絶対SIMPLE主義

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RPGだから、この美しい物語は記憶に残る『メグとばけもの』レビュー!【Switch/Xbox/PC】

 

メグとばけもの 公式サイト

 

『メグとばけもの』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:Odencat

機種:Switch/Xbox/PC

ジャンル:アドベンチャーRPG

発売日:2023/3/2

価格(税込):1650円


 

『くまのレストラン』を手掛けたOdencatの最新作であるアドベンチャーRPG。

魔界に迷い込んだ人間の少女と、魔界に住む魔物たちの旅を描いた内容だ。

こちらを直球で泣かせに来るシナリオと音楽に、

スーファミ時代を思わせるドットの数々とアイデア溢れるギミック。

そして「この形式だからこそ」と思える演出が見事だった。

キャラのドット演技に君も泣け!『くまのレストラン』レビュー!【Switch】 - 絶対SIMPLE主義

『くまのレストラン』も良かったけど、シナリオは今回の方が格段に洗練されてるね。

 

 

魔界に住む魔物のロイとゴランが、

人間の少女であるメグの母親をなりゆきで探すことになるストーリー。

「メグが泣くと世界が滅びる」という現象が起こるため、

ロイとゴランはメグが泣かないように守ったり、気を使ったりしながら冒険を続けていく。

 

舞台になっている魔界は人間界の物が色々と流れ込んでくる場所で、

人間は魔物のエサ扱いが当たり前。割とカジュアルに死体も出てくるぞ。

なかなか殺伐とした世界観だ。

 

 

世間知らずの魔物であるロイの視点でゲームは進んでいくが、その辺りの価値観はロイも同じ。

泣くと世界が滅びるのなら、泣く間もなくぶっ殺せばいいのでは?

というアイデアを冒頭から提案するぞ。

ひねくれたオタクみたいなアイデアを早々に提案するんじゃない!

 

 

カジュアルに人間の肉片を子供に見せて酷い事言うロイ。

ダメだこいつ……早くなんとかしなきゃ……。

 

 

魔物だけど真っ当なツッコミをするゴラン。

ゴランにも色々と思惑があるんだが、ストッパーとして苦労しながら

走り回る姿を見せられるので好きになっちゃう。

 

 

メグをエサとして狙ってくる魔物と戦ったり、

秩序を管理する評議会から干渉されたりと、

様々なことに巻き込まれながらメグの母親探しは続いていく。

 

 

世界観は殺伐としてるけど出てくる魔物は愛嬌のあるデザインになってるし、

脇役含めてみんないいキャラしてる。

 

 

たまにパロネタを挟みつつのゆるいテキストも楽しい。

しかし定期的に血生臭い展開が顔を出すので、ホンワカするけど気は抜けない空気感だ。

 

 

軽いサブイベントはあるもの、

基本的には一本道のRPGでコマンド式の戦闘シーンもある。

ロイはHP99999という男の子が大好きな数列を引っ提げており、ほぼ無敵!

強豪ぞろいの魔界評議会とも正面から渡り合えるスペックがあるぞ。

しかし戦闘に巻き込まれたメグは小さな女の子なので、

ロイがダメージを受ける度に怖くてどんどん泣きそうになる。

 

 

メグが泣かないように、バトルに合間にクレヨンでお絵描きしたり、

ロケットのおもちゃであやしたりして機嫌を取っていく。

泣いてしまったらゲームオーバーだ。

強力な魔物とのバトルと子供の世話。両方やらなきゃいけないのが大変だぜ。

 

 

戦闘はすべてイベント戦闘でザコ戦は無し。

難易度もそこまで高くはないがゲームバランスはかなり絶妙。

敵を倒す度に覚える様々な技や回復アイテムのタイミングを考えながら戦う必要があったり、

合間に挟まるミニゲームをクリアしないとダメージが通らなかったりと、

戦闘がすべてイベント戦だからこそのアイデアが感じられる。

ミニゲームのジャンルが敵の個性にもなってるから上手い作り。

まあ、記憶力ミニゲームだけちょっと難しくない……?とは思ったが!

 


あまりにぶっきらぼうで危なっかしいが、メグとの交流で成長を見せていくロイの不器用さ。

子供らしい元気さ一杯だけど、ロイとの交流で成長を見せていくメグのいじらしい姿。

突っ込み役として2人を見守りつつ走り回るゴラン。

この3人のやりとりと後半に掛けての盛り上がりが凄く胸を打つし、

このRPG形式でこんなんやられたら泣くだろ!って展開のぶち込みっぷりが見事。

ゴランは崖のシーンがずるすぎて絶対好きになるって!

 

 

シナリオも序盤から「そういう話なの!?」という要素が飛び出してくるし、

徐々に明らかになる魔界の状況や登場人物の過去など、

テンポ良く話が動くのでダレずに展開する。

遊んでいて「続きが気になる!」という気持ちにさせてくれるぜ。

かなりご都合主義な要素もあるが、

おとぎ話テイストでまとめられているのでそこまで気にはならなかったかな。

 

時折見せるダークな描写もキレッキレ。

『くまのレストラン』でも思ったけどこの製作者、

スーファミ時代のRPGっぽいトラウマ描写好きすぎるだろ!

 

 

クリアまでは数時間のボリューム。

RPG演出とシナリオ構成が噛み合った展開とそれを彩る美しいBGMの数々が、

涙腺に火の玉ストレートで突き刺さってくる。

『くまのレストラン』は後日談と沢山の登場人物の掘り下げがメインだったが、

こちらはロイ、メグ、ゴランの3人に絞った構成で、

だからこその余韻を残した終わり方が凄く綺麗だった。

評議会のメンバーが好きだったのでもうちょっと掘り下げを見たい気持ちはあったが、

ゲームとしてはこの形がベストだったと思うね。

 

ゲームをオススメする時に「泣けるぞ!」って言い回しはあんま使わないんだけど、

これはもう最初から泣けます!って作りのハートフルなゲームで実際泣けるので、

泣けるぞ!オススメ!とレビューを締めることにするぜ!