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【レビュー】時を超え繋がる、二つの時代と二組のバディ『DUSK INDEX: GION』【Switch/PS5/XBOX/PC】



「DUSK INDEX: GION」公式サイト

 

『DUSK INDEX: GION』のレビュー行くぜ!

俺がプレイしたのはSwitch版ね。

 

パブリッシャー:ブシロード

機種:Switch/PS5/XBOX/PC

ジャンル:サスペンス系ビジュアルノベルゲーム

発売日:2026/1/29

価格(税込):3520円

備考:パッケージはSwitch版のみ。XBOX版は後日配信予定

 

ブシロードゲームズと、『Tokyo Dark』を手掛けたCherrymochiによる共同開発で送る完全新作ビジュアルノベルだ。Steamのページを見ると実開発はメビウスがやっているのかな?

 

ゲームは選択肢による分岐が無い、完全な一本道のビジュアルノベル。

現代の京都と、100年前の京都で起きた殺人事件。この繋がりを二組のバディの視点で、それぞれの時代から調査していく構成だ。置鮎龍太郎や日笠陽子といった豪華声優陣によるボイスも特徴。

特徴が異なる二組のバディを描く作品として面白かったし、話に最新技術を取り入れつつも、やりたいのはクラシックなSFなのも好きなところ。

 

ただ、「ビジュアルノベル」としてややチグハグな作りなのと、SF要素のある近未来モノというよりガッツリ「SF」なのが好み分かれそうだった。

 

舞台はAIが超発達したサイバーシティ京都!ARによるバーチャル空間も当たり前

 

「現代」はAI技術が極端に発達した2006年という設定。2060年じゃなくて2006年ね。

現実空間に拡張現実を重ね合わせるARコンタクトレンズが当たり前に使われており、ARを活用したネットワークサービス「LOOM」がインフラになっている世界観だ。駅や病院、銀行の利用もLOOM上での手続きが前提になっている。

 

その中でも京都の街は多数のIT企業が拠点を構えるサイバーシティになっており、ホログラムで彩られたビルとネオンサインが立ち並び、配達用の小型ドローンが飛び交っている。

 

 

LOOMとセットで使用されているのが個人用にカスタマイズ可能なAIアシスタント「ARI」。持ち主と生活のすべてを共有し、様々な手続きからアドバイスまで行ってくれるありがたい存在である。見た目は犬だったりアリクイだったり猫だったりと、人によって様々。使っている人間の性格が反映されやすいので、とある人物が「口が悪すぎるので設定で調整している」なんて描写もある。

 

『SIMPLE1500 THE推理』の「疑似人格インターフェース」を思い出す存在だな。

現代パートの登場人物1人に1体ずつ設定されたARIたちは、もう一人の自分に近い存在としてコミカルに個性付けされている。漫才みたいなやり取りで空気を緩めたり、残された存在として泣かせに着たりと、シナリオの幅を広げているところだ。

デジタル嫌いのベテラン刑事×人間嫌いの天才技術者によるバディ結成

 

そんな超AI、超AR時代にありながら、主人公の勝木大樹は過去のトラウマからデジタル技術そのものが超苦手。ARコンタクトレンズは付けたがらないし、ARIは数世代前の初期状態をそのまま使用している初期アイコン勢だ!

 

不可思議事件を追う「新奇犯罪対策係」の刑事なので、同僚から資料送るの面倒だからARコンタクトレンズを使えと愚痴られたりも。その度に「まあ後で……」とか誤魔化してる!

 

しかし刑事としての実力は十分。過去にいくつも難事件を解決しているし、今回も昔気質の刑事らしい洞察力を発揮する。

 

 

勝木と一緒に事件を調査することになるのがクイン理音。

超凄腕の技術者だが他人との接触が極度に苦手で、部屋から出ずにARを使ったホログラムで勝木に同行する。

 

デジタルが超苦手な凄腕刑事と、人間が超苦手な凄腕技術者。

この2人がバディを組み、お互いの欠点を補いながら事件を追うのが現代パートだ。

 

 

(シャーロックもポワロもコロンボも、みんな手足と頭脳だけで捜査をしていた)

などと言いながら現場を体当たりで調べる勝木にドン引きするクイン。

 

クインは隠し事がヘタ過ぎて本心を見抜かれまくりで、しかしデジタル苦手な勝木をフォローしてハッキングなどで大活躍するなど。この流れで期待する展開はしっかりやってくれる。それぞれが抱えたトラウマが少しずつ明らかになり、バディとして完成されていくシナリオ。

 

 

調査するのはとある大学教授の殺人事件。

死体は精密に模様が描かれた血の円で囲まれている異様な現場だ。勝木たちはこの事件が、100年前の京都で発生した殺人事件に酷似していることにたどり着く。

100年前の京都を舞台に、刑事と芸妓のバディが殺人事件を追う、

 

所変わって100年前の京都では、刑事である長浜正義が謎めいた殺人事件を調べており、その過程で京一番の芸妓である咲と協力することに。

紳士的で倫理的だが、時に熱いところを見せる長浜刑事はカッコいいし、賢い咲さんが祇園で懸命に生きる姿も胸を打つ。

バーチャル京都「Echoes of Kyoto」が100年の時を繋ぐシナリオ

 

並行して進んでいくこの現代パートと過去パートをどう繋げるのか?

現代では「Echoes of Kyoto」という、過去の京都を丸ごとバーチャル空間で再現するプロジェクトが進行している。勝木たちはそこでAIから再現された長浜刑事たちと対面し、100年の時を超えて事件の情報を集めていくという流れになっている。

 

 

ここも一筋縄ではいかず、バーチャル空間の京都には「あくまでも膨大なデータからAIで再現しただけなので完璧ではない」と「なぜそんなデータが存在しているのか」という二つの要素が絡んでいる。「Echoes of Kyoto」を作り上げたのは技術者であるクインなのに、彼女でも把握できてない現象が起きている。

ここら辺も遊んでいて続きが気になるところだ。

クラシックなSFとして熱を帯びていく展開と、古式ゆかしい過去の物語がしみる

 

最新技術を活用して進む混迷極まる現代パートも面白いんだが、本作で引き込まれるのは過去パート。推理を重ねる過程で深まる2人の描き方が非常に良い。待ち合わせして囲碁に興じるが長浜刑事が一向に勝てない下りだったり、身分違いであることを強く意識させられる描写だったり。魅力的に描けている。

 

咲さんの日常パートはかなり長く、近未来SF作品かと思ったら芸妓の日常を読む展開が延々と続く。地の文章が多めで2つの時代をじっくり書くシナリオでもあるので、話にエンジン掛かるまで時間が掛かるゲームだ。ただ、この長浜刑事と咲さんの描き方はこの構成だからこそ胸に刺さる!古式ゆかしい物語である。

 

 

現代と過去の両方で、最新技術によって駆逐される人々を描いているのもシナリオの特徴。現代では工場の管理がAIに置き換えられて人員削減されていくし、無遠慮なAIアートで芸術家の心は傷付けられる。過去では紡績機によって職人が次々に職を失っている。

 

最新技術の功罪、時代の変化によってあちこちで起こる衝突。最新技術によって生まれる新しいものを肯定するか否定するか。人と変わらないくらいに進化したAIと人間の差はどこにあるのか。そこを話に絡めた社会派の作り……なんだが、後半で一気にSF展開がぶっ飛び始めて大変なことに!

 

このゲームでやりたかったのこれかぁ~!ここまでやると超常現象とあんまり変わらない気がするぞ!しかしクラシックなSFとしては読みごたえがあり、SF用語の解説パートもスマートにまとまっていて面白かった。

その上で最後の最後でそういう理屈持ってくるの、良い意味でずるいだろ……!と、一気にこのゲーム好きになってしまったぜ。

 

ただ、現代パートでの事件解決方法の一つで、刑事としてそれはどうなの?というものがあったのは気になったなぁ。

描写に差があるボイス演出とシステム面の粗

 

シナリオ以外だと本作で気になったのはボイス周り。地の文章までボイスを読み上げる珍しいゲームで、長浜刑事を演じる三木眞一郎さんや、咲さんが演じる日笠陽子さんなど、豪華声優陣のボイスをたっぷり聴けるゲームとしてはかなり強い!

 

しかし、緊迫したシーンでは淡々と読み上げる地の文章と、感情を込めたボイスの落差でやや集中力が削がれる。音だけも楽しめる作りなのかな……と思ったが、メインキャラ以外の脇役に一切ボイスが付いていないので、結局は画面を見続ける必要がある。ここがチグハグに感じたし、存在感ある脇役にもボイスついてないのが残念。

 

 

特に咲さんの妹分で、元気いっぱいなトラブルメーカーである珊瑚ちゃんは絶対声入れるべきだったろ!ボイス有りのゲームなら絶対声入れてこそのキャラだった。

 

正体不明の重要人物が一言喋った瞬間、遊んでるプレイヤーにボイスで正体がバレる展開もどうかと思った!いつの時代のゲームだよ!せめてボイスチェンジャー使わせるとか……。

 

システム面の話だとチャプターセレクト無し。2つの時代で多面的に描いてるゲームなので、そこは欲しかった。

 

 

これはSwitch版をSwitch2で遊んでいる俺の話なんだが、何故かスクショ撮ると端の方が欠けることがある。シーンによって欠けたり欠けなかったり。互換性の問題かな?

好みは分かれるがSFビジュアルノベルとしては面白かった!

 

クリアまでは10時間以上。ボイスをじっくり聞くと結構掛かる。

話にエンジン掛かるまでが長いのと、「ボイス付きのビジュアルノベル」としてチグハグな作りが目立ったのが惜しかったが、二組のバディを描いたSFノベルゲームとしては面白かったぜ!

 

完全新作ADVはオチで続編にぶん投げるものが度々あるが、本作はしっかりと事件解決のでご安心を。その上でシリーズ化できそうな構成にもなっている。

今後のシリーズ展開にも期待だ!