CUSTOM MECH WARS -カスタムメックウォーズ-
最高難易度で全ステージクリアしたので『カスタムメックウォーズ』のレビュー行くぜ!
ぐああああああああ!(サイラバの超カッコいい主題歌を聞いて辛さに堪えている)
俺がプレイしたのはPS5版ね。
パブリッシャー:ディースリー・パブリッシャー
機種:PS5/PC
ジャンル:魔改造メカアクションシューティング
発売日:2023/12/14
価格(税込):7480円
我らがディースリー・パブリッシャーが送る完全新作のロボットアクション!無限の自由度を誇る魔改造システムで、かつてない自由度の高さで好きなロボットを作れるのが最大の特徴だ。
開発は何故かスタッフロールにも記載されていないが、スタッフの名前などを見ると株式会社シェードだと思われる。『バレットガールズ』『サムライメイデン』などのところね。
『アーマードコア6』が盛り上がっている中で発表され『アーマードバカ』『カスメ』などと話題を呼んだ完全新作のロボゲー。チープだが自由度の高いコンセプトも面白そう。これは期待するっきゃない!と、DLCもセットになった11400円のDL版を購入して全力で挑んだんだが、コンセプトを形にした段階で力尽きたような内容だった。
身の丈に合わない自由を得ようとした代償は大きい……ッ!
そして何故かその代償を俺が現金11400円で支払っているゲームだ!
舞台となるのは科学力が発達した近未来。地球に接近する巨大彗星の影響で大災害が予測されたので、人類はシェルターに引きこもって都市の管理をAIロボに任せることにした。いつか人類がシェルターから出るまで頑張れAIロボ!
そんな世界観でプレイヤーは民間警備会社「47警備保障」の新人。無人の街の防犯や建造物の補修をするアットホームな職場のはずだったが、原因不明の暴走を始めたAIロボとの戦いに巻き込まれていくことになる。
ミッションクリア型の構成で、厳密なミッション数は伏せるが50以下。
『地球防衛軍』シリーズよろしく5段階の難易度があり、難易度が高いほど良いパーツが手に入る。最初に選べるのはハードまでで、クリア後は最高難易度のナイトメアまで解禁される。クリアした難易度より低いものは自動で埋まるのが親切だね。
本作のウリは何と言っても多彩なパーツで自由過ぎるロボを作れる魔改造システム。
頭や手や足を複数付けるのは序の口で、付けたパーツの位置や角度をいじれてパーツ同士の干渉や接地をガン無視できる。複数のパーツが空中に浮いてるような構成も可能ってわけだ。
武器もメイン武器を10個、ミサイルなどのロックオン武器を更に10個、補助的な自動攻撃兵器を10個付けられるし、その上でカタナやドリルと言った近接武器もある。
デコ用のアクセサリーパーツも山盛り。脚部パーツに4脚や逆関節だけでなく、電車や車や飛行パーツもあるのでマジで自由度が高い。パーツ毎、部位毎のカラー調整も細かく出来るから、バリエーションはガチで無限大だ!
歴代D3ヒロインのパーツを収録したDLCに『サムライメイデン』の織田信長もあったので、信長ドリル痛車トラックを作ったりした。
人間50年だからトラックにドリル2本付けなきゃ……。
真面目に作ったオレロボがこちらの「合掌機 暁・黎明・彼誰」!
3機のメカが念動力で後光キャノンを発射するチーム機体。
カッコいいのが出来たな!と思ったけど、改めて見返したら『地球防衛軍5』のラスボスそのまんまな気がする。
3機仲良く発進!左右の2機はパーツを置いてるだけなのでただの飾りです。
DLC買うと地球防衛軍シリーズのメカが色々手に入るので、1本1億ドルのEMCの主砲4本を装備したバラムという激ヤバ機体を作ったりもした。
原子光線砲、4べぇだぁーーーーーーーーーーーーーーーッ!
システム上は10億ドル分まで行けます。
と、カスタマイズの自由度は期待に応えてくれるんだが、UIはかなり使いづらい。どの部位にどのパーツが付いてるかの一覧が無いから見づらく、チマチマと選択カーソルを動かして操作する必要がある。
アクセサリーはサイズを自由に変更できるが、それ以外のパーツはすべてS・M・Lのサイズが別パーツとして存在している。集めるのが大変だ。
「戦闘中に控えのロボを呼べる」というシステムがあるせいか、1つのパーツを色んなロボに使いまわせない。「お気に入り登録」的なシステムがあれば良いが無い。色んなロボをつくって保存しておくプレイがやり辛い作り。
戦闘システムは単純で、ブーストで飛び回りながら「メインウェポン一斉発射」「ロックオン・投擲ウェポン一斉発射」「全武装から1個だけ選べるクリティカルウェポン発射」の3つをバシバシ押して敵を倒していく作りだ。敵を全部倒せばクリア。
敵が落とす箱を拾うとステージクリア後に新パーツ入手可能。微々たるものだが、使っているパーツがちょっとずつ成長する要素もある。
SPボックスを拾うとランダムで一定時間「攻撃力アップ」「撃ち放題」「無敵」「ブースト力アップ」などの効果が発動する。1個だけストック出来るので、ここぞという時に使いたい。
そういうゲームだが最初から最後まで、最後までっていうか最高難易度まで
「ブーストをふかしながら敵の周りをグルグル回って武器を一斉発射する」
で対処可能!
ステージが単調で戦闘システムが単純なのでこれ以外の立ち回りが出来ない。
なんせマシンガンだろうがグレネードだろうがバズーカだろうがガトリングだろうがビームだろうがライフルだろうが手触りが変わらないし、近接武器はモーションが終わってるので実用性は皆無。
いっぱい武器を積んで垂れ流せば強い。そうしなければ弱い。
それがすべてなので、デザインと実用性を兼ね備えた機体を作るのが非常に難しい。
HPがパーツ毎に設定されており、脚部か胴体のHPが無くなると撃墜。
敵からダメージを受けると武器やパーツが破壊されてどんどん使えなくなっていく。つまりは被弾すればするほど攻撃力が下がる仕様。うーん、遊んでて楽しくない。
一度クリアすると「パーツが破壊されても見た目が変わらないオプション」が解禁されるが、そうじゃない!
やはりそこそこ動ける機体で
「ブーストをふかしながら敵の周りをグルグル回って武器を一斉発射する」
しかないな……。
ザコ敵の動きが最高難易度含めても最初から最後まで「棒立ち」or「テクテク歩いて向かってくる」の2択なので動きが無個性。一部のステージで狙撃してくる敵と高速体当たりしてくる敵が出てくるくらいかなぁ。
画一化された動きで黙々と向かってくる……まるで感情を失くしたロボットじゃあないか!ロボットだったわ。
ザコ敵を倒してると「敵残存数、残り僅かです」の通信が来て、全部やっつけると何もないところに増援がワープして湧いてくる。これを何度も何度も何度も繰り返すステージばかりなので本当に戦闘が楽しくない。
『地球防衛軍』シリーズみたいに大軍を吹き飛ばす爽快さや、ステージ毎に配置の妙を感じさせる調整があるわけでもなく、カスタマイズした機体による駆け引きも無く、ロボらしい強力で派手な必殺技をドカンと撃つシステムがあるわけでもない。
ロックオン出来ないメインウェポンと一応マルチロック出来るミサイルで、雑に湧いてくるザコをプチプチプチプチプチプチ潰すだけ。
ステージも単調極まり無く、決戦用の砲台を防衛するステージが3連続で来た時は死ぬかと思った。まあ、中型の敵を素早く倒して、砲台に近づけない立ち回りが必要なだけ、他のステージよりマシだったが……。火炎放射器やレーザー辺りが有効だった。
最初はカスタマイズしたロボで飛び回りながら、ミサイルばら撒いてるだけで結構楽しいんだけど、あっという間に同じことの繰り返しになって眠くなってくる。
敵の機体も魔改造システムで作られているので、実はゾイドっぽいビーストタイプや女性タイプ、機械の昆虫みたいなタイプまで結構バラエティ豊か。よく見ると結構面白いヤツらがいる。
でも登場演出やデモシーンが一切無いから、フォトモード起動しないと敵の外観がよく分からないし、仲間が驚くようなボイスも一切無し。まったく印象に残らない。個性が埋もれてしまう職場。
色んな敵ロボが出てくるならそれに応じたリアクションが欲しいのに、たまに「巨大Gメック出現!」「なんてでかさだ!」とか騒ぐくらい。ただでさえ敵が無個性でつまらないのに通信までつまらない。「〇〇ロボ参戦!」とかふざけてたPVのノリどこに捨ててきたんだよ!
信じられないかもしれないが、名前と登場演出のあるボスがラスボス以外だと1種類なのも驚きの人材難!
しかも何度も戦うのに「反応消失!」「高速移動か!?」みたいなやり取りをボイスの使いまわしで毎回やるのが興ざめ。そこ使いまわすのはダメでしょ……。ワープしてんだよ!何度も見りゃ分かるだろ!
攻撃で建物が倒壊する、大量の敵と戦い、箱を拾って武器やパーツを集めるなどの仕様に加えて、世界観を顔や名前の無いキャラによる通信だけで表現したり、中盤から主人公に「バレット1」というコールサインが付いたりと、露骨に『地球防衛軍』シリーズを意識した作り。
しかしセンスは遠く及ばずストーリーはまったく盛り上がらない。
似たような薄味の展開を繰り返す構成に「これ人とAIの物語じゃなくない?」と言いたくなる本筋。キャラ立ってないのに字幕に名前が出ないから、誰が誰やら分からない通信。聞いてて不快なだけのクソ上層部など。本当につまらなかった……。
先輩のバイトリーダーや技術部のオジサンとかは嫌いではなかったけども。
気になったのが「47警備保障」の女社長。
金にうるさいけど剛腕でプログラムも出来る天才で声は三石琴乃さん。これは絶対いいキャラになるだろ!と思いきや、なんかナレーションっぽいセリフを淡々と喋るキャラで、たまのおふざけも声に感情が籠ってない。全体的にセリフがチグハグで、三石琴乃さん、なんでこんな演技になってるの……?という違和感が凄い。最後までキャラが掴めなかった。
「ロボットアニメ的な演出」を全然やってくれないのも不満。
ステージ開始時の発進シーンやフォトモード、ブリーフィング画面のコクピット視点はあるものの、本編が始まると引いた視点で淡々と進み、無駄に長い会話をダラダラ聞くだけの作り。
ストーリー上で作ったロボが強敵と対峙するようなデモシーンもなく、「ステージクリア時に決めポーズを取る」みたいなちょっとした演出なども一切ない。ヘンテコロボでストーリーを駆け抜ける面白みが全くなかった。PVみたいなテンション高いノリ全然ねーぞ!
パーツ集めもかなり大変。
24時間遊んで最高難易度で全ステージをクリアしたが、パーツ取得率は50%以下。開発部で持ってないパーツをレア度指定込みで作れる要素は評価したいんだが、作るのに必要な素材が引くほど渋いのでまるで足りないぜ。気が遠くなる。
面白いゲームでやっても許されるか微妙な調整を、面白くないゲームでやるのは有料デジタル暴力だぞ!
DLC同梱版を買ったのでそちらにも触れておくと……。
『地球防衛軍』コラボDLCでは、10の専用ミッションを遊ぶことで歴代シリーズの機体が入手可能。見た目的に熱いし高性能なパーツ揃い。
DLCの地球防衛軍コラボミッション、「データに無い謎の古代兵器を敵が鹵獲して使ってる」ってシナリオになってました。 #カスタムメックウォーズ pic.twitter.com/D5rhtvfnc9
— ゲームブロガー双葉ラー油 (@daikai6) December 12, 2023
専用のストーリーもあり、EDFの機体は「データに無い謎の古代兵器をテロリストが鹵獲して使っている」という扱いになっていた。まあ大したストーリーではなく単調なのも変わらずだが、本編よりギャグノリで、出てくる敵に対する言及や登場デモもある。こっちで統一した方が絶対よかったよ。
個別購入すると1980円の「魔改造セット」の方には歴代D3美少女キャラのデカールや看板の他に、機体操作のAIボイスを変更できるカスタムボイス付き。
カスタムボイス:熱血AI(CV:檜山修之)
カスタムボイス:お姉さんAI(CV:井上喜久子)
カスタムボイス:お嬢様AI(CV:椎名へきる)
カスタムボイス:暴走AI(CV:金田朋子)
豪華声優陣!メインストーリーの会話にもしっかり反映されるので、これは凝ってて素直に面白かった。台本無しでやってるとしか思えない金田朋子さんの気が狂った演技も必聴だが……。
DLCでAIの性格を変えるとちゃんとストーリー会話にも反映されるんだけど、字幕はそのままなので字幕ガン無視お嬢様になってめちゃくちゃ面白い #カスタムメックウォーズ pic.twitter.com/Lqk2Fd3ft9
— ゲームブロガー双葉ラー油 (@daikai6) December 12, 2023
俺は椎名へきるさんによるお嬢様AIがお気に入り。字幕ガン無視して会話の流れをぶったぎるお嬢様会話が笑えるし、ブーストふかすたびに「おブーストですわ!」「おブースト停止ですわ!」って言われるの最高。
というわけでレビューは以上。
コンセプトは形になっているもの、コンセプトを形にした段階で力尽きており、ストーリー、演出、グラフィック、ステージ構成、戦闘システム、どこを切っても2023年のフルプライスソフトとして最低水準に達していない。カスタマイズ要素だけに7000円払える人以外には到底オススメ出来ない。
金もセンスも無いのに『地球防衛軍』の真似事ばかりしようとして「ロボを魅せる」ことをまるっきり考えてないメインストーリーは退屈極まりなかった。
D3の新作でたまに言えることだけど、サンドロット抜きで『地球防衛軍』っぽいゲーム作りたいならもっと本気でやれよな!やっと『デジボク地球防衛軍』で分かったと思ったらこれだよ!
コラボDLCがあるので『地球防衛軍』シリーズのファンで気になってる人も多そうだけど、これ買うなら『デジボク地球防衛軍2』に備えて貯金した方が良いと思う。
『アーマードコア6』でロボゲー界隈が温まった時期に発表されて話題になったため、このブログでも引き合いに出して何度かネタにした。
もちろん本気で『アーマードコア6』に匹敵する内容を期待していたわけではないが、それでも、それに続く完全新作ロボゲーとして「出来は荒いが評価できるところは多い怪作」くらいの立ち位置は期待していた。
でも実際は単にチープで出来の悪いゲームに落ち着いてしまっていたぜ……無念だ!
これでレビューは終わり。
俺はこの爆発寸前のロボットから脱出するぞ!!!!!!!!
じゃあな!!!!!!!!