絶対SIMPLE主義

Switch/PS4のダウンロード専用ソフトを中心に全方位でゲーム紹介するブログ。SIMPLEシリーズも応援中。

【レビュー】記憶が紡ぐ、読後感爽やかなSF&ファンタジー『アナザーコード リコレクション:2つの記憶 / 記憶の扉』【Switch】

 

アナザーコード リコレクション:2つの記憶 / 記憶の扉 ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)

 

『アナザーコード リコレクション:2つの記憶 / 記憶の扉』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:任天堂

機種:Switch

ジャンル:アドベンチャー

発売日:2024/1/19

価格:6578円


 

2005年にニンテンドーDSで発売された『アナザーコード 2つの記憶』と、2009年にWiiで発売した『アナザーコード: R 記憶の扉』を1本にまとめたリメイク作品。今は無きアドベンチャーゲームの老舗シングの代表作だ。

 

主人公である女の子のアシュレイが、様々な場所で両親の行方や謎を追っていくストーリー。幽霊や超科学技術も飛び出すSFファンタジーだ。今回の開発はアークシステムワークスが担当で、グラフィックやシステムなどすべてを一新して現代向けに作り直されている。ボイスも付いた。

 

俺は今回のリメイク版が初プレイ。昔から気になりつつ遊べてなかったので良い機会になった。『アナザーコード 2つの記憶』はニンテンドーDSが出てから3か月後の発売だったので、タッチ操作に2画面にマイク機能にと、本体機能のフル活用っぷりをウリにしてたし、キャッチコピーも「さわれる推理小説」だったね。

 

主人公のアシュレイが可愛いので、当時は「任天堂が萌えキャラのゲーム出してる!?」とか話題になり、名前が似てる『メイドインワリオ』のアシュリーと一緒に語られることが多かった印象あるな。

 

クリアしたが手軽に遊べる謎解きSFファンタジーとして面白かったぞ!

 

 

一本道の謎解きアドベンチャーゲームで、オリジナル版は見下ろし視点だったり横スクロールだったりしたが、今回は3Dマップを歩き回る形で統一されている。

あちこち調べてアイテムや情報を集めながら、謎を解いて先へ進むオーソドックスな作り。

 

 

物語の鍵を握るのが「DAS」という謎めいた端末。集めた情報の確認や写真撮影、スキャン機能など様々な機能を搭載している。

 

元はニンテンドーDS型だったが、リメイクではSwitch本体っぽいデザインになった。「まるでゲーム機みたい」とコメントしてるが、舞台設定が2005年なので色々と先取りし過ぎ!まあ性能の超技術っぷりの方が凄いんだけども。

 

 

謎解きはカギを開けるためにマークを動かすものや、ジャイロ機能を使って引っかかってるアイテムを取り出すもの、持っているパーツを機会はめ込むものなど。脱出ゲーム的な王道の仕掛けが中心だ。

 

 

DASで撮影した写真を怪しい重ね合わせることで謎が解ける場面も。

 

 

むっ……ナンバーロック!

俺はSIMPLEシリーズの脱出ゲームを遊び過ぎた後遺症で、ナンバーロックを見ると脳が痛むのだ!フキダシに付いたアシュレイの可愛い顔アイコンを見て耐えよう。結構バリエーション豊富なのが良い。

 

 

謎解きの難易度はそこまで高くなく、リメイク版で追加されたアシスト機能も高機能。目的地を表示するナビ機能と3段階のヒント機能があるので「ちょっとだけヒントが欲しい」「謎解きは自力で解きたいけど次にどこに行くか知りたい」って人にも対応可能だ。簡単操作ですぐにON/OFFの切り替えが可能なのも快適。

 

 

ここからは収録シナリオを1本ずつ紹介していく。

ニンテンドーDS版が元となっている『2つの記憶』編は、死んだはずの父親から届いた手紙に導かれたアシュレイが、とある孤島へ向かうところから始まる。着いてみると父親は見つからず、そこで待ち受けていたのは仕掛けがいっぱいの巨大な屋敷と、記憶を失くした幽霊の少年「ディー」。果たしてアシュレイは父親に再会することが出来るのか。という物語だ。

仕掛けだらけの豪邸をちょっとずつ探索していく構成が実に脱出ゲーム的。

 

 

14歳なのでまだ子供っぽさがあるアシュレイがとても可愛いし、ほとんど記憶にない父親との再会に、不安と期待を募らせる姿が胸を打つ。

 

 

幽霊にビビるアシュレイ可愛い。いや半透明の幽霊が笑ってきたらこええけど!

 

 

残された手掛かりを集めていくことで、何十年もここに住んでいるディーの過去と、屋敷であった出来事が繋がっていく。徐々に複雑な人間関係が浮かび上がってくるのは実に古典ミステリーしてる。

 

 

登場キャラは少ないがしんみりさせてくるセリフ回しが上手く、中盤から終盤に掛けての盛り上げ方も引き込まれる。やっぱり船長がいい味出してるよなあ。出番少ないのに作品の雰囲気に影響めっちゃ与えてるぜ。

表情付けなど動きも細やかで、特にシナリオにしっかり活きてる目の演技が非常に良かった。

 

 

ディーくんの、下半身がニョロっとした幽霊描写がややギャグっぽいのは気になったかな……。シリアス作品ではあんまり見ない造形だ!妖怪ウォッチで見たのが最後かも。

 

 

続いてWii版が元になっている『記憶の扉』編。

なんやかんやあった島での事件から2年後のアシュレイを描いており、自然豊かなキャンプ地であるジュリエイト・レイクが舞台だ。とある事件を追うことになったアシュレイは、そこに繋がる自身の過去、そして遠い母親の記憶と向き合うことになる。

DSで父親の話をやったので、Wiiでは母親の過去を掘り下げる構成だ。

 

 

アシュレイは開始早々に大事なものが詰まったバッグを盗まれるし、待ち合わせにほったらかしにされるし、知らない大人たちとの気まずいバーベキューに参加させられるしで散々。孤島の屋敷編が終わったらクソキャンプ編が始まったんだが!?

 

 

孤島のお屋敷が舞台だった『2つの記憶』と異なり、こちらはキャンプ地全体が舞台。それなりに広いフィールドを歩き回りながら物語を進めていく。

 

 

フィールドも広ければ登場人物も格段に増加。DSからWiiへのハード変更パワーを強く感じる。

謎解きをしつつ進めていく1本道の構成は同じだが、青春ドラマ的な要素が濃くなっており、悩みを抱えた登場人物たちとアシュレイの交流、成長を描いている。シナリオのテイストがガラッと変わっていて驚いた。

 

 

ジュリエット・レイクの各所は雰囲気しっかり作り込まれているし、ゲームが進める度に行ける場所が増えて、最後は「序盤から怪しかったあそこについに入れる!」とワクワク出来るのはこの構成だからこそだ。

 

 

複数の登場人物のエピソードが平行して進むのでややテンポが悪く感じたが、終わってみるとテーマに一貫した話作り。

 

「なんだこの感じ悪い奴は!もう謝っても許さねぇぞ!」

「そうか……お前そんな事情が……!」

を繰り返したり、あからさまに怪しいキャラが話を引っ張る作りは分かりやすくて好き。『2つの記憶』に引き続き失われた記憶を軸になってるから「こいつら、いつも何か思い出してるな」ってなるがそういうゲームだからね!

 

 

この2つのシナリオをクリアすると、おまけでDS版のへそ出し衣装に着せ替え可能なのが嬉しいぜ。

 

 

欠点としては探索時のカメラワークの近さ。

アシュレイに寄り過ぎていて細かい調整も効かないので、周りの状況が把握し辛かった。

 

 

あちこちに隠された収集物を集めることで物語の背景が補完される作りなんだが、このゲームはチャプターセレクト機能の類が一切ない。取り逃したらゲームを最初からやり直すしかないのがきつい。ナビ機能あるならここはもうちょっと快適にして欲しかった。

 


クリアまで20時間掛からないくらいのボリューム。

謎解きは一新されているせいかSwitchの機能を使うところを踏まえても平凡で、当時のユーザーの衝撃は味わえなかったが、シナリオは良し!

10代の女の子、家族、記憶に絡めた筋書きの良質なSF&ファンタジー。2つのシナリオはどちらも終盤で一気に盛り上げてくるし、最後のエンディングも見事。キャラ、建物含めて丁寧にリメイクされたビジュアルで古さも感じさせない1本だったぜ。遊べて良かった!