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最高のロボコップ体験がここに!『RoboCop: Rogue City』レビュー!【PS5/Xbox/PC】

 

 

RoboCop: Rogue City (ロボコップ: ローグ シティ) – 3GOO Japan

 

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Steam:RoboCop: Rogue City

 

『RoboCop: Rogue City』のレビュー行くぜ!

俺がプレイしたのはPS5版ね。

 


パブリッシャー:Nacon/3goo

機種:PS5/Xbox/PC

ジャンル:FPS

発売日:2023/11/2(XBOX/PC)2023/11/30(PS5)

価格(税込):6580~8580


 

80年代を代表するSF映画の金字塔『ロボコップ』をゲーム化したものだ。2と3の間を描いた構成で、映画でお馴染みの場所をロボコップらしさ満点の挙動で堪能できる。

 

開発はポーランドのゲームメーカーであるTeyon。そう、『ヒューマンフォールフラット』のSwitch版で脚光を浴びたテヨンジャパンの母体である!

10年くらい前は手掛けた『ヘビーファイア』シリーズの出来の悪さがネタにされていたが、近年は『Terminator: Resistance』がファン向けゲームとして好評だったりと大分風向きが変わっているね。

 

『ロボコップ』は1作目しか見てなかったのでゲームの前に1~3を一気見してから挑んだが大正解!ゲームとしては一昔前な作りなんだけど「ロボコップをゲーム化するならこれをやりたい!」を詰め込んであって満足度高かった。

 

近年の大作映画ゲームの真逆を行く泥臭さとチープさだが、そこが良いし『ロボコップ』には合ってる……という内容だったぞ。

 

 

物語はデトロイトに「新顔」という新たな悪党がやってくるところから始まる。街中のギャングを統合して何やら企んでおり、それを受けたギャングがテレビ局を襲撃。違法麻薬ヌークのアピールを生放送で始めたりと安定の治安の悪さ。

 

そこに我らがロボコップが出撃!ちゃんと映画のメインテーマをバックに大口径の銃で悪党を皆殺しにしていくが、あと一歩というところで動作不良を起こしてしまう。

その様子をTVでバッチリ報道されたのでロボコップへの世論が悪化するし、オムニ社はキレて監視と制御用のチップを取り付けて来るしで大変。

 

オムニ社の横槍に耐えながらデトロイトの犯罪を駆逐し「新顔」を追い詰めろ!というストーリーだ。ゲームでもマーフィーは色んなものの板挟みになってる。

 

 

時系列がロボコップ2と3の間なのでお馴染みのキャラが総登場する。

ルイス!ルイスじゃないか!顔そっくりで感動。しっかり強い。リード巡査部長や市長、3には出なかったオールドマンも登場だ。その他、ゲームオリジナルで多数のキャラが登場する。

 

 

ロボコップの顔がむき出しになるお約束もバッチリ。やっぱりこれが無いとなぁ!

 


自由に移動できるオープンワールドゲーム……ではなくエリア制で、チャプター毎に探索する場所は異なる。このチャプターは昼のダウンタウン、このチャプターは工場地帯、このチャプターは夜のダウンタウンといった感じだ。基本的にメインストーリーを進めると一度行った場所には戻れなくなる。

 

 

エリアはそこまで広くないが作り込まれていて、荒廃したデトロイトの雰囲気が見事。寄り道的なサブミッションもあるぞ。

いや、サブミッションも犯罪撲滅だから寄り道ではなく立派な業務だった!

 

 

映画のロケーションがそのまま出てくるのが最高。

よく行くことになる署は特に良い出来で、地下の射撃場やサーバールーム、マーフィーの調整を行うフェンス付きの部屋までバッチリ。モブの警官が常にオムニ社の愚痴を言いまくってるのが実にそれっぽい。

 

 

サーバールームでは、ロボコップは手から出したニードルをPCにぶっ差してデータにアクセスするぞ。すげぇ!

 

 

ゲームの基本機能として、ボタンを押すと敵や画面内の調べられる場所を捕捉出来る。最近のゲームでは当たり前の機能だが、本作では「ロボコップ・ビジョン」という名前が付いてて緑色のUIだ。これだけでめちゃくちゃ気分がアガる!

 

 

歩くのが遅くてファストトラベルも無いのが不便なところだが、ロボコップの重量感ある動きでデトロイトの街をノシノシ歩き回り「ロボコップ・ビジョン」で犯罪を検知して対応。駐車違反の車に駐禁を切ったり、ゴミの不法投棄をしてる奴や騒音で営業妨害してる奴を注意したり、ゲロまみれの酔っぱらいを軽く持ち上げて留置場にぶち込んだり、署に来たクレームを処理したり。

 

こういう地味なイベントの数々がロボコップの日常業務らしくてたまらない!選択肢による評判の変化で、モブの市民がロボコップに掛ける言葉が変わるのも細かい点。

 

 

街にあるラジオを付けると「サプライズ医療サービスが当たるくじ」のCMとか、近未来デトロイトの倫理観終わりすぎ情報が飛び込んできたり、サブミッションでロボコップ2に出てきた有害日焼け止めクリーム「Sunblock5000」の話があったりと、ファンサービスも完備。

人気の高いED-209も大活躍……するし、トロフィー/実績に「1ドルで楽しむべ」とか映画の台詞を混ぜてあるのもニヤッとしちゃう。

 

 

ビデオショップで映画を探すサブミッションで「監督が脚本をちょっと見ただけでゴミ箱に捨てたけど、それを奥さんが拾って読んだら面白くて監督にちゃんと読ませた映画」の話があって笑った。

 

それ初代『ロボコップ』のバーホーベン監督のエピソードじゃねーか!細かすぎる!

 

 

チャプターの最後にはサブミッションのクリア率や隠し要素の発見などで評価がされる。

BとかCランクとか付けられると「オムニ社は……カス!」という気持ちが高まっていく。いや、オムニ社がカスって気持ちは既にカンストしてんだけどな!

 

 

戦闘は育成によって覚える様々なスキルを活用した撃ち合いになる。

緑のUIで敵を捕捉する表現がめちゃくちゃ良いが、ロボコップなのでカバーアクションも無いしジャンプもしゃがみも無い。

 

 

「発動すると短時間の間ダメージ80%カット」という強スキルがすぐに覚えられるので、これを軸にした立ち回りが基本になるぞ。

 

 

探索で手に入れた基盤やパーツを組み合わせて、愛銃であるオート9をカスタマイズする要素もある。

 

 

序盤はロボコップがあんまり強くないので「ロボコップは負けイベントが発生すると意外と装甲が脆くなるから……」と納得させながら遊ぶことになるが、スキルが揃ってくると天下無敵。

 

敵の銃撃を正面から受けながら、掴んだ敵を他の敵にぶつけて倒したり、敵の脳天を一発で砕けるパンチを繰り出したり、緑色のUIでドラムカンなどの爆発物を素早く補足して爆破したり、壁に弾丸を反射させて正確に敵を倒したり、画面をスローモーションにして敵を撃ち抜いたりと、精密かつ豪快なアクションで敵をなぎ倒せるようになるぞ。

 

すげぇロボコップしてる!

オート9の大砲みたいな銃撃音と、柱や壁をぶち抜く破壊力もたまんねぇ!掴み攻撃の範囲がめちゃくちゃ広く、今ロボコップの手が伸びなかった?と疑問に思うが気持ち良いのでOK。CERO Zなので欠損表現もバッチリだ。

 

ただ、大量の敵と似たような撃ち合いが続くのでやや単調だし、撃つよりその辺に転がってるベンチやモニターをぶん投げた方が強い場面も多く、ここは一昔前のゲーム感あるかな。

 

 

ストーリーの方も見所満載。

情報屋のホームレスや、オムニ社から送り込まれた新人警官、ロボコップのセラピーを行うドクターなど様々なサブキャラが登場し、選択肢による好感度の変動でイベントが変化する。

みんなキャラが立っているから遊んでいて思い入れが深まっていくし、同僚である警官たちとの会話が多いのも好きなところ。ロボコップをマーフィーと呼び親しげに話しかけてくるのがグッとくるし、命を掛けて犯罪に立ち向かう姿がちゃんとカッコいいのだ。

 

 

ノリと皮肉の効いた「いかにも」な会話も豊富で遊んでいて飽きさせない。たまに人間味たっぷりの返答するロボコップ。既に有名なはずのロボコップにノリノリで挑んでくるチンピラが多すぎるのもデトロイトの治安~~!ってなる。

 

 

聞き込みに行ったら「確かに今年の確定申告が遅れちゃいるが、ロボコップを寄越すのはやりすぎだろ!?」とか言われるの笑った。

 

 

ロボコップのゲームなら姿がよく見えるTPSの方が良いんじゃないか?

と最初は思ったが、「ロボコップ・ビジョン」による捜査や、マーフィー=ロボコップの視点で過去の記憶が混濁する表現などはFPSならでは。

 

 

やや単調な点や大味な部分も含めて愛すべきロボコップゲーム……ではあるんだが、見逃せない難点はスキルの振り直しが出来ない点。後半の敵が結構強いので、変な振り方をすると苦戦は必死。マップに点在する証拠品をチマチマ集めないと経験値が増えないのも面倒なところだ。

 

推理スキルを上げた時の「メモを拾った時の経験値増加」「スキャン能力強化」「獲得経験値30%増加」が有用過ぎて必須なのも良くない。こういう仕様だと「まず育成を全部これに突っ込まないと損する」になり、選択肢の幅が狭まって序盤の成長が遅くなる。

 

そして一番の不満点は強くてニューゲームが無いこと!

1周で全部のスキルを取るのが不可能なバランスで、難易度選択やイベント分岐もあるんだから、データ引き継いでの2周目は入れて当然じゃねーの!?

 

翻訳は申し分ないが字幕が大分小さいし、PS5版だけかもしれないが、画面切り替え時にキャラのテクスチャがチラつくのも気になった。

 

 

サブミッションをしっかり遊んでも20時間掛からないボリューム。

不満点はあるが映画の世界観を歩き回れるロボコップゲームとして最高なので許せる。ロボコップのゲームならこれ欲しいよね、ってロケーションやシチュエーションを過不足なくやってくれるし、盛り上がるシーンでちゃんと映画のメインテーマ使ってくれるのがずるい。映画ゲーでそれをやられたら些細な不満点は吹き飛ぶわ!

 

苦戦するシーンやゴア表現はあるが2や3であったような露悪的過ぎるシーンはなく、強いロボコップを中心に見せてくれるのが個人的には嬉しかった。2のロボコップが丹念にバラバラにされた上にプログラム書き換えでポンコツにされる尊厳破壊シーン、普通に見てて悲しかったので……。

 

映画にもゲームにも機械の体に人間の脳という敵は色々登場するが、彼らとロボコップの違いは何か?数々の事件捜査やまさかの強敵との対峙で、鋼鉄の体と正義の心を持った警官「マーフィー=ロボコップ」を描き、2と3の間を補完するシナリオは完成度高い。ロボコップ視点で交流した脇役たちのその後が、後日談に反映される構成もグッと来た。

 

事前に映画さえ見ておけば最高のロボコップ体験ができるゲーム。

あえて胸を張ってこの言葉を使わせてもらう。「ファンなら買い」だッ!