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絶望を楽しめ。大切な記憶が燃え尽きる前に『アーキタイプ・アーカディア』レビュー!【PS4/PS5/Switch】

 

アーキタイプ・アーカディア公式サイト

 

『アーキタイプ・アーカディア』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:ケムコ

機種:PS4/PS5/Switch

ジャンル:終末仮想世界ノベルアドベンチャー

発売日:2021/10/21

価格(税込):3980円(ダウンロード版)4980円(パッケージ版)


 

ケムコとウォーターフェニックスが送る完全新作のノベルADVだ。

最悪なる災厄人間』に続いての絶望タッグ!

ポストアポカリプス世界で稼働する謎のVRオンラインゲーム、

「アーキタイプ・アーカディア」が舞台のストーリーとなっているぞ。

 

最悪なる災厄人間』は色々な意味で尖り過ぎたシナリオだったが、

こちらはかなり万人向けにチューニングしてきた印象。

練られたシナリオは舞台設定を上手く生かしているし、

どこまでも強く脆い登場キャラたちや、

希望も絶望も燃えも欝もある怒涛の展開に揺さぶられた。

めっちゃ面白かった……の一言に尽きるぜ!

 

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ゲームとしては非常にオーソドックスなノベルADVで選択肢も単純だ。

 

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インデックス機能があるので、振り返りや選択肢の確認も簡単。

一度選んでバッドエンドになった選択肢も記憶される。

スキップやオート機能、そして「次の選択肢までスキップ」機能など、

基本的な機能は一通り揃ってるぞ。

 

ただ、インデックス機能は章ごとの分け方が大雑把なので、

もうちょっと細かく分けてくれたら振り返りやすかったかな。

あらすじに書いてない重要イベントが多すぎる!

 

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舞台となっているのは謎の「原罪病」によって文明が崩壊した後の世界だ。

「原罪病」は発症すると幻覚や悪夢に悩まされ、

末期になると完全に正気を失って自傷・加害行動に走る病気。

治療法はないが『アーキタイプ・アーカディア』という、

何故か文明崩壊後でも稼働してるオンラインゲームを遊ぶことで

症状を抑えることはできる。

ヤバい病気が発症したら、ヤバそうなゲームを遊ばないとヤバい世界ってわけだ!

 

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治療を「ログイン」、やめる事を「ログアウト」、

患者を「プレイヤー」と表現してるのがなかなか凄い。

 

主人公であるルストとその妹であるクリスティンは、

生存者を探して旅をしていたが、

ある日、毎日ゲームを遊んでいたクリスティンが目を覚まさなくなる。

 

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ゲームの世界から帰ってこれなくなったクリスティンを助けるために、

ルストは生まれて初めて『アーキタイプ・アーカディア』の世界にダイブする!

という、ポストアポカリプス+VRオンラインゲームなストーリーだ!

 

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専用デバイスを装着して遊ぶ『アーキタイプ・アーカディア』の世界は現実そっくり。

色々な食べ物や住む場所もある。

いや、現実だと文明は崩壊してるわけで、ゲーム内の方がよほど恵まれているか。

現実と同じように痛みや味までも感じるし、ゲーム内には人も大勢いる。

 

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そしてそこで行われているのはプレイヤーの記憶を使った召喚バトル。

プレイヤーの記憶から生成された4枚の記憶カードを使い、対応したアバターを召喚。

アバターで相手と戦うのが基本のルールだ。

 

ダメージを受けて体力がゼロになるとレッドアウト状態になる。

一定時間経てば体力最大で復活するが、

レッドアウト中に記憶カードを壊されると、対応した記憶を失う。

すべての記憶カードを壊されたらゲームオーバー。

その場合は現実でも記憶が完全破壊されて理性を失うため、死ぬのと同じだ。

 

なんで人類がヤバい状態なのに、

わざわざゲーム内で死にそうな記憶カードバトルに没頭しているのか。

そもそも現実世界に人が全然いないのに、何故ゲーム内には人が大勢いるのか。

そこら辺もゲームが進むと少しずつ分かってくる。

 

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ルストがログインしてすぐにクリスティンとは再開できるが、

記憶カードがほぼ破壊されていて、まともに喋れなくなっている。

何があったのかは分からないが、

「祝福の光」というアイテムを集めれば記憶カードを修復可能なので、

その辺も含めて「妹を助ける」のが当面の目標。

 

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VRオンラインゲームを舞台にした作品は色々あるんだが、本作は世界観が面白い。

文明崩壊してから年月が経っている上に、記憶を失っている人も多いため、

ゲーム内では既に「現実世界」のことを知らない人も珍しくない。

 

主人公であるルストもゲーム初心者かつ、文明が繁栄していた頃を知らない世代。

他のプレイヤーとの会話で知識や生活のギャップを埋めつつ、

手探りでゲームのルールや戦い方を身に着けていく流れはワクワクする。

 

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能力バトル作品としてもよく出来ている。

記憶カードから召喚するアバターはプレイヤーによってまったく異なるし、

地形の活用や一緒に戦っている仲間との連携、

戦うのはアバターだが本体であるプレイヤーを倒せばOKという基本戦術もある。

この辺りを多面的に生かしたバトルは見応えあり。

「ゲームの仕様」を活用した攻防や騙し合いも見事だ。

 

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また、記憶カードには「共感率」という、

その記憶にどれだけ共感できるかを示す概念があり、

これによって強さが大幅に変化。

楽しい記憶のカードだったら楽しい気持ちになるほど強くなるし、

辛い記憶のカードだったら、その時の気持ちを思い出すことで強くなる。

 

仮面ライダー電王の名言に

「戦いってのはなぁ、ノリの良い方が勝つんだよ!」というものがあるが、

本作は「どうすればノリ良く戦えるのか」がシステム上で求められる。

登場キャラたちが自分の様々な記憶に向き合うことで、強力な力を使えるし、

逆に動揺していると本来の力を発揮できなかったりもする。

 

個々の登場キャラクターのドラマが、

バトルでのパワーバランスに密接に関係してくるので、

登場キャラがトラウマを吹っ切ってパワーアップ!大逆転!

って展開が綺麗に決まる。よく出来た設定だ。

 

記憶カードを他のプレイヤーに受け渡しが可能ってのも面白いところ。

他のプレイヤーが使う場合は

当然「他人の記憶」ということで共感率は上がりにくいが、

まったく使えないわけではないし、沢山持っていればゲームオーバー防止にもなる。

この辺りを上手く生かした展開も盛り込まれてるぞ。

 

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記憶カードに対する共感率を上げれば最強……というわけでもなく、

共感し過ぎて記憶に飲み込まれるとモンスター化して正気を失う諸刃の剣。

心が折れた時に、手元の記憶にすがってしまってモンスター化するプレイヤーも多い。

ゲーム内では元プレイヤーであるモンスターたちとの戦いも待っているぞ。

 

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ノベルADVだけど、現在の戦力で強敵をどう攻略するか?

を試行錯誤するRPG的な面白さもしっかりあるし、

ゲーム内に存在する複数の勢力とのやり取りも見所。

 

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精鋭プレイヤーが集まるギルド「日輪騎士団」に、

話の通じない狂信者たちによるギルド「神々の使徒」。

親衛隊を率いたボスが非戦闘プレイヤーを守っているエリアなどもあり、

どう攻略していくのかを見ていくのが楽しいぜ。

 

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登場キャラも魅力的な連中揃いで紹介しきれない……!

チュラルさんは初心者であるルストを導く師匠ポジション。

痛みに慣れる特訓のためにルストを何度も切り刻んだりするので容赦ない。

が、優しいところもあるし、チュラルさんに教えられたことがバトルの基本になるので、

登場していないシーンでもかなり存在感ある。

 

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クリスティンの友人であるアルティアさんは、

色々と謎めいているが茶目っ気たっぷりで楽しい女性。

使用アバターの1つである「エゴ」は

「コイツちょっと便利すぎない!?」って何回突っ込んだか分からないくらい強いので、

その雄姿は是非ともゲーム内で確認してもらいたい!

 

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ルストの妹クリスティンは元気いっぱいかつ健気で可愛い妹キャラ。

現実での振る舞いとゲーム内での痛ましい姿のギャップは

「なんとしても助けなければ……!」という気持ちにさせてくれる。

オリジナルの挨拶である「ラスモス・ゾティーラ・トゥーラッカ」は本作を象徴するセリフで、

やったら絶対忘れられない。

 

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これはかわいい妹のポーズ。

 

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アレグロは自ら悪を名乗り、残酷な行動も辞さない孤高のプレイヤー。

時にあざとさ全開に、時に悲痛なまでに頑なな態度を見せ、ルストと衝突する。

もう一人の主人公に近い立ち位置だが、ある意味でメインヒロインでもあるぞ……!

 

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主人公であるルストは優しい性格ではあるのだが、

どこか心に欠落しているところがあり、

感情が高ぶると「興味を持つな。」という謎の声が聞こえて気持ちがスッと落ち着いてしまう。

 

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ルスト周りの設定は含みが多くてワクワクするところで、

例えば持っている記憶カードは4枚で、1枚は「何故か」最初から破損済み。

残りの3枚は妹、母、父になっているが、

妹のカード以外はまったく共感率が上がらず使えないし、正体も不明。

この明らかにヤバそうな記憶カード、どういう秘密が?どういう性能が?

と、遊んでいて気になって仕方がないぜ。

 

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その他にも常に三人称視点で喋るのが独特かつ可愛いオリーブ。

女性キャラが多い中で冷静沈着かつ侮れない立ち回りをする少年ドムに

その仲間でバトル中は性格がガラリと変わるリア。

映画好きのおっさんであるキャンディさん。

そしてトップクラスに良いキャラしてるけど

公式サイトの表記が「???」になってるので何も語れない奴などなど。

あまりにも名キャラが多すぎる……!

みんな強くて脆い。時に心折れ、時に裏切ることもある。

そんなところひっくるめて魅力的だったね。

 

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序盤に出てくる手下さんも好き。

 

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ポストアポカリプス、VRオンラインゲーム、能力バトル。

全部乗せの傑作で、現実世界とゲーム世界の二つを舞台に、

明確なテーマに沿って進む過酷なシナリオはブレが無く、

二転三転する人間模様と展開も先が読めない。

 

ノベルADVとしてはオーソドックスな画面構成で

アバターのデザインなどはややチープだが、

戦闘シーンでは立ち絵を動かしたりカットインを挟んだりするので見栄えはなかなか。

声優陣の熱演やBGMも必聴だ。

ルストが共感率上がってる時の演技は特に好きだった。

 

すげぇ面白かったし、個人的にめっちゃ刺さるシナリオで大満足。

ゲーム好きなら是非とも『アーキタイプ・アーカディア』を楽しんで欲しいね。

イチオシでした!ラスモス・ゾティーラ・トゥーラッカ!