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Switch/PC「返校 -Detention-」レビュー!色鮮やかな闇を追い、絶望の渦へ!キレッキレの台湾ホラー登場!

 

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Nintendo Switch 返校 -Detention- 任天堂公式

 

『返校 -Detention-』のレビュー行くぜ!

 


メーカー:PLAYISM

機種:Switch/PCダウンロード専用ソフト

ジャンル:ホラーアドベンチャー

発売日:2018年3月1日

価格:税込1296円


 

PCでも日本語版が配信中のホラーアドベンチャーで、台湾で制作された作品だ。

舞台も戒厳令下である1960年代の台湾になっている。

 

ホラーゲームとして非常にオーソドックスなシステムだがハイレベルな作りで、

マップを歩いていてイヤ~な気持ちにさせられる湿った雰囲気も絶品。

舞台設定を存分に活かしたシナリオは恐ろしくも切ない内容で引き込まれた。

PVの時点でワクワクっぷりが凄かったんだが、その期待は裏切られなかったぜ。

 

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ゲーム中に登場するキャラクターや団体は幸いなことにフィクションであり

実在の人物 場所 歴史的事実への類似点が見受けられた場合は 

完全に偶発的な事象に他なりません

 

という最初の注意書きの段階で良作の気配を感じさせてくれる。

 

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物語はとある学校に通う少年ウェイが授業中に居眠りをしてしまい、

起きると学校から忽然と人影が消えてしまっているところからスタートする。

黒板には台風警報の文字があり、とりあえず自宅に帰ろうとするウェイが出会ったのが

メインビジュアルにも描かれている女生徒のレイだ。

 

2人は学校に閉じ込められてしまっていることが判明したため、

連絡手段と学校で夜を越す手段を探すことになるが、

その途中で説明のつかない不気味な出来事が次々に発生していく。

 

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ゲームは横から見た視点で進む2Dのアドベンチャーゲームで、

道を塞いでいる扉を開くための道具を探したり、ちょっとした謎を解いたり、

断片的に散りばめられたヒントや物語の欠片をメモとして集めたりしていく。

『トワイライトシンドローム』や『クロックタワー』を思わせる

昔ながらのオードックスな作りだね。

 

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学校内では幽霊と遭遇することがあり、

接触してダメージを受け続けたり捕まったりすると

倒れて特定のポイントまで戻される。

こちらに攻撃手段はなく、息を止めてやり過ごすことで対応だ。

 

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幽霊の対策などはあちこちで手に入るメモなどで教えてくれるぞ。

メモには舞台や人物の背景、

そしてそこで起こった事件の情報なども断片的に散りばめられている。

この手に入るメモの絵もいちいち凝ってて良いんだよなあ。

 

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奥行きを感じさせる背景の描き込みや独特の湿った空気感も見事で、

絶対なんかあるじゃん!ここ歩くの嫌だわ!

ってなるようなところがバンバン出てくる。

 

台湾の風土に絡めた幽霊の造形も含めて、

ここはアジア圏のホラーならではの薄気味悪さだね。

学校が舞台……ではあるんだけど、舞台設定を生かした恐ろしい部屋もあれば、

逆に学校ではありえない場所もあったりで様々なマップが登場する。

 

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そんなマップのあちこちで遭遇することになるホラー演出がまた秀逸。

ビックリ系もあるんだけど、

嫌な予感と嫌な違和感の積み重ねでプレイヤーを怖がらせるタイプが中心。

足元からじわじわと這い上がってきた恐怖心を、

イイ感じのタイミングでバン!と爆発させるバランス感覚がお見事。

 

新しい場所に来たり、仕掛けを解いたり、アイテムを使ったりした時に

その場の空気がサッと変わるような場面も多く、その度に驚かされっぱなしだ。

思わず「さっきと違うじゃん?!」と叫びたくなるような恐ろしい違和感が、

刃となってプレイヤーの心をグサリと刺してくるぞ。

 

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本作のビジュアル面での特徴はなんといっても豊かな色使い。

謎と怪異に満ちた学校を探索するホラーなので、

全体的に寂しく褪せた色合いで描かれているが、

その奥深さと、時折見せる大胆な色の使い方には唸るしかない。

 

「赤」と一口に言っても様々な「赤」があるし、

「白」「黒」にもそれぞれ様々な「白」「黒」がある。

闇を照らす「光」にも様々な「光り方」がある。

そんな当たり前のことを改めて再認識させられる鮮烈なセンスだ。

 

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虚実入り混じった世界で物語の欠片を拾い集め、

映像とシンクロした美しいBGMに導かれながら進んだ先。

あまりにも色鮮やかな闇の向こうで待ち受けるのは、

1960年代、戒厳令下の台湾という時代設定を遺憾なく発揮した切ないシナリオだ。

相互監視や密告が行われ、校内にもそれを煽るスローガンが乱れ飛ぶ。

そんな状況で起こったある出来事の真実が明らかになる。この流れは引き込まれたぜ。

 

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良く出来た作品なんだけど、

難点は2つあるエンディングの分岐がやや分かりにくいところ。

 

幽霊は対処法を覚えればすんなり回避できるし、

謎解きは個人的にピアノを使った仕掛けが苦手でそこだけ少し手こずったものの、

ナンバーロックやアイテムを使った鍵開けなどは

簡単過ぎず難し過ぎずのちょうど良いバランスで、

見た目やギミック的にも面白いものが多かっただけに、分岐だけが惜しかったかな。

ヒントはあるし分かれば簡単なんだけどね。

 

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クリアまでは3~4時間ほど。

前半はよく分からない現象が多発する怖さに引っ張られてグイグイ進めてしまうし、

中盤以降は謎が解き明かされていく面白さがある。

そして終盤のメッセージ性の強さと、真エンディングを見た後の余韻。

こうしてクリアしてレビューを書いている今も印象に残る味わい深さだった。

 

ローカライズも違和感がまったく無かったし非常に丁寧に作られていると思う。

台湾の開発会社が手掛けたからこそ出来た

台湾を舞台にした良作ホラーゲーム。オススメだ。