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小さなモニターに広がる、いくつもの世界を巡る大冒険!『魔界塔士 サ・ガ(Sa・Ga COLLECTION)』レビュー!【Switch/PC】

 

Sa・Ga COLLECTION ダウンロード版 | My Nintendo Store(マイニンテンドーストア)

 

Steam:Sa・Ga COLLECTION

 

サガシリーズ初期三部作を1本にまとめたコレクションタイトル。

『Sa・Ga COLLECTION』に収録された『魔界塔士 サ・ガ』のレビュー行くぜ!

『サガ エメラルド ビヨンド』の発表でテンション上がって過去作を遊んでいるのだ。

 


パブリッシャー:スクウェア・エニックス

機種:Switch/PC

ジャンル:RPG

発売日:2020/12/15(Switch)2020/12/22(PC)

価格(税込):2440~3100円


 

オリジナルの『魔界塔士 サ・ガ』は1989年の12月に発売されたゲームボーイ初のRPG。時期的にはちょうど『ファイナルファンタジー2』と『ファイナルファンタジー3』の間に出たことになるね。ディレクター・シナリオは河津秋敏!

 

荒々しいセリフ回しと挑戦的なシステム、世界観と、ゲームボーイ初のRPGでこの攻めっぷりは凄いと、今見ても唸る1本だ。

 

 

楽園に繋がる塔に挑む者たち……というストーリー説明を1画面で済ましてゲームスタート。

 

 

4人パーティで種族と名前を自由に選べる。全員人間、全員モンスターでもOKだ!まあ全員モンスターだとめちゃくちゃ苦労するが……。

 

 

そして迷いつつ毎回「にんげんおとこ」「エスパーマン」「エスパーギャル」「モンスター」のバランス重視パーティ組んじゃうのが俺である。

 

4人キャラ選ぶと突然街にほっぽり出され、4つのクリスタルを探す流れになっていくのが初代『ファイナルファンタジー』を思わせる構成。

 

 

まちからでると むほう ちたいだぞ

 

 

レベルではなくランダムで各ステータスが上がる成長システムに、種族によって異なる技構成。使用回数が設定された武器と、武器の枠が決まっていないので色んな武器を好きに持たせられる、店売りのアイテムである程度ドーピング可能など。先進的なシステムがよくまとまっている。

 

エスパータイプは戦闘終了後にランダムで技や特性を覚えたり忘れたりするので、使ってた技が急にクソ技に化けることもあるのがハラハラする。

モンスターも戦闘終了後に肉を食べることで別のモンスターに変化するが、法則を理解しないと急に弱くなったりするから難しい。

 

やはり人間……人間こそ最高の種族……!全員人間だとそれはそれで装備代で金掛かるから大変ではあるが!

 

 

敵の横に数字を表示して数を表現するのも独特。上の画像だと「3体いる」ってわけだ。初代ゲームボーイで大量の敵と戦ってる表現として上手い。

 

 

様々な世界を渡り歩いていくストーリー構成が特徴で、3人の王がしのぎを削っているファンタジー世界から始まり、浮島を利用して移動する海洋世界や、グライダーで移動する天空の大陸などなど。

 

 

と、慣れてきた後半でいきなりシンジュクやアキバが出てくる都市世界に突入してSFになるのが痺れる!人間とモンスターが普通に共存し、ファンタジーとSFが交じり合った世界感はこれこそ『サガ』!

 

クリスタルを手に入れて塔から別の世界に行く、別の世界でまたクリスタルを探して塔を進む、を繰り返すことになるが、その途中で本筋に関係ない小さな世界が色々あるのも面白い。

 

 

早い段階でたどり着けるのが食べて寝るだけの生活を送れる世界。ここが楽園……なのか?いや、そんなわけがない!

 

 

そのすぐ横には人間が悪魔に支配された世界があり、苦しみに耐えることで楽園に行けると信じてる。こういう構成がいくつもの世界を旅するゲーム内容に深みを与えてる。

 

こういう寄り道で情報を集めることで物語のバックボーンが見えてくるのが上手く、終盤の展開は当時だと本当に衝撃的だったろうなぁ。

 

 

容量の都合もあって極限まで切り詰められたセリフ回しもあまりに切れ味がある。

スピード感あり過ぎて笑えるし、最低限のテキストで展開される人間ドラマがカオスかつ濃密。

 

 

突然出てきた殺人バリアに暴走族の総長が突っ込んで突破したり。なんだか分からないが凄い!という感情が駆け抜けていく。

 

 

ボスがすぐ「しね!」とか言ってくるのがこの時期のスクウェアって感じ。

 

 

有名な

「ガルガルやろうと いいおんなと どっちがすきだ?」

「きくまでもなかろうよ!」

のセリフ回しも最高だ。

 

 

マジでガルガルうるさいからな……。

 

パーティメンバーが自由なので女キャラも口調が男だったりするが、それがまたキャラ立ちに繋がってて好き。

 

 

唐突に喋る剣を仲間にするイベントが発生するが、単にちょっと強い武器が手に入るだけでその後は喋ったりせず続くイベントも無いのがフリーダム過ぎる。これなんだったんだよ!

 

 

古いゲームだがいつでもセーブが出来て戦闘のテンポも良いため、遊んでいてそこまでストレスが溜まらないのも良いところ。『Sa・Ga COLLECTION』ではゲーム速度を2倍に出来るので更にサクサクだ。速度2倍にしてもBGMはそのままなのがありがたい仕様。

 

 

ただ、終盤に入るとキャラを育てていても敵の全体攻撃で簡単に全滅するし、HPが0になったキャラは死亡となる。

死亡の回復手段はかなり限られている上に、死亡から復活させるたびにキャラに設定された「ハート」が減少。全部なくなると復活が不可能になる。お店で新しい「ハート」を買うことは出来るがめちゃくちゃ高額だ。

 

そこそこ厳しめのゲームバランス。後半はにげるコマンドといつでもセーブ、ソフトリセットを連発しながら進むのがお約束になるね。

 

 

進む場所が分かり辛い箇所や、面倒なダンジョンが増えてくるのも手強い作りだ。この辺はさすがに1989年のRPGらしい仕上がり。久々に遊んだらアキバがどこにあるのか分からなかったぜ!

 

 

そしてたどり着くラスボスの「かみ」!ここだけ専用BGMなのが燃える!

「チェーンソー」で一撃死なのが有名だが、普通に戦うとラスボスらしい強さを誇る。今回は正攻法で挑んでしっかり勝利した。一気にHPを削り切らないと、回復と全体攻撃でパーティが壊滅するので火力押しが重要だ。

 

 

ちなみに『Sa・Ga COLLECTION』ではセリフなどに修正が入っており、「ライトセーバー」「モビルスーツ」などのそのまんま過ぎるネタが修正されてるし、「プルトニウムとげんぱつ」が「ハデスニウムとはつでんしょ」に変わってたりする。

 

 

でも「かくばくだん」はそのままでした。「アライのメット」も健在。

 


ゲームボーイ初のRPGでここまで尖った内容の物を出すのか!という切れ味。

当時のスクウェアのチャレンジ精神がギュッと詰まった構成で、神殺しを果たした主人公たちの選択で完結させるエンディングが清々しく美しい。言葉のドッジボールみたいなセリフ回しと殺伐とした展開を経た上でのあの結末と、最後の主人公たちのセリフは改めて遊んでも感動。

 

スペックや容量の制限で演出に凝れない中、想像力を掻き立てられるテキストの数々で広がりのある世界観を表現しているのが素晴らしい。今遊ぶと結構すぐ終わっちゃう内容ではあるんだけど、この荒々しくも独自の輝きを纏った内容はまさにサガシリーズの原点だ。