熱血硬派くにおくん外伝 River City Girls 公式サイト
『熱血硬派くにおくん外伝 リバーシティーガールズ』のレビュー行くぜ!
メーカー:アークシステムワークス
機種:PS4/Switch/Xbox One/PC
ジャンル:アクションゲーム
発売日:2019/09/05
価格(税抜):2900円
『熱血硬派くにおくん』シリーズのスピンオフ作品で、
開発は『シャンティ』シリーズに『ダブルドラゴンネオン』、
『魂斗羅DS』などでお馴染みの海外メーカー「WayForward」だ。
様々な技を覚えながら進んでいく横スクロールのアクションRPG。
主人公は過去作『新・熱血硬派くにおたちの挽歌』で、
プレイアブルキャラになっていた女の子の「きょうこ」と「みさこ」。
ゲームシステムのベースになっているのは
ファミコンの『ダウンタウン熱血物語』(厳密にはその海外版)だが、
ドットも世界観もガラッと一新したまったく新しいノリの作品となっているぞ。
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『熱血硬派くにおくん』シリーズはここ7年ほど
もっとも人気のあったファミコン時代のドットをベースにした作品を出し続けている。
安定したペースで新作と移植が発売されていたし、
『ダウンタウン熱血物語SP』という傑作リメイクもあったものの
基本的にファミコンベースから抜け出せてはおらず、
どうしても行き詰まり感はあった。
くにおくんシリーズはこのまま先細りになっていくのか!?
そこにやってきたのがこの女性主人公!実績のある海外メーカー!
これまでになかったフレッシュな雰囲気!
明らかに次元の違うグラフィックでお送りする本作ですよ!
まったく新しいくにおくんがついにやってきたんだ!
とりあえず1人プレイで取れるトロフィーは全部取得して進行度は100%にした。
不満もあったが「これを待っていた!」と言い切れる内容で大満足だったぜ。
ファミコン時代から続いてるシリーズで、
まだまだこういう新作を出せることがまず嬉しい。
ストーリーは彼氏である「くにお」と「りき」が誘拐されたことを知った
「きょうこ」と「みさこ」がタイクツな授業を抜け出して、
街に探しに出かけるところからスタート。
行く手を塞ぐ不良やチアガール、ゾンビにヤクザ、
ファッションデザイナーにミュージシャン相手に大立ち回りを繰り広げながら、
「くにお」と「りき」の行方を探すというものだ。
実に分かりやすいストーリーになっているが、
それにしても本編主人公である2人が誘拐されるなんて……。
一体どんなヤバいヤツが相手なんだ!?
パンチ、キック、掴みから派生する多彩な技や、
そこら辺に落ちている凶器を使いこなして突き進んでいくアクションゲーム。
ぶん殴る!倒れた敵を踏み付けて追い打ち!
倒れた敵をそのまま武器として使う!そしてぶん投げる!
落ちているバットや箱で相手をボコボコにする!
格闘技やプロレス技のコンボで敵を一掃する!
見た目がポップになってもこのノリは変わらないぜ!
今回は攻撃で溜まるゲージを消費して繰り出せる必殺技が多数存在し、
マッハキックなどもここに分類されている。
出の速いパンチやキックなどでダメージとゲージを稼いで、
最後に必殺技で一気に畳みかけるような立ち回りが中心となるぞ。
技の中には、他の技と組み合わせた空中コンボを前提としたものもアリ。
ガードとジャストガードで敵の攻撃を防ぐことも可能だ。
コンボ自体は過去作からあったんだが、
いつも以上にコンボを繋げることを重視した調整になっているね。
ガードもあるし、格闘ゲームに近い手触りになった。
まあ、ガード出来ない攻撃も多いからなかなか使いこなすのは難しいんだが……。
一定確率で倒したザコを「舎弟」として仲間にすることが可能で、
ボタン一つで呼び出して攻撃をしてもらえる。ストライカー攻撃である!
これも単発で使うというよりはコンボに組み込んで使うのがメインかな。
それにしてもキャラ絵が可愛いし、このスマホ型メニューも凝ってていい。
ちゃんと「みさこ」と「きょうこ」でスマホデザインが違うぞ。
敵を倒して経験値を貯めればレベルが上がって強くなるし、
各地のショップでは手に入れたお金を使って回復アイテムや装備アイテム、
そして新たな必殺技が習得可能だ。
例外もあるが、消耗品アイテムを使うと最初の1回だけ
最大ステータスも上がるようになっているので、
色んなアイテムをどんどん買い物して、どんどん使うことで強くなれるシステムだ。
しかしこの青いジャケットの店員さんどっかで見たような……。
ってダブルドラゴンじゃねーか!
ゲームは「くにお」と「りき」を探すために各エリアで情報収集し、
そこのボスを倒して新しいエリアを解禁……の繰り返しで進行。
マップはそれなりに広く、ショートカットに使えるバス停も存在する。
ザコ敵と戦いながらキャラを育ててマップを歩き回ってボスに挑み、
勝てない相手がいたら回復アイテムを買い込んで活用していく。
アクションとRPGが融合した楽しさは健在だし、
覚えた多数の技を使ったコンボの組み立てや、
ダウンした敵への追い打ち攻撃のタイミングが掴めてくるとグッと面白くなってくる。
敵の起き上がり攻撃が結構強く、
追い打ち攻撃をやり過ぎるとカウンター喰らっちゃうから、
適度なところで引いたりね。
もはや言うまでも無いがグラフィックも最高。
味方も敵も可愛いキャラやカッコいいキャラが次々に出てくるし、
キレのある技モーションの数々は動かしていて気持ち良い!
小物や小ネタまでしっかりと表現された背景の描きこみも圧巻で、
アメリカンでありながらどこか日本っぽい街並みの完成度に加えて、
ショップの店員が全部違う凝りっぷりも必見。
新しい場所に移動するのが毎回楽しみになるぜ。
BGMもボーカル曲が流れたりクオリティ高い。
それでいて歩きモーションやダメージモーションからは、
確かに本作が『熱血硬派くにおくん』シリーズであることが伝わってくる。
シリーズ知らない人にもシリーズ経験者にも、
強烈にアピールできるこのビジュアルショック。
やはりこのゲーム一番のポイントはここだぜ。
キャラを動かすアクションゲームはグラフィックが大事!
ボスは本作オリジナルと、過去作からのキャラがいるがみんな魅力的だ。
コンクリートの柱をぶっ壊しまくるパワフルさを見せる「みすず」や、
やまだのじゅつの黒魔術的なアレンジが光る「やまだ」など。
過去のキャラが現代風にめっちゃカッコ良くなってて感動したわ。
クモをモチーフにした3ボスの「ヒバリ」も好きだが、
ぶっちぎりで気に入ってるのは通常ラスボス。あまりにもカッコ良すぎる……。
ストーリーはマンガ風のデモシーンがあったりと見ていて楽しいんだが、
最初から最後まで「きょうこ」と「みさこ」の暴れっぷりが凄まじい。
2人ともめちゃくちゃ可愛いんだけど、
登場人物で一番狂ってるのがこの2人というシンプル過ぎるパワーバランス。
「みさこ」はすぐに相手の頭をかち割ろうとするからおっかねぇし、
「きょうこ」も一緒になって暴れているからろくでもねぇよ!
とにかく2人の無茶苦茶っぷりを楽しむストーリーで最初から最後までブレてない。
本作は外伝であり主人公もいつもと違う。
そこには熱血も硬派も無く、ただ暴力とkawaiiだけが吹き荒れ、
プレイヤーはそれに打ちのめされるだけなのである……!
公式で「女の子だからって、なめんなよ!」とか言ってたけど、
実際遊ぶと「女の子の喧嘩はえげつないな」って感想になるよこれ!
エリアの各地では様々なキャラと出会う事になり、
この辺のゆるい会話やネジの飛んだ会話も見所。
会話の空気は『シャンティ』シリーズに近いね。
沢山いる登場キャラには大体元ネタがあるんだが、
日本で発売されなかった『熱血闘球伝説』のキャラとか、
よほどコアなくにおくんファンじゃないと分からないキャラも多く、
これは重度のオタクが作ったゲームですわ……。
まあ、基本的にこのゲームのキャラは
みんな名前と設定だけ使った別人に近いので、
元ネタをあんまり気にせずに会話のノリを楽しむくらいでちょうどいいと思うね。
「お前、それはシリーズファンにはかなりデリケートなところだぞ!?」
となったのが、人気キャラである「はせべ」と「まみ」を、
自分をくにおとりきの彼女と思い込んでる頭のおかしい女扱いするシーン。
『熱血硬派くにおくん』シリーズはメインヒロインは誰なのかとか、
作品によってブレのあるりきの彼女は誰なのかとか、ここら辺が諸説あるので、
この直球っぷりはまさに「タブー中のタブーに触れやがった」だ!
しかし終わってみるとストーリーがあまりにイカれてるため、
「そもそもこのゲーム、単に自分をくにおやりきの彼女と思い込んでる
頭のヤベー女が4人いるだけなのでは?」という結論に落ち着き、
外伝だしこのゲームに関してはこれで良い!と納得できてしまったわ。
あのエンディングも俺は非常に気に入ってる。
1度ゲームをクリアすると満を持して「くにお」と「りき」が参戦!
残念ながらストーリーは変化しないが、
ちゃんと「きょうこ」「みさこ」とは異なる技を使用する。
「これが2019年のくにおくんだ!」と断言できる2人の力強いアクションは
感動するレベルでカッコ良く、是非体感してもらいたいぜ!
まあ、「くにお」の技にマッハキックが無いのは少し残念だったが……。
これは本作の元になっている『新・熱血硬派くにおたちの挽歌』で、
何故か「くにお」がマッハキックを使わなかったのを踏まえているのかな?
大満足の1本……と言いたいが欠点もあり、
ボス戦は演出はめちゃくちゃ凝っていて見ていて楽しいものの、
攻撃をひたすら避け続けないといけない時間が長かったり、
攻撃範囲が分かり辛かったり、面倒なボスが数人いてややストレス。
ボスがこっちの攻撃でなかなか怯まない仕様に関しては
「パンチ2回で止めてここで必殺技を入れればカウンターは喰らわないぞ!」
とか立ち回りを考えていくのが楽しかったので嫌いではないんだが。
敵の基本性能が高いので、
難易度は過去のくにおくんシリーズと比較しても少し手強い。
それでいてイージーモードは無しだ。
そのための回復アイテムを買い込めるRPG要素なんだが、
ショップが使えない状態で戦うことになる最初のボスの「みすず」が鬼門だし、
ある程度キャラが育って技が揃うまでは敵が堅いのも大変。
次に何をすればいいのかは親切に教えてくれるんだが、一部分かりにくいイベントも。
各エリアに隠された銅像をすべて発見することで裏ボスと戦える要素があるんだが、
ノーヒントかつ、いやらしい場所に隠されている。真面目にやると面倒だぜ……!
ボイスが英語なのはまあいいとして、字幕の速度が速く、
ボタンを押さなくても会話が先に進んじゃうのはかなり気になったなぁ。
ここら辺はアプデで修正してもらいたいところだ。
登場人物はいいキャラばかりなんだけど、
出番1回で終わっちゃうのが大半なのでもっとストーリーが見たかったところ。
このままシリーズ化をお願いしたい!
シリーズに新風を吹き込んでくれた圧倒的にキャッチーなビジュアルと、
正統進化ともいえるキレッキレの喧嘩アクション。
暴力とkawaiiを堪能できる素晴らしいスピンオフで、
シリーズファンの端くれとして本当に嬉しかった。
アクションゲームに慣れてないとちょっと手強いところもあるが、
くにおくんを知っている人はもちろん、
知らない人にも是非遊んでもらいたい1本だったぜ。