フィッシング・パラダイス ダウンロード版 | My Nintendo Store（マイニンテンドーストア）
『フィッシング・パラダイス』のレビュー行くぜ！
パブリッシャー：Odencat
機種：Switch/PC
ジャンル：フィッシングRPG
発売日：2022/6/2
価格（税込）：1500円
スマホで配信されたフィッシングRPGの完全版だ。
命を終えて天国にやってきた主人公が、
釣りをしながら本当の幸せを探していくゲーム。
指定された魚を釣ることでシナリオが進行していく構成だ。
同メーカーの人気作『くまのレストラン』の後日談であり、
そちらのキャラクターたちも多数登場する。
『くまのレストラン』はなかなか面白いゲームだったので、
結構期待して買ったんだが、肝心の釣りゲー部分があまりにも虚無！
雰囲気やキャラのセリフなどは良かったが、
前作の「天国と地獄の境にある、死んだ人が訪れるレストラン」
に比べると舞台設定の弱さも感じてしまったなぁ。
物語は主人公が『ガイア幻想記』みてーな場所で
謎の巨大魚に話しかけられるシーンから始まる。
今のあなたにとっては、この天国すら本当の天国ではないかもしれない…。
という謎めいたセリフを聞かされた後に、
南国っぽい場所で天国での生活がスタート。
たまたま釣竿を見つけた主人公は、
案内役であることりちゃんと共に魚釣りをしながら
天国の住人たちと交流していくことになる。
交流する住人たちは『くまのレストラン』でも登場したキャラが中心で、
メインだったくまとねこも登場だ。
酔っ払いサラリーマンから訳ありの大男、
妊婦に女子高生に天使などなど。個性豊かな顔触れ。
本作からの登場キャラも多く、大工のカンナさんはいい味出して好きだなぁ。
素敵な恋人を探す木こりのセルゲイと、
彼を追いかける謎の怪力乙女であるリラのコンビも好き。
口調からして分かりやすいオタクキャラであるデイブも続投。
前作に引き続き「ゲーマーあるある」を振りまくポジションになってるぜ。
しかし地獄で働く金髪デコ幼女のドロシーに
大したリアクションしてなかったので、オタクとしてはまだまだ甘いな！
天国は人間の記憶を元に地上の地形や食べ物などが再現されているし、
何もしなくても幸せに生活できる。
とはいえ、死んで天国に来た登場人物たちは生前の心残りなどを抱えている。
天国にいる人間の姿は当人の想い強く反映されているため、
見た目と本来の年齢や姿が違う登場人物もいる。
主人公と各キャラの交流でその辺りを掘り下げていく構成だ。
登場人物が多いので個々のエピソードは短いが、
少しずつ前を向いていく姿はちゃんと描けている。
「あのキャラ」のその後を描いた
『くまのレストラン』の後日談としても見せ場が多かったね。
仲良くなったキャラから家具を貰うことが出来て、
自宅に自由に設置可能だ。南国らしいものから地獄っぽいものまで。
そしてメインとなるのが釣りゲーパート。
ここで「○○を○○匹釣る」などの条件を満たすことでゲームが進行していく。
メインストーリーの他に、各キャラから魚を依頼されるサブクエストもある。
システムは非常に単純で、竿振って魚が掛かったらボタン長押しで引っ張るだけ。
魚を釣ったりサブクエストをクリアすることでお金が入る。
これを使ったステータス強化がすべてのシステムで、
駆け引きの要素はゼロだ。
「テンション」「スタミナ」を上げておかないとすぐ糸が切れる。
「みりょく」が低いと魚がまったく掛からない。
デカい魚が釣れやすくなる「ビッグハンター」が低いと、
サイズ指定された魚が釣れなくなる。
なので、釣りゲー部分は完全に作業！
同じことの繰り返しで魚釣ってステータス上げ続けるだけ。
天国ということでありえない巨大魚なんかも釣れるが、
魚影がデカい以外に特徴が無く、
釣りあげた時の演出がすべて同じなのでまったく気持ちが盛り上がらない。
ミッションが更新される度に新しい魚を6匹とか要求されるから、
感慨も何も無いんだよな……。
たまに出現確率が低い魚なんかも混じっててつらい。
ゲームは単純だけど育成が楽しいとか。
数字がインフレしていくのが楽しいとか。
そういう感覚もなくただひたすらに作業。
「フィッシングRPG」を名乗るなら装備とかスキルとか、
誰かをパートナーにして一緒に釣り出来るシステムとか欲しかったが無し！
釣り場の魚をリセット出来る鳥ちゃんの能力（連続使用不可）と、
ランダムで発生する入手金額2倍のイベントがあるくらい。
サブクエストすべてコンプリートすれば真のエンディングとなるが、
釣りゲー部分があまりにも作業なのでつらい。
天国で釣りするゲームなのにやってることは賽の河原じゃねーか！
雰囲気やBGMの良さで誤魔化せねーぞ！
13時間ほどで真エンドだが、10時間以上は釣りゲーやってたかな……。
ゲーム部分がしんど過ぎる！
死を通過して天国へやってきた人たちの、
辛くも暖かいエピソードの数々は悪くは無かったし
主人公の描き方やシメも気に入ってはいる。
ただ、良くも悪くも天国という場所の設定や描写が緩い。
そのせいで前作以上にご都合感があったし、
前作の「起きて部屋を出る前にボタンを押して着替える」みたいな、
細やかさを感じる演出があまりなかったのも残念だったかなぁ。
前作好きだっただけに色々と物足りなかったぜ！
