くまのレストラン ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)
『くまのレストラン』のレビュー行くぜ!
パブリッシャー:Odencat
機種:Switch/PC
ジャンル:アドベンチャーゲーム
発売日:2021/6/17(Switch)2021/10/07(Xbox)
価格(税込):1300~1500円
死者に最後の晩餐を振舞うレストランを舞台にした、短編のアドベンチャーゲームだ。
大ヒットしたスマホ版を元にした内容で、
Switch版は新エピソードの収録や、グラフィックの一新など、大幅に手が入っているぞ。
縦長だったスマホ版のグラフィックを、すべて横長に描き直してるとこに気合を感じる。
コテコテな泣かせ系のストーリーなんだけど、
演出やキャラ、そしてドットによる演技でこちらを引き込んでくる作りで、
読み終えた後に素直に「いい話だった!」と思える1本だったぜ。
スーファミ時代のスクウェアのRPGから、影響を受けてるのが分かりやすい画風!
死者が集うレストランの店長である「くま」と、
それを手伝う助手である「ねこ」の物語だ。
プレイヤーはねこを操作し、やってくるお客さんに食べたい料理を聞く。
彼らの記憶にダイブし、その中で料理の詳細を探る。
それを聞いたくまが実際に調理をするのが基本の流れ。
システムは単純で、途中で選択肢はあるもののストーリーは一本道。
謎解きやゲームオーバーも無いので気楽にプレイ出来る作りだ。
様々な死因でやってきた様々な世代が、想い想いの食べたい料理を上げる。
くまが作ることになる料理は納得いくものから、
こんなのでいいの?と首をかしげるものまで十人十色。
料理を出した彼らが死んだ瞬間を見る事も出来る。
色々とショッキングなんだけど、
彼らを深く知ることにもなるのでつい漏らさず確認してしまうな。
ちなみにこの要素、スマホ版では広告を見ると死因が見れる仕様だったそうで。
悪魔みてーな仕様だな!と思ってしまった。
お客さん1人1人はキャラ付けがテンプレ的で、
エピソードも短いのであっさりした作りではあるんだけど、
記憶毎に描き込まれた個別の背景を用意しているので、出番は少なくても印象に残る。
「料理」と「死」という、誰にでも訪れる喜びと喪失を描いているから、
どこかで登場キャラに感情移入出来るようにもなってるね。
ドットによる「演技」が本当に見事なゲームで、これが物語とキャラに彩りを加えている。
一番印象に残るのはくまが料理をする時の細かい動きで、
注文ごとに変わる手つきが実にバラエティ豊か。
特にこのフライパンを振るモーション、遊んだら絶対忘れられなくなるぞ。
朝起きたねこが部屋か出る前に、パジャマから着替えるところも好き。
ゲームが進むと物語はレストランの外に広がっていき、
ちょっとダークな展開を挟みつつ、再び「くま」と「ねこ」の物語へと収束していく。
実は自分の事が分かってない「ねこ」の過去に関するエピソードは……こんなん泣くって!
序盤は「悪くないけどかなりサクサク進んじゃうなー」って印象だったんだけど、
中盤以降の展開から一気に物語に引き込んでくるし、
そうなると序盤に出会った登場人物たちの存在も効いてくる。
途中の元気玉展開が唐突過ぎる以外は、よくまとまってるシナリオだと思ったね。
ただ、作り手の「スーファミ時代のゲームっぽいトラウマ描写をやりてぇ~~~!」
って欲望がにじみ出てるシーンがあって、そこは少しやり過ぎ感あったかも。
俺は好き!
数時間ほどでクリア可能なボリュームだが、
残酷な世界の中できらめく優しさを、
細やかなドット描写に乗せてプレイヤーの胸に届け、
ダメ押しとばかりに素晴らしいBGMでぶん殴ってくる。
こういうストレートに泣かせに来る話、めっきり弱くなってしまったぜ……。
良いゲームだった!