ドラゴンボール Z KAKAROT | バンダイナムコエンターテインメント公式サイト
トロコン&全サブクエストクリアしたので、
『ドラゴンボールZ KAKAROT』のレビュー、いっちょやってみっか!
俺がプレイしたのはPS4版ね。
メーカー :バンダイナムコエンターテイメント
機種:PS4/Xbox/Switch
ジャンル: 悟空体験アクションRPG
発売日:2020/01/16(PS4/Xbox)2021/9/22(Switch)
価格(税抜):7600円
孫悟空となって『ドラゴンボールZ』の世界を体感するアクションRPGだ。
「サイヤ人襲来編」から「魔人ブウ編」までを収録し、
ゲームオリジナルでこれまで語られなかったシーンも満載の内容だ。
開発はサイバーコネクトツー。
これまで数えきれないほど出て来たドラゴンボールのゲームだが、
その中でもかつてない大ボリューム。
ゲーム全編に「ドラゴンボールっぽさ」が溢れた素晴らしい作品だった。
ドラゴンボールが好きなら好きなほど、
すげぇ気を持ったゲームなのが伝わる作り込みとなっているぞ!
見逃せない不満点も色々あるんだが、
それでも「俺はこれがやりたかったんだ」と感動できる内容だったぜ……!
ストーリーはラディッツ襲来の少し前。
悟空が脳内でピッコロと戦うチュートリアルからスタートだ。
ここから壮大かつ摩訶不思議な冒険が幕を開ける!
父親らしいところを見せる悟空のゲームオリジナル描写が既にいい……。
タイトルは「カカロット」なものの、ストーリー進行に合わせて悟飯やピッコロ、
ベジータ、トランクスも操作可能となっているぞ。
そもそも原作でもアニメでも、悟空って不在の時期が長いからな!
このゲームでも悟飯を操作している時間が6割くらいな気がする……。
広大なフィールドを飛び回りながら、
メインストーリーを進めるも良し、あちこち探索してみるも良し、
サブクエストをこなしても良し、各地に点在してる強いザコに挑んでみるも良し。
そんなゲームになっている。
パッと見はオープンワールドっぽいが、
そういうわけではなく地域によって区切られたエリア制だ。
とはいえ、一つ一つのエリアはそれなりに広く、
それが10エリア以上あるからかなり探索し甲斐がある。
『ドラゴンボールZ KAKAROT』、やっぱりこの探索パートの「ドラゴンボール感」だけで唯一無二のスゴさだよ。 pic.twitter.com/Xw8uAjvkYD
— ラー油/Vゲームブロガーらあゆちゃん (@daikai6) January 26, 2020
普通のゲームだったらチートみたいな速度で爆走できて、
ジャンプから舞空術に即移行して大空を自由に飛び回れる。
木をなぎ倒し、地面を削りながら突き進み、川や海に飛び込んでそのまま上昇したり。
この圧倒的な「ドラゴンボール感」だけで唯一無二のゲームだ!
あちこちに散らばってる素材アイテムを集める要素もあるが、
基本的には光ってるポイントに突っ込んでいくだけで
ジャラジャラ回収されるのが気持ち良い。
原作で印象的だったロケーションはほとんど収録しているため、
「悟空の家からオレンジスターハイスクールまで舞空術で飛ぶ」
なんてことも可能だ。これを魅力に感じられる人だったら絶対楽しめるゲーム。
しかも少年悟飯の時期にオレンジスターハイスクールに行くと
専用セリフがあったりして細かいッ!
たまに18号さんがカチコミに来るミスターサタンの家だ!!!とか、
こんなところにヤムチャの隠れ家が?!とか、
飛び回ってるだけでめちゃくちゃ楽しい。
地球だけでなく、ナメック星や界王神界も飛び回れるぞ。
飛び回っているとどのキャラも細かくボイスでリアクションしてくれるのも良い。
何を見てもいいリアクションする悟空とか、
何を見ても謎の上から目線で感想を言うベジータとか、
人造人間に破壊される前の街を見て不思議な気持ちになるトランクスとか個性出てる。
悟空でデカい滝の近く通ったら「ピッコロが修行してそうな滝だな!」とか、
微妙にメタっぽいこと言い出して耐えられなかった。
「気を探る」ことで近くにある素材や人、スポット、
イベント、ザコキャラの戦闘レベルなどを感知できるシステムもある。
こういうのは最近のオープンワールドゲームだとよくあるが、
ちゃんとドラゴンボールらしい形に落とし込んでるね。
釣りスポットでは釣りも可能。
悟空と悟飯は少年編ネタで「付けしっぽ」を使うが、
ベジータやピッコロは普通に釣り竿を使うぞ。
ちなみに「付けしっぽ」は悟空がブルマに頼んで作ってもらった設定。
ドラゴンボールのゲームはすぐブルマに設定を投げやがる!
普通の釣りゲーなら超大物である数メートル級の魚をポンポン釣りあげて、
蹴りで大人しくさせてゲット!をしまくるのがさすがZ戦士である。
釣りゲーとしてもめちゃくちゃ簡単で、
地球の魚ではサイヤ人やナメック星人に対抗できないのがよく分かる。
普通にそこら辺を恐竜がノシノシ歩いてるし、
体当たりを喰らっても吹っ飛ばされるだけで
ノーダメージなのも素晴らしいドラゴンボールっぽさ。
気弾を当てて倒せば高級素材をゲットだ。
後半になるとアルティメット悟飯に気弾ぶつけられる恐竜かわいそう……。
「そのうちシッポ無くなっちゃうぞ」どころの騒ぎではない。
「いますぐ体ごと消し飛んじゃうぞ」だわ。
恐竜以外にガゼルやオオカミも狩れるようになっているが、
こちらも普通にダッシュして接近してボタン押して殴るだけで簡単に捕まえられる。
君も孫悟空になってスーパーサイヤ密猟をしよう!
あえて舞空術ではなく筋斗雲や二足歩行ロボ、エアカーを乗り回したりもできる。
エアカーはスピードもそこまで早くないし凸凹した地形も走り辛いので、
「車より飛んだ方が早いのになぁ~~!」ってなるところが、
尋常じゃなくドラゴンボールらしいので120点です。
悟空の気持ちが完全に理解できるぞ!
ゲームの要素を一つ一つ見ていくとありがちなものばかりなんだが、
そこに「ドラゴンボール」というかめはめ波をぶつけることで
物凄い化学反応が巻き起こっているぜ。探索の楽しさが果てしない。
フィールドでザコ敵にぶつかったり、メインストーリーを進めれば戦闘が発生。
戦闘は相手をロックオンして格闘や気弾で戦う3Dアクション。
コンボをバシバシ繋げたり、気を溜めて必殺技を発射したりが可能だ。
『ドラゴンボールゼノバース2』を簡略化したような作りかな。
ボタン連打で回避アクションを簡単に繰り出せたり、
必殺技を選択してる時は時間がゆっくりになったり、
回復アイテムのゴリ押しが出来るようになっているのが遊びやすい点。
ストーリーが進めば界王拳や超サイヤ人、元気玉など
お馴染みの技がどんどん増えていくし、コンボが出来るようになってくると楽しいぜ。
仲間と一緒に戦える時は必殺技で擁護もしてもらえるし、
ゲージを溜めれば3人同時の協力技も発動だ!
ただ、敵が攻撃してものけぞらないスーパーアーマー付きの攻撃で、
カウンターしまくってくるし、
スーパーアーマー付きの攻撃は赤いエフェクトが出るんだけど、
土煙や光のエフェクト、カメラワークなどで見辛い時が多かったり、
複数の敵が相手だと横から割り込み攻撃されまくったり。
避けに徹しないといけない大技を頻繁に使ってきたりと。
チマチマした戦いになりがちなのは気になるところだ。
必殺技演出などは気合入ってるんだが……。
スキルや技を覚えて強くしていく楽しさはあるし、
相手を怯ませる格闘技を軸に戦うことや、
気を溜めるボタンでコンボの最後をシメると気が回復することを意識すると、
大分手触りが変わって楽になる。それなりに面白い作りにはなってるね。
育て切ると戦闘開始と同時にアルティメット悟飯とか、
開始と同時に特大元気玉とかで圧倒できるようになるのはこれはこれで楽しい。
悟空の家でチチに作ってもらう料理を食べると
数分間だけステータスが上昇するため、これをしっかり活用するとかなり楽になる。
特に序盤はラディッツ、ナッパ、ベジータがしょっぱなから強敵なので満腹で挑もう!
料理には少しだが永続でステータスが上がる効果もあるんだが、
実は進めば進むほどステータスがインフレしていき、
「今更攻撃力が永続で10とか20とか上がったところで……」ってなるので、
あんまり気にしない方がいいかも。
数分間のステータス上昇は「〇〇%」なので最初から最後まで恩恵がデカいぞ。
ちなみに料理を食べるシーンはパーティメンバーが反映されるので、
ベジータ、ヤムチャ、ピッコロとか会話が弾まなそうなメンバーにも出来るぞ!
こいつらカカロットの家で何やってんだ……。
ピッコロさんは水だけでそもそも料理を食わないのが細かい(でも効果はある)。
メインストーリーやサブクエストで手に入るキャラのエンブレムを、
コミュニティボードにセットし、
各コミュニティのレベルを上げると戦闘や冒険、料理が楽になる要素もある。
Z戦士コミュを強化すれば攻撃力が上がるし、
冒険コミュなら回復アイテムなどが強くなる。
修行コミュなら防御力や入手経験値が上がったりね。
コミュレベルを最大まで育て切った時の恩恵はかなりデカいので、
コツコツ強化するべし。
探索のボリュームも凄いんだが、原作再現に関しても圧巻の一言。
過去のドラゴンボールゲームではなかなか再現されなかった細かいシーンを
ボイス付きでしっかり再現してくれている。
遊んでいて何度「おおっ、このシーンあるんだ!」と叫んだか分からないぜ!
ミスターサタンが16号の首を投げるシーンとか、
チチが「悟飯ちゃんにエッチなことすんじゃねぇだぞ!」
ってビーデルさんに言うシーンもちゃんとあるし、
スポポビッチもヤムーもプイプイもヤコンも出てくる!
大分端折られていたがビーデルさんの「治ってるーー!」もある!
運よく復活出来たパーフェクトセルが宇宙空間で大喜びする回想もある!
ベジータ戦で天津飯が腕を切り落とされるシーンを再現してたのもビックリした。
欠損描写いいんだ!?
アニメのOPで親の顔より見たこのシーンもちゃんとある!
時代に合わせて変化するブルマの髪型と、
ヤムチャの服装の変化まで再現してるのも細かい……。
人造人間編の冒頭だけベジータがピンクシャツ着てたりもする。
BGMがアニメ版『ドラゴンボールZ』のアレンジなのも嬉しい所。
聞き覚えのある曲が次々に流れるぜ!
見せ場のシーンのデモも凄まじいクオリティで、
悟空vsフリーザの決着、魔人ベジータの最期やベジットの奮戦も熱い。
最新ゲームであの名シーンをやるとこうなる!というのを全力で魅せてくれる。
17号を吸収しようとするセルの肩を、16号が「トン」と叩いてからボコって
ヘルズフラッシュ決めるシーンも良かったなぁ。
悟空がナッパをぶちのめして片手で持ち上げるシーンの再現も……。
いやキリがないわこれ!
エフェクトの美麗さはもちろん、
3Dモデルの「ぐにっ」とした表情の変化が上手くてめちゃくちゃ見応えある。
『ドラゴンボールファイターズ』の演出も神次元レベルだったが、
これは甲乙つけがたい……!
あっちは演出を格闘ゲームの尺に収める必要があったから、
単純比較は出来ないんだけどね。
各地で発生するサブクエストも本編の補間になっているものが多く、
セルゲーム前に悟飯と16号が交流するイベントは非常に良かったし、
登場キャラの人間関係を掘り下げるイベントが多いのも好き。
特に悟空とチチの、セルゲーム前のあの空白期間の使い方は上手い……。
全体的にチチの可愛さが盛られているのも本作の特徴と言える。
ピラフ一味やランチさんやハッチャン、
鶴仙人&桃白白などが再登場するイベントも満載だ。
原作のかなり細かい突っ込み所を拾ってくるイベントもあるんだが、
「セルは頭に核があるって言ってたけど、上半身吹っ飛ばされてたよね?」とか、
「精神と時の部屋って定員2名だったのに後半は4人入ってたよね?」とか、
フォローする箇所がマジで細かすぎる!
細かいと言えば図鑑機能。
キャラの項目を見ると「アニメでは~」から始まる余談で、
マニアックなエピソードがいっぱい書いてあるのが笑える。
プレーリーガゼルの項目に、
「余談だが、アニメではよく元気玉に元気を分けている」
とか書いてあって耐えられなかった。確かによく映ってたけども!
一定条件を満たすことで手に入るカードダス収集要素も世代だとガード不可能!
全100枚だが、当時のカードダスをそのまんま収録してるのがずるいわ!
そんなわけで全体的には規格外の面白さなゲームになっているんだが、
戦闘以外で見逃せない欠点も多い。まずロード時間で、
エリアから出入りする時はPS4proでもそこそこ長いロード時間が挟まるし、
イベントで「悟空がどっか行って戻ってくる」ってシーンがあると、
それだけで2回ロードを挟むことがあったり……。
サブクエストも内容自体は素材集めのおつかいイベントなど単調なものばかりで、
強引にガイコツロボと戦うだけのイベントも多すぎる……。
序盤のザコ戦で散々戦うことになるのにサブクエでも戦うのか!
普通にそこら辺で暴れ回ってる上に、
一般人から犯罪者まで使ってるけど普及し過ぎじゃないの!?
サブクエストの掘り下げも基本的には、
「なるほど!」「そんな話あったな!」ってなるものばかりで面白いのだが、
一部「ちょっとこれは……」となるものもあったりする。
獣人関連の世界観設定とか、ちょっと株を下げる天津飯とか、
あとまあ、もはやテンプレになってる雑なヤムチャいじりとかね。
ゲームオリジナルの描写だと、
ラディッツにベジータとナッパが「弱虫ラディッツ」って呼ばれる回想シーンを、
冒頭に入れちゃうのもちょっと微妙。最初にこれ入れちゃうと、
ラディッツという正体不明の超強敵が突然やってくる上に、
そこから更に強い奴が2人いることが判明するっていう元の流れが崩れちゃう。
「もうみんな知ってるでしょ?」ってことなんだろうが、
ラディッツ襲来の絶望感は原作でも凄いとこなので崩して欲しくなかったなぁ。
原作再現は基本に細かいものの、
だからこそカットされてるシーンの多さが気になってしまう。
クリリンが拡散エネルギー弾でサイバイマン倒すシーンや、
悟飯が恐竜のしっぽ焼いて喰うシーン、ムキンクスの存在、
コルド大王が剣使うシーンなどなどなど。
印象的なシーンが結構カットされてるんだよね。
剣の借りパクはコルド大王最大の見せ場で、
過去のゲームやカードダスでも散々再現されたのに!借りパク大王に謝れよ!
悟空の出番があんまり多くないのに、蛇の道や界王星での修行、
ナメック星へ向かう宇宙船での修行がカットされてるのも残念。
蛇の道をこの軽快な操作で走り回りたかったなぁ。
ただ、ここに関してはあくまでも
「再現が細かいからこそカットが気になる」という話だ。
基本的にはこだわりを持って作っているのが伝わる内容なので、
「このシーンをカットするのは制作スタッフも無念だったろう……!
皆まで言うな!俺はその気持ちをちゃんと分かっているからな!」
という謎の気持ちで許せるようになってくる。
不満点もあったが、終えた時の満足感が本当にすごいゲームだった……。
グラフィックの迫力もボイス量もハンパじゃないし、何もかもが規格外の作り込み。
ファミコンの『ドラゴンボールZII 激神フリーザ』や、
スーファミの『ドラゴンボールZ超サイヤ伝説』辺りから、
色々なドラゴンボールのゲームを遊んできた俺は感無量。
ラディッツ戦から純粋ブウ戦までをゲーム1本で描き切っているからこそ、
描写に厚みが出てブウ編終盤のベジータのセリフや、
ラストシーンのチチなどの名シーンで改めてグッと来る。
期待を裏切らない内容だった。
サンキュー!ドラゴンボール!