』

というタイトルに集約するシナリオで綺麗にまとまっており、

エンディングを見た時は今回の移植で遊べて本当に良かったと思えた。

セカイ系の作品好きな人には特にオススメしたい!