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PS4「CRYSTAR -クライスタ-」レビュー!辺獄で展開する美少女×涙=力の物語!他は良いのにアクション部分がしんどくて涙!

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CRYSTAR -クライスタ-公式サイト

 

『CRYSTAR -クライスタ-』のレビュー行くぜ!

 


メーカー:フリュー

機種:PS4専用ソフト

ジャンル:泣いて戦うアクションRPG

発売日:2018/10/18

価格:7980円(税抜)


 

豪華スタッフをウリにした新作を定期的に送り出すフリューによる、

完全新作アクションRPGだ。

シナリオを『Kanon』『天体のメソッド』の久弥直樹が担当し、

他にも豪華クリエイター陣がズラリ。

開発は『ヘディング工場』他、

様々なタイトルに下請けで関わっているジェムドロップが担当している。

 

涙を流して逆境に立ち向かう女の子たちが主役のゲームで、

新規IPは出来るだけ応援したい、雰囲気が良さげでなんか面白そう、

ジェムドロップは『ヘディング工場』が良かったなどの理由で買ってみたが、

なかなか良かったぞ!

 

………肝心のアクションRPG部分以外は、だがな!

 

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ストーリーは主人公の幡田零が、

妹と共に死者が彷徨う辺獄に引きずり込まれてしまったところから始まる。

取り込まれて自意識を失いかけた2人だったが、なんとか自分を取り戻して合流。

戦う力をも手に入れた零だったが、

元凶である幽鬼アナムネシスと対峙する中で我を失い、

自らの手で妹のみらいを殺してしまう。

 

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そして出会った辺獄を管理する双子の悪魔、メフィスとフェレスから、

契約をして使命を果たせば妹を生き返らせると囁かれる。

提示された条件は代行者となって辺獄を荒らす者たちを狩ることと、

激情によって流された涙から稀に生まれる結晶体「理念(イデア)」を集めること。

 

戦うことになる異形や幽鬼はみんな死んで辺獄を彷徨う元人間だが、

逃げるわけにはいかない。

妹を蘇らせるために、涙を流しながらの過酷な戦いがはじまる!

 

という、のっけからヘビーな展開になっているぞ!

他にも目的を持って代行者として戦っている女の子がいるので、

彼女たちと協力しながら戦い続けることになるのだ。

 

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ゲームとしてはオーソドックスな3Dアクションゲームで、

通常攻撃と強攻撃、MPを消費して放つ攻撃スキルを駆使して先へ進む。

最深部にいるボスを倒せばステージクリアだ。

仲間がいれば戦闘中にいつでも交代可能。

 

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涙ゲージを溜めると

自分の魂、理念が具現化した『守護神」が援護してくれるシステムで、

敵に連続で攻撃してコンボを稼ぐか、

ボタン長押しで泣き言を言ったりするとゲージが溜まる。

涙ゲージが高いとダメージを受けた時に確率でカウンターが発動したりするし、

MAXの時には一定時間パワーアップ&必殺技が使用可能となる。

ちなみに零の守護神ヘラクレイトスのCVは中田譲治。

 

つまり泣き言を沢山言うと中田譲治が助けてくれるシステムである!

 

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敵を倒すと経験値でレベルアップして新しいスキルを覚えていくし、

たまに断末魔の叫びがこびりつくことになる。

敵はすべて死んだ元人間で、断末魔はその最後の叫び。

取得するとこのように自室に戻っても画面内に残り続ける。

 

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自室で涙を流して抱え込んだ断末魔を浄化するとやっと消えてくれて、

業を乗り越えた成長した零が「思装」という存在を生み出す。

これを武器や防具として使うことが出来る。

 

簡単に言うと

「敵を倒すと未鑑定アイテムが入手でき、

それを本拠地で鑑定すると装備アイテムになる」

という珍しくも無いシステムなんだけど、

設定と絡めてこういう形に落とし込むセンスはなかなか面白いぜ。

 

生み出した『思想』は素材アイテムを使うことで最大4段階まで強く出来るし、

ランダムで「ステータス〇〇アップ」、

「状態異常の〇〇を無効」などといった効果をつけることも出来る。

 

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また、同じ敵を何度も倒すことで図鑑のページが埋まっていく仕様で、

倒した敵が持っていた記憶が少しずつ分かるようになっていく。

悲惨過ぎる死因のものもあれば、ギャグっぽいものもあるし、

キャラによっては他の敵キャラの記憶とリンクした記述があったり、

設定の重要な部分に切り込んだテキストもあったりで凝ってるぜ。

 

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登場キャラもみんな魅力的で良い。

主人公は幡田零は事故で両親を亡くして、

妹のみらいと2人きりで暮らしていた引きこもりの偏食家。

そこからいきなり地獄に放り込まれて

なんか妹は自分で殺しちゃうしこれはもう泣くしかない。

 

ゲームのコンセプト通り、

涙と共に成長していく姿がしっかりと描かれていて終盤は胸を熱くさせられる。

というか、序盤の段階で芯の強さは結構見えてると思ったかな。

髪の色と合わせた白を基調にした武装も美しくカッコいい。

 

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不動寺小衣は最初に仲間になるキャラで、関西弁を話す明るい性格。

可愛い女の子が大好きで、零との会話でも軽いノリで場を和ませる。

しかし代行者として戦う目的は殺された恋人と自分の子供の復讐と重く、

これだけは絶対に譲らない最年長。

 

多分、このゲームでもっとも優しい心の持ち主。

ちょっとしたセリフにそういうところがにじみ出ていて、

地味ながら印象的なシーンが多かった。

でもアクションパートで一番使い辛いキャラでもあるのが悲しい。

 

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恵羽千は正義を貫くために執行者として戦う16歳の女子高生。

検事だった父親の影響で真面目な口調だが、

年相応の一面やボケを見せることもあってそこがグッと来る。

 

黒髪赤目、肩マントにガントレットに日本刀というデザインが

あまりにカッコ良すぎて一番好み。本作の2号ライダーポジションかな。

 

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777(ナナナ)は執行者ではなく幽鬼だが、何故か零たちに懐いて協力してくれる。

子供っぽくてむちゃくちゃな言動をし、

とにかく暗くなりがちなストーリーを和らげてくれるし物凄く可愛い。

ストーリー展開も含めてこんなん好きになるだろ!ってキャラだなあ。

「えんじょいでえきさいてぃんぐ!」が口癖だけど、

何気に印象に残ったセリフは「増えたヨ?!」ですね……。

 

メインキャラみんなしっかり立ってるし、

妹であるみらいや、悪魔であるメフィスとフェレスの2人に、

謎に満ちた幽鬼アナムネシスも存在感あって物語を引っ張ってくれる。

 

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声優もみんな熱演で、守護神を呼ぶ時の叫びが特に良い。

メイン以外でもフェレスのねっっっとりした喋り方は耳に残るし、

アナムネシスは井上喜久子の悪役演技が超シビれるぜ。

 

モデリングは表情の変化に乏しかったりするのが気になるところだが、

イラストの細かい装飾や、

印象的な瞳のデザインなどは再現されているので見栄えは良いね。

零の瞳なんかは特に3D映えしてる。

 

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ストーリーはとにかく続きが気になる作りで、

過酷な展開ながらもキャラ同士の掛け合いの楽しさで読ませてくれる。

 

こういうことがあったらコイツはこう対応するしかないし、

こう対応されたらコイツの方はこう言うしかない……。

みたいな流れがキッチリ出来ているから

遊んでいて感動させられたり、胸が痛くなったり。

 

その上で、とんでもなく強烈な「感情」が物語をかき回し、

終盤に向けて収束していく作りはお見事。

 

BGMも絶品で、自室にいる日常BGMも、ここぞという時の熱いBGMもハズレ無し。

 

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……しかし、肝心のアクション部分が本当に面白くない。

キャラの動きが固くて爽快感に乏しく、攻撃の種類が少ないから単調。

ステージは仕掛けなどは一切なく進むだけ。

 

ザコ戦がほとんどすべて

「遠距離から弾(途中から状態異常が付く)を撃ってくる敵数体と、

接近or突進攻撃してくる敵数体」という組み合わせだけで構成されている上に、

序盤から色違いの敵がどんどん出てきてそれが途切れない。

敵の種類、ボスを除くと実質10種類もいないんじゃないか……。

最初から最後まで似たような動きと編成の敵と戦い続けるゲーム。

まずは弾を発射してくる花から処理。

 

しかも途中から遠距離攻撃撃ちつつ、

ゆるく逃げるザコ敵が出てくるから更にストレス。

しかもどんどん敵が固くなっていく。難易度をイージーにしてもだるいレベル。

 

ボスも遠距離攻撃を撃ってくるザコが定期的に端っこに湧くとか、

状態異常付きのホーミング弾をばら撒くとか

そんなのばかりで戦っていてまったく楽しくない上に動きが似たり寄ったりだ。

パルメニデスの変形ギミックとか、

セリオンの強キャラオーラとかデザインはいいのになぁ……。

 

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4人いるプレイアブルキャラは差別化がほとんど出来ておらず、

スキルの種類も少ないから使いやすいスキルを連発するだけになる。

一人だけ通常攻撃が遠距離攻撃になっている777が圧倒的に使いやすく、

終盤になると777ビームという、

もうこれだけあればいいチートスキルを覚えるので「777師匠……!」ってなった。

 

逆にこのゲーム構成にも関わらず、

通常攻撃が範囲の狭い拳&スキルが溜め攻撃の心衣さんがどうしようもない……。

後半は少し強いスキルも覚えるけど焼け石に水だなあ。

 

装備アイテムはちょっと進むとすぐに完全上位互換の装備が出てくるし、

細かいカスタマイズも出来ないから弄る楽しみは無し。

素材を消費してランダムで効果をつけられるガチャ要素くらいかな。

 

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涙ゲージを溜めると一定時間パワーアップ&必殺技が使用可能と書いたが、

パワーアップ中でも普通に敵の攻撃でダメージを受けるし吹っ飛ばされる。

でも画面にデカい守護神が表示されるから敵も敵弾も見えなくなる。

テストプレイしたんです?

 

必殺技は発動時のカメラワークが何故か斜め後ろで固定されているので迫力がなく、

しかも攻撃範囲が狭すぎてめっちゃ使い辛い……。

本当に遊んでいて気持ち良くないゲームだなってなった。

 

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敵が色違いばかりで種類が死ぬほど少ないと書いたが、

後半に入ると色違いですら無くなる……。

 

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光の表現と深い空の色が織りなす異世界の空気感は素晴らしいんだが、

ゲームとしては全ステージほとんど同じ構造と言っていいくらい

代わり映えがしないので勿体ない……。

 

とにかくアクション部分とそれ以外の剥離が激しい。

 

辛く苦しいが続きが気になるストーリー!

登場キャラ達の感情が爆発し、強敵と対峙する展開!

熱く盛り上がるBGM!

そして始まるショボい動きのボス戦!

 

の流れは本当につらかった……。

 

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だるいだけで遊んでいれば先へ進めるし、

回復アイテムを自動で使ってくれるゴリ押しシステムもあるので、

アクションゲーム苦手な人や初心者でも遊べると言えなくもないんだが、

このゲームでそれを言うのは

「このカレーライスは何の味もしないから、カレーライス苦手な人でも食べられる」

 って言うのと同じだからな……。じゃあ最初からスパゲティーでも食べるよ。

 

ストーリーも終わり方に関しては文句無しなんだが、

一部キャラの結末などがちょっとあっさりし過ぎなところもあるので、

メインキャラ以外の掘り下げはもっと欲しかったね。

 

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激情と共に泣いて戦い、強い意志で信念を貫くアクションRPG。

雰囲気は絶品で、ストーリーやキャラも刺さる人には深く突き刺さるノリだけに、

アクション部分が本当に勿体ない。

 

すぐ終わるならまだしも冗長でストーリー展開の足を引っ張っていて、

アクションゲームとして面白い部分や独自性を感じる部分がほとんど無いので、

「ここをこうして欲しかった」「次に期待したい」という言葉ではなく、

「そもそもアクションにするべきではなかった」「次はアクションにしないで」

という言い方になってしまうな……。

 

この勿体なさに涙!なゲームだった!