絶対SIMPLE主義

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【レビュー】取り調べで真相に迫るライトな推理ADV!『サスペクツルーム〜警視庁門前署取調班~』【Switch】

 

サスペクツルーム〜警視庁門前署取調班~公式サイト

 

サスペクツルーム ~警視庁門前署取調班~ ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)

 


パブリッシャー:オレンジ

機種:Switch

ジャンル:アドベンチャー

発売日:2024/1/25

価格(税込):1200円

備考:後日PS4/PS5/Steam/iOS/Androidでも配信予定


 

警視庁に新設された「取調班」の一員となり、様々な事件に挑んでいく推理ADV。『探偵神宮三郎』シリーズを手掛けたオレンジと、シナリオ制作会社ハイボリュームによる完全新作だ。

 

ハイボリュームの代表である利波 創造さんは、SIMPLEシリーズで『THE推理』『THE鑑識官』などのシナリオを手掛けたお方!そんなわけでSIMPLEシリーズファンとしても大注目の1本なのである。


値段なりな部分も多かったが、バラエティ豊かな事件に取り調べで挑む構成はしっかりしている。オレンジのADVらしくライトに楽しめる1本になっていたぜ。

 

 

主人公は真野ハルカ。正義感溢れる性格で、交番勤めから新人取締官へと異勤してきた女性刑事だ。仲間たちと協力して様々な事件を担当していくことになる。

 

 

近未来を舞台にしているので、相棒はウーパくんという超高性能AI。他にも取り調べ相手のバイタルをリアルタイムで確認できたりと、SF的なテクノロジーが色々と登場だ。

 

 

『THE鑑識官』と同じシナリオライターさんが関わっているとはいえ、関連作品でもないしメーカーも違うからあんまり比較はしないでおこう……と思ったんだが、このAIマスコットを伴った近未来の事件調査!ってノリやセリフ回しがめっちゃ『THE鑑識官』してるし、この主人公のポーズもめっちゃ見覚えあるぞ!

 

 

キャラデザも違う人なので偶然だとは思うが……!

 

 

ゲームの話に戻るとハルカが配属された取調班には、頼りになる仲間たちが揃っているぞ。

「柴犬」のあだ名で呼ばれる小柴レオくんは、刑事は足で稼ぐ!を地で行くタイプで、元陸上選手のひったくりを捕まえる脚力を持つ。駄菓子屋が大好きで子供っぽい。

 

峰村リョウコ所長は厳しいがここぞという場面ではきっちりバックアップしてくれる。

 

四ノ宮ミズキは16歳だが、米国の大学を飛び級で卒業した凄腕エンジニアだ。

 

 

6歳でニーチェやドストエフスキー読んでたことでマウント取る天才キャラはかなりコテコテ。しかしこの手のシナリオで凄腕エンジニアの仲間が役に立たないことはまずないので有能です。

 

 

ユキヒコ班長はボサボサ頭に無精ヒゲで昼行燈な隊長キャラか!いいですね!

と思ったら普通に有能だけど重労働でくたびれてる人だったので、ゆっくりコーヒーを飲んでください……ってなった。

 


ゲームは取調パートで証人から情報を引き出したり、現場に出向いて使えそうな証拠を集めたりして進行する。あちこち調べて情報を集めていくが、一本道で迷うことはほぼ無い。

 

 

全体マップ画面もあるが行ける場所が決まってる。たまに寄り道で軽い会話が発生するくらいかな

 

 

取調をする相手はやや不審な点がある人物から、殺人犯の疑惑がある人物、既に逮捕されてるが誘拐した相手の場所を吐かない犯人。そして「この相手の取調は難易度が高いな!」なんて相手もいたりと様々だ。続編が出たらペットに取調する話とか見たい。

 

 

聞き取りや観察で情報を集め、手持ちの証拠で気になる物や矛盾のある物をぶつけて発言を引き出していく。

 

 

合間の推理や証拠品を間違えるとライフが減り、ゼロになるとバッドエンドとなるが、ここも難易度は低いしすぐやり直せるぞ。

 

 

チャート機能で分岐もすべて確認できるが、バッドエンドは簡素なテキストで急に終わる物ばかりなので、やはりゲームとしては1本道だ。ここはオレンジの他のADVと同じ作り。

 

 

と、そういうゲームでほぼ一本道のノベルゲームに近い構成。取調班のキャラが立っているので、各自の得意分野を活かして協力して捜査する流れは面白いし、適度にSF的なギミックが飛び出すのもいい味になってるぜ。

 

投資家の殺人事件に挑む3話は怪しげなセミナーが出てきたり、レオくんが弄られたりで個人的に単独話で一番好きだし、終盤は闇が一気に深まる現代的な事件で、二転三転する展開も含めて本作の持ち味がしっかり出ていた。クリア後に各話の後日談が解法されて、尺は短いが取締班の日常を少しだけ見れる点も良かったね。

 

難点はボリューム不足な点。

3~4時間くらいで終わる全5章のゲームなため、掛け合いやキャラの掘り下げがもっと見たいなぁというところで終わってしまう。もうちょっと活かせそうなのに唐突な悪い奴、ただの嫌な奴で終わってる脇役もいたりで勿体ない。謎解きやギミックの難易度が見れば分かりレベルなので、展開に捻りが無く感じてしまう場面もしばしばだ。

 

値段を考えるとしょうがないんだが一枚絵がほとんど無いのも寂しい。死体や犯行の証拠描写くらいで、取締班の面々を描いたものがまったくない。そのせいでクリア後に解禁されるギャラリーが、死体の写真や犯行の証拠だけで埋まってて殺伐!ただの警察資料だこれ!いやそれなら正しいのか!?

 

ラストシーンに一枚だけあったらそれで充分満足してたな。

 

 

演出面も含めて1200円という値段相応なところが多いが、独自の魅力もあってライトな推理ADVとしてはしっかり楽しめる1本。シナリオも本作だけで完結しているぞ。メインテーマもイントロからアガる。

とはいえ「悪くはないけど物足りない」気持ちが強いので、これは是非ともシリーズ化して展開してもらいたいぜ。

あ、空気感はめっちゃ近いので『THE鑑識官』ファンは即買いでOKです!