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テクノス末期の意欲作が復活!追加機能は物足りない!『新・熱血硬派 くにおたちの挽歌 -with River City Girls Extra-』レビュー!【PS4/PS5/Switch/Xbox/Steam】

 

 

熱血硬派くにおくん くにおたちの挽歌 公式サイト

 

『新・熱血硬派 くにおたちの挽歌 -with River City Girls Extra-』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:アークシステムワークス

機種:PS4/PS5/Switch/Xbox/Steam

ジャンル:アクション

発売日:2022/9/22

価格(税込):1650円


 

1994年にテクノスジャパンがスーパーファミコンで発売した、

『熱血硬派くにおくん』シリーズの1作を移植したものだ。

シリーズが下火になっていた時期の作品で、

翌年1995年にテクノスジャパンは業務停止し、1996年に倒産。

2004年にアトラスから『ダウンタウン熱血物語ex』が出るまで

シリーズが途絶えることになる。

なので、本当に最初の『熱血硬派くにおくん』シリーズ末期の作品になるね。

 

スーパーファミコンの「初代熱血硬派くにおくん」や「リターン・オブ・双截龍」などがカセットで復刻。3作セットのソフトも

 

移植はこれまで一度もされておらず、

2018年に胡散臭いメーカーから

スーパーファミコンカセットのレプリカが出たくらいだ。

 

 

何故このタイミングで単独で移植されるのか?

2019年に海外開発で発売された

『熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls』が、

本作のヒロインを主役にした内容でヒットして続編も決定。

しかし元ネタである本作は日本でしか発売されていなかったので、

続編に合わせて全世界向けに移植したという流れだ。

 

なんで日本でしか出てない作品のヒロインが

海外開発スピンオフの主人公に……?という疑問に関しては

スタッフが相当ヤバいくにおくんオタクだったんだろで結論が出てる。

 

今回の移植では新規に90年代テイストのOP&EDムービーや主題歌、

『熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls』とのコラボムービー。

そしてギャラリーやセーブ機能を追加しての登場となるぞ。

 

そもそも『熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls』と、

『新・熱血硬派 くにおたちの挽歌』って、

『地球防衛軍』と『デジボク地球防衛軍』くらい世界観もノリも違うので、

関連作品っぽく売るのかなり無理があるのでは……。

というツッコミはさておき、この記事ではゲームとしての評価と、

追加要素がどんな感じだったかをそれぞれ取り上げていくぜ。

 

 

この時期のくにおくんシリーズはスポーツやアクションRPGが中心だったが、

本作は原点に帰ったステージクリア型のアクションゲームになっている。

無実の罪で牢屋に投獄されたくにおとりきが、

脱獄して真犯人を探すというハードな導入だ。

 

無実の罪で警察に追われる展開はネタに困った時の神宮寺三郎がよくやってるが、

くにおくんは本作くらいかな。

 

 

面会でむちゃくちゃなこと言うヒロシでまず笑わされる。

刑務官に怒られるぞ!

まあこの後脱獄するんですけどね……。

 

 

いつの間にかくにおとりきが彼女作ってるのも本作の特徴だ。

くにおにはみさこ、りきにはきょうこ!

みさこは別のシリーズに登場しているが彼女ではなかったし、

きょうこに至っては今回が初登場。

知らない彼女が出てきてシリーズファン驚き!何が熱血硬派だよ!

 

 

成長要素などは一切無い純粋なアクションゲームで、

とにかく一本道を進んで敵を全滅させて先へ進むだけ。

武器や回復アイテムなども一切存在しないので、

1994年当時の基準でもなかなかシンプルな作りだ。

 


後ろの敵へのバックアタックや、ダウンしてる敵へのマウントポジション攻撃など。

シリーズ原点である『熱血硬派くにおくん』に近い操作形態にしつつ、

以降のシリーズで導入された必殺技を入れて独自性を出している作りかな。

くにお、りき、きょうこ、みさこの4人を切り替えて戦えるのも本作最大の特徴だ。

女性キャラがプレイアブルになったのも本作が初めて。

 

 

くにおの必殺技にお馴染みの「マッハキック」が無く、

なんと彼女であるきょうこが使用するのに驚き。

十八番の持ちネタを彼女に取られた熱血硬派がいるらしい

 

初めて遊ぶと、最初のくにおとりきが囚人服で戦うパートで

必殺技が出なくて混乱すると思うが、すこし進んで2人が着替えると……。

 

 

「やっぱしハクランをきると ちからがわいてくるゼ!」

「まったくだゼ しゅうじんふくじゃ ひっさつわざがつかえなかったもんな!」

 

という会話が挟まって必殺技が使えるようになるぞ。

なんなんだこのいきなりのメタ会話!

 

 

ヤンキー漫画的なノリを強めた口の悪い会話や

目まぐるしく展開するストーリーは他のシリーズと比べても独特。

「スベタ」なんて他のゲームで聞いたことねぇぞ。

セリフの最後を「~だゼ!」「~だヨ!」などで締めがちなのも印象に残る。

 

 

ストーリーは序盤からぶっ飛んでいて、

「花園高校の番長であるりきが逮捕されたことで学校が荒れている」

という話を聞いて花園高校に来てみると、

物理的に校舎が荒れ果てて崩壊寸前になっている!床が崩れる中でのバトル開始!

屋上でのボス戦が始まると少しずつ校舎が沈んでいき、

勝つ頃には完全に倒壊してしまうのだ。

いやシリーズでもお馴染みの花園高校これからどうなっちゃうんだよ!?

 

 

敵が何故か遊園地にいるので観覧車の上でバトルしたり

ジェットコースターに乗ったりなんて場面もある。

スーパーファミコンのアクションゲームは

遊園地が出てくるものが多かったような気がするなぁ。

 

 

とにかくステージのバリエーションが異常に多くて、

パチンコステージやディスコステージなど遊んでいて飽きさせない。

謎のSFっぽい工場が出てきたと思ったら大した仕掛けも無く数画面で次に進んだり。

色々贅沢な作り……というか、ボツになったステージ全部詰め込んでる感じする!

 

 

敵もボディコンのおねーさんとか外人とか種類多くて楽しい。

ヤクザに雇われた外人が殺しに来るの怖すぎるだろ。

 

 

アクションとしてはちょっと微妙。

当てづらいが高威力の必殺技を狙う緊張感や、

ダウンした相手をマウントポジションでボコボコにする気持ち良さはあるものの、

1画面に登場する敵が少ないので、

最初の『熱血硬派くにおくん』のような

「1対多」のケンカアクションが表現出来てない。

 

4人のキャラを切り替えて戦うゲームで体力ゲージが個別仕様のせいか、

ザコもボスも堅い敵が多い。

4人のキャラを使えるけど1人でもやられたらゲームオーバーという使用なので、

体力が減ってきたら交代しないとそのままやられてしまう。

敵の攻撃力がかなり高い上に通常攻撃に割り込まれることが多いので、

ジャンプキックでダウンさせて追い打ち……の繰り返しになりがち。

 

後半は超反応してくるCPUや、

ジャンプキックを普通にガードするボスも出てくるし

前述の通り回復アイテムなどは一切無く、

体力が回復しないまま連戦になる箇所も多いから難易度はかなり高い。

まあ、無限コンティニューかつチェックポイントが多いので、

それなりになんとかなるバランスではあるかな。

それでもラスボスは強いし、ノーコンティニュー目指したら地獄だと思う。

 

 

頻繁に挟まるバイクステージはドットを4キャラ分用意してあるのが見事だが、

長くてあんまり面白くないし壁にぶつかると一撃死なのがシビアだ。

 

 

クリアまで3~4時間くらい。

当時のアクションゲームとしては標準的なボリュームではあるが、

この時期のくにおくんシリーズは

スポーツやアクションRPGの印象が強かったこともあって、評価は芳しくなかった。

シナリオもシリアスとギャグのドッジボール的な勢いは凄いけど

「このキャラこれで終わり!?」って箇所もチラホラ。

 

ただ、しんじ、みすず、さぶといった1作目の敵キャラが再登場し、

システム面含めて原点回帰しつつ新しい方向性を目指した路線は評価したい。

外道っぷりが極まる「さぶ」の悪党っぷりや、

くにおのニセモノとして登場する「けん」もいい味出してた。

 

 

BGMの熱さと迫力ある演出も注目点で

マッハパンチとマッハキックのマッハ表現などは、

今見てもシリーズ屈指のカッコ良さだ。

 

『熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls』

とほぼ別物なのは念頭に置いて欲しいが、

色んな意味で最近の「16bit風ゲーム」には無いエネルギーに溢れている1本。

今こそ再評価の時かもしれないぜ。

 

 

で、今回の移植版での追加要素だが、

機能面では画面サイズ、フィルタ(壁紙)、走査線、セーブ機能くらいで、

最近のレトロ移植だと当たり前の巻き戻し機能などは無し。

おまけモード的なのも一切無しだ。

「最後まで遊べるイージーモード」とか、

「きょうことみさこを最後まで使えるモード」とかあったら嬉しかったんだが。

 

セーブも「セーブしてやめる」しか出来ないので、

ボス戦の途中でやり直したかったら一度メインメニューに戻って、

セーブファイルを選んで再開!という操作をしないといけない。

めんどくせぇ!元々無限コンティニューのゲームだからまだいいが……。

 

PS4版だけの症状かもしれないが、

何度もセーブ&ロードやると音声が消えるバグも発生した。

ゲームを再起動すると治る。

 

 

壁紙もこのゲームに関連したものはメインビジュアルを使った1枚だけ。

その割に本作の海外パッケージ版に関わってる

Limited Run Gamesのロゴ壁紙が2枚あるのは

宣伝かヨ!って言いたくなるところ。

 

 

パッケージと説明書のスキャンが見れるのはありがたいが、

ちょっと状態が悪い!ついでに左下の画面表示も消せないぞ。

 

 

オープニングとエンディングでは

『熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls』の方のきょうことみさこが

本作の感想を言うメタ全開のシーンがある。日本語と英語ボイス両対応。

「あたしたちが出てる25年前のゲームだよ…」のセリフで遊び始め、

エンディングで「これって本当にあった出来事なの!?」とか言い出すぞ。

お前らの立ち位置どうなってんだよ!イカれてんのか!

そういえばこいつらイカれてたわ。

 

呆れるほどの力技で

『熱血硬派くにおくん外伝 リバーシティガールズ2』に繋げるオチで、

そちらに「けん」と「さぶ」の登場も発表されているので、

挽歌の要素が強い話になりそうだね。

 

 

というわけで

『新・熱血硬派 くにおたちの挽歌 -with River City Girls Extra-』のレビューは以上だ。

新規のオープニングムービーは素晴らしかったので、

機能面ももう少し力入れて欲しかった……という気持ちはあるが、

普通に遊ぶ分には問題ないし貴重な復刻ではあるので感謝。

未プレイの人もプレイ済みの人も

『熱血硬派くにおくん外伝 リバーシティガールズ2』の前に遊んどこう!