僕の彼女は人魚姫!? My Girlfriend is a Mermaid!?(Nintendo Switch版) | COSEN
『僕の彼女は人魚姫!?』のレビュー行くぜ!
メーカー:賈船
機種:Switch
ジャンル:ビジュアルノベル
発売日:2019/02/28
価格(税込):2800円(パッケージ)2300円(ダウンロード)
スマホで配信されていた韓国製のビジュアルノベルADVの移植。
配信は賈船が担当していて、賈船初のパッケージソフトでもあるぞ。
Nintendo Switch版はシナリオの追加などもされている模様。
普段は胡散臭いゲームの配信が多い賈船だが、
初のパッケージソフトだし、面白そうではあるのでひとっ走り付き合ってやるか……!
というわけで購入した。
Switch版はシナリオの加筆に加えてエクストラストーリーも追加されているようだ。
追加された箇所であることがめちゃくちゃ分かりやすい描写もある。
物語は昔住んでいた田舎に10年ぶりに帰ってきた主人公が、
人魚になってた幼馴染と衝撃の再開をする!というパンチの効いた導入からスタート。
何故幼馴染は人魚になってしまったのか?!
主人公との関係はどうなっていくのか?!
を軸に田舎を舞台にシナリオが進んでいく短編ギャルゲーで、
チープさはあるがなかなか面白かったぜ。
が、シナリオ分量の大半を占めるギャグのノリがかなり強烈でそこで怯んだな……!
たまに登場する選択肢でストーリーが変化するオーソドックスなノベルADVだ。
マルチエンディングで、
特定の選択肢を選ぶことでアンロックされるエクストラシナリオもあるぞ。
一度見たシーンからやり直して選択肢を選び直せるシーンセレクトや、
特定の条件を満たすとアンロックされるアチーブメント(実績)もある。
アチーブメントは「3~4月にゲームを遊ぶ」みたいなのもあるので
無理にコンプ目指すものではないが……。
CGギャラリーやエンディングリストに、
シーンを見ていくことでアンロックされるキャラのデータもある。
いつでもセーブ可能で、バックログやスキップ機能など基本も押さえてある。
スキップは早いんだが、読み込みがちょいちょい挟まるのは少し気になる。
メインキャラはまず主人公の幼馴染である衣音(CV:渕上舞)。
恥ずかしがり屋で口数が少なく、照れ隠しですぐに主人公を尻尾でぶん殴る。
「ヤマメの人魚」ということらしい。川に住む淡水人魚である。
拗ねるとこうなるぞ。
威嚇する人魚!
田舎で出会うことになるもう一人の人魚がぺた子(CV洲崎綾)。
貯水池に住んでいて魚を食べたりする明るいキャラだ。かわいい。
昨日会った人間どころか直前に喋っていたことすらすぐに忘れてしまうので、
出てくるたびに場を引っ掻き回して大騒ぎになる。
人魚ではなく趣味で巫女をやっている凛(CV:景山梨彩)には神様が憑依しており、
巫女と神の二つの人格があるぞ。
戦闘能力が高く趣味に熱い女性(オブラートに包んだ言い方)だ。
声を担当している景山梨彩は影山ヒロノブの娘で、
声優をやりつつ本作の翻訳も担当しているという多芸っぷり。
背景はすべて実写合成なのでやや安っぽいところもあるが枚数が多いし、
LIVE2Dを使っているのでキャラもそれなりに動く。
立ち絵がピョコピョコ飛び回ったりする演出も楽しいぜ。
一枚絵の枚数も30枚以上あり、
色々なイラストレーターが描いたエンドカードなんかもあったりする。
基本的に主人公とこの3人のみで話が進行し、
あとは田舎のおじいさんとか野生動物がギャグパートでちょいちょい出るくらい。
序盤は理系の主人公が衣音をからかったり、天然っぷりを披露したりするたびに、
赤面した衣音に尻尾でぶっ飛ばされるという天丼ギャグの繰り返し。
だが、田舎とは言え人魚がその辺をうろついているのに不審に思われない謎など、
遊んでいると続きが気になる要素が顔を出してくる。
複数いるキャラを攻略するタイプのゲームではないので
バッドエンド以外は衣音とのエンディングしかないが、
グッドエンドとトゥルーエンド、どちらも余韻を残す終わり方で、
人魚姫を題材として短編ギャルゲーとして綺麗にまとまった内容だ。
……しかし、ギャグパートの分量が非常に多く、
しかもその大半が雑なパロネタと雑なBLネタと下ネタの繰り返しでかなり辛い!
いきなり主人公が「何をするだァーーーーッ!」って叫んだりする。
「わけがわからないよ」ってセリフも5回以上聞いたぞコラァ!
アチーブメントの名前も全部こんなノリである。
パロネタは嫌いじゃないけどさすがに胸やけするわ……!
凛が腐女子で2つの人格共に腐っているため、めっちゃBLネタ振ってくる!
そもそも秘蔵のBL本を見られて
証拠隠滅のための主人公を埋めようとするのが出会いだからな!
この辺の発言はよく通りましたね!
(ピー音)付きでボイスもあるぞ。
クリア後に解禁されていくエクストラシナリオは更にギアを上げており、
雑なメタギャグを北斗百裂拳のような勢いで撃ちこんでくる。
元は2016年のスマホタイトルなのに、
90年代の同人ゲームみたいなノリになってて物凄かった……。
本編よりボリュームありそうなエクストラシナリオはほぼすべてギャグだ!
まあ、キャラは可愛いので体に馴染んでくるとそこそこ楽しめてくるし、
主人公が人魚と一緒に陸を移動する方法を試行錯誤する話や、
人魚が普通にちょっと生臭いとか、
強引に陸を動き回ったせいでひれを痛めるとかの話も好き
遊ぶほどに心を揺さぶられるぺた子周りの描写も胸を打つ。
また声優がみんな良い味してるのだ。
ローカライズが凄いのか元々そうなのか、日本のギャルゲーまんまのノリで
韓国のゲームであることがまったく感じられないんだが、
時折「おじいさんがシャーマンをやっていた」なんて話が出てきたり、
実写背景の雰囲気や、神社の描写などで異国感が顔を出すのも面白い。
ただ、ローカライズは問題無いんだがやや脱字が多いのと、
せっかくのOPムービーがカクカクしてるのが残念だ。
特定の選択肢で主人公がアイテムを手に入れているかどうか、
同じキャラに会える選択肢を選んでいるか、同じ場所に行き続けているかの分岐や、
アチーブメントのヒントをみないと絶対に分からない時間切れバッドエンドなど、
分かりにくいところはあるものの、
テキストADVとしての難易度はそんなに高くないと思う。
が、全エンディングと全シーンはコンプしてるのに、
エクストラシナリオの6がアンロックされないのはどうすれば良いんだろうか……。
序盤はドタバタギャグで、後半に行くにしたがって重い設定やシリアスが顔を出し、
最後は泣かせてくるという、ギャルゲーとしては割とよくある構成で、
田舎を舞台に人魚を連れた主人公があちこち歩き回る雰囲気や、
伏線を上手く使った展開、切なくも前向きなシナリオ自体は良いんだけど、
短編なのにギャグ部分の火力と分量がちょっと多すぎるゲームだな!
メインルートでグッドエンドとトゥルーエンド終わらせるだけなら、
4時間掛からないくらいかな?
エクストラシナリオの数は多いのでやり込めばもっと遊べるし
2800円のギャルゲーとしては悪くはない作り。
IQが低いギャグのノリが合えば、ってとこか。