『スーパーマッシュ』のレビュー行くぜ!俺がプレイしたのはSwitch版ね。
メーカー:賈船
機種:PS4/Switch
ジャンル:ミニゲーム集
発売日:2021/6/24
価格(税込):4840円
備考:Switch版のみパッケージ版と限定版(9680円)アリ。
既存のゲームジャンルを2つ組み合わせて、新しいゲームを作るゲームだ。
アクションとRPGを合体!ステルスアクションとシューティングを合体!
どんどん混ぜてどんどん遊んでいく。
昔、吉田戦車の四コマで「ゲームとゲームを混ぜる男」というネタがあったが、
まさにそんな感じだね。
開発はDigital Continueでローカライズは賈船。
開発元が配信しているSteam版は日本語無し。
今回、賈船が出したPS4版とSwitch版は日本語あるが、定価は2倍以上と強気だ……。
内容も結構キツめ。
本当に「2本のゲームが混ざっている」カオス感は最高なんだけど、
ゲーム自体はまったく面白くないし、作業的なミッションを強制させられるし、
翻訳やシナリオの質も低く……と、
一発ネタとして割り切れない欠点が多いのが残念だったぜ。
舞台は経営危機のゲームショップ。
大家への家賃を払うために、主人公のトモが引っ張り出したのは、
昔ガレージセールで買ったマッシュマシンなる怪しげな機械。
2つのゲームを混ぜて新しいゲームを作れるという機械で、
これを活用してトモはお客さんの注文通りのゲームを作って売り捌く。
経営は盛り返し、更にゲームを売るための仲間たちも集まってくるが、
マッシュマシンには何やら秘密がある様子。
大手メーカーの人間が近づき、怪しげな動きを見せてくる……というストーリーだ。
まず既存のゲームを混ぜたものを勝手に売ってんじゃねぇぞコラァ!
6つのジャンルから2つを選んで合成し、次々に新しいゲームを作る。
選べるジャンルは「プラットホーマー」「ステルス」「シュートエムアップ」
「JRPG」「メトロバニア」「アクションアドベンチャー」だ。
難易度や長さの設定も可能となっている。
「既に混ざってるやつない?」とか、
「それジャンル扱いでいいの?」とか突っ込みたくなるがまあ些細なことだ!
ちなみに同じジャンルを合成させた場合はプレーンなゲームが出来るぞ。
主人公や武器、スキル、ステージなどは毎回ランダムで変化する。
本当に2つのジャンルが混ざったゲームが出来るのが特徴。
こちらは「プラットフォーム」と「シュートエムアップ」を混ぜたゲームだ。
主人公が横スクロールアクションの可愛いキャラなので横を向いているが、
ゲームは戦車や戦闘機と戦う縦スクロールのシューティング!
主人公の武器は地面に跳ね返ってバウンドするボールなので、
この世界だとめっちゃ不利!
でもジャンプできるからこれで敵を踏みつぶせるぞ!
「JRPG」と「シュートエムアップ」を混ぜると、戦闘機がダンジョンを冒険するゲームが完成。
敵と遭遇すると縦シューティングがスタート。
武器は戦闘機の先からニョキッと出ている槍だ!合体が雑過ぎる……!
斧など、他の武器を装備すればちゃんとそれに準じた攻撃になる。
ちゃんとゲームシステムが混ざるところが凄いね。
一見RPGなんだけど戦闘になるとアクションが始まるとか、
一見シューティングなんだけど、
定期的にランダムエンカウントでRPG戦闘が始まるパターンもある。
混ざり方もランダムなので、同じ組み合わせでも色々な部分が変化するぞ。
ドットも世界観もバラバラの連中が、
グチャグチャになったシステムで死闘を繰り広げる。
このスクショのゲームがSwitchのストアとかに並んでいたら
「また邪気の強いゲームが出たな」となるところだが、
これはマッシュなのでごった煮っぷりを存分に楽しめるね。
また「グリッチ」という要素もある。
マッシュした時にプレイヤーに有利なものと不利ものの2種類が設定される。
つまりはバグのことで、体力アップ、攻撃力アップ、いきなり無敵、
敵が強くなる、画面が暗くなる、画面が傾いていくなどなど。効果は様々。
これもランダムなので
「お金を一定以上集める」ってクリア条件の時に、
「お金を落とす」グリッチが付いてクリア困難になったりするし、
敵を一発殴る度にその場に武器を落とすとか、ゲームテンポが悪くなるものもある。
こりゃしんどいと思ったらやめてマッシュし直せば良し!
逆にどうやってもクリア出来るチートな組み合わせになる時もあるぞ。
ゲームをクリアしたり、パックを買うことでカードも入手可能。
マッシュする時に使えば、
武器やキャラクター、ステージ、グリッチをプレイヤーが弄れるようになるぞ。
と、そんな夢いっぱいのゲームで最初は笑えるんだが……。
単調かつ似たり寄ったりのゲームしか出来ないことにすぐ気づいてしまう。
色々なジャンルはあるものの、作れるのは
制限時間以内に「〇〇を〇〇倒す」「〇〇を見つける」「〇〇円稼ぐ」
などで終わりのミニゲームだけだ。
同じジャンル2つをマッシュするとプレーンなゲームが遊べるんだけど、
足元が全然見えないジャンプアクションや、敵配置がいい加減なシューティングなど。
そもそもベースになるゲームの完成度が低いことに気づいてしまう。
面白くないゲーム同士をいくら混ぜても面白くはならんよね……。
「割と遊べるゲーム」か「クソ過ぎて笑えるゲーム」のどちらかが出来るまで
ランダム合成を繰り返す作業を楽しむゲームなのは分かるんだけど、
単に支離滅裂なだけの面白くないゲームを
死ぬほど遊ぶことになるから疲労感がすごいし、
俺が遊んだSwitch版はロードがメッチャ長いのもしんどい。
テンポの悪い一発ネタとか笑えない冗談だぜ。
ゲーム開始前にストーリー説明があるんだが意味不明。
しかもテキストが早すぎて全然読めない。
まあ、ここもランダム生成だから翻訳が難しいんだろう……。
と、擁護したくなるがメインストーリーの会話も翻訳がイマイチで、
会話の流れがよく分からなくなることが頻発。
日本語吹き替え声優のオーディションを行っていたが、
喋るのは3回挟まるムービーのみ。
しかも尺に合わせて強引にセリフを詰め込んだような早口の映像になってる。
『螢幕判官』の時も思ったけど、
賈船って映像に日本語吹き替えの音声を付けるノウハウが足りないのか?
メインストーリーの進行があまりに作業なのもつらい。
特定のマッシュを作ってクリアすると話が進むんだけど、
段々と条件が面倒になっていく。
各ジャンルにジャーナルというやり込み要素があって、
「〇〇の石が手に入るアクションアドベンチャーのマッシュをクリア」
「〇〇色のIDカードが出るステルスのマッシュをクリア」
などでページが埋まっていく。
これがすべてのジャンルに4~6種類存在するんだけど、
最終的にジャーナルのページをすべて埋めないとゲームが進まないため、
試せる組み合わせを総当たりすることになる。しんどい。
ジャーナルを埋めたらマッシュ要素やランダム要素の無いボス戦がスタート。
例えば「シュートエムアップ」のページだったら、
ボスとタイマンする普通のシューティングが始まるし、
「ステルス」だったら普通に監視カメラを避けてアイテムを探すゲームが始まる。
ゲームの基本コンセプトを否定するようなボス戦を入れるんじゃない!
その他にも10本クリアしろとかひたすらに面倒なストーリー条件が続く。
雑な合体ゲームを作るのを楽しむゲームなのに、
何度もクリアすることを強制したらそれはただのつまらないゲームだよ!
ストーリー自体も微妙というか。
既存のゲームを勝手に混ぜて売るゲームショップの話なので、
仲間を集めて頑張る展開やられてもなぁ……という感想になる。
そして苦労して辿り着いたエンディングが、
あまりにもやる気が無くて俺の怒りが大爆発。ふざけてんのか!
クリアまで10時間ほど掛かったがひたすらに疲れた。
怒りと悲しみがマッシュされてこのレビューが生成された。
「面白いゲームを探すために、得体の知れないゲームを何本も何本も遊ぶ」
なんてのは現実だけで十分だし現実でやる方がずっと面白い。遊んでそう思ったね。
発想はとても面白いし、スーファミ風ドットや散りばめられたイラストなど、
グラフィック周りも光る所が多いのでかなり勿体なかった。
定価1500円くらいでロードが短くて、作業ミッションが無ければ、
一発ネタとしては十分楽しめたはずなんだけどなぁ。
それをメタメタな翻訳と定価4800円で売る上に
パッケージで限定版まで作る賈船はすげぇなホント!