AKIBA'S TRIP: Hellbound & Debriefed on Steam
『AKIBA'S TRIP ファーストメモリー』のレビュー行くぜ!
俺がプレイしたのはPS4版ね。
メーカー:アクワイア
機種:PS4/Switch/Steam
ジャンル:アドベンチャー
発売日:2021/5/20
価格(税込):5280円
備考:Steam版は7月21日に配信
2011年にPSPで発売されて好評を博した『AKIBA'S TRIP』の完全版である
『AKIBA'S TRIP PLUS 』をリマスター化して現行機に移植したものだ。
秋葉原に跋扈する吸血鬼「カゲヤシ」と戦っていくアクションRPG。
奴らを退治する方法は……服を脱がして太陽の光を浴びせること!
仲間と協力し、秋葉原のカルチャーを堪能しつつバトルが始まる!
俺は『AKIBA'S TRIP 2』はプレイ済みだったが初代は初プレイだ。
現行ハードで遊べるのは嬉しかったし、
シナリオ協力が『ベン・トー』などを手掛けたアサウラ氏だけあって、
2よりシナリオが格段に面白かった。
ただ、本当に昔のまんまで便利機能の追加など一切しておらず、
実名店舗の要素も削られてるのでしんどいところもあったな……。
夜の街で吸血鬼カゲヤシの襲撃を受けて瀕死の重傷を負う主人公だったが、
1人のカゲヤシの少女に助けられ、自らもその力を得ることになる。
その後、NIRO(国内情報調査機構)のエージェントとして、
秋葉原を守ることになるが、
NIROには何やら思惑があるようだし、カゲヤシ側も一枚岩ではない。
主人公には秋葉原自警団という仲間もいるが、メンバーはどれも曲者揃い。
人、NIRO、カゲヤシという、三つ勢力が入り乱れる秋葉原は、
そして主人公の運命はどうなるのか……?!というストーリーだ。
リアルに再現された秋葉原をうろつきながら、
メインミッションやサブミッションを進めていくアクションRPG。
あちこちのお店で買い物したり、豊富な着せ替えを楽しんだりも出来る。
通行人に喧嘩売って追い剥ぎも可能。
装備アイテムはビジネスマンからオタクファッション、
コスプレ衣装や着ぐるみまでなんでもありだし、
手に入るアイテムもケバブやメイドクッキー、PCパーツなど秋葉原っぽいもの多数だ。
武器もバットや剣から、テニスラケット、同人誌、抱き枕、キーボードなどなど。
真面目にやっているのかと言いたくなるアイテム揃いだが、
秋葉原ではこれが真面目なんだよ!
こういうコスもある。俺が……俺たちがGONDAMだ!
秋葉原が舞台だけあって、ネタ的なサブミッションは豊富。
変なキャラが次々に出てくるノリが楽しい。
データはPSP版当時のままだが、街並みはしっかり再現されている。
実際の秋葉原に行ったことがあると物語がより身近に感じられるね。
あっ!トキワムセンが生きている!いや、トワニムセンだったか……。
こういう今は亡き店舗を懐かしめるのも良いところかな。
戦闘は脱がしたもんガチのストリップバトル!
カゲヤシは太陽の光に弱いため、服を脱がされて下着姿にされると消滅してしまう!
カゲヤシの力を持った主人公も同じ条件だ。命を懸けた脱がし合いが始まる!
普通の人間が敵の時もあるが、その場合も服を脱がせば逃げていくぞ。
みんなスカート脱がされてパンモロになった程度では逃げないのでガッツある。
武器や拳で相手をボコボコにぶん殴って、上・中・下に分かれた服にダメージを与え、
耐久度が下がってきた部位から引っぺがす!
QTEに成功し続けることで、連続で服を脱がせるコンボもあるし、
イベントやアイテムの入手といった条件を満たしていれば、
脱がした服をそのまま入手することも出来るぞ。
武器によって戦闘スタイルが変化するし、レベルを上げていれば様々な技も覚える。
コウモリを発射するいかにも吸血鬼っぽい技や、
フィギュアで気をそらしてぶっ飛ばす卑劣な技なんかもある。
服を脱がす時に手段は選んでいられないのだ。
登場キャラもみんな魅力的。
メインヒロインで主人公にカゲヤシの力を与えた瑠衣は、
芯がありつつも箱入り娘で世間知らずなところが可愛いし、
これぞメインヒロイン!という存在感ある。
秋葉原自警団の面々も、テンプレ的なオタクからメイド、
闇市時代から秋葉原に住む重鎮にと、分かりやすい濃さ。
サラさんの可愛さと強キャラ感はかなり好き。
どのキャラも短い出番でしっかりキャラを立ててるのが上手かった。
敵であり、ヒロインの兄というポジションながら出番少ない優とかも、
擁護出来ないクソ野郎なのに妙に愛嬌があるんだよな。ラディッツ的なポジション。
カゲヤシでありながらアイドルとして秋葉原で活動してる瀬那・舞那も良かった。
人間をハッキリと見下しつつも、
自分のことを応援してくれるファンの存在には喜んでいる。
その複雑な感情が短いシーンで描かれてた。キャラ立ってるわ。
とはいえ、カゲヤシ側のキャラに関してはもっとエピソード欲しかったなぁ。
その他の脇役も濃い。
主人公に様々な脱衣テクを伝授してくれる師匠は、声を「本職」の方が担当。
怪しげな立ち位置とセリフが実にハマってる。
主人公の妹も登場。本編にはほぼ絡まないが、
金を渡すことでこちらの渡した衣装に着替えてポーズを取ってくれる守銭奴!
めちゃくちゃ強いので序盤で戦闘を挑むと殴り殺されるぞ!
選択肢によって物語は分岐していき、
カゲヤシ側に付く展開もあれば、ヒロインと完全に敵対する展開もあるのが面白い。
メインルート後半の展開は
「俺がアキバズトリップ2で見たかったのこれだよ!」という燃え展開で満足だった。
自由に見れるSNSの書き込みがストーリーとリンクしてる作りも良かったし、
秋葉原という場所ならではの物語だったね。
このヤタベさんのセリフ、この後に
『AKIBA'S TRIP2』『AKIBA'S BEAT』『AKIBA’S TRIP -THE ANIMATION-』と
シリーズが広がっていったことを考えると味わい深くてお気に入り。
設定はシリアスなのにしょーもないイベントも満載なのも本作の魅力なんだが、
一番凄かったのは『ITウィッチまりあ』のイベント。
人気アニメについての質問に答えないと重要人物に会えないから、
仲間のオタクに作品について聞く イベントなんだけど、
話を聞くとその架空のアニメ作品に関するトークを延々聞かされる。
基本設定から原作マンガ、アニメ、劇場版の解説に終盤の燃え展開、
2人存在するマンガ作者のエピソードなどなど。
ボイスは無いが、これをテロップで延々と6分以上流れるのどうかしているぞ!
クリア後は難易度を上げて一部のアイテムを引き継いだ周回プレイも可能で、
主人公の見た目を別のキャラに出来る。女性キャラにすればOPからこの通りだ!
と、そんなゲームなんだが、
元がPSPのゲームだけあってマップで行ける場所が少ないし、
アクション部分もかなり単調だ。 1体1体チマチマ脱がしていく作りで、
中盤から大量の敵を倒すイベントが増えてくるためかなり面倒。
鍛えていても敵の数が多いと倒すのに時間が掛かる。
色々な武器や技があるものの、決まった技を連発するのが最強。
ちょっと遊ぶとすぐに似た動きの繰り返しになってしまうね。
元がPSPのゲームだけあって演出が簡素だし、
カゲヤシをある程度脱がすと肌に青いエフェクトかかるのも、
エロさを減退させていて良くないねぇ……!
周回プレイ前提だが、お金を引き継げないのが痛い。
レベルが1になる代わりに装備品は引き継げるから、
最初から強い状態で戦えはするんだけど買い物が大変だ。
『アキバズトリップ2』だと戦闘はヒロインと一緒に戦えて、
周りの敵を一気にピヨらせる合体技があったし演出も派手だった。
青いエフェクトも無くなってるし、周回プレイでお金も引き継げて装備品の強化も簡単。
ここから色々進化したんだな……と実感できたね。
オリジナルでは登場する店舗や看板が実名だったんだが、
今回のリマスターではそれっぽい別物に差し替えられている。
「実名店舗を大量に使った10年前のゲーム」だから、
権利関係が大変なんだろうけどここは残念なところ。
まあ、差し替え版もこれはこれで味があって好きではある。
ポリタンとおねーさん……いや、クマタンとおねーさんか?!
システムやグラフィックはやっぱり『AKIBA'S TRIP2』の方が上なんだけど、
キャラとストーリーとサブミッションの魅力は文句なしに『AKIBA'S TRIP』だったなぁ。
カオスな舞台でシリアスとギャグがぶつかり合いながら語られる、
人と吸血鬼と秋葉原の物語。リマスターで遊べて良かった。
ただ、 一通りのルートを見ても10時間掛かるかどうかのボリュームだし、
PSP版からrほとんど手が入ってないため、色々しんどいところも多い。
コンセプトや雰囲気は今遊んでもオンリーワンのゲームなんだけど、
今遊ぶんだからもうちょっと手を入れて欲しかったな。
とりあえず『AKIBA'S TRIP3』よろしく!