『Recolit』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:Image Labo/yokaze
機種:PC
ジャンル:ナゾ解きアドベンチャー
発売日:2024/2/16
価格(税込):1650円
遭難した宇宙飛行士の視点で不思議な夜の街を探索するアドベンチャーゲームだ。
Image LaboとMarudiceの共同開発で、なんか画面が青くて暗いゲームをよく出すインディーゲームレーベル「ヨカゼ」の1本として登場。
ゲームとしての作りは単純で派手さも無いが、ゆっくりと物語の輪舞が浮かび上がっていく空気感がたまらない1本だ。発表から発売まで数年掛かったのも納得の丁寧さで、特に音周りがすごかった!
舞台となるのは幽霊のような住人が日常生活を送る夜の街。分かりやすく宇宙飛行士の恰好をしている主人公にも、旧来の友人かの様に話しかけてくる。宇宙船で不時着した主人公がなぜこんなところにいるのか。何も分からないまま夜の街の探索が幕を開ける。
微妙にSFホラーっぽい導入で『映画ドラえもん のび太の宇宙漂流記』かな?と思ってしまうが、そういうゲームではない!
街の人の困りごとを解決していく一本道のゲームで「明かりがある場所では物を持ったり操作したりできる」が基本ルールだ。
困りごとを解決できるアイテムを見つけたら、スイッチを押して明かりをつけたり、光源を近くまで運んだりしてアイテムに干渉し、ゲームを進めていく。
ナゾ解きアドベンチャーとあるが難易度は低く、タブレットで情報も確認できるので迷うことは無い。マップの探索やテキストを味わいながら、おつかいイベントを楽しむゲームになっているぞ。
本作の魅力は何と言っても「夜」の表現力。
どこまでも夜が続く街のグラデーションが美しく、主人公のどこか寂し気な独白も相まって遊んでいて引き込まれる。
ロケーションも様々で飽きさせないし、博物館は展示物1個1個の凝り方がハンパじゃなくて特に楽しかった。この恐竜……動くぞ!恐竜が動いてテンションが上がらない人はあんまりいないと思う!
そして夜を彩る音の臨場感がまた見事で、是非ヘッドホンで遊んでもらいたい。
場所によって響き方が異なる主人公の足音に始まり、雑踏の音や駅の放送、ゴミ箱にゴミを捨てた時の音の響きまでリアル。幽霊みたいな連中がフラフラしている夜の街なのに、血が通った暖かな日常が感じられる。
クリアまでは2~3時間くらい。
主人公はなぜここにいるのか、ここはどこなのか、見知った顔で話かけてくる幽霊のような住人達は誰なのか。本当は夜空いっぱいに輝いているはずなのに、他の光のせいで見えなくなっている星空の話が差し込まれる。
劇的な展開は無く、シナリオもプレイヤーの解釈に任せているゲームだが、軽く2周目を遊べば大体掴める構成かな。チャプターセレクトが細かいので、イベントの見直しや実績集めなどはラクラクな仕様だ。
ちょっと拍子抜けするところもあったが、遊び終わって受け止め方を考えてるうちに、じわじわと良さが湧き上がってきた短編ADV。深夜にまったり遊びたいゲームだったぜ。