螢幕判官 Behind The Screen | COSEN
『螢幕判官 Behind The Screen』のレビュー行くぜ!
メーカー:賈船
機種:Nintendo Switchダウンロード専用ソフト
ジャンル:サスペンスパズルアクション
発売日:2018/8/23
価格:1000円(税込)
賈船がローカライズするサスペンスパズルアクションゲームだ。
舞台は1970年代の台湾。ある殺人犯の半生を追い、彼に何があったのか、
報道されている事実の裏に何があったのかを探っていく内容になっているぜ。
PVがあまりに意味不明なのでつい買ってしまったが、
重いストーリーを独特の絵柄と演出でまとめ上げているのが見事。
とはいえ、もう一押し欲しい作品ではあったな。
ストーリーはまず殺人犯が逮捕されたニュースが流れ、
そのまま彼の幼稚園時代へとジャンプして本編がスタートする。
母親に会いに行くために幼稚園から脱走を図る主人公のエピソードが描かれていて、
寝ている友達を布団ごと動かして道を作ったり、スイッチを作動させたり、
先生に見つからないようにステルスアクションしたり。
ゲームとしてはよくあるものなんだが、空想と現実が交差しつつ進む構成が圧巻。
冷たい現実の教室と、色彩をぶちまけたような教室が切り替わりながら進んでいく。
怖い先生から逃げるシーンは
巨大なクモから逃げるアクションシーンで表現されたりするぞ。
こええ!
チンピラに対抗するためにバケツとスッポンで武装した姿と、
古代ローマで勇ましく戦う戦士の姿がオーバーラップする学生時代では、
敵の攻撃を防御してカウンターを叩き込んでいく謎の戦闘シーンなども挿入される。
この戦闘シーンの演出がまたやけにカッコ良い。
起こっている出来事や対峙している人物などを、
「現実ではどうなっているのか?」
を考えながら進めていくと色々と見えてくる作りで、
細かなところに主人公の心情や末路を暗示するものが含まれていたりする。
あちこちに落ちているアイテムを集めることで、
その場所や時代で過去に起こった出来事を知れる要素もある。
集団や社会の中で生まれた歪みやどうにもならない不幸を徹底的に描いていて、
見ていて胸が引き裂かれるような気持ちにさせられる。
よく出来てはいるんだが、
シナリオが本当に暗いだけなのでもう一捻り欲しかったところだなあ。
真実が隠され理解されない恐ろしさ、切なさ、理不尽さを、
殺人犯の半生を通して描いた作品だから、
そういう作風と言ってしまえばそれまでなんだが……。
一見コミカルながらも影がある演出も、
いきなり戦闘シーンが挟まるようなミニゲームのセンスも、
虚構に空想を、空想に虚構を落とし込む手法もキレッキレで
遊んでて引き込まれるだけに、どうしても惜しく感じてしまうところだぜ。
ローカライズは表現が硬かったり冗長だったり、
そんなに長いゲームでもないのに誤字脱字が目立ったりでやや微妙だ。
途中に挿入される実写ムービーが日本語吹き替えされているのは良いんだけど、
映像と字幕と音声のすり合わせが出来ておらず、
字幕の出方がガッタガタなのも気になった。
こういうノウハウないんだな賈船……。
そんなに長くはないが声優さんの演技は雰囲気に合っていたかな。
クリアまで1~2時間ほどだったが、
途中のミニゲームが結構シビアなのでアクションが苦手な人だとちょっときついかも。
予測できない演出と、それを支える見事なBGMのおかげで
まったく飽きさせず一気に遊べる内容になっているが、シナリオがつらい……!
色々な意味でオススメ!と単純に言えない作品だが、印象に残る1本ではあったぜ。