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ゲームとしては70点、刺さる人には1億点の怪作!『Ghostwire:Tokyo(ゴーストワイヤー トウキョウ)』レビュー!【PS5/PC】

 

Ghostwire: Tokyo | Official Website

 

『Ghostwire:Tokyo(ゴーストワイヤー トウキョウ)』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:ベセスダ・ソフトワークス/ゼニマックス・アジア(株)

機種:PS5/PC

ジャンル:アクションアドベンチャー

発売日:2022/3/25

価格(税込):8778円


 

三上真司が率いるTango Gameworksの最新作。

人が消え異界と化した渋谷を飛び回り、

襲い掛かる怪異共に破邪を一発かましてやるアクションゲームだ!

 

オープンワールド風味のゲームとしては平凡なものの、

異界と化した渋谷の雰囲気作りはオンリーワン。

Jホラー的な演出もキレッキレだし、

主人公2人の掛け合いもバディ作品の王道的な良さがある。

刺さる人にはぶち刺さる1本だった。

PV見て「これは!」と思ったら即買いしちゃっていい。

 

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謎の般若の男が起こした超常現象により、

東京の人間が消失するところからゲームは始まる。

主人公である暁人も事件に巻き込まれるが、

KKと名乗る魂だけの男に救われて事なきを得る。

KKの魂は暁人の体に同居し、それぞれの目的のために共に戦うことになる。

 

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ゲーム冒頭、暁人とKKが彼岸花咲き乱れる心象世界で会話するシーンでもう痺れるぜ。

最初は暁人に「お前の体をよこせ!」とか言っていたKKが、

どんどん息の合ったコンビになっていくのがたまらない構成。

 

KKは元警官で口は悪いけど良識はあるし、

発言に確かな優しさが感じられるのが良い。

ここはCV井上和彦のパワーも大きいかな。

そんな相棒とバケモノだらけの渋谷を探索するゲームとか最高だろ!

暁人くんとKKのジェネレーションギャップを感じる会話がまたいいんだわ。

「ここは昔チーマーが多くてな……」「チーマー?」とか。

 

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Jホラー的な湿度の高い不気味な光景が、

キレッキレのセンスで次々に飛び出すのにも引き込まれる。

空間も含めた画作りがバッチリ決まってるし、

ここら辺はプレイヤーがキャラクターを操作するゲームだからこその見せ方だね。

 

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ゲームは主観視点の3Dアクションアドベンチャー。

UBIのゲームなどでお馴染みの、

「各地の拠点を解放すると、ファストトラベルが解禁され、

周辺の地形やイベント、探し物やらが地図に表示される」

作りになっていて建物の上なども自由に探索できる。

 

オープンワールド風な作りと言えるが、

一本道のストーリーに沿って進まないと解放出来ない。

あくまでも「オープンワールド風」だね。

メインミッションを追いかけるも良し。

本編と関係ないサイドミッションや山ほどある収集物を集めるのも良しだ。

 

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本作の魅力は何といっても渋谷を中心とした雰囲気作り。

闇と雨に包まれた街中で怪異共がうごめき、

看板や街灯モニターはそのままに消滅した人間の服だけが散乱している。

この中を自由に歩き回れるのが最高!

 

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無人の地下街の不気味さはゾクゾクする。

 

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路地裏や団地のじめっとした雰囲気、

ちょっとさびれた一軒家にポツンとある公園など。

「こういうところあるある!」が詰め込まれていて、

歩いているだけで時間が溶ける。「街」の質感がハンパじゃない。

完全に渋谷付近を再現してるわけではなく、

ランドマーク的にデカい鳥居があるのもむしろ面白いところ。

よく見ると同じような建物や店舗が多いんだけど、

東京が舞台だし遊んでると気にならないのが上手い作りだ。

 

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店舗のそれっぽいもじり方もいちいち上手くてじっくり見ちゃう。

これは「らーめん女郎」!

通りかかるとKKが「最近のラーメンにはついていけねぇ」ってぼやくの笑った。

 

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「ラー油だけどラー油じゃなかった説」「墓場の塩」とか、

調味料の瓶にまで小ネタが仕込まれてるのから飽きさせない。

じゃあこれは何油なんですか!?

 

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人間が消えた街でもコンビニは営業しており、店員はなんと猫又!

このゲーム、幽霊、怪異、妖怪がそれぞれ別の存在として描かれており、

探索する中で様々な出会いが待っている。

サイドクエストはろくろ首や座敷童、塗り壁が出てくるものから、

有名な都市伝説をネタにしたものまで様々だ。

 

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サイドミッションは割とアホなのも多くて楽しい。

「スピリチュアルに系統し過ぎて部屋がヤバくなったので除霊して欲しい」

という依頼を受けて行ってみたら、手作りわら人形で埋めつくされてたり。

暁人とKKの呆れたリアクションも見所。

 

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イベントで手に入る収集物は懐かしアイテムが多く、細かい解説までしっかりされている。

ここら辺の空気感は日本のゲームならではと思えるところかな。

 

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消えた人間は幽霊となってあちこちを彷徨っており、

サイドミッションのクリアや探索などで発見できる。

アイテムの「形代」に吸収して助けていくんだが、

「形代」には数百人、数千人分を収納可能だ。なんという大容量……!

 

 

救出した幽霊は、こんなこともあろうかと公衆電話を改造しておいたデバイスで送信!

このギミックでワクワクしない奴いる!?

 

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素晴らしいロケーションが次々に飛び出すゲームで

フォトモードの存在がありがたい。こういう写真も取れちゃう。

 

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ガチ公改札前でポーズを決めるサイキックリーマン。

フォトモード、起動してる間でも時間が止まらないのが惜しい~~!

敵を撮影し辛いんだよな。

 

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コスチュームも色々あるからこういう写真も取れちゃう。

 

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戦闘はシュババッと印を結んで敵を狙い撃つアクションシューティング。

火、水、風のエーテルショットによる攻撃がメインで、

まあ簡単に言うと火がグレネードランチャー、水がショットガン、風がハンドガンだ!

その他、サブウェポンとして破魔矢や使い捨ての札などがある。

相手にある程度ダメージを与えるとコアを引っこ抜いて即倒せるが、

隙があるのでタイミング良くやらないと横から他の敵に殴られるぞ。

 

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序盤が敵が固く感じるし、弾切れの概念があるのもやや面倒だが、

育成してスキルツリーを伸ばしていけばその辺も解消されていく。

ジャストガードに成功すると弾が補充されるスキルなんかもあったり。

 

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FPSとして見ると結構単調で、

強い接近攻撃も欲しかったなぁという気持ちもあるんだが、

首無しJKやナタ持ったのっぺらぼうOLとかの超イカした敵に、

印を結んで術をぶち込んで倒していくカッコ良さと気持ち良さが格別。

 

破魔矢で怪異を狙撃するとか、

こちらに気付いていない怪異の背中にお札を貼って一発で浄化するとか、

ゲームとしてはよくあるシステムなんだけど、

シチュエーションの強さでこちらをグッと引き込んでくる。

回復アイテムでいくらでもゴリ押しできるゲームなので、

手軽に退魔アクションを堪能できる作りとも言えるかな。

 

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君は口裂け女のハサミ攻撃をジャスガして

メラゾーマで反撃するゲームを遊んだことがあるか?最高だな!

 

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雪が舞う渋谷の交差点で、巨大な白無垢の怪異と一騎打ち!

とか、もうシチュエーションの勝利にもほどがある。

 

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シチュエーションと言えば天狗の使い方もすごい。

高いビルの横にいることが多いので、

ワイヤーを引っ掛けて高所への移動用として使える。

天狗がこんな雑に移動ギミック扱いされるゲーム他にある!?

天狗、こんな扱いでも特に文句言わずに消えていく……。

 

更にスキルツリーで「好きな場所に天狗を召喚出来る」という

ぶっ壊れスキルを取ると世界が一変。

ビルの高低差をほとんど無視して移動できるようになるぞ!

どんだけ天狗の尊厳を破壊するんだよ!

まあ、このゲームの天狗はギャーギャーうるさくて渋谷の景観を破壊してるので、

多少の侮辱行為は許されるか……。

 

スキルツリーを極めると、

最終的に天狗の尊厳を消費してビルの屋上へ駆けあがり、

そこからグライド能力を駆使して高速で飛び回り、

戦闘ではジャスガでエネルギーを超回復しながら高威力の印で怪異を爆破。

爆速で数千人の幽霊をバシバシ回収しながら妖怪と戯れる、

最強オカルトバスター暁人くんが爆誕するぜ!スピード感あって最高!

 

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ただ、最初に言った通り戦闘自体は結構単調で同じことの繰り返しになりがち。

サイドクエストも雰囲気やシチュエーションは最高なんだが、

同じようなザコ敵ととりあえず戦って終わり!ってが展開がかなり多いのも惜しい。

オープンワールド風ゲームとしては

「とりあえずマップにばら撒いたものを探させる」という捻りが無い構成だし、

シナリオもかなり駆け足で仲間キャラの掘り下げ不足が目立ったね。

 

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ただ、暁人とKKのやり取り自体は非常にバリエーション豊かで素晴らしかった。

探索でも驚くほど細かい差分が大量に詰め込まれていて、

会話の1つ1つにニヤニヤしっぱなし。

ホラーゲームというよりオカルト都市伝説バトルアクションってノリだが、

終わり方はホラー作品っぽい余韻があって、好み分かれそうだが俺は好き。

続編でこの2人のコンビはまた見たいなぁ。

 

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メインストーリーとサブクエスト全部終わらせて20時間ちょっと。

収集物全部集めたり、細かいところまで観光したらもっと掛かるかな。

ゲームとして見ていくと物足りないところがありつつも、

「怪異と妖怪に溢れた渋谷近郊でオカルトバトルするゲーム」としては素晴らしい1本。

ゲームとしては70点、刺さる人には1億点の怪作だ!

「俺のためのゲームでは?」と思った人は即買いしてくれ!