トロコンしたので『お姉チャンバラORIGIN』のレビュー行くぜ!
メーカー:D3パブリッシャー
機種:PS4
ジャンル:ハイスピード血みどろ剣戟アクション
発売日:2019/12/5
価格(税別):7,980円
日本刀を持ってテンガロンハットをかぶった水着ビキニの美女が、
数十、数百と群がるゾンビをバッサバッサと斬りまくる!
そのノリのまま15年走り続けた『お姉チャンバラ』シリーズの最新作だ!
2004年にSIMPLEシリーズから生まれて好評を博し、
シリーズ作品は10本以上発売され、コミック化にフィギュア化、
まさかの実写映画化も2回果たした人気アクションだが、
今回は15年目にして原点に回帰するリメイク作品。
1作目である『SIMPLE2000 THEお姉チャンバラ』と、
2作目である『SIMPLE2000 THEお姉チャンバラ2』を1本にまとめ、
グラフィックもシナリオもゲームシステムもすべて、
1から再構成した内容となっている。
アニメ調に変更されたキャラは凄く可愛いし、
過去作とはベツモノと言っていいくらい親切で、遊びやすいので初心者も安心。
そして原点回帰のリメイクだからこそ出来たシステムのスリム化と、
新たなシステムによる爽快さ全振りのゲーム構成がお見事。
1作目から遊んでいるシリーズファンの俺として非常に嬉しい内容で、
シリーズ最高傑作と言ってもいい1本だった!
モードはメインとなるストーリーモードの他に、
エンドレスで戦うサバイバルや有料DLCミッションが含まれるエクストラミッション。
操作の練習が出来るプラクティスや、
ゲーム中で条件を満たすと色々オマケが貰えるクエストなどがあるぞ。
舞台は屍霊と呼ばれるゾンビに近い存在が闊歩する20XXの東京。
主人公は剣術を生業としている特殊な力を秘めた「忌血族」の末裔である彩。
離れ離れになった腹違いの妹である咲を探しているが、
咲の方は死んだ母親を蘇らせるために彩を殺して心臓を奪おうと考えている。
すれ違う姉妹、彩に協力する謎の女レイ、待ち受ける数々の怪物、背後に潜む陰謀。
様々な想いが交錯しぶつかり合う「姉」と「妹」の物語である!
お姉ちゃんがチャンバラ三昧!
オリジナル版発売当時には存在していなかったスマホを使うシーンがオープニングで、
ポーズメニューのUIもそれに準じてるところで「現代~ッ!」ってなる。
使えるキャラは刀攻撃がメインで二刀流への切り替えも可能な彩、
刀に加えて格闘術での撲殺も可能な咲、ナイフと重火器で戦うレイの3人だ。
最初は彩しか使えないがゲームを進めると増えていき、2人での戦闘も可能になるぞ。
3Dのアクションゲームで、出てくるザコゾンビを倒して先に進み、
最深部に辿り着くかボスを倒せばステージクリアの分かりやすい構成。
イロモノっぽいタイトルで誤解されがちだが、
『お姉チャンバラ』は1作目からシステムに拘ってるしアクションゲームとしてガチ!
最大のウリはクールコンビネーション!
ボタンを押して刀での連続コンボを繰り出せるゲームだが、
攻撃が当たった瞬間にタイミング良くボタンを押すことでコンボがパワーアップ!
エフェクトは派手になるし、攻撃力も格段にアップするのだ。
連打するだけだとコンボは繋がるが攻撃力は普通のまま終わってしまう。
どのタイミングでボタンを押せばいいかを体で覚え、
感覚で繰り出せるようになると、軽快な効果音とド派手なエフェクトと共に、
敵を高速で始末出来るようになるからとにかく爽快!
今回からオプションでタイミングバーのON/OFF切り替えが可能になり、
ONにすれば画面下に音ゲーみたいなガイド表示が常に表示されるようになった。
このゲージを見るだけでボタンを押すタイミングが一目で分かる!
過去作だとプラクティスモード限定の仕様だったのだが、今回は本編でも常時使える。
あと前作の『お姉チャンバラZ2』だとクールコンビネーションの途中で
カメラがアップになる演出が追加されて、
俺はこれが遊びにくくて好きじゃなかったんだが、
そこも今回はバッチリON/OFF切り替えられるぞありがとう。
また、敵を斬っていくと刀に血が付いて切れ味と振る速度が鈍っていくので、
定期的に血を払う「リロード」を挟まないといけないようになっている。
面倒そうに聞こえるかもしれないが、
コンボの合間に組み込むことで隙を無くすことができるので、
慣れてくれば邪魔にならないし、アクションゲームとして良いアクセントだ。
敵を倒しまくって血を浴びていくと暴走状態に突入。
ガングロギャルみたいな肌の色になり、攻撃力が大アップ!これが忌血の力!
彩が常にビキニ水着みたいな恰好をしているのは、
相手の血を体に取り込みやすくするためという理由があったりする。
咲は彩よりも忌血の力が強いので服を着たままというわけ。
暴走状態で更に激しいコンボを繰り出すと最強フォームである「忘我」に変身!
悪魔か獣かという姿へと変化する。
こうなると時間経過で効果が切れるまで体力が減り続けるが、
敵の攻撃でのけぞらなくなるし、攻撃を当てると体力が回復するのでガンガン攻めろ!
敵を倒し続ければ「暴走」、更に暴れれば「忘我」!
仮面ライダーみたいにフォームチェンジでどんどん強くなっていくのだ。
「忘我」はオリジナルの1作目と2作目には存在しなかった姿で、
2014年の『お姉チャンバラZ2~カオス~』から登場の最強フォーム。
そっちだと超カッコ悪かったんだけど、今回はリファインされて良くなった。
敵をぶった切ると血が飛び散りまくるとか、血を浴びて暴走とか、
刀に血が付くのを払わないといけないとか、
ここら辺のシステムは全部1作目の時点で存在していたので、
本当に「血」に拘ってるシリーズだよなぁ。
今回から新システムとして導入された
「パリィ」「スタンゲージ」「クールフィニッシュ」も秀逸!
「パリィ」はタイミング良く繰り出すことで敵の攻撃を弾ける技で、
成功すれば敵に隙を作る事が出来るのでボス戦で非常に重要。
「スタンゲージ」は敵に存在するゲージで、
パリィでのカウンターや特定の攻撃、激しいコンボなどで高めることができ、
これがMAXになると敵がピヨッて一定時間動けなくなる。
ピヨっている相手に近づいてボタンを同時押しすることで発動するのが
「クールフィニッシュ」。専用の技を繰り出して敵に大ダメージを与えられる。
彩だったら回転斬り、咲だったらパワーボムなどのプロレス技。
敵の攻撃パターンを見切って「パリィ」でガンガン弾き、
敵をピヨらせてから「クールフィニッシュ」を叩き込む!
「パリィ」しやすい攻撃はザコもボスも、
予兆となる専用のエフェクトと効果音があるのでタイミングを掴みやすいのが特徴だ。
ザコ相手だと「パリィ」1発で周りの敵もまとめてピヨるから気持ちいい。
緊急回避である「見切り」と、
ギリギリの見切りを成功させると溜まるゲージで発動させる大技
「エクスタシーコンビネーション」もある。こちらも強力!
「見切り」は連発できて使いやすいので、状況に応じて「パリィ」と使い分けるのだ。
キャラ毎に異なるアクションを使いこなし、回避を織り交ぜながら、
ゾンビの群れの中を風のように駆け抜けて一刀両断!
画面内で煌めくエフェクト!飛び散る大量の血液!ばら撒かれるゾンビの四肢!
敵の攻撃を弾いてピヨらせてカウンターからのカウンター!
格闘攻撃や投げナイフによる遠距離攻撃、ジャンプ攻撃もあるし、
コンボ途中でキャラを交代することも可能。
あらゆる動作がスムーズに繋がるのでノンストップのアクションが続く。
近距離、遠距離、地上、空中!ゾンビに安全な場所など無い!
どこを斬っても爽快コンボがあふれ出してくるチャンバラだ!
普通のゾンビ、盾を持っているので正面からの攻撃が利かないゾンビ、
銃をぶっ放してくるゾンビ、巨漢で大振りの攻撃を仕掛けてくるゾンビ、
スピードにものを言わせてくる犬ゾンビなど敵は様々。
どの敵をどう攻めるか、いつパリィするかを見極めながら立ち回っていくのが熱い。
過去作は1ステージがかなり長かったが、
今回は短いステージを連続してクリアしていく構成になったのでテンポも良い。
ボス戦の面白さに関してもシリーズ随一!
巨大な赤ちゃんみたいなゾンビから獰猛なクマゾンビ、巨漢のデブゾンビなどなど。
獰猛かつ手強いボス揃いだが、突進やラッシュ攻撃、大振りの一撃を
パリィで叩き返すことで隙を作っていくのが熱いし、
見切りとクールコンビネーションで押し切っても良いゆるさもあるね。
敵の攻撃パターンを見極める手応えが過去作とは全然違う。
親父と戦うボス戦では刀攻撃をパリィで弾いてチャンバラすることになり、
ビジュアルも相まって『SEKIRO』みたいになってるぞ!
新キャラとして使える「レイ」は忌血族じゃないので暴走や忘我が無いが、
スピーディーなナイフ攻撃に範囲の広いショットガン、
血を溜めて発射する3段階のレーザー砲なんかもあるので、
彩や咲とはまた違った手触りなのが面白い作り。
オリジナルにいた「レイコ」の代わりに登場したキャラなので、
戦闘スタイルはやや似ているんだが、アクションはまったく違うな。
経験値を集めて強くしていく成長要素や、装備アイテムの指輪も健在。
指輪は様々な効果があるのでプレイスタイルに合わせて選べるバランス。
クールコンビネーションがうまく出来ないという人は、
タイミングが甘くなる「技巧の指輪」を装備すれば良いなど、
苦手なシステムは装備で補えるようになってるし、
そういう救済措置はいらねぇ!って人は
普通に攻撃力アップや経験値アップの指輪にしても良い。
回復アイテムもジャンジャン買えるので難しいと思ったらしっかり買いこもう。
ストーリーは流れこそオリジナルに近いがほぼベツモノ。
戦闘前のデモ会話や戦闘中のセリフが大幅に増えたことでキャラに存在感が出た。
人気キャラながらもセリフがほぼ無かったゾンビ姉妹のさやか&杏も、
今回はめっちゃ喋ってストーリーに絡むし可愛い。
他のボスも色々とパワーアップしてる。
設定面も整理されて、戦う力を持った一族の話として、
そして「姉」と「妹」の話として一本筋の通った構成だ。
特に、彩の二刀流と咲の格闘術という、
これまでは「新作で増えた攻撃方法です」以上のものではなかった要素に、
ストーリー上で新しい意味を持たせたところは、
シリーズファンとしてめちゃくちゃ感動したぜ。
レイに関してはかなり描写不足だし、
別に凄く凝ったシナリオというわけではないんだが、
戦闘中も色々とセリフを喋ってくれるのは単純に遊んでいて楽しく、
何よりちゃんとしたストーリーってだけで嬉しいんだよ!
お姉チャンバラのストーリーって、
ごちゃごちゃした設定の話を繰り出しつつも、ゲーム中はそれにちゃんと触れず、
ラスボス前で急にだーっと長話をしてそのままふわっと終わるか、
そもそも最初から最後までよくわかんないままかの2択なので、
今回、こんなにまともな流れが出来てるのは本当に驚いた。
人類の歴史上初めてかもしれない「ストーリーがちゃんとしてるお姉チャンバラ」だ!
『お姉チャンバラvorteX』のラストシーンなんかは今でも結構好きだし
『お姉チャンバラZ』のテンション高いノリや、
『お姉チャンバラZ2~カオス~』の細かい会話デモが多いトコも良かったけども。
元々音楽のレベルが非常に高い『お姉チャンバラ』だったが、
今回もギターバリバリの熱いサウンド揃い。
元タムソフトで今は独立した本山明燮による「Unbreakable Trust!!」が最高!
やはりこのシリーズの英語ボーカル曲はハズレ無いわ!
シリーズ1作目のラスボス曲にしてシリーズ屈指の名曲だった「Stand by U」を踏まえ
作曲した和田真奈美が自ら手掛けた「VS Saki-ORIGIN-」も血が滾るぜ。
リメイクとして優秀な内容になっているが、気になる点を挙げると
やはり定価8000円超えだけど1周5時間くらいで終わるボリューム。
あとは高難易度モードと無限サバイバル、項目を埋めていくクエストくらいだ。
500円のDLCを買うと、
本編で語られなかった部分を補強するミッション10個追加されるが、
ほとんどがザコを軽く散らした後にボスと再戦するだけの構成なので今一つ。
まあ、アクションゲームならクリア時間はこんなものではあるし、
何故1周が短いかというと、
爽快感全振りでステージのテンポを良くした結果でもあり、
冗長なステージが少なくなかった過去作から進化したとも言える。
今回、めんどくさいステージがほとんど無いからね。
前作『お姉チャンバラZ2』にあった、
キャラの体に自由にアクセサリーを点けられる要素が無いのと、
DLCも含めてもコスチュームが色違いばかりなのは寂しいところだ。
3000円のシーズンパス買ったけどほとんど色違いコスと過去BGMの水増しじゃん!
ゲーム中にポーズしてカメラを動かせるフォトモードもあるんだけど、
今回も全然自由に動かせないのが残念だぜ。
シリーズファンからめんどくさい突っ込みをさせてもらうと、
元々『お姉チャンバラ』シリーズはテクニカルかつ、
リスクとリターンがキモのゲームで、
暴走すると体力が減り続ける上に特別な方法を使わないと元に戻らないから、
迂闊に暴走すると逆にピンチになることもあるし、
刀についた血も意識して払わないと動きがすぐ鈍くなる、
クールコンボのタイミングがシビアな上に、
しっかり習得しないと敵が堅くて苦戦する。
しかもマップが変に複雑だから初見だと1ステージクリアに1時間以上掛かるのもザラ。
それをプレイヤーの上達とキャラの成長、
アイテムの使いどころの見極めなどで対応していき、
最終的に10分以下で駆け抜けられるようになっていくのがたまらないゲームだった。
それと比べると今回の『お姉チャンバラORIGIN』は何もかもがゆるい作りで、
マップが簡略化されたし暴走もリスクが薄くただのパワーアップに近くなっている。
ここら辺でちょっと物足りない気持ちはあるが……。
今回の「パリィ」を軸に再構成したシステムは
ちゃんと新しいリスクとリターンの形になってるし、
15年前とは比べ物にならないくらい幅の広がったコンボは爽快の一言。
これまでどうにも煮え切らなかった、初心者向けの仕様もまとまってて遊びやすい
この爽快さに思い切った作りは大歓迎だし正しい進化と言える。
そもそも1作目や2作目みたいなのをもう一度遊べって言われたら俺も普通につらいし!
俺も最初に1作目遊んだ時はしんどすぎて魅力がよく分かんなかったしな!
病院で迷ったり街を延々と走り回ったり、 変なタイミングで暴走して死んだりしたの、
今となっては良い思い出だけど、思い出でしかないからね……!
今回の調整は最高です!タムソフト万歳!
気になったのは、
せっかくパリィがあるのに見切りとエクスタシーコンビネーションが強すぎるのと、
クリア評価が緩すぎてほぼ機能してない辺りかな。これも救済措置と思うべきか。
複雑化していたシステムや冗長なステージ構成をリセットし、
歴代シリーズの良い部分や特徴的だった部分はそのまま取り込み、
新たなシステムと、まさに「再解釈」とも言うべきシナリオでまとめ上げる。
原点回帰のリメイクだからこそ出来たシリーズ最高傑作だ。
感度3000倍ならぬSIMPLE2000倍のパワーアップっぷり!
基本コンセプトがここまでブレてない『お姉チャンバラ』は本当に稀。
毎回どこかしらガタついてたからな!
シリーズを追いかけ続けてきた俺にとって感慨深いぜ……!
2019年のフルプライスタイトルとしてチープな部分も多いのだが、
本作ならではの魅力がきっちりある1本。
これまで未プレイだった人も是非本作から入門してみてくれ!