『マヨナカ・ガラン』のレビュー行くぜ!
メーカー:ソニー・ミュージックエンタテインメント(PS4/Steam)
機種:PS4/Switch/Steam
ジャンル:オカルトホラーノベルゲーム
発売日:2018/10/4
価格:1200円(税込)
CAVYHOUSEが同人ノベルとして発表した作品を移植したものだ。
元々VR対応作品だったので、
PS4とSteam版も後日アップデートでVR対応が予告されているぞ。
PVの雰囲気に惹かれて買ったがなかなかたまらない1本だった……!
舞台は大正時代。
隠れキリシタンたちが住んできたという歴史がある「大臼村」では、
村のシンボルである聖堂の完成に湧き、村おこしをしようという機運が高まっていた。
主人公の「橘はももる」は、外部の牧師として村おこしに協力するために呼ばれたが、
村を巡るうちに彼らの奇妙な信仰と奇跡を目の当たりにすることになる……。
というストーリーだ。
ジャンルは嶋村侑などの豪華声優陣も使ったフルボイスの3Dノベルゲーム。
物語は一本道で選択肢や分岐は無し。
3Dのキャラを動かすゲームではなくテキストと映像を読み進めるゲーム。
移動する場所を選ぶパートはあるが
見る場面の順番が変わるだけでストーリーに変化はないぞ。
何といっても特徴的なのがこのグラフィック。
数世代前のゲームのようなローポリなんだけど、
硬質な色合いと刺繍のような模様の数々が上手くマッチしていて、
独自の文化が発達した村の非現実感を出すことに成功してる。
更に目を引くのがメインキャラ以外の村人のビジュアル。
「村人の体がシルエットになっていて、
そのシルエット部分を透過してメインビジュアルが透けて見える」
という独特の表現!
最初はかなり見辛く感じたんだが、
遊んでいくとこれも雰囲気作りとして上手いと思えた。
このゲームの村人の表情や個性の描き方はこの表現方法だからこそだ。
移動パートで挟まる村の全景がまた不気味でスゴいぜ。
この画面では村の状態を確認することも可能で、
結構細かく変化してるのでマメに見ておきたい。
メインキャラも立っていて、
村を近代化しようと張り切っている村長の息子である寿安に、
その親友で物静かだが宗教の布教に熱心な神父の黒州。
お嬢様と呼ばれている謎の女の子。
それぞれが自分の目的のために立ち回る姿がしっかりと描かれている。
主人公の橘さんは困ったような「…はい?」が可愛いし、
お嬢様の遊んでいるこちらが気になっているところを
スパッと言ってくれるところも好きだな。
村人は主人公に好意的で、すっとぼけたキャラも多いので明るい雰囲気。
主人公も村人の作った料理を凄い勢いで大食いしたりと和やか。
しかしこの明るさが後々に効いてくる。
物語が進んで村の人々との交流が深まり、過去の歴史を調べていくうちに
小さな違和感やすれ違いが積み重なっていき、ある瞬間に一気に決壊する。
村の歴史、死人、奇跡、そして聖人。遊んでいてグイグイ引き込まれるぜ!
ちょっと拙いところもあるがカメラワークなど演出も上手い作り。
ここぞという部分でしっかり盛り上げてくれる。
クリアまでは3時間ほど。
中盤から後半はやや駆け足で
もうちょっと村の様子や設定などを細かく描写して欲しかったところもあるが、
このくらいのスピードで進むからこその面白さでもあるのかな。
とにかくゲームが進んでいくとキャラやセリフの印象がガラリと変わる構成が巧みで、
あのエンディングの余韻も含めて胸に残る作品だった。
舞台設定に惹かれたのならばオススメしたい!
しかしこれVRだとどういう感じなんだろうなー。
アプデ来たら再度プレイしてみよう。