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【レビュー】「お前はスーパーキノコを漫然と取っていないか?」と人類に問いかける作品『Nintendo World Championships ファミコン世界大会』【Switch】

 

Nintendo World Championships ファミコン世界大会 | Nintendo Switch | 任天堂

 

『Nintendo World Championships ファミコン世界大会』のレビュー行くぜ!

 


パブリッシャー:任天堂

機種:Switch

ジャンル:アクション

発売日:2024/7/18

価格:3800円


 

「ファミコン×タイムアタック×世界大会」がキャッチコピーのソフト。任天堂の歴代ファミコンソフトのワンシーンをプレイし、いかに早くクリアできるかを競う内容だ。

 

80~90年代に海外で開催された伝説のゲーム大会「Nintendo World Championships」をモチーフにしているが、作りとしてはWiiUと3DSで発売された『ファミコンリミックス』に近く、開発も同じインディーズゼロが担当している。

 

近年ゲーム配信などでますます盛り上がるRTA文化をパッケージングした構成になっていて、1秒以下の単位で争うバトルを手軽に体感できる。ファミコン40周年からの流れでノスタルジーを刺激する要素も上手い。

 

ただ、モード周りが物足りない作りで、もうちょっと何かあれば……!と思う内容になっていたぜ。

 

 

ゲームを開始するとまずプロフィール作成画面に入るが、ここで「当時好きだったゲーム」を選択可能。リスト化したファミコンとNESの全タイトル(諸説あり)から選べて圧巻!キャラゲーやマイナーゲー、田代まさしの名を関したあのゲームまでもちろん収録。おっさんがこのゲームを実況すると確実にここで時間を溶かすぜ。

 

 

キャッチフレーズも選択可能。

「ゲーム&ウオッチ世代」から「ニンテンドーDS世代」まで全世代対応だ。ネタっぽいものも多く、「任天堂は私が育てた」なんてフレーズもある。これを選ぶ時点で任天堂の掌の上!

 

 

13タイトルのファミコンソフトから切り出した150以上の競技に挑む構成だ。

好きな競技を選んで記録に挑戦する「タイムアタック」

選ばれた5つの競技から好きなものを選んで世界ランキングに挑戦する「世界ランキング大会」

選ばれた競技に3つ連続で挑んで他のプレイヤーのゴーストデータと対戦する「サバイバル大会」

この3つがメインのモード。オフライン1人用の「タイムアタック」で練習して、他のオンライン対応モードで世界に挑む構成だね。

 

 

競技は「スーパーマリオでキノコを取るだけ」「ゼルダで剣を取るだけ」「カービィで扉に入るだけ」「パルテナの鏡で敵を4匹倒すだけ」と数秒で終わる物から、「スーパーマリオで1-1をクリアする」「ドンキーコングでエンディングを見る」など、そこそこ長いものまで様々だ。

 

 

『スーパーマリオブラザーズ2』で毒キノコを取るまでのタイムを競う競技もあるぞ。

ただの食中毒死亡RTAじゃねーか!

 

 

単純で短い競技が多いが、単純で短い競技だからこそ白熱する。

「スーパーキノコ早取り競争?普通にキノコ取るだけでしょ……」

と思いがちだが、詰めていくと0.01秒単位での戦いになるため、極限までの精密操作と試行錯誤が求められる。

 

君はスーパーキノコを取る時のコーナリングを意識したことがあるか?

最初のクリボーを避ける時にフレーム数を意識したことがあるか?

マリオが走り出す時の加速の仕様を理解しているか?

 

昔『スーパーマリオブラザーズ』を遊んでた時には微塵も意識しなかったような、細かいテクニックの積み重ねでタイムを刻んでいくのが熱い。

熟練者たちのプレイを見ると、意味不明な祈祷のような動きをしていて恐れ戦く。俺たちと違う世界で戦っている!

 

スーパーマリオって……こういうゲームだったんだ!(こういうゲームではない)

 

 

『スーパーマリオブラザーズ3』の「太陽逃げ切り競争」など、「そこを切り取ってきたか!」とニヤリとする競技もあるから楽しい。

 

 

画面レイアウトと操作周りも丁寧な作りだ。

LRボタン同時押しですぐリトライできる。格闘ゲームのトレーニングモードみたいにキー入力が可視化されていて、リプレイでも確認できる。大きく表示された時間表示。元のゲームが4:3であることを活かして右に自分の最速リプレイを常に表示する。

など非常に分かりやすく、そのままゲーム配信で映えるレイアウトなのが考え抜かれてるね。

 

 

一部の最高難易度限定で攻略記事も付属。どこか昔のゲーム雑誌風なのが懐かしい雰囲気だ。『スーパーマリオブラザーズ2』の8-2はノーヒントでやるのキツいからな!

『リンクの冒険』とか俺の馴染みのないゲームだと普通に助かる……。

 

 

オンラインはリアルタイムのバトルではなく、他のプレイヤーのゴーストデータと対戦する形式だ。3種目に挑むサバイバル大会では8人のプレイヤーと同時にゲームスタート!分割画面で他のプレイヤーがどんどん脱落していき、最後の種目でタイマン勝負となる「ゲーム大会」的な構成。

 

負けたらリプレイで「あいつどういう動きしてたんだ!?」って見返す楽しさもあるぞ。俺より良い動きをしてる奴に会いに行く。

 

 

マッチングすると他のプレイヤーの「当時好きだったゲーム」が表示されるのが天才的!

1回戦うだけの見知らぬプレイヤーたちが、これだけで一気に身近に感じられる。俺たちはファミコンで繋がっているんだと本気で思える。このゲームで一番楽しいのこの瞬間かもしれん。

 

 

好きだったゲームが『田代まさしのプリンセスがいっぱい』でキャッチフレーズが「任天堂は私が育てた」の人がいて笑ったり。めちゃくちゃ性格が出るなこれ!

 

 

プロフィールに使える本編ドットから切り出したアイコンも豊富で楽しい。

『スーパーマリオブラザーズ3』の初期アイコンが「チビマリオ」「靴マリオ」「スーパーマリオ」「OPで一瞬だけ上を向いた時の首折れマリオ」の4択なのマジかよ!?

 

 

この時のマリオね。

俺は当然ッ!首折れマリオのアイコンで行くぜッッ!

 

 

世界ランキング大会は数日ごとにランキングが集計されて競技が入れ替わる仕様。期間終了時には世界ランキングとして自分の成績が表示されるぞ。

くそー!自信あったのに363位かよ……!これが世界!

 

 

とりあえずタイムアタックの全種目を埋めるところまでプレイした。

ファミコン40周年の締めくくりの記念ソフトとして面白い作りになっているし、オリジナルをしっかり遊びたくなったら「Nintendo Switch Online」で遊べるのも商売上手。幅広いユーザーが楽しめるRTA養成ソフトとしてしっかりまとまってる。

 

ただ、オンラインは競技が数日間固定の「世界ランキング大会」「サバイバル大会」しかなく、1人プレイはタイムアタックをするだけ。オフラインで友達と遊ぶモードはあるけど、オンラインでフレンドと遊ぶモードは無し。『ファミコンリミックス』を踏まえると収録ソフトの少なさも気になってくる。

 

ノスタルジー要素や画面レイアウトなどは非常に丁寧なんだが、モード周りでどうも融通が利かない作り。0.01秒単位での争いをするゲームなので、オンラインの同期を諦めてるのは分かるが、気軽にワイワイ遊べるようなオンラインモードも欲しかったね。フレンドのゴースト集めて勝負するモードとかさ。

 

Nintendo Switch Onlineの加入者限定タイトルならともかく、3800円のパッケージソフトとして売るならもう一押し欲しい内容だった。良くも悪くもストイックな構成で人を選ぶ。『ファミコン世界大会』というタイトルにふさわしい内容ではあるかもしれない。

任天堂から提供される世界への挑戦チケット。燃えるファミコン魂があるなら掴んでみやがれッ!