プリンセスは金の亡者のレビュー行くぜ!
じゃりんじゃりん稼ぐぜ!
メーカー:日本一ソフトウェア
機種:VITAパッケージソフト/Switchダウンロード専用ソフト
ジャンル:金の力ですべてを解決するアクションRPG
発売日:2016年11月24日(Vita)2018年4月26日(Switch)
価格(税込):6458円(Vita)5143円(Switch)
備考:VITA TV対応
日本一ソフトウェアが送る完全新作アクションRPG!
金で敵や罠を買収してこちらの味方に出来る!金の力で奇跡を起こせる!
金の力ですべてを解決するゲームだ!
完全新作であることとコンセプトとノリに惹かれて購入してみたぞ。
まあそれなりに面白かったが……悪い意味で低予算っぽいトコロが多い1本だったな!
魔王と勇者が戦う弱肉強食の時代は終わりを告げ、
資本主義の台頭で金がすべての時代がやってきた!
恐怖の存在である魔王も広域指定暴力団ドラゴローン一家にそそのかされ、
株の信用取引とFXで破滅!
その魔王の娘であるプリンセスはドラゴンローン一家を倒すために笑顔を捨て、
金を集めて金の力で戦い抜く復讐の鬼と化した!
プリンセスとお供のセバスチャンによる仁義なき戦いが始まる!
というストーリーだ。
絶対に許さねぇぞドラゴローン一家!
見下ろし視点で進むアクションRPGで
最深部にいる敵を全滅させるか、最深部にいるボスを倒せばステージクリアだ。
拳を使ったコンボや溜め攻撃、
装備する武器によって変化する奥義を進んでいく内容だが、
暴力団の構成員であるスケルトンやゴブリン、ドラゴンといったモンスターが
山のように押し寄せてくるし、
落下する鉄球に、ギロチンや回転ノコギリ、火炎放射器や3方向砲台など、
主にクッパがマリオを殺害しようとする時に使われるような
物騒なトラップも沢山並べられてる。やっぱ暴力団は怖いな……。
ここで重要になってくるのがLボタンでの電卓アクション!
倒した敵や宝箱から手に入れたお金を消費することで発動可能。
画面に表示された電卓をタッチして数字を入力した後に、
敵やトラップをタッチすることで買収して味方に付けることが可能だ。
電卓を出している間も時間は止まらないので、
敵の攻撃を避けながらの電卓入力が求められる!
買収した後は△ボタンを押すと発動。
買収したトラップの上に他の敵を誘い込んでボタンでドーーーン!
死んだ敵から現ナマがドザーーーッ!
みたいなのが非常に爽快。お前らの仕掛けた罠でくたばりな!
効果音が実にいい仕事してる。攻撃してて気持ちいいわ。
中ボスなども買収可能だが、
強い敵ほど買収額が高いし、強い敵ほど倒した時に手に入る金額も大きい。
強敵を買収して先に進むか、
それとも頑張って倒してマネーを優先するか。悩みどころだぜ。
買収は連発できず、金があってもゲージが溜まるまでは次の買収が行えない。
買収出来る敵は弾を発射するヤツから近接攻撃を行うヤツ、
回復魔法を使うサポート系の敵などもいるし、トラップも様々な種類がある。
どのタイミングでどいつを買収してどう反撃するか。金の使いどころが非常に重要。
ちなみに電卓による買収操作はオプションでタッチではなくキー操作に変更も出来る。
その場合は方向キーとボタンで入力と買収を行う。
また、敵に一定以上ダメージを与えるとブレイク状態になって一定時間動けなくなる。
この時にタッチ操作、あるいは右スティックグリグリで金を巻き上げられる。
丁寧に追い打ちをすることで沢山金を搾り取れるシステムです。
お金と買収した敵やトラップを使ってステージクリア後に武器や銭神像を作成可能。
武器はステータスの他に固有の奥義があり、
突進攻撃や属性攻撃、射撃攻撃などの他に
回復や一時的にステータスをアップさせるものも。
銭神像はステージ中にレシピを見つけることで作れるもので、
レシピを見つけた時と、作成した時にステータスアップに使えるポイントがもらえる。
経験値やレベルといった概念はなく、成長させるにはこのポイントを使うしかない。
武器と銭神像を作るのに必要なモンスターは
同じステージを何度もプレイして集めることになる。
まあ、簡単に言うと素材集めゲーですわ。
出現するモンスターはステージ選択時に確認できるのでそこは親切。
武器と銭神像を沢山作るために素材集めまくるのがやり込み要素かな。
日本一ソフトウェアが作ってるだけあってキャラの動きはよく出来ていて可愛い。
もう一人のプレイアブルキャラであるイザベラは生まれついてのゾンビ娘で、
ダッシュするとこのように内臓を落としたりする細かさ。
連続ダッシュすると連続で内臓を落とすぞ!
よく見ると脳みそや目玉を何度も落としてたりするのがツッコミ所。
プリンセスのコンボモーションや電卓弾いてる時の悪そうな顔なんかも実にいい。
世界観はファンタジーだけど敵は暴力団なのでセリフがガラの悪い関西弁!コワイ!
ミヤマクワガタのセバスチャンとプリンセスのやり取りとか、
プリンセスに力を貸している銭神の言動とか、
微妙に生々しさのあるドタバタは見ていて楽しいノリだぜ。
ゾンビ娘のイザベラさんは臭いらしい。
ゾンビ娘は好きだけど臭いのはちょっと……。
ステージ内には連続勤務し過ぎてガイコツになっちゃったゾンビとか
仕事の愚痴を言ってくる暴力団の下っ端がいたり、
ザコ敵も出てくる時にそれぞれ違ったセリフを言いながら出てきたり、
そういうとこにボスの弱点のヒントが混ざってたりする作りも細かくていいね。
低予算なせいかキャラにボイスは無く
喋りに合わせてそれっぽい効果音を付ける昔ながらの手法が取られているが、
その分、ナレーションの大塚芳忠がよく喋る内容。
武器ごとに違う奥義説明なんかもしっかり全部読み上げてくれるし、
会話シーンでも「今週の格言!」と、
印象的なセリフを語り上げたりキレッキレ。
いい味出してるぜ!
そんな本作だが欠点はゲームバランス。
「トラップとトラップの隙間で大量のザコ敵と戦う」みたいな場面が序盤から多く、
敵の攻撃力もガンガン上がっていくので常に劣勢を強いられる。
とにかくトラップと攻撃の密度がおかしくて、中盤くらいからは
画面外から砲台の弾がガンガン飛んでくる状況で
トゲ床を避けながら大量のザコ敵をさばくみたいな場面が続く。
ダメージを受けた時の無敵時間が短いので
連続で攻撃を喰らうとあっという間に即死する。
敵の攻撃が雪だるま式にヤバい!
このバランスで画面の3分の1を覆う電卓を起動させて金額を入力するのは至難の技だ。
連続で買収が出来ないのでちょっとしたミスで買収する対象を間違えると詰むことも
そこで役に立つのがもう一人のプレイアブルキャラであるイザベラ。
攻撃力がプリンセスより遥かに高く、連続で買収が可能で、
しかも買収する時に電卓を使わなくてOKという完全な上位互換キャラ!
ついでにステータスアップに必要なポイントはプリンセスとイザベラで共用なので、
どうしても片方にポイントを注ぎ込むプレイになる。
通常の倍の金額で買収するとパワーアップする買収方法と、
銭奇跡という、金を使った分だけ強力になるランダム技がイザベラには使えないので、
そこで差別化が出来てはいるんだがそこを考慮してもあまりにもプリンセスが弱い。
っていうかイザベラを使ってても苦戦するくらい中盤からの難易度キツいからな!
敵を買収するタイミングをきっちり考えて
死に覚えながらパズル的に攻略パターンを組み立てていくのは面白い。
イザベラの強力な置き爆弾やトラップの巻き込みで
敵に大ダメージを与えられた時は気持ちいいんだけど、
それにしても理不尽に感じることが多いバランス。
敵とトラップの密度はイザベラを使っていても画面が狭く感じるほど。
金がすべてって聞いてたけど暴力がすべてだったよ……。
1ステージは10分程度で終わるんだけど
とにかく死にまくるからクリアまでかなり時間掛かった。
素材集めて像を作ってもなかなかステータスが上がらないし。
そもそも金の力ですべてを解決するアクションRPGと言いつつ
結局は地味な素材集めが必要なのはなあ。
途中から色違いの敵と同じようなマップを延々と繰り返す内容になってくるし、
悪い意味で低予算なゲームっぽさがにじみ出てくるぜ……。
難易度の高さもあってしんどさの方が上だった。
札束で敵の顔を引っぱたきながら進むゲームを想像していたんだが、
実際にやってみたら
「やめてくれ~!金ならあるんだ!殺さないでくれ~!」
って叫びながらボコられて死ぬゲームだった。
なんだかんだで爽やかに終わるギャグテイストのノリや、
敵をボコってブレイク状態にして
更にボコって金をじゃりんじゃりん巻き上げる気持ち良さ。
敵を買収するシステム、ハズレ無しの素晴らしいBGMと、
つまらないわけじゃないんだけど遊んでいて疲れたぜ。
色々と惜しいゲームだったわ。