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圧倒的ストロングスタイルのリメイク作品!『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者・うしろに立つ少女』レビュー!【Switch】

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ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者・うしろに立つ少女 | Nintendo Switch | 任天堂

 

『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者・うしろに立つ少女』のレビュー行くぜ!

 


メーカー:任天堂

機種:Switch

ジャンル:アドベンチャー

発売日:2021/5/14

価格(税込):各4378円

パッケージ版は2本セットのコレクターズエディションのみで10978円


 

80年代のファミコン・ディスクシステムで発売され、

今も人気の高い『ファミコン探偵倶楽部』シリーズ2作を、

現代風にリメイクした作品だ。開発はMAGESが担当。

1本ずつの発売で、パッケージ版には2本セットで収録されている。

 

俺は今回が初プレイだったがめっちゃ面白かった。

節々で古さはあるものの、シナリオとキャラが良く出来てるから引き込まれるし、

シリーズ展開が熱望される理由がよく分かったよ。

 

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まず2作に共通している部分から触れていくと、

ゲームシステム自体はオリジナルを踏襲したコマンド式。

移動したり、画面内のものを調べたり、質問したりしてゲームを進めていく。

とりあえず総当たりで進めることになる昔ながらの作りだ。

特定の場面でコマンドの色が変わったりと、リメイクで追加されたヒントもある。

 

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グラフィックはすべて一新されているが、細部まで拘った動きまくりの画作りが凄い!

とにかくキャラが動く!背景も動く!

シーン毎のカット割りや表情の変化まで凝ってる。

喫茶店で後ろの席のお客さんが注文してるとか、

同じ場所でも違う時間だと違う人がいるとか、モブがしっかり演技してるから見応えある。

 

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学校の前で会話してるシーンで、

校舎内に人がいるというセリフと共に画面が後ろの窓にズームして……。

 

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本当にいるのが分かる!なんてくだりにはビックリした。

新しい場所に来るたびに隅々まで観察したくなってしまうね。

 

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コンフィグも細かく、キャラの音声、フォント、BGMをレトロに変更可能。

音声をレトロにするとボイスではなくファミコン的な「ポポポ」音になるし、

スーファミでリメイクされている『うしろに立つ少女』の方はそちらのBGMも選べるぞ。

 

まあ、グラフィックとのギャップが結構大きくはなっちゃうが。

グラフィックも変えられたら最高だったけどさすがにそりゃ贅沢ってもんだな!

 

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ここからはシナリオ部分を1本ずつ紹介。

記念すべき1作目である「消えた後継者」は1988年の作品だ。

主人公は記憶喪失の少年探偵(名前選択可能)。

 

崖下の草むらに倒されていた彼は、

ある財閥当主の不審死に関する調査をしていた。

主人公は不明瞭な記憶を繋ぎ合わせながら調査を再開する。

失われた記憶に関する謎と、後継者争いを巡る謎が並行して進んでいく構成だ。

 

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舞台は伝承が色濃く残る田舎町で、調査が進むと殺人事件も発生。

村人が、死んだ財閥当主であるキクさんの祟りじゃ~!と騒ぎ始める。

横溝正史の影響バリバリに感じるノリだね。

おっとこれは『レイジングループ』の画像だった。

 

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リメイクではあるが時代設定は80年代のまま。

17歳の少年探偵が現場をウロウロしていても警察が

「空木探偵事務所の探偵なら特別だ!」って全面協力して、

死体の横で情報バンバンくれるのが、ファミコン時代のノリを感じる力技だった。

空木さん、一体何者なんだ……ってくらい探偵事務所の権力が凄い。

 

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探偵助手で主人公をサポートしてくれる橘あゆみは可愛いし、

調査が進むごとにどんどん新しい事件が起きていく。

死者の祟りを思わせるような不気味な描写もチラホラ。

遊んでいて引っかかっていた部分が綺麗に解消されて、

散らばっていた点と点とどんどん繋がっていく終盤の展開が気持ちいい。

最近だったらギャグでしか使われないようなベタな描写も逆にグッと来たなぁ。

 

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「うしろにたつ少女」は1989年に発売された作品で、

1998年にはスーパーファミコンでリメイクされている。

今回のSwitch版は、スーパーファミコン版の要素もミックスした構成のようだ。

2作目だけど時系列的には「消えた後継者」の前日譚。

 

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主人公が探偵になった経緯や、橘あゆみとの出会いも描かれていて、

「消えた後継者」では姿を見せなかった探偵の空木俊介なども登場する。

こいつか~~~~ッ!謎の権力を持っている探偵!

 

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絞殺された小島洋子という女子高生について調べることになった主人公。

彼女の足取りを辿っていくうちに、

通ってる学校の噂話である「うしろの少女」との関連が浮かび上がっていく。

 

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「うしろの少女」は10年前の事件が元になった噂であり、

なぜ小島洋子はそこと繋がりがあるのか。

今回は学園ホラー的な色が強く、学校や市街地での調査が中心。

胡散臭い田舎が舞台の前作とはガラリと違った雰囲気だ。

 

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ギャグっぽい会話や登場人物による明るいシーンも多いが、

かなりドロドロした展開もあるし、

ヒロインパワー全開で進む橘あゆみが非常に魅力的。

後半は大分駆け足に感じたものの、

ラストで驚かせた後に納得させてくる作りが見事だった……!

このキャッチーさは語り継がれるわけだわ。

2作ともシナリオよく出来てるね。

 

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登場キャラはフルボイスになっており、主人公の声優は緒方恵美が担当。

「真面目だけどちょっとお調子者な少年探偵」はハマり役で、

シリアスシーンもギャグシーンもばっちりだった。

 

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まあ、声優のせいで別の面白さが生まれたシーンもあったけど……。

ここはスーファミ版で変更されたシーンだとか。

 

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碇ゲンドウのポーズやめろや!

 

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ヒロインである橘あゆみちゃんは主人公を励ましつつサポートしてくれて、

人気も納得の可愛さ!声優は皆口裕子さんだ!

「うしろに立つ少女」ではいくらなんでもムチャクチャだよ!ってくらい突っ走るんだけど、

その行動の理由を聞かされたら「許すしかない……!」ってなった。

「消えた後継者」ではビックリするくらい有能だし、存在感あって良いヒロインだ。

 

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脇役も存在感あって遊んでいて飽きさせなかった。

「消えた後継者」の熊田先生はすっとぼけたことを言いつつも、

事件解決のために走り回ってくれる良いポジションだ。

 

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名前すらない登場人物もバチバチにキャラが立ってるのが特徴で、

この「駅員」はなんと千葉繫がCVを担当。

困惑気味に情報をくれるくらいのキャラなんだけど良い味出してる。

顔の濃いテニス部員とか、呼び込みのお兄さんとかも印象的だったなぁ。

 

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モブ女性陣がやたら可愛いのも見所。

 

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学校前でヒントくれるこの女生徒は声も含めて特に可愛かった。

弁護士事務所の麗子さんもノリ良くて好き。
 

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去り際のセリフが味わい深いオネエさんもいいね。

 

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通りすがりの怖いオジサン優しい。

このシーンだけ、この一言だけのキャラなのにインパクトあり過ぎる!

 

聞き込みでいちいち濃いキャラが出てくるから、

遊んでいて主人公の会話がすげぇ楽しいんだよね。

ここが本作の大きな特徴だと思った。

 

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堪能したが不満点はセーブデータが3つしか作れない点。

チャプターセレクトも無いため、やり直しが面倒だ。

最初にも書いたがシステムはメッセージスキップを駆使した総当たりが基本。

親切になってることを考慮しても少し分かりにくい箇所があったりで、

どうしても古く感じてしまったな。

 

フルボイスは実力派の声優揃いで満足ではあるんだけど、

色々な意味で「声でバレバレだろ!」ってなるシーンもあったのが難しいぜ。

 

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それぞれ10時間掛からないくらいでクリア可能。

デキの良いシナリオとキャラはそのままに、

グラフィックと演出面を大幅強化するストロングスタイルのリメイク作品だ。

膨大なキャラすべてにアニメとボイスを付けているのが圧巻。

一言しかセリフが無いキャラまで手を抜かない凄まじい労力で、

「探偵のゲームだから人間を全力を描く!」という気合に溢れていた。

贅沢な作りでシーン毎の密度が濃かったね。

 

シナリオも節々に古さはあったけど面白かった。

こういうサブタイトルにしっかり意味を持たせる作品大好きなんだよなぁ。

BGMも良曲揃い。

不気味さという意味では音の少ないファミコン版にはどうしても勝てないけど、

リメイク版も上手いアレンジ。「消えた後継者」のタイトル画面が好き。

Switch版のサントラも出して!

 

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シリーズ展開の少なさが惜しまれる理由がよく分かる完成度だった。

満足できたし、ADV好きで未プレイの人に是非やってもらいたいぜ!