『NG』のレビュー行くぜ!
内容が内容だけにちょいとグロめのスクショも貼るので注意な!
メーカー:エクスペリエンス
機種:Vita/PS4/Switch
ジャンル:裏御伽・心霊ホラーアドベンチャー
3DダンジョンRPGに定評のあるエクスペリエンスが、
スマッシュヒットを飛ばした『死印』に続いて放つホラーADV第二弾だ。
日常に潜む、人ならざる怪異に立ち向かう内容。
手探りで恐怖と戦う王道ホラーアドベンチャー! - 絶対SIMPLE主義
『死印』から基本システムや王道のJホラーな雰囲気を引き継ぎつつも、
よりブラッシュアップされた内容になっているぜ。
グロが強めになってるところはやや苦手だったが面白かった。
舞台は1999年8月の日本。
主人公はどこにでもいる普通の少年……ではなく、
喧嘩が強くてヤクザが仕切る賭け試合で荒稼ぎをする高校生『鬼島空良』だ。
見た目は4種類から選択可能。
申し訳程度のグラサンとヒゲだけのカスタマイズである。
空良の自宅に届いた謎の黒い手紙をきっかけに、
主人公は人ならざる怪異の襲撃から生き延びる「遊び」に強制参加させられ、
生きるか死ぬかの毎日が幕を開ける。
姿を消す妹、主人公を「遊び」に巻き込む少女かくや、尽きない謎、
そして御伽噺になぞらえた数々の怪異!
ずぶ濡れの妊婦の姿をした「うらしま女」や、
深夜のビジネスビルに出没して人を斬り殺す「殺人桃」など。
章ごとに倒さなければならない怪異が存在するので、
情報収集をして怪異のことを探り、弱点を見つけて退治する流れが基本。
主人公の体は呪いによって徐々に蝕まれていくため、
早く怪異を見つけて倒さなければいけない。
様々な職業の仲間たちの力をお借りして立ち向かうのだ。
ゲームとしては仲間と共にマップを移動しながら
怪しい場所を調べてアイテムを探したり、
イベントを発生させたりしてストーリーを進行させていくという、
昔ながらのアドベンチャーゲームになっている。
『死印』に比べるとマップが全体的に狭くなり、その分密度が上がっている。
ここは好みが分かれそうだが、俺は遊びやすくなって良いと思った。
前作はフラグ立てがかなり面倒なところもあったのでね……。
恐怖が散りばめられたマップは夜の自然公園や夜の住宅街、
夜のオフィスビルなど身近な舞台が多く、
一度自宅に戻って寝ようとしたら
そこで怪奇現象に襲われるシーンもちょいちょい挟まれるため、
日常が浸食されていく感が強いぜ。
薄暗く先が見えず、いかにも何かありそうなイヤ~な雰囲気作りが見事。
自宅で怪奇現象が発生して死にそうになる度に
「気のせいか……」→「気のせいじゃない!なんだこれは!」
を律儀にやってくれる主人公が好き。
ゲームを進めてピンチになると「クライシスチェイス」という選択肢が登場。
選択をミスればその場でゲームオーバー!
制限時間に正しい選択肢を選ばなければいけないぞ。
怪異相手の選択ミスで殺されてゲームオーバーになることもあれば、
夜の住宅街をウロウロしてる最中に警官にとっ捕まってゲームオーバーになることも
失敗してもその場で何度でもやり直せるから安心して迂闊な選択をしよう!
主人公と共に挑むのはヤクザの跡取り息子、オカルトアイドル、
博打好きの記者、不良刑事、正体不明のマジシャンなどなど。
一癖も二癖もある連中揃い。
普通じゃない連中が、普通じゃない存在によって脅かされ、
それに敢然と立ち向かっていくストーリーになっているぜ。
ゴス衣装でオカルトの話題に目が無い葉月薫は、
オカルトへの関心がやや一線を超え気味なところ含めて可愛いし、
ヤクザの跡取り息子で頼もしいけど怖いものが苦手でビビリまくりの天生目も、
親友キャラとして凄く良い味出してる。
余裕たっぷりな態度の謎めいたマジシャン、ムーラン・ロゼさんや、
博打好きのダメおっさんだけどやる時はやる番さんも好き。
今回は探索する中での細かいやり取りが多くて愛着が湧くし、
それぞれが自分のスキルを生かした活躍をするのが良いところ。
主人公も「ブラッドメトリー」という能力に覚醒して大活躍。
これは血に触れることでそれに残った記憶を読み取れるというものだ。便利!
しかし血があるということは、血が出るような出来事があったということで……。
能力を使う度にやっべぇ映像を見ないといけない!
見たくない……けど見ないと話が進まないのだ!
そして対峙することになる怪異のおぞましさよ!
恨みによって人ならざる者に変貌した元人間で、
シナリオの最後ではそれまで集めたアイテムと知識を使って対決することとなる。
怪異の想いを汲み取って成仏させるか、
それとも弱点を突いて消滅させるかでストーリーが分岐。
成仏させればめでたしめでたしで終わるが……。
トラウマでぶん殴るようなやり方で消滅させてしまうと恨みが残ってしまい、
同行した仲間キャラが無残に死亡!
趣向を凝らした惨殺死体スチルがドン!と表示されるのできっついぞ!
怪異を退治して一息ついてもまた次の怪異の呪いがやってくるし、
行方不明になっている主人公の義理の妹を助け出す術もなかなか見つからない。
先が見えず、追いつめられていく中で少しずつ情報が集まり、
徐々に突破口が開けてくる流れに引き込まれるぜ。
音周りも秀逸で、風の音や外を通る車の音といった環境音がいい味出してる。
『死印』でも使われていたが、ロクでもないものが目に入った時の
「ジャーン!」という三味線みたいな効果音は特にイイね。
仲間との一息つけるシーンで流れるBGM「ワンダーラビッツ」も名曲。
ボーカル付きのverもあるがどちらも耳に残るメロディでお気に入りだぜ。
『死印』と時代設定が同じなこともあり、
あちこちで「これもしかしてあの人のことでは…?」って話が出てきたりもする。
単体でももちろん楽しめるが、『死印』の方も遊んでるとより楽しめる。
1999年だけあって出てくるアイテムが微妙に古いところもいい。
MDとか携帯電話とかね。
王道ホラーとして良く出来ているんだが、
今回は『死印』以上にグロ要素がキツめ。見た目的にも設定的にもね。
「ぐちゃぐちゃ」にすることで生理的な気持ち悪さを煽ってくるビジュアルも多くて、
ここはちょっと苦手だったな。
全体的には『死印』を上手くパワーアップさせてあるんだが、
怪異との対決シーンは、直線の道をゆっくり歩いてきて、
近づいてくるほどにグロい本体が見えてくる……という
前作の方が分かりやすく怖くて好きだった。
今回の色々な場所を逃げながら突破口を探る構成もこれはこれで良いけどね。
スキップ機能はあるものの、
一度クリアしたシナリオを自由にやり直すような機能が一切搭載されていないため、
繰り返しプレイが少々面倒。
3つあるエンディングをすべて見ようと思うと
割と最初の方からやり直さないといけないし、
怪異の倒し方以外にも、一緒に行動する仲間で変化する会話など、
是非見ておきたい細かい分岐が多かったりするので
マメにセーブデータを分けるのは必須だ。スキップもあんまり早くない。
そんなところまで1999年基準にされても困るぜ!
怪異の倒し方も一部ちょっと意地悪なところあった。
なんでアイテムをここに使うとダメなの?みたいな。
『死印』以上に面白い1本だったぜ。
時代設定を含めた雰囲気作りの上手さと、
それに翻弄させるトリッキーなキャラ達が織りなす王道のホラーADV。
ちょっと作りが甘いところもあったものの、着実にパワーアップしていて満足。
しっかり完結はしているが、
まだシリーズ続けそうなノリなので3作目も期待しとこう。