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PS4『EARTH DEFENSE FORCE: IRON RAIN』レビュー!欠点は多いが、確かに「新しい地球防衛軍」の光は見えた!

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EARTH DEFENSE FORCE: IRON RAIN 公式サイト

 

ハーデストクリアまで遊んだので

『EARTH DEFENSE FORCE: IRON RAIN』のレビュー行くぜ!

 


メーカー:ディースリー・パブリッシャー

機種:PS4

ジャンル:アクションTPS

発売日:2019/04/11

価格(税抜):7800円


 

 2003年にSIMPLEシリーズの1本として発売され、

押し寄せる巨大昆虫や巨大メカをド派手に撃ちまくるという、

シンプルかつ圧倒的な絶望感&爽快感により高い評価を受け、

シリーズを重ねた『地球防衛軍』。

 

その開発をこれまで続けてきたサンドロットではなく、

ユークスに変更し、世界観も一新して送る新たな作品だ。

まあ、世界観は本編ナンバリングでも

繋がったり繋がってなかったりはするんだけどね。

 

ちなみに2010年に出た『EARTH DEFENSE FORCE: INSECT ARMAGEDDON』とは

まったくの無関係だぞ。

 

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PS4「地球防衛軍5」レビュー!絶望に燃えよッ!果てしなき戦略、果てしなき戦い!よりヒロイックに、多少親切になったシリーズ最高傑作! - 絶対SIMPLE主義

 

直近の本家レビューはこちら。

 

シリーズ全部遊んでいるので

今回の『EARTH DEFENSE FORCE: IRON RAIN』も非常に楽しみにしてた。

遊んでみると「ちょっとこれは……」という欠点が多かったが、

それでも「新しい地球防衛軍」と言える魅力もある内容だったぜ。

 

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本作は外宇宙の侵略者「アグレッサー」と人類の戦いが、

既に数年続いた後という世界観だ。

圧倒的科学力により壊滅状態に追い込まれた人類だったが、

新技術であるPAギアの開発により徐々に対抗できるようになっていく。

そして、ロサンゼルスを焦土に変えた総力戦により、

敵母艦であるハイヴクラフトの撃破に成功。

 

しかし、アグレッサーの残した巨大生物たちは

主を失っても独自に繁殖を続けており、

それから7年経った後でも、人類と巨大生物の戦いは終わっていなかった。

そこに、ハイヴクラフトを撃破した英雄である主人公が目を覚まし、

明日の見えない世界で新たな戦いが幕を開ける。

 

……というところからゲームはスタートするぞ。

7年前のロサンゼルス決戦がオープニングステージとなっており、

主人公がPAギアを使って敵母艦を撃破するバトルを操作することになる。

従来のシリーズでは敵母艦との総力戦は最終ステージ、

あるいは全体の山場に持ってきていたんだが、今回は最初からクライマックスだ。

 

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シリーズ初の細かいキャラエディットが搭載されており、

主人公の顔や声、髪や瞳の色、体格や性別を選べるようになったぞ。

パターンはそこまで多くないが個性は出せる。俺は歴戦のババァにしてみました。

ゲームをプレイすることでコスチュームやアクセサリー色々と増えていく。

 

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ゲーム内容は大量の巨大昆虫、巨大メカ、巨大怪獣をバンバン撃ちまくるTPS。

基本的に敵を全滅させればステージクリアとなる分かりやすい構成。

 

ステージをクリアすると新しい武器を買えるようになるシステムで、

高難易度ステージほど強力な武器が解禁される。

難易度は5段階あるんだが、

今回は最高難易度だけでしか手に入らない武器は無いっぽいのかな?

 

ステージには2つの武器とアイテムの持ち込みが可能となっていて、

アイテムはグレネードや回復もあれば、援護射撃してくれるセントリーガンや、

搭乗兵器を呼び出せるもの、空爆を要請できるもの、

一定時間敵を引き付けるダミーバルーンなど様々。

設定された「アイテムキャパシティ」の範囲内でなら自由な組み合わせで持ちこめる。

 

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戦車や巨大メカを呼び出せば敵を圧倒出来るぜ!

今回から「〇ボタン長押し」でシュポーンと乗り物から飛び出せる緊急回避が追加。

ボロボロになったメカから脱出し、そのまま空中から敵に射撃を加えて撃破!

みたいなヒーロープレイが出来て超気持ち良い!

 

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そして4+αの兵科が存在し、これを選ぶことで基本性能が大きく変化する。

従来シリーズは使える武器や体力が個別(5では緩和されたが)だったため、

兵科ごとに個別に育成をしないといけなかったんだが、

本作は武器も体力も共通なので、

ステージやその時に気分の合わせた使い分けが簡単。

比べ物にならないほど手軽になったぜ。

 

兵科によって「アイテムキャパシティ」が大きく変わるし、

「エナジームーブ」という時間経過で溜まるゲージを消費した特殊な移動が可能だが、

これも兵科ごとにまるで挙動が違う。

 

また、1ミッションで一回だけオーバードライブという大技を使うことも出来て、

発動中は武器のリロードの高速化や、

ゲージを無視した「エナジームーブ」の連発などが可能となっているぞ。

ここぞという時に使いたい。

 

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兵科はまず基本となるトルーパー。いわゆる歩兵。

地味だがアイテムキャパシティが多いので沢山のアイテムを持ちこめるし、

エナジームーブでは緊急回避が可能だ。

 

ただ、緊急回避は連続で5回までしか使えないので動かしづらく、

火力も移動スピードも他の兵科に劣るため、アイテムが揃ってない序盤はキツい。

アイテム推しがモノを言う高難易度ステージにならないと輝けない兵科。

 

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お次はジェットフリフター。

エナジームーブで空を自在に飛ぶことが可能なため、機動力は圧倒的。

巨大メカの後ろに回り込むような戦い方も自由自在だ。

 

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重装甲のヘビーストライカーはエナジームーブでバリアを展開可能!

正面からの攻撃をほぼ防ぐことが出来るし、選んだ武器を両手持ちして出撃するので、

攻撃力2倍……とまではいかないが他の兵科に比べて火力が高い。

ブースト移動で機動力もそこそこあるため、一番扱いやすい兵科だな。

その代わりアイテムを持ちこめる数は一番少ない。

 

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プロールライダーはビルや壁にワイヤーを飛ばして高速移動が可能。

クセは強いがアメコミヒーローさながらの高機動を誇るぜ。

オーバードライブではなんと巨大昆虫を呼び出して共闘が可能!

『地球防衛軍』シリーズ初!巨大昆虫を味方に出来る作品だぜ!

 

……いや、『THE地球防衛軍タクティクス』で侵略者側のシナリオがあったか。

呼び出した昆虫は背中に乗って一緒に戦っても良いし、別々に戦っても良しと便利。

 

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全体的に過去作よりも縛りがゆるく、

オーバードライブという分かりやすい逆転要素もあったりと、

遊びやすさに振っているなーという手触り。

 

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多種多様な武器とにらめっこしながら、

ステージに合わせて最適な組み合わせを探る面白さは健在。

 

小型のザコが多いステージなら爆発力のあるグレネードや

マルチロック出来るミサイルが使いやすいし

中型の巨大メカが出るステージならショットガンも有効。

リロードは長いが一撃がデカい衛星レーザーや、

近接武器であるソードも使いどころを見極めれば強い。

 

アイテムも仲間のHPを回復できるものや、

相手を炎上、凍結出来るグレネードなんてのもあるため戦略は幅広い。

アイテムのシステム導入で、過去作よりも単純な自由度は増しているね。

 

同じミッションに何度も繰り返し挑み、

構成を掴んで自分なりの戦術で突破していくのだ!

 

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一新された敵のデザインもめちゃくちゃカッコいい。

二足歩行メカであるスコージャーの力強いフォルムはシビれるし、

怪獣シディロスはスマートなフォルムと怪獣らしい鳴き声、どちらもお気に入り。

魅力的な敵ばかりだぜ。

 

巨大ゴミムシであるボムビートルはちょっとリアル過ぎて「ウッ」ってなったがな!

 

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PVなどで存在感を出しまくっている超巨大怪獣ラズニードも最高。

今回は異星人よりも怪獣の存在感が強かったね。

「エネミーレポート」で敵の詳細な説明文が読めるとこも好き。

本編じゃ分からないデータも載ってたり。

 

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今回は世界観も新鮮で良かった。

人間による第三勢力であるカインドレッド・リベリオンが戦場に介入して来たり、

発電所はすべて止まっているので

人類は巨大生物の体内にあるエナジージェムを発電に使っているとか、

様々な勢力でこれの奪い合いになっているとか、

EDFは7年前の戦い以降ボロボロで、スポンサーをつけないとやってけないとか、

疲弊した人類の描写が良い。

 

主人公たちもEDFの一員ではあるものの、

補給はある程度自腹を切らないといけなかったり、傭兵に近い立ち位置だ。

ストーリーはキャラの掘り下げなど物足りないところはあったが、

分かりやすい燃え所もあるし、

それでいて過去作のお約束に縛られていないところは良かったかな。

 

しかしスポンサーの顔色を伺いながら地球を守るEDFは世知辛すぎるぜ……。

『地球防衛軍5』で一時金をあんなにばら撒くからだよ!

いや世界観違うんだけども!

 

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『地球防衛軍5』はミッション数が100以上あり、

似たようなミッションや長めのミッションもあったが、

本作はミッション数が50以上で全体的に短いミッションが多い。

 

どうにも『地球防衛軍』シリーズは

新作出る度にめちゃくちゃなボリュームにしなきゃいけない!みたいなとこがあって、

長く遊べるのは良い事なんだけど

さすがにやり過ぎて遊ぶのがしんどく感じるところもあったので、

本作のコンパクトさは好印象だった。

ここら辺は開発会社も世界観も新しくしたからこその軽さだね。

 

短いと言ってもノーマル、ハード、ハーデストを全部ソロクリアするだけでも、

50時間以上は確実にかかるので十分遊べるぞ。

 

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過去作の面倒な部分をちゃんと考えて潰しているのかなと思える作りで、

これまで長いわ道に迷うわでダルかった地底ステージも、

本作ではほぼ一本道になり、分岐では謎の矢印で順路を示してくれる親切設計だ!

 

まあ、設定的にはリベリオンが描いてるんだろうが、

ミッションによってはちょっと不自然な個所もあるのでなかなかの力技である。

 

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武器一つ一つに付けられたテキストの面白さもシリーズ随一。

色々な企業が武器を作っているので、

読んでいると企業間のいざこざや各企業の色が見えてくるし、

謎めいたテキストが書かれたものも多数。

 

また、衛星兵器関連のテキストのみに登場する「自立衛星ライカ」が実にいい。

自我に目覚めたAIという設定だが本編には一切登場せず、

ここの僅かなテキストだけで語られるんだが、世界観を奥深くしているぜ。

 

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そんな見所満載の新作だが欠点も多い。

まず本作最大にして大いなる大問題なのが「武器を金で買う」という仕様。

 

これまでのシリーズだと武器は

「敵が落とす武器箱を拾うとランダムで入手」というもので、

お手軽かつハクスラ的な楽しさあったものの、

運が悪いとなかなか強い武器が手に入らなかったりもした。

なので、確実に金を貯めれば、確実に欲しい物が手に入る

「金で買う」仕様自体は、これはこれでアリだと思う。

 

しかし、全体的に武器が高すぎて1個買うだけでも一苦労。

ネタ武器もあるんだがネタ武器も高いので買う気にならないし、

そもそも高い金を出して買った武器が全然強くなかったりする……。

山ほどある武器をとっかえひっかえしながら、

試行錯誤するシリーズの魅力と正面から喧嘩してる。

 

更に、武器を買うには金以外にも

ザコ敵が落とす3種類のエナジージェムを拾って集める必要があるため、

更に作業感が上がっている。

ミッションクリアした後に30秒間ジェム拾いタイムが挟まるけど、

そうじゃなくてさ……!

 

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せっかく兵科ごとの縛りを撤廃して

アイテムの概念を導入して自由度を上げたのに、

武器が高すぎて買えなきゃ本末転倒だよ……。

ちなみに最大体力も金で増やす仕様になっているので更に金がかかるぜ!

稼ぎステージ何度もプレイしなきゃならないのにロードが長いのも辛い。

 

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ステージ毎に評価が付き、これによって報酬で貰えるお金が変動するという、

「そういうのが無い単純さが地球防衛軍の良いところでは?!」

と言いたくなる要素も……。

 

アイテムを持ちこめると書いたが、

アイテムを使うとその分報酬からマイナスされるのもストレス溜まる。

慣れてくると簡単に最高ランク取れるようになるし、

アプデで報酬マイナスが緩和されたのは良かったんだが、

そもそもいらないよこの要素!金が少ない序盤が面倒になるだけじゃん!

 

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アイテムでビークルを呼べるのは良いんだが、

良くも悪くもこれでバランスが大味になっているところがある。

ビークルがめっちゃ強いのでゴリ押し出来るステージが多いし、

いきなり中型の敵が高速で押し寄せてくるなど、

「そもそもこれビークルでゴリ押しすること前提にしてるのでは?」

というミッションもかなり目に付く。

 

四方にグレネードをばら撒くとか、相手を凍らせる榴弾とか、

敵を貫通するビームパイルとか動かしてて楽しいのは間違いないんだけどね。

 

高難易度にすると中型の敵が本当にヤバい挙動で、

5体以上で突っ込んできながら即死級のビームや火炎弾をぶっ放してくるため、

どの兵科でも苦戦は必至。

酸の精密射撃や、撃ちにくい自爆子クモを大量に吐き出すクモもヤバい。

 

過去作はNPCである仲間が強かったので、

囮にしたり敵グループを任せたりできたんだが、

今回は仲間の火力が豆鉄砲だったり、

敵が仲間を無視してこっちを攻撃してくることが多かったりであまり役に立たない!

 

『地球防衛軍』シリーズは単騎無双だったシリーズ初期から、

徐々に軍としての連携が重要なシステムになっていったので、

原点に帰ったという解釈も出来るが、それにしたって敵の攻撃がキツ過ぎるぜ。

 

ダウン時の無敵時間が短いので過去作よりも起き攻めで殺されやすいとか、

敵の攻撃や振動で行動がキャンセルされることがあるとか、

アクション周りでストレス溜まる要素多い。

 

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グラフィックは綺麗になっているんだが過去作に比べると敵の数が減り、

全体的に固いせいもあって爽快感は大分減ってる。効果音も弱い。

 

良い意味でB級感満点の通信など嫌いではないんだが、

音周りはやはりサンドロットの神仕事とどうしても比べてしまうなあ。

敵に吹っ飛ばされると通信で仲間に煽られるのもやめてもらいたかったな!

 

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また、序盤のキツさはシリーズでも上位に来るレベル。

勝手が分からず、武器もビークルも揃ってない状態で、

堅くて速いシディロスと戦わされるから……。

困ったら金の事は気にせずとにかくビークルを使って先に進もう。

 

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アイテムで広がった戦略性や縛りを緩くした遊びやすさなど、

過去作を踏まえたからこその良い部分と、

アイテムの価格の高さや細かいストレス要素などの、

過去作を踏まえたのになんでこうなる!?という部分が混在しており、

面白くないわけじゃないんだけど色々と残念な作りだなあ。

 

とはいえ、シリーズ経験者として新鮮に楽しめたし、

開発会社を変えた新シリーズ一発目で、

これだけのものを出せたところは評価したいところ。

ディースリーには『EARTH DEFENSE FORCE』じゃなくても良いので、

またユークスと何か新作を作ってもらいたいかな。