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手を伸ばし、身と心を焦がせ。火はここで燃えている。『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』レビュー!【PS5/XBOX/PC】

 

ARMORED CORE VI OFFICIAL SITE | アーマード・コア6 オフィシャルサイト

 

『ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:フロム・ソフトウェア

機種:PS5/XBOX/PC

ジャンル:アクション

発売日:2023/8/25

価格(税込):8690円


 

10年の沈黙を破りまさかの復活を遂げた『アーマード・コア』シリーズの最新作。

カスタマイズ可能な人型兵器AC(アーマード・コア)を駆り、

様々なミッションに挑んでいく3Dアクションシューティングだ。

ストーリーや世界観は一新されているので、

本作からでも問題なく遊べるようになっているぞ。

……この手の発言、なんだかんだで過去作を遊んでる人向けのゲームにも

使われることが多いが、本当に本作からでも問題ないんです!信じてください!

 

ここ10年ですっかり世界的人気ゲームメーカーとなったフロムソフトウェアが、

今の知名度と技術と予算規模で送る令和最新ロボゲー。

これはシリーズを初期3部作と2くらいしかやってない俺も期待するしかないだろ!

と、意気込んで買って燃え尽きた……!

今の時代に出すロボゲーとして最高だったよ。

 

 

宇宙開発が当たり前となった時代。舞台となるのは開発惑星ルビコン3。

夢のエネルギー物質コーラルによって発展したが、

そのコーラルが原因となった大災害「アイビスの火」によって、宙域ごと封鎖された惑星だ。

その災害で消えたと思ったコーラルが再び確認されたことで、

半世紀の時を越えて様々な企業が惑星進出を開始。原住民との衝突が始まった。

主人公はウォルターという男によって送り込まれた強化人間である「621」。

傭兵として企業から仕事を受けつつ、

企業を出し抜いてコーラル目指して莫大な財産を手に入れるぞ!

というストーリーになっている。

 

本作発売前のPVには「火を点けろ、燃え残った全てに」

「一度生まれたものはそう簡単には死なない」と、

明らかにシリーズ復活を意識したセリフが盛り込まれていた。

 

 

そして実際のゲームは撃墜された機体を漁って身分を得るところから始まり、

手に入れた名前が「レイヴン」。

シリーズ1作目から傭兵達の総称として使われていたこの名前を身に着け、

新たな舞台であるルビコン3での戦いが幕を開ける。

 

この流れでもう痺れた。

『アーマードコア』の復活が理屈ではなく心で理解できた。

PVで使われたセリフもメタ的な意味だけでなく、

しっかりシナリオ上で印象に残る使われ方をされるので素敵だぁ……。

 

 

アクションゲームとしてはオーソドックスな構成で、

メインメニューからミッションを選択して出撃。

ミッションクリアで溜まったお金で新しいパーツを購入し、

どんどん自分のACをカスタマイズしながら進んでいく。

パーツは一長一短があるため、後に登場するパーツほど強いとは限らない。

名前付きのACと仮想空間でタイマン勝負するアリーナや、

そこで手に入れたポイントで様々な追加効果を得られるOSチューンという強化要素もある。

 

ACに貼るデカールの自作や

他のプレイヤーが作成したデカールのダウンロードも出来るので、

カッコいい機体からネタに走った機体まで作り放題。

図形を組み合わせて作るしかないから作成が大変なのと、

クロスプレイ非対応なので機種を跨いだやり取り出来ないのが辛いとこだが……。

 

 

俺はD3パブリッシャーロボを作ってルビコンを駆け抜けた。

俺が勝手にアーマード・コアの精神的忌み子と呼んでる新作

CUSTOM MECH WARS -カスタムメックウォーズ-』もよろしくお願いします!

 

 

数百種類のパーツを組み合わせて自分だけのACを作り、

ブレード、マシンガン、ガトリングガン、バズーカ、ミサイル、

レールキャノン、チェーンソー、火炎放射器などの多彩な武器から選んで持たせて出撃。

重量感のあるACをブーストで加速させ、敵陣に切り込んで敵を殲滅する!

体中をロマンが駆け巡る熱い展開の連続だ。

 

 

ミッションは単純なターゲット破壊から防衛、探索にボス戦など様々。

いかにもロボットアニメっぽいコテコテなシチュエーションも多く、

見上げるほどデカい巨大兵器の各部を破壊する激熱ミッションもあれば、

盛り上がりに全振りしてプレイヤーのIQが一瞬で溶けるような超爽快ミッションもある。

 

 

頭の悪い巨大兵器とのバトルや、プレイヤーと同じACを駆る強敵たち。

そしてパイロットに名前付いてないのに、

イイ感じのセリフ回しとその強さで印象に残る封鎖機構や執行部隊の面々など。

アクションゲームの敵としての個性付けが抜群に上手いから、ボス戦が毎回盛り上がる。

 

 

デカい敵にトドメ刺すとスロー演出になるのもめっちゃ分かってる作り。

フォトモードもあるから、好きなアングルで君のロボットアニメ魂を満たそう。

 

アクションゲームとしてはかなり親切。

昔の『アーマード・コア』はロックオンが無かったし、

弾薬費が掛かるから実弾系の武器を撃ちまくると金が全然稼げなかった。

 

今回は敵に視点をフォーカスするターゲットアシストがあるし、

弾薬費の概念はあるけどザコ敵倒した時のボーナスで相殺される程度な上に、

同じミッションを何度も遊んで稼ぐのも簡単。

1ミッションで3回使える回復アイテムもある。

ボス前には補給がある上、やられてもチェックポイントから何度でも再開できるし、

その時にカスタマイズも出来るので、敵の傾向を見ながら最適な調整が可能。

『アーマード・コア』も令和基準の優しいゲームになってるんだなぁ。

 

 

おや……?何か来たぞ……?(この後アホほど死ぬ)

 

その分、要所でのボスやステージが手強い作り!

1週目はプレイヤーが慣れていない上にカスタマイズの幅が狭いこともあり、

何度もボコボコにされるぜ!

まあ、単純な戦闘の難易度以外では敷居を大きく下げてあるのは確かだ。

 

 

今回最大の特徴はプレイヤーとボスに存在するACSゲージとスタッガーの概念。

攻撃によってACSゲージが少しずつ減っていき、0になると機体がよろめき、

一定時間、大ダメージを受けるスタッガー状態になってしまう。

同じフロムソフトウェア作品である『SEKIRO』の体幹ゲージに近い。

本作のボスは通常状態だとなかなかダメージが通らないため、

ゲージ削ってスタッガー状態にして全力攻撃をぶち込む!がボス戦の基本となる。

 

過去作には無かったシステムなので少々賛否分かれているようだが、

カスタマイズ要素がある時点で『SEKIRO』とは別物だし、

立ち回りにメリハリが出てかなり良いと思う。

 

ボスをスタッガーにして全弾ぶち込んでダメージを稼ぐ必要があるので、

その時に武器がリロード状態になっていたら目も当てられない。

自分の武器の残弾やクールタイムを見極めながら、

ボスがスタッガーした瞬間に最大火力が出せるように立ち回る。

立ち回りがピタッとハマって、

ボスの体力がゴリッと削れた時に気持ち良さは脳が痺れるぜ!

 

ただ、スタッガー状態での瞬間火力が軸になるため、

火力に振った重武装偏重のバランスになってるのは気になったところ。

重武装の編成でもしっかりスピードが出るゲームなので、

全体的に軽量パーツが不遇な気もする。

 

 

とはいえ、複数を相手取る難関ミッションや、

スピードが求められるミッションなどもあるし、

ボスそれぞれに有効なカスタマイズを探る面白さもある。

「困ったら火力に頼れば良いがそれだけのゲームではない」

というバランスにはなってるかな。

 

 

頭を捻って自分なりのカッコいい機体で挑んでもいい。

お気に入りの武器やパーツを活かせる編成を考えてみてもいい。

面倒になってクソデカフレームのバカ火力機体ですべてを吹き飛ばしてもいい。

どれを選択しても楽しい!ルビコンはそういう場所だ!

難易度高めではあるが、いくらでもやりようはあるバランス。

 

 

1週目は限られたカスタマイズの中で強敵に四苦八苦する。

2周目以降は一気に増えたパーツの山で試行錯誤を楽しみながら、

様々なミッションに挑んでいく。

この構成も上手く回っていて遊んでいて飽きさせない。

確かな上達と、確かな戦力アップの二つを味わいながら進められる。

 

1週目で苦戦したボスも2周目だとサクッと倒せるため、

「俺は強くなりすぎてしまった……」と打ち震えることになるが、

よく考えるとOSチューンによる単純な性能底上げと、

通しプレイで高火力パーツが揃ってきた要因も大きく、

フロムソフトウェアの「上手くなったと思わせてくれる」配慮の手厚さを感じる。

それはそれとして後半に新たな難所も控えているため、

アプデで緩和されたとはいえヌルいゲームにはなってないぞ!

 

 

ストーリーは3周して全体を振り返ってみると

「かなり勢い任せで進んでない!?」と思うところはあるが……。

複数勢力と個性豊かな登場人物たちが入り乱れる展開は燃えるし、

どのキャラも顔グラフィックが存在せずボイスだけなのに強烈に印象に残る。

2周目以降の方が勢力図が頭に入るから、各キャラの会話がより味わい深くなった。

 

主人公は傭兵で色んな企業から依頼を受けることになるから、

さっきのミッションで敵だった相手が、

次のミッションは味方に……なんてこともよくあるし、

そこを裏切るような展開もあったりするのが醍醐味。

それがあるからこそ、時折浮かび上がる信頼や共闘が活きてくる。

 

 

1回しか出ないのに忘れられない名キャラ揃い。

豪華声優陣によるクセの強いセリフや、

コテコテのロボットアニメ的なセリフの熱演が非常に面白い。

顔グラ無いのに二次創作が盛り上がるのも納得だ。

ダラダラした会話デモは一切無く、

どのシーンも短いやり取りでまとめてるのもセンスある。

 

 

プレイヤーが頑張るとみんな褒めてくれるし、みんな驚いてくれるのも楽しいね。

ここら辺は『地球防衛軍』シリーズにも通ずるところがある。

薄汚い傭兵で旧世代強化人間だった俺の立場がどんどん凄くなっていくぜ!

ゲームを進めると主人公の「621」っていうただの番号名にどんどん愛着湧いてくる。

特に主人公の飼い主であるウォルターさん、

言葉に優しさが滲み出ていて好きになっちゃうよなぁ。

 

 

気になった点はやはり説明不足。

全体的に不親切でターゲットアシストの仕様がゲーム内だと分かり辛く、

これに気付けるかどうかで難易度が激変。

1週目のボスで苦戦する人はここで引っかかってる人も多そうだ。

俺は知った上でバルテウスに苦戦したけど?

 

プレイヤーに試行錯誤して欲しいのは分かるんだけど、

重要なシステムに関してはもうちょっと説明欲しかった。

というか、アップデートで一部ボスに弱体化入ったり、

公式サイトに操作説明のTIPSが追加されたりしてるので、

どこまでフロムの意図通りの仕様だったのだろうか。

そこまで死にゲーにするつもりはないという意図は感じた。

 

あとは一部の探索系のミッションの通路が入り組んでいて少し面倒なくらい。

1ミッションが短いので昔の迷路ステージに比べれば楽ではあるが……。

 

 

全ミッションを堪能して43時間ほど。

こういうロボゲーやりたかったんだよ!というど真ん中!

ルビコンを駆けた燃えるような時間が終わって今は寂しい。

最初はボスの難易度の高さに苦しみ、

それを越えた後はカスタマイズの楽しさに脳を焼かれて苦労は水に溶け、

ACを駆る事以外何も考えられなくなる。

今では何故あんなに苦戦したのか思い出せない。

 

セリフ回しや演出、最新ハードならではのグラフィックも含めて、

シリーズ再起に掛けたフロムソフトウェアの意気込みが伝わる力作。

カッコ良くて面白いアクションゲームをやりたいならシリーズ未経験でもオススメだ!

 

本当に出来が良かったので、

ここからまたシリーズが続いていくんだろうなぁという期待があるし、

これだけのロボゲーが出て大ヒットしたのだから、

ロボゲー全体が盛り上がるのは間違いないだろうというワクワク感もあるね。

『アーマード・コア6』という火はここから広がっていくのだ!