SIMPLE1500シリーズ Vol.28 THEダンジョンRPG D3公式
PSストア SIMPLE1500シリーズ Vol.28 THE ダンジョンRPG
2000年の4月27日に1500円で発売されたSIMPLE1500 THEダンジョンRPGのレビュー行くぜ!
現在はゲームアーカイブスで309円で購入可能だ!
開発は株式会社ミント&プロフェット。
調べたらくにおくんの生みの親である岸本良久の作品じゃないか!
今回調べてみるまで全然知らなかったわ。
本作はSIMPLEシリーズ初のRPGでもあるぞ。
内容は入る度に地形が自動生成で変化するダンジョンに挑み、
ランダムで登場するアイテムを臨機応変に活用して奥深くを目指すというもの。
一度やられればレベルが1に戻され、アイテムも没収されて最初から。
成長するのはゲームのキャラではなくプレイヤー!
繰り返しプレイして立ち回りを身につけ、ランダム要素を乗りこなせ!
いわゆる「ローグライク」と呼ばれるジャンルで、不思議のダンジョンシリーズがあまりにも有名ね。
このゲームが発売された頃はこの手のローグライクのことを「ダンジョンRPG」と呼んでいたんだが、
いつのまにか世界樹の迷宮とかデモンゲイズみたいなのを指すようになってた。
PS1時代はこの手のローグライク多かったよなあ。
「テンションはテンションが上がった!」という怪文書が表示されるヤツとか。
ドラえもんのローグライクまで出てたり。
ちなみにSIMPLE2000でも「THEダンジョンRPG 忍」という作品が出ているが、
そちらは開発がタムソフトでまったく違うテイストになっている。
忍の方に関してもいつか改めて語る日が……あんまり来て欲しくないですね!
ストーリーは邪悪な魔術師に奪われた伝説の宝珠を奪還しろ!というもので
スタートとエンディング時にちょっとメッセージが出る程度と非常に簡素。
ダンジョンも1種類のみ。26階にいるボスを倒せば一応クリアとなる。
名前と性別を入力するとゲームスタートだが、
名前の後ろには「1世」という肩書きが付き、死ぬ度に「2世」「3世」と数字が大きくなっていく。
ゲーム中は一切語られないが、宝珠の奪還に一族で挑んでいるということなんだろうか……。
いくら代替わりしても性別は最初に決めたものでずっと固定。
「俺の屍を越えてゆけ」みたいな裏設定があるのかもしれない。
非常にオーソドックスなローグライクで、
半透明で表示されるマップや、□ボタンと方向キーの組み合わせでの方向転換など、
画面のレイアウトや操作周りは不思議のダンジョンシリーズに近い作り。
しかしアイテムを持って街に帰還したり、いらないアイテムを倉庫に保存して
次の冒険に持ち越すなどの要素は一切無いので常に一発勝負だ。
武器と盾、装備するだけで特殊な効果を発揮する指輪、飲むか敵に投げつけるかが可能な薬、
部屋にいる敵全体に効果のある書物、
振った相手に特殊な効果を与えることが出来て、最大で5回まで使用可能な杖など。
ランダムで出現するアイテムを駆使してピンチを切り抜けるのだ!
行動するたびに減る空腹度の概念もあって、飢餓状態になるとランダムで状態異常が発生。
落ちているパンを拾って食べることで空腹度が回復して頑張れる。
不思議のダンジョンシリーズにある「壷」は無しね。
敵を攻撃した時のダメージが一切表示されないので、
自分のレベルと装備、敵の種類、倒せるまでに殴った回数を感覚で掴むしかないスパルタ仕様。
また、アイテムは拾った段階だとすべて未確定名。
「黒色の秘薬」「キグナスの書」「松の杖」といったよく分からない名前がついていて
どういうアイテムかは使ってみないと分からない。
未確定名称はダンジョンに入る度に変化するので、
この名前の薬は前回のプレイで回復アイテムだったから今回も……。
なんて一気飲みすると状態異常を喰らったりする。
不思議のダンジョンシリーズだと巻物などに関しては使えば正式名称がすぐ分かったが、
これは効果と曖昧なテキストが表示されるだけなので、
そこから推測してすべて自分で名前を付けなければならないのでやや難易度が高い。
識別の書というアイテムがあれば鑑定も可能。
不思議のダンジョンシリーズの影響は非常に強いね。
ちょっと仕様は違うが、床に置くと敵を寄せ付けない「聖域の書」とかそのまんまですよ!
「白紙の書」というアイテムもあって、
名前だけ聞くと便利そうだけど使っても何も起こらないただのハズレアイテム。
完全に不思議のダンジョンシリーズを遊んでるユーザー向けのネタだぜ……。
ちなみに装備した段階で正体が分かる武器や盾にも改めて好きな名前を入力できる。
攻略にはまったく関係ないが色々入れてみるのも楽しい。
「長剣」や「手斧」なんて地味な名前の武器を拾っても、
ガッカリせずにせめて名前だけでもイカしたものにしよう!
まあこのゲームだと手斧はかなり強い部類の武器なんですけども。
独自要素としては「灯り」の概念があること。
ランタンやトーチカ、キャンドルといったアイテムを装備しているとこのように明るいが……。
しばらく歩いていると燃え尽きて暗くなってしまう。
周りが見え辛くなるので大分不利に!
ランタンのみ、油を補充することで再点火が可能になるので頭に入れておきたい。
油をランタンに使わずに飲んじゃうと主人公が
「ひどくまずい 気持ちが悪くなってきた」とか不平不満を訴えるのでかなり気の毒。
「調合」という概念があるのも特徴ね。
説明書には詳しく書かれてないが薬は別のアイテムに使用可能。
例えば2つの回復薬を組み合わせると1ランク上の回復薬が出来るし、
毒薬を武器に使うと1回だけ敵のステータスを下げながらの攻撃が可能。
ランタンに油を補充する場合もこの操作だ。
フルーツジャムをパンに使うと「ジャムパン」が出来るのはなんかほのぼのしてて好き。
通常は目に見えなくて、上に乗ると発動する罠を拾ってアイテムとして使用する事も出来る。
目の前に敵のいない時に攻撃ボタンを押すと主人公の周囲8マスを調べたことになり、
そこに罠があればアイテムとして拾うことが出来るのだ。
この時、攻撃モーション(剣を振ったり)は出ないのでテンポはいい。
罠は直接敵に投げたりできるので、ワープさせる転移の罠や動きを止める拘束の罠などは使いやすいね。
弓矢がかなり強い上に矢は余るほど拾えるので活用しやすいのもポイント。
モンスターの同士討ちがやたら多いゲームで、
浅い階では動きの鈍いゾンビが果敢に他のモンスターに殴りかかる姿が見られる。
「体は腐っていても人間の心は残っていたのか!ありがとう!」などと近づくと攻撃される上に
ゾンビはこっちの武器の性能をダウンさせる特殊攻撃をしてくるので、
汚い手で俺に触るんじゃねぇ!と迷わず退治するのが吉。
モンスターが他のモンスターを倒すとレベルアップするが、
劇的に強くなるわけじゃないので気をつければ大丈夫だ。
こういったシステムを頭に入れて頑張っても死ぬ時は死ぬ。
死ぬとこのように墓をバックに死因が表示。
主人公は死んでしまったが、勇敢に戦い抜いたその勇気は子孫に受け継がれるのだ!
と、強敵と戦って死ぬ分にはカッコいいんだけど……。
うっかり1階でスライムに殺されたりしたら一族の面汚しである。
死なずに26階まで到達すればボスキャラであるエンシェントドラゴンが登場!
ウワーッ!なんという迫力ッ!黄金に輝く巨体はボスキャラの迫力十分!
果たしてプレイヤーはこの大ボスを倒すことが出来るのか?!
と、盛り上げてみたが行動速度がプレイヤーの半分な上に26階はコイツ1体しか敵が出てこないので、
部屋の中をグルグル逃げながら殴ってれば楽勝という弱さ!
そこら辺のザコの方がまだ手ごわいぞ!何がエンシャントだバカバカしい!
倒した後に出現する宝珠を取ればエンディングとなるが、
実はそれを無視して先に進んで52階まで行かないと真のエンディングは見れないという仕組みだ。
52階には一体何が待ち受けているのか!?
ここから先はこれを読んでいるキミ達の目で確かめてもらいたい!
52階まで到達すると元凶である魔術師が登場。
こいつとのバトルに打ち勝てば真のエンディングだ。
さすが元凶だけあって凄まじい禍々しさ!
果たしてプレイヤーはこの真のボスを倒すことが出来るのか?!
と、盛り上げてみたが状態異常が普通に効く上に52階はコイツ1体しか敵が出てこないので、
手持ちのアイテムを適当に使って殴れば楽勝という弱さ!
そこら辺のザコの方がまだ手ごわいぞ!何が魔術師だバカバカしい!
エンディング後のスタッフロールにはスタッフ名と一緒にモンスターの絵も出てくるので、
つい「このトカゲみたいな人が製作アシスタントを……」などと考えてしまう。
非常にオーソドックスなローグライクで地味な内容だが、
独自システムもあるし押さえるところは押さえている1本。
ランタンにぼんやりと照らされたダンジョンや落ち着いたBGMの雰囲気もいい。
レベルアップ時に表示されるテキストが「レベルが上がった!」ではなく
「レベル○○へようこそ」という表記なところや、
「耳障りな歌が聞こえてきてフロアにいるモンスターがすべて起きる」という効果のアイテムに
「女神の歌声の書」なんて名前をつけるセンスも好き。
欠点は敵が急に強くなったりするので、
4階くらいまでにそこそこの武器と防具を拾えないと大苦戦するなど運の要素がかなり強い点と、
攻撃のミスがやたらめったら多くてストレスが溜まる点。3回連続ミスとか当たり前にやる。
25階くらいで登場モンスターが出尽くして、
あとは52階まで延々と同じ組み合わせのモンスターが出るだけの単調な展開になる点も。
攻撃力を下げる毒攻撃をしてくる敵と、アイテムを盗んでワープで逃げる敵がひたすら出てくる構成で面倒。
毒攻撃をしてくる敵は沢山出てくるが、毒消しアイテムの出現率がやたら低いのも辛いね。
25階以降は「殴られても1桁しかダメージを受けない敵」と、
「レベルを上げていても殴られるとかなりダメージを受ける敵」の2種類に完全に分かれてしまうので、
弱い敵で道をふさぎつつ、隙間から弓矢で強い敵を蜂の巣にするパターンでかなり楽に進める。
どっちにしろレベル30超えるとカンタンには死ななくなるので緊張感無くなるが。
プレイして手に入れたアイテムは「知識の書」に記録されていくんだけど、
例えば調合の組み合わせもここに蓄積されていっていつでも見れるとか、
そういうのがあったらもっと本作ならではの個性が強くなって良かったと思うな。
まったく関係ないけど本作は西洋ファンタジーな世界観なのに短剣扱いで「手裏剣」が登場。
「なぜか握りにくい短剣」と、本来の使い方を理解されずに使われている武器になっているが、
もしやこれは次回作の「THEダンジョンRPG忍」の予言だったのでは……?!
やりこんでいくとバランスの悪さが見えてくる作りだけど、
1500円の骨太なローグライクとしてはよく出来ている。
ゲームアーカイブス版をVITAでチマチマ遊ぶの楽しい。
灯りの概念やアイテムの鑑定の仕様、敵へのダメージが表示されないなど、
人によっては面倒と感じる要素も多いが、そこが気にならないなら今遊んでも面白い1本だ。