先日やっとクリアしたパズドラZのレビュー!
パズドラZはガンホーオンラインエンタテイメントから2013年の12月12日に4400円で発売された3DSソフトだ。
スマホで2000万DLを越える大人気の基本無料ソフトがベースで、3DS版も100万本以上の大ヒット。
やるねえ……と呟かざるを得ない。
本作はベースこそスマホ版だが、基本的にはすべて新規で作り直されている新作だ。
クリアまで遊んで25時間ほど。
ドラゴンと人間が共存し、大気中にドロップと呼ばれる精霊の力が存在するドラクメシア大陸が舞台!
ドロップの力を操ってモンスターを使いこなせる「ドラゴンテイマー」の新人である主人公は、
世界の破壊を目論む悪の組織「パラドックス」と闘うことになる!
といういかにもな感じのストーリー。
スマホ版はストーリーそのものがまったく存在しなくて、
「なんでダンジョンで戦ってるの?」「なんでパズルでドロップ消すと敵を攻撃できるの?」
っていう根本部分にも説明が一切無かったんだが、3DS版はそれっぽい設定が付けられているね。
ゲームは主人公の住んでいるゼットシティを拠点として、
ドラゴンテイマーの本部からの指示に従ってダンジョンを一個ずつクリアしていく流れ。
ダンジョンをクリアする毎にバラバラにされた世界がちょっとずつ復活していく。
各エリア最後の神殿に待ち受けるドラゴンをすべて解放してパラドックスの野望を阻止するのが目的だ。
ダンジョンはいくつか分かれ道はあるが基本的には一本道で戦闘以外は自動で進んでいく。
戦闘は5+1体のモンスターでチームを作って戦う形式。
上画面には敵モンスター。下画面にはパズル。
ドロップを動かして3つ以上並べて消すと、ドロップの属性に対応したモンスターが攻撃する。
同じドロップを一度に5つ以上消すと全体攻撃になる、ハートドロップを消すと回復するなどのルールもアリ。
赤いドロップを消すと炎属性のモンスターが殴る!
青いドロップを消すと水属性のモンスターが殴る!
赤と青のドロップを消すと水属性と炎属性のモンスターが殴る!
基本的にはそういう分かりやすいゲームだ。
こういうパズルだと1回に動かせるのは1個だけとか決まってるものだが、
パズドラはドロップを掴んで離すまでなら制限時間つきで自由に動かせるので、
フィールドの端から端まで一瞬で動かしたり、
入れ替えまくって1ターンで複数のドロップを一気に消したりが可能。
逆にドロップを動かさなければ時間は進まないのでいくらでも長考が出来る。
ここら辺のゆるさがスマホ版が人気出た点だと思うね。
ドロップを沢山消して連鎖すればするほど与えられるダメージがアップするので
大連鎖を決めれば何倍もの大ダメージを与えられる。
ただ、フィールドが小さいので大連鎖が発動するかどうかはかなり運が絡んでくるので、
結局は強力なモンスターと育成が必要不可欠となるね。
火属性のモンスターは木属性のモンスターに大ダメージとかのお決まりの相性があるし、
モンスターにはチームのリーダーにした時に発動する特殊能力と、
ドロップを消すと溜まるゲージを使って発動するスキルの2種類も存在。
6体目のモンスターは助っ人として表示される中から選択する形式で、
これはゲーム進行によって変化するし、すれちがい通信ですれちがったプレイヤーのを使うことも出来る。
これらの組み合わせを考えてチームを作ったりモンスターを入れ替えたりしていくのが楽しいゲームだ。
新しいモンスターは敵を倒した時に稀に手に入るエッグを解析することで手に入る。
いらないエッグは合成して経験値にすることも可能。
必要な素材アイテムを集めるとモンスターを進化させてパワーアップさせることも出来る。
モンスターでチームを組む、パズルで戦う、そして成長する。
まさにパズル&RPGというわけだね。
スマホ版との違いはコストの概念が無いので自由にチームを組める。
進化する時にレベルを最高にする必要が無く、レベル関係なしに進化可能。
制限無しでダンジョンから好きなタイミングで脱出が可能でアイテムも持ち帰れる。
合成だけでなく、敵を倒すだけでもモンスターに経験値が入るようになっているので育成しやすい。
辺りかな。
全体的に制限がゆるい調整になっている。
基本無料ソフトと売り切りのパッケージソフトを比べられるものじゃないんだが、
遊んだ時はやっぱり「最初に4400円取るだけあってVIP待遇だな!」って思いました!
あと3DS版だとスキルがゲージ消費制になってるけどこれはバランスを大味にしてるかなあ。
スマホ版は一定ターン経過するとスキルが使用可能になるシステムで、
ターン経過がモンスター毎に個別だったから性能が微妙なスキルでも使い所があったのに対して
3DS版はゲージを全モンスターで共用してるから強いスキルだけを使い続ける戦い方になる。
3DS版最大の特徴はモンスターのグラフィック。
スマホ版からいるモンスターもすべて3DS向けに描き直されていて、攻撃や待機中にグリグリと動きまくる。
大剣を使うモンスターならグッと手に力を入れてから斬り掛かってくる!
首が複数あるモンスターなら待機中でも首を動かしながらこちらを睨みつけてくる!
スマホ版をプレイ済みなら、
お馴染みのモンスターがイキイキと動く姿に余計に感動する力の入れっぷりだぜ。
子供向けなせいか、スマホ版に比べて女性型モンスターの露出度が少し低くなっているという批判も見た。
たが!その分グリグリと可愛く動くようになっているのだ!
このエキドナも下乳こそ見えなくなっているが、
体をくねらせながら剣をグルグル回して上に放り投げ、
キャッチと同時にウインクするという愛らしい動きをする。
セイレーンも体をくねらせながら瞬きしつつハープを弾く!ていうかちょっと乳揺れもある!
これに対して露出度が低いからダメなどというのは本質が見えていないと、ここは厳しく言わせてもらうぞ!
まあ収録されているのはドラゴンタイプのモンスターが中心で
女性型モンスターが少ないのは確かなんだけども。
街の立体視がすげー雑で主人公が地面に埋まったり飛び出したりしてるが、
それ以外のモンスターやダンジョン内の立体視に関してはかなり力を入れていて良し。
最近は子供向けゲームだと立体感を抑え目にしたり、
そもそも立体視に対応させないゲームが増えてるのでここは評価したい。
作画に気合を感じる主題歌つきオープニングアニメもしっかり立体視対応だ。
そんなわけでスマホ版をベースに3DS向けにかなり手を入れてあるんだけど……。
基本的にダンジョンを1個ずつ順番にクリアしていくだけの1本道な展開だし、
ダンジョンも宝箱を開ける時や分岐点でドロップを消すイベントが挟まるくらいで移動は自動なので
ひたすら敵を倒し続けるだけ。
難易度も終盤入るまでかなり低いので単調に感じる。
街でミッションを受けることも出来るんだけど、
「○○のダンジョンで手に入る○○を取ってきて!」というおつかいイベントだけだ。
受けたミッションを確認できないのも面倒。
モンスターの成長に捻りがあるわけでもなく、
戦闘もある程度慣れてくると同じことの繰り返しになってくるし、
やり込み要素もミッションも何をするにも戦い続けるだけ。難易度は全体的に低い。
というわけでどうしても作業的になってくるね。
街も最初のゼットシティ以外に出てこないから変化に乏しい。
クリア後ダンジョンが大量にあったりでやりこみ要素は十分なんだけど、
クリアしたところで完全に飽きちゃったよ。
街のコロシアムに行くと固定のモンスターで戦い抜くダンジョンに挑めるとか、
街でお札アイテムを使うと特殊なダンジョンに行けて、
主人公のお父さんに話しかけると1日に1回だけ曜日で変化するダンジョンのお札がもらえるとかは
スマホ版の要素をうまく3DSに取り込んであっていいと思うんだけどね。
ストーリーはいかにも子供向けで基本的にギャグノリ。
喋らない主人公、肉大好きのニック、かわいい女の子のサラの3人で進むんだけど、
ゲーム開始直後にマスコットの喋るドラゴンに名前付けるシーンが
いきなり「シロップ」「大胸筋」の2択!
反対を押し切って大胸筋にした時のサラの諦めたような表情とドラゴンの絶望的な表情がいい。
メタ台詞やめろや!
ここまでやっておいて強制的に名前が「シロップ」になってしまうのが納得いかねえ……。
こいつが大胸筋だから、
他にも色んな筋肉の名前のドラゴンが出て来て合体して最強ドラゴンになる展開だと思ったのに!
街で受けられるクエストもギャグノリしかない。
この人は「ビッグなキノコ」「ハリネズミのクツ」「ロトの定規」
「ホウジョウフォース」などのアイテムを探してくるように要求してくる人。
そのまんま過ぎだろ!
ホウジョウフォースなんかは少し捻ってある方か……。
元ネタが分からない人は「海賊戦隊ゴーカイジャー 宇宙最大のお宝」などで検索してくれ。
敵組織であるパラドックスの幹部連中も突っ込み所満載なヤツしかいない。
こいつは「ムリして厨二病っぽい言い回しをしてる小学生」みたいなキャラのジレン
「ボクはどんなパンツをはけばいいのか」という質問に「はかない!」と答えた時のセリフ。
こちらはリベラさんのクイズコーナー。
えーと、所属してる組織は世界の破壊が目的だったから……3つ目の選択肢かな?
メタ台詞やめろや!
唐突に始まる戦隊パロのイエローが女性なところはかなり今風だと思った。
未だにイエローがデブの戦隊パロ多いから……。
こいつらただの一発ネタだと思ったら「ええっ?!」ってなるくらい強くてビックリしたわ!
このノリ自体は嫌いじゃあないんだけど……。
ギャグの9割が「相手がアホなこと言う」→「シロップがこのポーズで突っ込む」ってパターンで飽きるし、
終始こんなギャグノリなので緊張感がまったく無い。
パラドックスの目標は「世界をバラバラにして1から作り直す」という壮大なものなのに、
なんでパラドックスに所属してるのか分からないギャグ連中が大半。
「黄金の仁義・あやめ」なんかはきっちり理由が説明されたけど、
理由があまりにアホ過ぎて頭抱えるレベルだった。
おい!世界を破壊する悪の組織に所属する理由がそれかよ?!
ギャグかと思ったらなんかいい話みたいな空気で展開してたし!
そもそもゲーム中に出てくる場所がゼットシティと神殿とダンジョンの3種類だけなので、
世界観がよく分からない。
出てくるキャラも現代風だったり中華風だったり和風だったり
ベタなファンタジーだったりスケバンだったりとごちゃ混ぜ。
ごちゃ混ぜなことに世界観的な理由があればいいけどそれも無し。
とりあえずギャグ爆盛りでシナリオと世界観は適当と。
どうしても子供騙しっぽさを強く感じてしまうノリだ。
子供向けだからこそ、ギャグをやるからこそ根っこのところはしっかり作って欲しかった。
どっかの3DS版なめこ大繁殖みたいに、
スマホでヒットしたから便乗で3DSで出しとけ……みたいな内容ではなく、
しっかりと1本の3DS用パッケージソフトとしての作りこみをしてあるのは高く評価したい。
ただ、戦闘にしろ成長にしろダンジョンにしろ、
まだまだ肉付け不足で遊んでるとどんどんダレてくる。色々と惜しい。
これだけヒットすれば間違いなく続編が出ると思うので、そっちでの大進化を期待するぜ。