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犯罪予測AIアプリで事件に挑め!安定のオレンジ製ADV『未然探偵 The Protea Cases』レビュー!【Switch】

 

未然探偵 The Protea Cases

 

『未然探偵 The Protea Cases』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:オレンジ

機種:Switch

ジャンル:ロマンティックミステリー

発売日:2022/7/28

価格(税込):1300円

備考:後日PS4/PC/スマホでも配信予定


 

株式会社オレンジが送るロマンティックミステリー第三弾だ。

女性主人公でちょっとロマンス要素のあるノベルゲームシリーズ。

19世紀初頭の英国でメイドが殺人計画阻止に挑む『ゴシックマーダー』、

成り行きでマフィアのボスになった少女が父の死を探る

『少女首領の推理領域 -黄金島の密約-』と来て、

今回は近未来の新宿を舞台にした探偵モノになっているぞ。

 

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タイトルの『未然探偵』要素がやや薄いのが惜しかったものの、

前2作に続いて、今回も短編ながら手堅くまとまっていて面白かった。

シナリオが『探偵 神宮寺三郎』シリーズの金子みつえ氏だけあってか、

雰囲気作りもしっくり来てた。

 

 

主人公は伊月千春。

過去のとある事件から自分に自信が持てず、

なりたかった警察官の採用試験にも落ちて探偵見習いをやっている。

 

 

千春が探偵事務所の仕事で失踪者の調査をしている時に手に入れたのが、

謎のアプリ「プロテア」。

それはこれから起こる犯罪を未然に察知するアプリだった。

誰かの役に立ちたいという想いが強い千春はそれを使って様々な事件に挑む!

未然探偵ここに誕生!というストーリーだ。

 

 

たまに登場する選択肢を選びながら読み進めていく作りで、

ADVとしてはオーソドックス。

移動してあちこち調査するパートや謎解きもあるが、

どちらも簡素な作りなので迷うことは無し。

 

 

各シナリオの山場には、

関係者や犯人の証言に正しい証拠品や選択肢をぶつけていくパートもある。

手持ちの情報の再確認が大事だ。

 

 

フローチャート機能があるので分岐の確認はやり直しも楽々。

選択ミスでバッドエンドになることもあるが、

簡素なテキストが数行流れて終わる物がほとんど。

大きなストーリー分岐もないため、基本は一本道の作りだね。

 

 

シナリオはやはり犯罪予測AIアプリ「プロテア」の存在が大きい。

SNSの書き込みや街中にある監視カメラ映像、過去の犯罪履歴などの情報を元に、

犯罪を高精度で予測する警察関連のアプリ。

警察関連のアプリなので、管轄である新宿区でしか使用できないし、

個人情報保護のため通常使用には色々と制限がある。

チートアプリかと思ったら意外と地に足の着いた仕様……!

 

とはいえ、フワッとした予測に対して追加情報を入力することで、

精度を高めて細かい場所まで分かる機能など、

推理ゲームらしい仕組みになっているのが面白い。

最後に物を言うのはアプリではなく、

登場人物たちが集めた情報やそれを踏まえた行動だ。

 

 

登場人物たちも魅力的。

主人公の千春は可愛いし、推理やここぞという場面では

しっかりと芯のあるところや行動力を見せてくれる。

過去の「ロマンティックミステリー」シリーズの主人公たちに通ずる魅力があるね。

 

 

まあ、いきなりマフィアのボスに就任して色々不安になっても、

「しばらくすればマフィア慣れしてるはずだから」的な感じで乗り切ってた

『少女首領の推理領域 -黄金島の密約-』の主人公には勝てないが……。

 

 

千春が所属する探偵事務所の所長である高瀬秋彦さんはちょっと厳しいけど、

有能でここぞという場面でのハッタリが上手いし、

時々熱いところも見せてくれる頼れる所長。

千春が夜に1人で帰ろうとするときに、

料金はこっちで持つからタクシーを使えと促すなど、

随所でちゃんとした大人だ!と思わせてくれる

 

 

兄の不審死を調べるために千春の捜査に協力してくれるのが天野夏樹。

新宿中央署刑事課のエースってだけでクソ忙しそうなのに、

休憩時間削って千春の手伝いをしてくれるタフさが凄い。

山盛りのフライドチキンをバクバク食べて頑張ってて、

さすが刑事課のエースだな……。

最前線で体を張るカッコ良さと、まだまだ少年っぽいところが微笑ましい。

 

 

こちらはプロテア関連で接触することになる謎の人物。

「お前CV付いたら絶対石田彰だろ!」というルックスだが、

正体が明らかになってくると意外と可愛い奴だった。

 

その他、それなりの数がいる脇役もみんなキャラが立っている。

様々な人物と出会いながら調査を進める中で、

主人公の過去に関する謎が少しずつ明らかになっていく構成が面白い。

 

ただ、シナリオはその主人公の過去や

プロテアの開発に関する謎が中心になっていくので、

「様々な事件を未然に解決していく!」

という「未然探偵」要素はちょっと薄く感じてしまった。

終盤の展開はプロテアの仕様を上手く生かしていたんだけど、

もうちょっと本筋に関係ない細かい事件解決エピソードが見たかったね。

 

 

クリアまで3~4時間ほど。

選択肢の積み重ねでキャラ毎のエンディングはあるんだが、

過去のシリーズと比較しても恋愛要素は薄目。

ライトでSF要素のある探偵モノとしての色が強いかな。

俺が探偵モノ好きなだけかもしれないが、

話は「ロマンティックミステリーシリーズ」で1番好きだった。

ボリュームや演出は値段なりで、もうちょっと長尺で見たい設定ではあったが、

今回も短編のADVとして安定して楽しめる1本だったぜ!